なんなら原作の自分の言動とかで
合宿終了後、俺達は日常……学校生活へと戻る。学校の方には一応旅行ということで話をしているが、一週間もいなかったわけだし不審がるやつもいるだろう。たとえば、桐生藍華みたいな謎に感の良い奴とか。
「なんか、久しぶりな気がする」
「ま、一週間ぶりだからね」
教室で項垂れていると遥に苦笑しながら話しかけられる。合宿中に色々あったけど、今の関係自体はあまり変わっていない。ちょっと小っ恥ずかしい気はするけど。
「なになに?旅行中に何があった〜?」
楽しそうに話しかけてくる桐生。
「別に、何も無い」
「……何も無いことは無いよ」
「ん、何があったの?」
後生だから余計なことを言わないでくれ。
「ま、色々とね」
「気になるなぁ。もしかして初めてを奪われちゃった?」
何を言い出すんだ、この脳内ピンク。
「ある意味ではそうかな」
何を言い出すんだ、遥さん。
「え、本当に?」
「うん、本当に」
「そ、そっかぁ〜……」
何やら顔真っ赤にしてる様子の桐生さん。実はこういう話苦手だったりするのか。セクハラ発言してくるのに。
「多分だけどファーストキスの話な」
「な、なんだ。そういうこと」
「結構軽くないかな。ファーストキスだよ、ファーストキス」
「だって、今更ファーストキスとかねぇ。小学生でももう少し、ね」
やめろ、その言葉は俺にも効く。
「なんならキスしてきたのはそっちでは」
「……あ」
言ってる事の恥ずかしさに気づいたのか、顔真っ赤にする遥。可愛い。
「なになに〜?少し見ない間に進展したとか?」
「そ、そんなんじゃないよ。ま、まあ、当の本人はプロポーズしてたみたいだけどね。年上のお姉さんに」
「その話詳しく」
「遥さぁん!?」
おそらく、その話は今日中に学園中に広がるだろう。仕返しなのだろうか。
「全く、何騒いでるの」
呆れた様子で教室に入ってくるこよみ。
「こよみも興味がある話だと思うよ?」
「廊下まで聞こえてきたけど、その話は知ってるから」
「ありゃ、そうなの?」
驚いた様子の桐生。
「イッセーから貰うものは貰ったし。それに、私も負ける気は無いから」
思いっきり宣戦布告みたいなことしてますよ。え、どうするの。血なんて見たくないんだが。
「……イッセー。旅行とか言ってたのに女を食い散らかしてたの?」
「人聞きの悪いこと言うな」
「襲われる側だったからね。一誠君は」
「もうこれ以上俺の立場を危うくしないでください」
もう周りの目線怖いもん。殺気だけで殺されそうだもん。男の嫉妬怖すぎる。女子は女子で面白いものを見るような視線向けてくるし。
「多分、お昼になればわかるよ。藍華」
「え、何かあるの?」
「俺も初耳なんだが」
「多分すごいことになると思うけど」
「イッセー目当てに誰か来るとか?」
「ひとりならいいけどね」
「死体蹴りしないでください」
どうやらこの学校に味方はいないらしい。
「そういえば、今日から新しい先生が来るんだって。というか担任が変わるとか」
ふと、唐突に違う話題を振ってくる桐生。
「は?いやまだ五月とかだぞ。なんか理由でもあるのか」
「正確には担任が育休に入るから新しく担任が来るって感じだね」
「ふーん。そうなのな」
頭にとある魔王の顔が出てきたが、気の所為だろう。
「そういえば、プロポーズした相手ってどんな人なの?」
「黙秘する」
「黒髪の美人さんだよ。お相手さんがよく抱きついて甘えてるのは見てたけど」
周囲の男子が怨念めいた視線を向けてくる。
「前からそういうことされてたみたいだけど最終日近くに雰囲気変わったから何かあったのかなって」
そしてカッターを構える。投擲するつもりなのか、おい。何処ぞのローブを羽織った異端審問会じゃねぇんだぞ。
「その言い方だと完全に事後だよな、おい」
「違うの?」
「違う。そんなことはしてない」
「キスで唇塞がれて抵抗できなくされた後に抱きしめながらプロポーズとか聞いたけど」
「言い方。言い方に悪意を感じる」
あいつ完全に自分の好きなように言ってるなおい。
「イッセーって結構大胆?」
「変な誤解生まれてるし」
「事実でしょ?」
「……事実っていえば事実だけど。自分からキスしたのも事実だけど。もう少し言い方が」
これでは完全に俺がヤバいやつでは。
「はい、朝礼を始めますよ」
そう言って入ってくるのは学年主任。ショートカットの女性で年齢は確か二十代とか。学年主任になるにはかなり若いと思う。相当優秀なんだろう。
「前の担任の先生が育児休暇をとるということで、本日から新しい先生に来てもらうことになりました」
「本日からお世話になります、
そう言って恭しく頭を下げる瀬良先生こと魔王セラフォルーレヴィアタン様。髪を下ろして落ち着いた色合いの服を着ている。さすがに魔法少女のコスプレではないようだ。
って、そうじゃない。何やってるのあの人暇なの。
「わぁお、美人さんだね。……ってイッセーの知り合い?」
不思議そうに桐生が聞いてくる。あまりにも顔に出すぎてたか。
いや、確かに美人だけれども。顔だけで飯食ってけそうなくらいだと贔屓しないでも思うけど。そうじゃないの。
「……幼馴染みたいな人。古い付き合いなんだよ」
「何その漫画みたいな展開」
「ほんと、漫画みたいだよな。フィクションだったらどれだけいいか」
もう笑うしかない。乾いた笑いしか出ない。
「何?トラウマ持ちとか、会いたくないとか。そういうやつ?」
「いや、そういう訳じゃないんだけど、色々事情が……」
「まあ、プロポーズした相手だからね。顔を合わせづらいんでしょ」
と、爆弾を落とす遥さん。
刹那的に教室に静寂が訪れる。そして、一気に俺に視線が集まる。なんでこいつばかりモテるんだと言う嫉妬と怨念が混ざったものが多い。正直面白半分で首突っ込もうとしてくる女子の視線の方怖いが。
「俺に何か恨みでもあるのか……」
「恨みはないけど、その他の積もるものがね」
「……結果的にそうなったのでノーカウントでお願いします本当に」
完全に対応できないと判断して項垂れながら机に顔を突っ伏す。
『一生をかけて幸せにしたい』
どこぞの聖職者様はどこからともなくボイスレコーダーをだしてあの時のセリフの一部を躊躇せずに流し始めました。
「俺になんか恨みでもあるのか……セラ……」
「ノーカウントっていうのはなしだからね。イッセーくん」
「……後で覚えとけよ、本当に」
俺もう明日からどんな顔して学校に来ればいいんだよ。なんなら今すぐ教室から出ていきたいし。
女子達はさっきのボイスレコーダーの音声でキャーキャー言ってるし。男子は男子で怖いし。何事。
「瀬良先生。あまり悪ふざけは……」
「はい。申し訳ありません」
セラが謝るところとか初めて見た。
「まぁ、不慣れなこともあると思うので、皆さん仲良くしてください」
セラは転校したての生徒か。
「もうやだ……」
俺の頭痛は放課後まで続くことになるとはこの時は知る由もない。
ーー教室・昼
ホームルーム後から散々質問攻めされた上での昼食。休み時間に入る度にセラとの関係とかを聞かれまくる地獄みたいな状況が続きましたよ。お昼だから今はあんまり来ないだろうけど、俺の方は正直食欲なんてものはほぼない。
「イッセー。お昼どうする?」
「なんなら食べたくない。一人になりたい」
「そんな神経質だっけ」
正直無視しようと思えばできるけどあんまり問題が発生するようなことは出来るだけ避けたい。
「そりゃ理不尽に嫉妬の視線と好奇の視線を常時向けられ続けてたら精神削れる。人間なんてそんなもんだろ」
「人間、ねぇ」
ベースは人間だから許して欲しい。
「まあ、そんなことは許して貰えないとは思うよ」
「……?どゆこと?」
「そういう事だよ」
教室の外ーー廊下側を見るように促すこよみ。そちらを向けばそこには見知った顔ーー白音の姿がそこにあった。
「……あ、先輩」
こちらに気づけば、微かだけどし微笑みながら手を振ってくる白音。
嫉妬の視線を向けられながらこちらも手を振ると、そのまま教室に入ってくる。
「……先輩。お昼、一緒に食べましょう」
「あ、あぁ。もうそんな時間か」
なんか周りから「あの小猫ちゃんが男とご飯!?」とか「一誠覚えてろよ」とかそんな声が聞こえる。胃が痛い。
「一応確認だけど、来てるのは小猫ちゃんだけか?」
「……私だけなら良かったんですが」
廊下の方を向けばそこにはセラと千夜先輩の姿が。
「……なんであの人たちも来てるの」
「……私と同じ理由だと思いますが」
ちなみにだけど三人の手にはそれぞれ二人分の弁当が。おそらく手作りだと思うけど。
「……拒否権はないよなぁ」
「……したら数日は恨まれるかと」
どっちにしろ地獄なら今地獄になった方がいいか。
「ちなみに、私と遥が作ってきたのもあるよ」
「俺はフードファイターじゃないんだけど」
「まあ、残した人に恨まれると思った方がいいと思うよ」
「そうなるよなぁ……はぁ……」
観念して食べるしかないか。
余談だが、この日を境に俺は男子からは怨敵として認識されるようになった。理不尽すぎる。
ーー放課後・旧校舎
頭を抱えながら放課後を迎える。今日はライザーが対戦前の挨拶に来るとのことで、俺も旧校舎のオカルト研究部部室にいる状態。
「……ねえ、小猫。なんでそんなにイッセーにくっついているのかしら」
表情をひきつらせながらこっちを見るリーア。ちなみにだけど白音は俺の右隣で体を寄せながら座ってる。手も握られて逃げられない。いや、逃げたら大惨事なんだろうけど。
「……専用席だからです」
そのせいでリーアと白音のバトルが始まってる。本当に胃が痛くなってきた。
「あの、喧嘩はいけないと……」
「「イッセー(……先輩)は黙ってて(ください)」」
「……はい」
え、もう本格的にダメじゃん。俺の居場所あるように見えてないやつじゃん。
「ってか、ライザーはいつ来るんだよ。もう五時だぞ」
「気まぐれなのよ、ライザーは」
「人を待たせてるやつの態度ではないとは思うが」
「貴族なんて、そんなものよ。最も、悪びれないのは少ないけれど」
いっそのことフェニックス家に乗り込んでやろうか。
「噂をすれば、来たみたいよ」
リーアがそう言うと、開けた場所に魔法陣が展開される。不死鳥を象った模様が中心にあるフェニックス家特有のものだ。
「待たせたな。愛しのリーアス」
魔法陣から現れたのは金髪の男性。ちょいワル系のホストみたいな容姿。軽そうな口ぶりも含めてウザイやつ。
その後ろに眷属もいるけれど、全員が女性。付け加えるならギャルゲーに出てきそうな特徴的……と言うと失礼かもしれないが、容姿端麗でそれぞれの属性を持ち合わせている。妹属性とか幼馴染属性とか。眷属をなんだと思ってるのだろうか。
「……ライザー」
「おいおい、気分が優れないなぁ」
「……ったく、誰のせいだよ」
呆れ半分で頭を搔く。
「なんだ、このガキは」
「お初にお目にかかる……って訳じゃないだろ。ライザー」
「この俺を呼び捨て、だと?誰だ、お前」
「二年前のことすら忘れたのか」
そう、ドスの効いた声で言葉を発すると、怪訝そうな表情を浮かべるライザー。
「本当に誰だ、お前は」
「覚えてないのかよ。……まあいいや。話が進まない」
そういや、あの時仮面とかつけてて正体偽ってたんだっけ。魔力とかで気づきそうなものだけど。
「白音。ちょっとごめんな」
「……わかりました」
一旦白音の手を離して立ち上がると、しゅんと寂しそうにしている素振りを見せる。後で甘い物でもご馳走しよう。
「とりあえず、リアス・グレモリーとライザー・フェニックスのレーティングゲーム。助っ人として俺が入る。普通のレーティングゲームと同じく使用する武器、神器の使用は無制限。フェニックスの涙は不使用。リタイアは戦闘不能に近い状態になった時に限る……でいいだろ」
「ええ、異論はないわ」
「あぁ……。というか、なぜお前が仕切っている」
ライザーが睨みつけてくるけど気にしないことにしよう。
「二人に任せてたら話が進まないからだよ。本来ならグレイフィアあたりが来るのが妥当なんだろうけど、急用が入ったとかでな」
「そうなのね」
まあ嘘だけど。サーゼクスから有利になるように進めていいと言われてたし。
「ライザーが勝ったらリアスを娶る。リアスが勝ったら婚約破棄。そして、リアスが勝った場合は俺に報酬が入るって話だ。ま、報酬は決めてないけど」
「報酬?なんの事かしら」
「サーゼクスから聞いてないか?体裁を保つため……ってやつだよ。なんなら肩たたきとかそんなのでもいい」
「ん、そうなのね」
まあ、ある程度はふんだくるつもりだけど。あのシスコンに働かされるわけだし。
「で、二人からは何かあるか?」
「ゲームが終わったら晴れて結婚式だ。結婚準備をしておけよ?リーアス」
その言い方にハマってるのか、こいつ。
「そうならないわよ。勝つもの」
強気の姿勢だけど、俺の予想だと普通に戦ったら負けるだろう。いくら一週間したとしてもその差は埋まらないだろう。白音はまあ例外と考えても、消耗戦になったら負けるだろうし。
「じゃあ、俺からも一言言っとく。……ライザー、お前にリアスは勿体無いよ」
けらけらと笑う俺に対してライザーは気を悪くしたように表情を強ばらせる。
「さっきからなんだ、お前。喧嘩を売っているのか」
「お前程度になんで喧嘩を売る必要がある。お前が最初から売ってるんだろ」
そう言いながらリーアに近づき、肩を抱き寄せて顔を近づける。
「ちょ、イッセー!?」
「お前にリアスは上等すぎる。それに、リアスは俺の女だ。手ぇ出そうとしてんじゃねぇ」
……って、調子に乗ってとんでもないことやっちゃったけどリーアは大丈夫か?無理やりだったし痛くなかっただろうか。
「……悪い。ちと調子に乗った」
「……いいわよ。嫌ではないから」
とりあえずリーアから離れる。リーアは顔を真っ赤にしてるけど、満更ではなさそうだった。
「おい、調子に乗りすぎだ。やれ、ミラ」
そう、ライザーが支持を出すと棍棒を持った女の子が俺目掛けて突進する。特に能力が強化されている……と言うより特筆してないってところを察するに、ポーンなのだろう。
「ったく、お前自身がこいよ」
「……っ!?」
俺目掛けて突き出された棍棒は、俺の間合いーー一メートル圏内に入ったタイミングで完全に停止した。見えない壁にぶつかっているような、そんな感じだ。
「俺からは手を出さないから、武器をおさめろよ」
ゆっくりと近づいて頭を撫でてみれば、ミラと呼ばれた少女は大人しく武器を収めた。少し顔を赤くしていたが何かあるのだろうか。
「ま、そういうことだ。とりあえずな乗り遅れたな。俺は兵藤一誠。現赤龍帝だ」
「赤龍帝……?まあいい。ゲームで会おう」
そう言い、ライザーは眷属を引き連れて魔法陣に消えていった。
「……先輩、今のは?」
「ん、今のって?」
「……なんで、棍棒が止まったんですか」
ああ、それか。
「ひ、み、つ」
まだ話すには早いだろうし。ゲームでは使う予定だけど。
「……ねえ、イッセー」
何やら、顔を赤くしているリーア。
「ん、なんだ?」
「俺の女って、どういう……」
「どう言うって、そういうことだろ。約束もある訳だし」
「……今は、約束のせいってことにしておくわ」
何やら恥ずかしそうにしているリーア。
「でも、私にも言ってくれるんだよね?」
と、唐突にドアを開けて入ってくる魔王様。
「えっと、いつから見てた?」
「最初からかな。ライザーが来る前くらいから」
……まじ?
「じゃあなんで入ってこなかったんだよ」
「私が入ったらそれこそ修羅場になったと思うよ」
「まあ、確かに」
それこそグレイフィアあたりが来てくれてたらまだ話は変わってたと思うけど。それはそれで冥界の最強女性悪魔同士の戦いが勃発するか。
「あとはゲーム頑張るだけだな」
ここにいる女性陣はリーアを除いて複雑そうな顔してるけど。
「日時は今日の夜十二時。ライザーを倒すわよ」
「三割程度で叩き潰すよ」
「三割なのね」
首をかしげる千夜先輩。
「それ以上出力上げたら空間の方壊れる。ギリギリのとこで調整するよ」
「アーシアの一件の時はどの程度だったのかしら」
「ひ、み、つってな」
まあ一割行かない程度だけど。怒りに任せて放出したから周囲が結構吹っ飛んだし。ブチ切れたときに暴走しないように神器で出力制限してるからあの程度だけど。
「雀の涙程度なのね」
「そういう時だけ心読むな。意図的に本気出したらそれこそ街が無くなる」
「まあ、そうよね」
まあ次はどうせ魔王様が作った空間だろうし。どんだけ暴れても大丈夫だろう。
「さて、頑張りますかね」
まあそれまで俺の女発言でかなり絞られたんたが。