Fate/Avenge   作:ネコ七夜

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オリジナル解釈、解説回です。
慎二君がカッコよくなりすぎだ、あのへたれた姿が懐かしいぜ。


嘘18話

 

バゼットと間桐慎二が公園で激闘を繰り広げているさなか、1キロほど離れたビルの屋上でその様子を見つめるアーチャーがいた。

 

 

「やはり違う……」

 

 

彼の記録とも記憶とも呼べない、脳裏の残滓が覚える映像と合致しない現在。

 

マスターの違うサーヴァント、覚えのない狂戦士、魔術を行使する間桐慎二。

 

やはり自分がたどった道とは違う事柄だ。

 

改めてそう認識する。

 

 

しかし、そこから見える間桐慎二の変わり様には驚いた。

 

偽臣の書を持たずに魔術を発動するその姿はつい先日とは違い、鬼気迫る迫力が感じられる。

 

魔術回路を持たずしての魔術行使。

 

 

通常ならばありえないことだ。

 

 

例え儀式魔術において、引き金となる『意味』を持つ言葉を紡ぎ、霊脈と大気中のマナを操作しても、あそこまで汎用性の高い操作は出来ない筈だ。

 

どうなっている?

 

注目するべき点は慎二が魔術行使をする際、呪文を詠唱している時だ。

 

アレは魔術回路を起動していない。

 

 

ならばどうやって魔力を調達している?

 

 

 

 

 

   ※  ※  

 

 

 

 

 

間桐慎二は魔術回路を持たぬ生まれだ。

 

 

魔術回路とは大気中のマナを自らの内に通しオドへと精製するための器官であり、魔術師のとっての気管。

 

外界を内界に、大界を小界に、その原理は遥か昔から魔術師が根源への悲願を求める中での万事における過程であり、外側へ至ることを欲した魔術師たちの最初の一歩とも言える壮大な力の認識とも言えよう。

 

そして、魔術師たちはその生涯をかけて、自身の魔道の集大成を意味のあるカタチに変え次代へ受け継がせる。

 

これが魔術刻印である。

 

 

魔術刻印とは一定則の魔術を行使する際、その刻印が魔力に反応し、必要な術式を最短の、最速の最小限の、最効率で構築し自動発動できる、刻印作成者その者と言える証だ。

 

 

しかし、その刻印を魔道において最も完成系に近づきながら、バラバラの、完膚なきまでに冒涜した者がいた。

 

 

間桐臓硯

 

 

何も間桐は500年ぽっちの歴史であるわけではない。

 

蟲の魔術師である間桐臓硯が齢500の妖怪であるだけであり、彼が間桐の全てを立ち上げた訳ではない。

 

 

純血を守り、脈々とその魔道を継承してきた体系こそアインツベルンには劣るが、それでも公式記録が定かでない程の名道名門だ。

 

そこに至るまでの代は気が遠くなるほどの積み重ねであり、その幾人もが魔道の家名における歴史に名を残す程の希代であった。

 

 

一角、更に一角と間桐の刻印は刻む数が増え、ついには大規模魔術すら短縮詠唱で構築、発動が可能なほど精錬され、経路が確立されていただろう。

 

最早、後数代優秀な魔術師が生まれその研究を確立し己が最果てへたどり着けば、根源への到達も容易かった筈だ。

 

 

しかし、あろうことか500年前、とある一人の間桐はその全てを台無しにしてでもたどり着きたい願いを持ってしまった。

 

その為にはもっと生きたい、生きて成し得なければならない。

 

 

その為には朽ちていく体に刻まれし刻印は

 

 

体を数多の蟲に移した。

 

 

 

刻印はどうした?

 

 

蟲は朽ち死にまた埋める。

 

 

 

魔術刻印はどうした?

 

 

これほどの体の代わりをする蟲、使役する蟲、最早刻印に頼らずして制御できるわけがない。

 

 

 

体の魔術刻印はどうした?

 

 

数百、数千、数万とも言える蟲、蟲、蟲。

 

 

その主たるもの全てに刻まれたるは間桐の証。

 

 

蟲に移植された――――否。

 

既にその身が蟲同然ならばその『体』に

 

 

故に『刻印蟲』

 

 

つまり、臓硯は刻印を複写し、移植し

 

幾代、幾数の蟲へと間桐の証をその身に宿し続けていた。

 

 

ならば、その原型図を書き留めておくことに何の不思議があろうか。

 

 

無限に続く蟲の交換で粉みじんに別れた刻印の原形を覚えておくには、その体は、その脳は老朽に過ぎる。

 

 

この技術が後に令呪の他所へ移植する偽臣の書に使われたのは想像に難くない。

 

 

 

刻印は魔力に反応し活性化し、魔術を起動させ、また

 

マナを取り込むことによって自己(オド)の魔力を生成する。

 

 

ならば、間桐慎二がその刻印全てを身に宿しているなら、その身に魔術回路を持たずして周囲のマナを取り込みながら魔力生成を行っていると結論付けることができよう。

 

 

しかし、それだけではサーヴァントに戦闘行動をさせるだけの供給魔力を維持することは出来ない。

 

元の蓄積魔力が全くない状態で周囲のマナを取り込んでも、一定の場所に留まり続ければすぐに吸いつくしてしまう。

 

 

故に、効率よく魔力を供給するために間桐慎二が思いついたのは、霊脈経路を使用する儀式魔術だ。

 

霊脈上に儀式の陣を水で描き、マナ噴出濃度を局地的に高める手法を間桐の知識から絞り出したのだ。

 

 

当然、その場所で戦闘を行うことも想定しその他の儀式陣も重ね掛けをし、万全の状態で戦闘に臨むため、狙った敵は必ずその場で仕留めなければならない。

 

 

 

公園に敷いた陣は日中、学校をさぼって水を撒くことで完成させた。

 

 

ならば、ここで最も俊敏に長けたサーヴァントに声をかけたのはある種博打だ。

 

最速の英霊を封殺できれば残るサーヴァントも決してのがしはしない、という看破される心配を取り払えるかどうかの瀬戸際である。

 

 

だからこそ、秘術をぶつけ合う闘争だ。

 

 

――――ただ一つの懸念は先に述べた刻印の発動に際した、体への負荷である。

 

マナが原料となりオドが生成されるなら、ろ過する機関が魔術回路だ。

 

今の間桐慎二は原油をろ過せずにそのまま車の燃料として用いているようなものだ。

 

そのような無茶、ただの人間だった少年の体にまかり通る訳がない。

 

 

そう、本来ならば。

 

 

バーサーカーの魔力供給は体の不純魔力も含め一緒に暴食されている。

 

 

これがかえって、慎二の健康状態の維持をしている奇跡。

 

 

お互いは生存のために切っても切れない一心同体。狂気の沙汰で臨む戦争。

 

 

まさに、外法を用いた彼こそが今やこの戦争において、まっとうな聖杯戦争を行う数少ないマスターの一人であった。





バサカがいないと死んじゃう慎二君。
無害な魔力の補給方法は、原作の主人公ポジ18禁か、爺よろしくのヒトクイだと思う。
そう考えると刻印蟲ってすごいですよね。魔術回路の拡張機能があったり、肉食って魔力生成したり、汎用性がハンパない(笑)
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