ハイスクールN×D Re:make   作:紺狐はボクっ娘信者

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悪魔と聖女の輪舞曲
1話


「兵藤君!私と付き合ってください!」

 謎の電波女こと生徒会長に出会ってから一週間後。ちょうど、あの人と出会ったくらいの時間帯のことだ。見ず知らずの女子生徒.......他校の子か?から、告白を受けた。

 そのせいで、いつも下校に使う電車をひとつ遅らせて駅近くの公園にいる。

「えっと、君は誰?」

「私は天野夕麻ですっ。ずっと前から貴方のことが気になってて……」

「ふーん。そうなんだ」

 因みに、この子は堕天使と呼ばれる生物である。一時期対峙していた勢力だが、今では和解している。まあ、刺客を送ってくる理由は無いはずだが。しかもこの子下級だし。

 と、なると何故身分を隠す?何かあるなら普通に話せばいいんじゃないのか?

「素っ気ないんだね?」

「そりゃ、面識もないのにこんなに美人に告白されたらフリーズする」

「美人だなんて、そんな……」

 確かに美人ではあるが、恐らく生徒会長の方が美人だ。比較するのは失礼だと思うが。

「えっと、告白の返事は……?」

「悪いけどノーだよ。君は俺のことを知ってるようだけど、俺は君のことを知らない。友達からならいいけどさ」・

 そう言うと、彼女はショックを受けたように目を見開いた。

「……じゃあ、友達になる前に一つだけお願いを聞いてくれる?」

 そして直ぐに表情が戻ったかと思えば、直ぐに切り返すようにそう言った。

「俺が叶えられる範囲でな」

「簡単なことだよ。……死んでくれないかな」

 そう呟くと、彼女の背中からカラスのような黒い羽が出現した。

 右手には光り輝く彼女の身の丈ほどの槍が握られている。あれは天使と堕天使がよく使う武器。体内で生成された光を槍状に形成したもの。強度は使い手によって変わるが、下級だしそう大したことは無い。

「ざーんねん。殺す前にいい思い出を作ろうと思ったんだけどな」

「その姿、まるで堕天使みたいだな」

「みたい、じゃなくて堕天使なのよ。この槍も本物。光で構成されているから、人体にも有毒なのよ?」

 そう言い、くるくると器用に槍を回転させる彼女。

 やっぱりそうか。こいつは、俺を殺しに来た刺客。後でアザゼルに報告、か。

「まあ、いいか。じゃあ二択だ。今俺に消されるか。それともしっぽ巻いて帰るか。どっちか選んでくれ」

「.........は?何言ってるの、貴方。気でも狂って」

「何度も言わせんな。命狙いに来たやつに慈悲をかけるほどお人好しじゃねぇんだ」

「調子に乗らないでよ。貴方程度、私がその気になればいつでも殺せるのよ」

「まあ、そう答えるよな。じゃあ、さよならだ」

 ーー赤龍帝の篭手。

 そう、軽く呟くと左腕にガントレットが出現する。それは赤というにはとても鮮やかで、まるで宝石でも身にまとっているかのようだ。

(久しぶりだな、ドライグ)

『随分とご無沙汰じゃないか。前に犬っころ.........いや、赤い坊主と戦った時以来か』

(ちげぇよ。リリンをぶっ飛ばした時以来だ。まあ、いいか。目の前の堕天使を倒すぞ)

『ん?消滅させないでいいのか』

(そんなことして問題になったら面倒だ。それに、女を痛めつける趣味はねぇよ)

 そんな他愛もない会話をしながら、右手に魔力を溜める。

『相変わらずお前は甘い。足元をすくわれても知らんぞ』

(そんなヘマはしねぇ)

 ある程度の魔力をため終わると、おもむろに堕天使に近づく。

「舐めるなっ!.........っ!?」

 抵抗するように光の槍を放つ堕天使。ただ、それを無造作に手を凪いだだけで消滅させて見せれば、一気に顔色が変わる。

「これだけでも実力の違いがわかっただろう?じゃあ、大人しく組織に戻ってくれ」

 そう言い、堕天使の体に触れ、溜めた魔力を神器をかいして流し込んだ。

 ーー赤龍帝の揺り籠。

 蓄積させた魔力。もしくは赤龍帝自身の力を過度に譲渡することにより、体の自由を奪う拘束技。要するに、受け皿以上の力を与えて溢れさせてる状態。痛みはないが、指の一本すら動かせなくなる。

「きゃーーっ!?」

「おっと、あぶねぇ」

 倒れそうになる堕天使を抱き抱える形で受け止める。

「どうせ、上の命令ミスとかそんなんだろ。軽く威圧しても怯まない時点で、実力差が分からないレベル。そんなやつを暗殺に使うほど間抜けじゃねぇだろ。アザゼルは」

「な.........!?なんで、アザゼル様のことを!?」

「一時期グリゴリにいたんだよ。そっちの組織に極秘でな。なんなら幹部連中全員友人だっつの」

「はぁ!?」

 意外だな。極秘は建前だったのに、本当に守ってたなんて。あいつらなら部下に話してそうだが。

「上司の命令ミスで殺されるなんてあんまりにも不遇なんでな。そのまま強制送還だ。アザゼルに話は通しておくから、嫌な目に遭うことはないとは思う」

「なんで、自分を殺そうとした相手に慈悲をかけるの?」

「さっきも言った通り不遇すぎるからだ。それに、お前じゃ殺すどころか傷すらつけられない。正当防衛も成り立たねーの。もっと実力つけてから出直してこい」

 そう言って、軽くデコピンをかますと涙目になる堕天使。ただ、赤龍帝の揺り籠のせいで押されることすら出来ずにただ涙目で睨みつけるだけしか出来ないでいる。なにこれ。新しいプレイ?

「あと、手の甲に魔法陣刻んでおくから、何かあった時は呼べよ。ないとは思うが、パワハラとかいじめとかあったらすぐに助けるから」

「.........」

「後、次会うときはもう少しまともな格好してこいよ。それじゃあまるで痴女のそれだ」

「ち、痴女.........!?」

「そんなボンテージ姿の女王様キャラとか今どきアニメにもいねぇよ。せっかく可愛いんだから少しは気を使えよ。お嬢様」

「.........っ」

 そう言うと、顔を真っ赤にしてなけなしの力で顔を背けた堕天使。どうやら怒ってるらしい。

「それじゃあ、もう一度言うがサヨナラだ。後で詫び入れに来いよ?菓子のひとつでもご馳走してやるから」

 そう言って、堕天使を地面に優しくおろし、魔法陣を展開する。行先はグリゴリの応接間。勿論、緊急時に使う魔方陣を使用してだ。

 堕天使は最後になにか言いたそうにしていたが、その前に魔法陣が起動して転移が完了した。

「さて、電話と」

 そう呟くと徐にスマートフォンを取り出して通話画面を開く。もちろん相手は堕天使総督ことアザゼル。

 ーープルプルプルっ。

『もしもし.........ってイッセーか。どうした?急に』

 少しの間をあけて通話に出る男性ことアザゼル。

「お前のとこの部下が俺を殺しに来たんだが、戦争でもしたいのか?」

『はぁ!?そんなわけねぇだろ!第一、今のうちの戦力じゃ、お前一人に蹂躙されるだけだ!そんなのは火を見るより明らかだろ』

「そうだよなぁ。そもそも、そっちには喧嘩を売る理由がない。戦争したいなら別だが」

『堕天使全員コカビエルみたいな思考してるわけじゃねぇんだ。それに、お前はどこの勢力も欲しがる突起戦力だぞ。喧嘩を売ってもデメリットしかない』

「やっぱりそうだよな。お前もそこまで馬鹿じゃないか」

『俺をなんだと思ってんだよ』

「俺を拉致しようとした神器オタク」

『間違っちゃいないがもう少し別の解釈はなかったのか』

「黙れ、閃光と暗黒の龍絶剣総督。そろそろマッドサイエンティストは卒業してちゃんと総督としての仕事しろ」

「なっ、なぁ!?なんでお前がそれを知ってんだよ!」

「前にシェムハザから聞いた。あと、その堕天使は応接間のところに転移させといたから話を聞いといてくれ。あと、くれぐれも責めるなよ」

『分かってるよ』

「念の為に魔法陣ですぐに転移できるようにしてるからな。絶対にするなよ」

『どんだけ信用ねぇんだよ!』

 ーーぷつっ。ぷーっぷーっ

 とりあえず、これ以上の会話は不毛そうだったので躊躇せずに切った。

 そういえば、あいつーー屋上で会ったあの女子。確か、身の回りが変わるほどのことが起きる、とかなんとか言ってたよな。もしかして、あいつの差し金か?.........いや、そんなことをするメリットもないか。

「ったく、わかんねぇな」

 そう、面倒そうな声音でつぶやく。

 出現させていた神器を消し、放出させている魔力を通常生活レベルまで落とす。なんというか、どうやら俺は強くなりすぎたようで、普通に魔力を出していると人間に悪影響が出るらしい。憂姫曰く、有害物質のそれに限りなく近いそうだ。リアルバイオハザードの感染源になるのはごめんだ

「さて、帰るか.........っ!?」

 面倒そうに帰路に着こうとしたその時だった。胸に激痛が走り、全身から力が抜けるような感覚に襲われた。すぐに痛みの発生源を確認すると、そこには大穴が空いていた。ちょうど、心臓があるあたりだ。

「ぐあ.........っ」

 あまりの激痛に苦悶の声を漏らす。傷口から溢れ出す血で、足元には血溜まりができていた。それこそ、普通の人間なら即死レベルの量だ。

「やあ、赤龍帝。初めまして。と言ってもお別れだね。世界で五本の指に入ると言われる君でも、人間レベルにまで落とした状態では簡単に殺せるようだ」

 そう言い、目の前に男が現れる。俺と同じくらいの身長の優男。顔立ちは整ってるようだが、浮かべている表情は下卑た笑み。おそらく、俺を攻撃したのはこいつだ。

「てめ.........!」

「まだそんな目をできるんだね。でも、それも今だけだよ。君は血を失いすぎている。あと数分としないうちに死ぬだろう。それではさようなら。僕に男の死に際を拝む趣味なんてないからね」

 そう言うと、男は足元に転移魔法陣を描き、どこかへ転移した。

「くそ.........ため、すか.........」

 恐らく、このままではあいつの言った通り死ぬだろう。このレベルの傷だと、たとえフェニックスの涙があっても助からない。圧倒的なまでに血を失いすぎている。

 だから、一か八かだ。あの女子を呼び出す。あいつなら少しはなんとかしてくれるかもしれない.........と思う。

「こい.........よ.........」

 そう、なんとか呟き、空に向かって魔力を放出させた。それを1種のメッセージ代わりにする。

 .........くそ、ついてねぇ。結局、あの女の言った通りになったってわけかよ。

 

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