Fate/Avenge   作:ネコ七夜

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暗殺者(バーサーカー)とVS他鯖 が戦った場合のの戦闘相性と宝具相性
※敵鯖視点
○有利 △互角 ×不利

ランサー△×(ゲイボルグ)
セイバー△△(エクスカリバーのみ)
キャスター○×ルールブレイカ―)
ライダー?
アヴェンジャー○△(ルールブレイカ―投影のみ)
アーチャー△△(ルールブレイカ―投影のみ)


嘘19話

 

 

 

「青は淀みを受け、下流は清らかに――――」

 

 

慎二が再び詠唱を始める

 

駆け出すバゼットは迎撃のカウンターに最も適した場へ飛び込み、スライディングするような体制で砂埃を巻き上げブレーキをかける。

 

取り出したボーリング玉より少し小さい球体は、バゼットの周りを規則正しい速度で揺ら揺ら漂っている。

 

 

これより始まるのは一撃の必殺対水撃の魔術。

 

後出しが制する最強対、先出しでしか勝機の見いだせぬ凡夫。

 

バゼットの猛り狂う魔力は周囲でマナの呼応を生み、青く静電気が幾重にも弾けるように輝きを増す。

 

対する慎二は相対する敵が次の一撃に必殺の技を使うと覚り、必死になり詠唱のため自己のより深い場所に意識を埋没させる。

 

動揺などしている暇はない。

 

 

目の前の麗服の女はそのプレッシャーから感じ取れるように、歴戦の手だれだ。

 

いつものように、学友の美綴などに狼狽するように、桜のサーヴァントを前にした時のように、腰を抜かしていたら次の一瞬は確実に死が待っている。

 

この一撃を自分だけで防ぎきれるのか否か――――

 

 

自身は魔術師ですらない。

 

 

魔術師とは何だ。

 

 

その思いが相手を最大限に警戒する要因となる。

 

自身の力がどの程度まで通用する戦いなのか未知数。

 

学校のテストの様に何をすれば満点なのか、部活のように何をすれば勝利なのか、まったくもって模範解答の導き出せぬ難関。

 

常に勝ち気でありたいと思っていた慎二が、そのちっぽけなプライドがぶれる、孤高さが揺らぐ。

 

たった一人で何でも成し遂げたいと思っていた独りぼっちが

 

 

 

「来い!暗殺者(バーサーカー)ァ!!」

 

 

たったひとりのパートナーに頼る。

 

彼が召喚した、彼に仕える、彼が従える、彼だけの、彼の身に許された、同じ孤高の狂戦士に、高らかに命ずる。

 

 

「GAAAAAAAAAAAAA!!!」

 

その命令に応じたのか、狂戦士も雄叫びを上げランサーの槍を弾くと、踵を返して一転

 

 

 

「野郎!!バゼットそっちに行ったぞ!!」

 

 

狂戦士はバゼットの方へ向かって高速で向かってくる。

 

 

ランサーも駆け出すがそこには先ほどバゼットを襲った汚泥がうねりを上げており、一瞬の手間が取られる。

 

ランサーの抗魔力をもってして突進する形で突っ込めば、もろともせずにただの泥水に戻るであろう。

 

しかしその泥水でぬかるんだ地を駆けては狂戦士に追いつけない。

 

最速の英霊といえど悪条件の地ではまた俊敏な動きを持つ狂戦士に追いつくには時間がかかる。

 

 

 

「くそっ!」

 

大腿の筋肉を最大限まで駆使し爆発するように低空で跳躍し一気に汚泥を飛び越えるが

 

 

遅い

 

 

このスピードではバゼットの下まで間に合わない。

 

 

「ッ――――ランサー!『こちらから』撃ちます!!」

 

「!!――分かった!」

 

バゼットは自身に向かってくる狂戦士の脅威を推察し、マスターの瞬殺から時間のない狂戦士からくる攻撃への回避に切り替える。

 

 

しかし、バゼットはこの段階で自身の切り札をマスターに放つ様に照準を定め、体制もそれに合わせて最適化してしまっている。

 

発動の発動(タイミング)を変更することは出来ても照準(体制)までは大きく変えられない。

 

自身の宝具の発動をギリギリでキャンセルしたことなどバゼットにはなく、また強制的に収めるのは術者に極度の負担がかかる。

 

ならばもう敵マスターに打ち出すより他、道はない。

 

 

「行きます!!」

 

 

バゼットは大きくこぶしを振り上げる。

 

その硬化のルーンを刻んだグローブを硬く握りしめた拳に反応するように、宙に浮いた球体はバゼットの前で制止し、形を変え、小さな矢じりの様な短剣を生み出す。

 

 

バゼットのすぐ横に狂戦士が迫り大きく剣を持つ腕を振り上げる。

 

一寸先に待つ未来は体を縦に両断され宝具の発動前に死ぬ姿だが―――

 

彼女にとってはそのような命のやり取りなど、封印指定の執行業務において飽きが来るほどに経験してきたことだ。

 

 

 

 

 

「刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)!!」

 

 

先に放たれたるはランサーの宝具。

 

因果逆転の呪いを宿した魔槍は狂戦士の心臓に向かって突き出される。

 

狂戦士に死の運命が確定し心臓が貫かれる。

 

 

「斬り抉る戦神の剣(フラガラック)」

 

 

苦々しい表情の中、切り出されるバゼットの宝具。

 

相対している敵マスターは未だ詠唱の完成間近といったところか。

 

ならばこの一撃、カウンターこそ真価を発揮する宝具は凡撃に終わる。

 

 

打ちだしが終わったならバゼットは動ける。

 

体を前のめりにし、飛び込む姿勢で前転。

 

狂戦士の剣を避けることができる。

 

 

しかし、貫かれた胸の痛みがまるでないのか、狂戦士は槍の衝撃をもろともせず、渾身の力を持って刃を地面に向かって振り下ろす。

 

 

そこにいた筈の標的である女は既にその場にいないにもかかわらず。

 

ただただ、己が胸から滴る赤い滴が不思議でならないように硬直する。

 

 

「危なかったぜバーサーカー。だが、楽しかったぜ。」

 

 

ランサーは手向けの言葉を最大の賛辞として送り、最早治癒など効かず消滅するであろうサーヴァントを看とろうと思い、槍を引き抜こうとしたが。

 

「g…a、a…」

 

狂戦士はがくがくと膝が嗤っているが、がっしりと握りしめた両手は自身を貫いた魔槍をつかんで離さない。

 

 

「テメェ―――なっ!!?」

 

 

狂戦士はズブズブと胸に突き刺さる槍を引き抜くどころか更に深く、深くと己が内に引きずり込む。

 

こうなってしまっては槍兵の腕力をもってしても槍を引き抜くことは出来ない。

 

一気に槍が引きずり込まれ狂戦士の片腕が槍兵に届く瞬間

 

青き槍兵は確かに聞いた。

 

 

「狂信宣告(サバーニーヤ)」

 

 

肩腕が離れ、体に狂戦士の片腕が触れた瞬間、渾身の力を振り絞り槍兵は敵の体を蹴りつける要領で一気に愛槍を引き抜き距離をとる。

 

理性を無くして会話すらできない筈のサーヴァントから確かなとこ場を聞いた。

 

しかし、驚くべきはそこでは無い。

 

バゼットも同様にあり得ないもの聞いたと言わんばかりの表情だ。

 

 

「サバー…ニーヤ(暗殺教典)だと!?」

 

 

暗殺教典を宝具とするサーヴァント。

 

それはすなわち暗殺者(アサシン)に他ならない。

 

ならば今サバーニーヤ受けたランサーは―――

 

「なんともねぇが……」

 

悪寒が拭えない。

 

槍を引き抜くとき、ずるずると引き抜いた瞬間からランサーの体の調子はまるでオカシイ。

 

 

サーヴァントにはあり得ない寒気や悪寒。

 

なにか病魔の類に感染させるものか―――

 

 

されど、対する敵は既に心臓を破壊されている、マスターにしてもフラガラックは彼のわき腹を貫通し倒れ伏した状態だ。

 

ならば万一のことを考え、ここで正体不明の暗殺者の業を持つ狂戦士をしとめる必要がある。

 

そうと決めたランサーは再び敵サーヴァントに向かい槍を突き出すが。

 

ギン とした金属音がまたしてもその道を阻む。

 

 

敵の持つ剣は絶命間近のサーヴァントが最後の力を振り絞り防いだのだろう。

 

膝をつき剣を地に突き立て項垂れるように動かない。

 

 

槍を防がれたランサーの異変はここから生まれた。

 

 

「がーーーあああっぐあ!!!!?」

 

「ランサー!どうしたのですか!?」

 

バゼットも不思議でならない。

 

 

今の攻撃はただ防がれただけのただそれだけのことだ。

 

なのに、なぜそんなにも悲鳴を上げ苦しんでいるのか。

 

痛む苦しさの余りランサーが思わず握る槍を手放し地に落としてしまう。

 

ガラン、ガラン

 

と鳴り響く鐘の音

 

そうさ、これは祝福。命の音。

 

心身に響き渡るその音は空気とぶつかり合うように、地面とぶつかり合うように。

 

容赦なくその命へと送られる。

 

 

「あが―――ぁぎっ!!?」

 

不気味なまでのこの症状にバゼットも顔色を悪くし逃走を選択せざるを得ない。

 

「一旦退きますっ!霊体化してください!!」

 

バゼットは公園から脱出するため魔術回路をフル起動させ、ランサーは苦痛に歪みながらも霊体化し、ゲイ・ボルグも回収し消えうせる。

 

 

 

後の公園にはわき腹を抉られた間桐慎二と心臓を失い今にも消えそうな狂戦士だが。

 

「う、ぐぅ……畜生っ。死んで…たまるかよ!!」

 

そう漏らしながら苦痛にゆがむ顔とは裏腹に、慎二は自分のわき腹に片手を添え血流を操作していた。

 

血液がまるで見えない管に繋がれているように、一滴も漏れることなく正常に循環している。

 

どうやら内臓などの器官に差してダメージがないことから、バーサーカーの攻撃に気を足られ過ぎたバゼットの狙いは甘くなったようだ。

 

しかし彼の狂戦士は最早消滅間近の筈。

 

なのに、苦痛にゆがむ慎二の顔には、その口元に何処か笑みがある。

 

 

「ゲイ・ボルグ――――そうか、呪いの魔槍か…厄介だぜ。これじゃぁ全快は無理かな……っ!!ぐぅ!!!」

 

 

無理矢理立ち上がるとよろけた足でバーサーカー近づく。

 

 

「起きろよバーサーカー。どうせ生きてるんだろう。ったく、血流操作くらいしてやる。」

 

そう言って心臓のない狂戦士に血液を循環させると意識を取り戻したのか、ぎこちない動作で立ち上がる。

 

 

「かタ、じ、けない。ア  るじ、」

 

「ああ、僕のおかげで生きてるんだ。感謝しろ。」

 

 

否、心臓を貫かれた状態でここまでの時間、生きていられるわけがない。

 

 

ならばなぜ、狂戦士は生きている?

 

 

「サバーニーヤ。それがお前にとっての本来の使い方なんだろ?」

 

そう、この狂った暗殺者は嘗て暗殺の奥義としてこの業を体得したのではない。

 

果てのない戦いに身を置いて、どのような死の淵であろうと命をよそに預け、その肉体が朽ち果てるまで戦い続けるためにに生み出した、最も暗殺者らしからぬ秘奥だ。

 

つまり、例え手足を失い、血を失い、心臓を失おうとも、命が別の場所にある以上、死ぬことを放棄し、肉の最後の一片まで戦闘に捧げる狂信こそ彼の暗殺。

 

ただの一人とて生かさぬ、全てを惨劇に変える殺戮こそ、正体不明の殺人と定義したのだ。

 

故に、百の貌のハサンは彼と少女を最後まで次代の当主にするか迷った。

 

 

暗殺の定義をこれでもかというほど間違えた戦士と、暗殺の深みに入り過ぎてしまった少女。

 

 

 

結果は滅びゆく教団を持ち直す為に次代の座を彼に贈ったが、それが滅亡の一途をたどった。

 

故に彼は暗殺者としてはあまりにも不適格なハサン・サッバーハだ。

 

狂っていなければ呼び出せない。

 

 

暗殺に狂った戦士は心臓を失ってなお、紅き狂信を捨てることはない。

 

 

 





今回の戦績
狂戦士:ほとんど不死身ですが、「ゲイ・ボルグに貫かれた心臓は再生できない」という槍の呪いで心臓が再生できず常時瀕死。
慎二・わき腹の治療のため暫く身を隠す。

槍兵:ゲイ・ボルグに狂信宣告をかけられ使用不可能。肉弾戦と魔術のみ。
バゼット・フラガラック1個消費。残り3個。
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