体育館での戦闘後、校庭に入る直前で木場と合流した。手には黒い西洋剣が一振握られているも、傷は特に見当たらない。完勝してきたと言ったところか?
「一誠君。首尾はどうかな」
「大切なものを失ったよ」
「あはは……女難かな?」
理解が早くて助かる。
「……先輩が一言余計なのが悪いです」
「何があったのかな」
「ちびっこ体型には欲情しないって言っただけなんだけどな」
「地雷原を走り抜けるのが趣味なのかな」
言った後に気づいたんだよ。
「そんで、アイツらどうするよ」
ふと、視線を校庭に向けると、そこには剣を携えた女騎士と手に薄い手袋を装着した黒衣の女の子が立っている。確か、騎士の子と戦車の子だったな。
「騎士の方は僕がやるよ。戦車の方は?」
「……私がやります。」
オーケー。早く決まって何よりだ。
「じゃ、任せた。俺は……アイツの妹と話してくるよ」
「……妹?シスコンですか」
どうしてそういう話になった。
「そういう話じゃなくてな。一応確認しに行くだけだっての」
「……手を出していいか?」
「何時から俺は色欲魔になった。……ま、いいだろ」
そういって、白音の頭を優しく撫でた。
「じゃ、言ってくるわ」
そう言って、その場を後にした。
到着したのは本校者の近くにある木陰。天気がいい時は、木漏れ日か差し込んでとても気持ちのいい場所だ。今は夜の設定らしいから関係ないけど。
「よ、久しぶり」
そこに居たのは、金髪のツインドリルヘアが印象的な女の子。どことなく気品溢れるというか、上品さを醸し出している。容姿も整っており、一言で表現するなら『高嶺の花』なのだろう。
「お久しぶりですわ。赤龍帝」
「前みたいにイッセー様とは呼んでくれないんだな」
「一応、兄の敵。この場くらいは険悪なムードを作りますわ」
「その発言で台無しだと思うけど」
変な所で抜けてるんだよな、この子。普段はエリート顔負けなくらい頭が働くのに。
「……こほん。それで、何用ですか。まさか、思い出話をするために来た訳でもない……ですわよね?」
「それでもいいんだけどな。一つ、確認にな」
「確認?」
「あいつ、なんでリアスと結婚したがってるんだよ。それこそ、ハーレムなら作ってるだろ。こう言っちゃなんだけど、クイーンも相当美人だからさ」
がっつりとお姉さん系だから趣味ではないけど。……いや、そんなこと言ったらあいつに殺されるか。
「ただの趣味……ですわね。親同士の場合、確実に魔王様が破棄するでしょうし。上手くいって立ち回ってるのでしょうね」
「……は?趣味?」
「そうですわ。考えても見てほしいですわ。兄の眷属を」
「あ……。あいつの眷属も趣味なのか」
「私もその被害者ですわ」
「被害者?」
「妹属性だのなんだのと言って眷属に」
心中察する。
「まぁ……。リーアを趣味で妻にしようとしてるわけか。そうかそうか」
「心中察すところではありますわ。でも、ある程度加減はして欲しいものです。後腐れなく、です」
「じゃあ、俺が多少ボコってもいいんだよな。多少なら」
「どうぞ。心置き無く。多少痛い目を見なければ、性根は変わりませんわ。甘やかされすぎですもの」
「はは、容赦ないな」
「多少お灸を据えてくれるのならば、今度お茶会にでも招待しましょう」
「お、楽しみにしてる。レイヴェルの焼いたケーキ美味しいんだよな」
「ほ、褒めても何も……」
「あはは、照れるとか可愛いところあるのな」
「からかわないでほしいですわ……」
「あはは、悪い。……そろそろ行くか。じゃあな。近々挨拶に行くよ」
そう言って、その場を後にした。
本校舎の前で魔力を魔力を少しづつ解放する。特に考える必要なんてない。ただ、目の前の建物をぶっ飛ばすだけだ。結界内だから、周囲の被害を気にすることもない。
「じゃあ、お灸を据えるとするか」
ただ、思い切り肺に空気を吸い込み、魔法陣を口の前に展開する。
龍といえば、やっぱり咆哮だよな!
「……
そう呟き、肺に溜め込んだ空気を全力の魔力と共に解き放った。目の前が赤と白の光に包まれ、空間ごと削る勢いで後者を包み込む。
ーードガァアアアアアアアアアンッ!!!
それが本校舎に触れると、ちょうど全体を包むように膨張し、空間ごと建物を丸ごと消し去った。
……やっべ。やりすぎた。
「な、なんだぁ!?」
旧校舎のちょうど中央ーー生徒会室があった場所で再生されるライザー。
全身を吹き飛ばしたけど、炎と共に再生するのか。ってか、空間ごと削っても生き残るのか。勉強になるな。
「お、生きてた。バランスブレイカーを使わないならさすがに生き残るのか」
「な、なにっ!?ふざけるのも大概に……!」
ただ、一瞬で距離を詰めて右腕を引きちぎった。一々言葉を聞くつもりもないんでな。早く終わらせようか。
「……っ!?貴様っ!?」
「再生すると言っても腕は惜しいか。なぁ、上級?」
段々と笑いが零れる。久しぶりにすぐに壊れない相手だ。少しは遊べそうだ。
「舐めるなっ!」
即座に右腕を再生するけど、あの強度じゃそんなに意味は無い。
「再生速度は思ったよりも早いな。褒めてやろうか?だが、フェニックスにはそこまで難しい事じゃない」
「ほざけっ!」
特に工夫することも無く炎を放つライザーに対し、こっちは校舎を吹き飛ばした時と同じように赤と白の混じった咆哮を放った。
「……っ!?」
特に均衡することも無く、一瞬で炎ごとライザーの身体は消し飛んだ。
しかし、再生能力だけは一級のようで、簡単に復活してしまう。さて、どうしたものか。
「貴様っ。フェニックス家の三男に対して……!」
「いや、ゲームに立場もくそもないだろ。それに、結構キレてるんだぞ。リアスを趣味の為だけに娶ろうとしてる不届き者だもんなぁ」
ただ、魔力を解放させる。無造作に、感情に任せて。
「俺の女に手ぇ出すんじゃねぇよ。焼き鳥」
後は、単なる一方的な暴行だった。
顔をつぶし、四肢をへし折り。心臓を潰し、全身を裂く。それを再生と同時に続けた。トラウマを刻むように。二度と逆らえないように。
『ライザー様。戦意喪失により再起不能。リアス様の勝利です』
アナウンスが流れたのは、その十数分後だった。