ハイスクールN×D Re:make   作:紺狐はボクっ娘信者

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やっぱりイリナさんとゼノヴィアさんは可愛い
異論は認めない


21話

 今日は五月というのに辛いほどの日差し。もしかしたら30℃くらいにまで気温が上がってるかも、と錯覚してしまうほどに暑い。

 悪魔になってからはそれも前以上にキツく感じてしまう。まぁ、誤差に近いが。

 向かったのは駒王町の中心部にある駅。乗り継ぎができる、という訳でもなくダイヤ数が多いという訳でもない、普通の駅。まぁ、東京の都心部の駅のように多い訳がある訳もなく、って感じだ。

「十二時三十分。……まぁ、許容範囲内か」

 今から飯を食いに行くとしても丁度よ……くはないか。怒られるの覚悟で行こ。

「……幼なじみさん、居ないわね」

 と、隣を歩く千夜先輩。

「別に部室で待ってても良かったんだぞ」

「主として幼なじみさんに挨拶するのは当然でしょう?それに、会ってみたいというのも本音ね」

「と、言うと?」

「幼い頃の一誠君を知る人間だもの。興味くらいあるわ」

 この主様、案外独占欲強いぞ。

「てか、顔もわかんないのに探しようもないだろ」

「聖剣独特のオーラを感じる、とかは?」

「コカビエル討伐に派遣されるやつか持ってる聖剣なんて伝説級だろ。そんなのこれみよがしに出してたらビビる、と言うよりただのアホだろ。別空間にしまってる、って考えるのが妥当だ」

「まぁ、そうよねぇ。そんなアホの子が来るわけないわよね」

 そうじゃなきゃ俺も困る。弱かったら足でまとい、どころか前線に立たせるわけにもいかないし。

「じゃあどう見つけるの?無策、って訳でもないのでしょう?」

「普通に電話をかける。それが無難だろ」

「連絡先を知ってるなら早く言いなさいよ」

「連絡待ちだったんだよ。それこそ着いたら連絡くらいよこすだろ」

「普通なら、よ。その様子だと事前の連絡は来なかったのでしょう?なら、サプライズをしたいと考えているのが普通でしょう」

 そんないたずらっ子だっけ、イリナって。……さすがにやんちゃなのは卒業してるとは思うけど。

「はぁ……仕方ない。探すか」

 まずは容姿。俺の記憶だとボーイッシュ、というよりショートカットだったはず。それで貧乳の女の子……つまり、こよみの貧乳バージョンを探せばいいと。髪の色も似てたはずだし。

「随分と失礼なことを考えているのね」

「神器で読み取ったのか?」

「顔を見ればわかるわよ」

「ひと月でそこまでわかるようになるのかよ、主様は」

「惚れた弱み、というのかしら。いい所も悪い所も見えてくるわよ」

「はは、嫌いになったか?」

「そういう所も好きになるのよ。恋は盲目、なんて言葉を知らないのかしら」

「千夜先輩に似合わない言葉だよな、それ。もう少し強気な人だと思ってたよ」

「幻滅したかしら」

「まさか。それならそういう目で見てるだろ」

「それもそうね」

 割とこういう他愛のない話をするのも楽しいものだ。イリナを探さないといけないけど、少しくらいは許してもらえるだろう。

「って、そろそろ真面目に探さないとな」

 周囲にいる人間はせいぜい数人。その中で茶髪ショート貧乳っ子を探せばいい訳だが。

「……いない」

 それっぽいやつはいるけど肉付きのいいツインテール娘。というか長髪だ。その隣には青髪ショートの巨乳娘。前髪に緑のメッシュが入ってる。どっちも美人だ。それだけは言える。

「うん。まだ来てないみたいだ。帰ろうか、千夜先輩」

「あの茶髪の子がそうじゃないのかしら」

「まさか。俺の知ってるイリナは男勝りな女の子だ。あんな美少女じゃな──」

「鉄拳制裁!」

 と、大きな声で思い切り飛び蹴りを食らわせてくる茶髪の女の子。本当に痛い。

「なんで幼なじみの顔を忘れてるの!?」

「いてて……。あの、どちら様で」

「紫藤イリナ、忘れたとは言わせないよ」

「嘘だ!茶髪ショート貧乳っ子じゃないのかよ!?」

「どんな性癖暴露してるの!?」

「誰が性癖だコラ!そもそも俺の知ってるイリナはそんな容姿だったはずだぞ」

「何年前の話をしてるの!?もうあの時から10年は経過してるんだよ!?」

「ま、まぁ容姿はともかく……そんな可愛かったか?」

「昔は可愛くなかった、っていいたいの?」

「昔は無邪気な女の子で、今は美少女様だろ。普通に考えて理想の女の子みたいな容姿になってるとは思わないだろ」

 だって茶髪ツインテールな上に巨乳で全体的に肉付きがいい。……うん、普通に考えて理想の女の子だろ。

「そ、それなら許さなくも……って、おそーい!9時から待ってたんだよ!?」

「いや、お前がスマホに連絡よこさないからだろ。聖剣の情報なんてさっき知ったばかりだし」

「だから言っただろう、イリナ。別の方法でも連絡すべきだと」

「だってー!イッセー君なら気づいてくれると思ったんだもん!」

 あぁ、蒼髪の子、もしかして……。

「もしかして、君がゼノヴィア……さんか。すまない。イリナが迷惑をかけて」

「……これは丁寧に。私はゼノヴィア・クァルタ。イリナの幼なじみと聞いて、もう少し破天荒な人物を想像していたけれど、杞憂だったようだね」

「こいつが無邪気すぎるだけだ。あぁ、なるほど。イリナの手綱をゼノヴィアさんが握ってるのか」

「ゼノヴィアで構わない。赤龍帝に気を使われるのは恐縮だ」

「俺どんなやつだと思われてるんだよ」

 相当ヤバいやつとして認識してないか、これ。

「貴方の知り合いはどうしてこう騒がしいのかしら」

 呆れた様子の千夜先輩。

「それでさ、なんでイッセー君は悪魔になってるの?」

 一瞬、空気が凍った気がした。イリナの目から光が消えたような、そんな感じだ。

「1回死んだからな。余裕こいてたらぶっさりと胸を刺されてな。その時に転生させてくれたのがこの千夜先輩ってわけだ」

「初めまして。鷹白千夜。一誠君の王よ」

「あぁ、そういう関係なんだ」

「奇妙な縁だな。一応種族が変わっただけで中立だしな」

 まぁ、その方が安心だろうし。

「……まぁ、今は千夜先輩の味方って事で覚えてろよ」

 あんまりからかうと怒られそうだからそろそろ辞めるけど。

「つまり、イッセー君と千夜さんは付き合ってる、ってこと?」

「ん?んー……どうする?」

「どうするって、私の初めての相手を雑に決めるつもりかしら」

「とりあえず付き合ってないのはわかった」

 ため息をついてるイリナの姿に、どこか哀愁を覚えた。

「とりあえず悪い人に騙されてる、というわけじゃないのは分かったよ」

「あぁ、そういうことか」

「試される、というのは少し心にくるわね」

「まぁこれで付き合ってる、なんて言われたら本気で喧嘩を売ったけどね」

「まぁ魔王様にプロポーズはしてたわよ、イッセー君」

「爆弾を落とすのはやめてください」

「……イッセー君?」

「色々とある、としか言えないんだよなぁ……」

「赤龍帝は女たらし、と」

「唐変木の間違いよ」

「……みんなで俺をいじめるんだ」

 こんな時に誰か慰めて欲しい。全部身から出た錆だけど。

「てか、そろそろ昼だろ。腹減ってないか?」

「すいたー!なにか奢ってよぅ!」

「お前教会から資金貰ってきてないのかよ」

「女の子に財布出させるんだぁ?ってじょーだんじょーだん。残ったら残ったで返還しないといけない上に結構使用用途とかで文句言われるからあんまり使いたくないんだよね」

「めんどくさ……。半分死地に行くようなもんなんだから少しは緩くしろよ……」

「そこら辺は人間社会だから厳しいからねぇ。それに死地って、イッセー君が居たらまずならないでしょ」

「随分な信頼なことで」

 はぁ、とため息を吐きつつ頭を面倒そうにかく。

「ゼノヴィアは好きな物とかあるか?肉とか魚とか。キリスト教って確か食に対する制限ってないだろ」

「食べ物、と言うよりはお酒に酔うことは禁止されていることくらいだね。あとカトリックには断食があるけれど、それも任務だから今は関係ないという扱いかな」

「中々に面倒だな……」

「それと好きな物、と言うのであれば強いて言うのなら、肉……かな」

「よし、ならステーキハウスにでも行くか」

「ちょっとちょっと!?幼馴染には聞かないのかな!?」

「お前はなんでも食う上に肉が大好物だろ。あと甘いもの。ならステーキハウスの後にスイパラなりカフェなりに行けば満足するだろ」

「全部把握されてる……!?」

「幼馴染の好みくらい把握してるわ。エスニック系統が苦手なら変えるけど、あんまり変わりないだろ」

「まぁそうだよね。あ、カロリー高いのはあんまりかな」

「あぁ、年頃ってやつか」

「んー、結構な金額になると思うから?」

「いや、別に。俺の資産って結構あるからな」

「んん?そうなの?」

「自慢ぽくなるからあんまり言いたくないんだけど、フェニックス家と同じくらいは」

「ふぇに……なに?」

「……???」

 と、何故か無言で青ざめる様子の千夜先輩。

「日本円換算で兆は余裕であるわよ。あの貴族の資産」

「北欧やら三大勢力やら、色んなところから強制的に渡されてるから色々とな。それに女の子の食費くらい払えなくて何が男か、ってな」

「ひゅー、ご主人様だ」

「はは、なんだよそれ。まぁ、全員に奢るわけじゃないっての。奢りたい相手にだけ、な」

「太っ腹!社長様!」

 いやだから赤龍帝だっての。

「暑いし、そろそろ行くぞ」

「はぁい」

「ん、ご相伴にあずかる」

「先が思いやられるわね……」

「多分この流れがずっと続くぞ」

 頭を抱える千夜先輩を連れてステーキハウスへと向かうのだった。

 

 

「美味しいな、これは」

 そう言いつつ、上品にステーキを頬張るゼノヴィア。

 立ち寄ったのは駅の近くにあるステーキハウス。結構有名なチェーン店だったはずだけど、よくはわからない。

「これが故郷の味よ!ゼノヴィア!」

 と、子供のようにはしゃぎながらステーキを頬張るイリナ。口の周りを汚してるところは昔と変わらないな、ほんと。

「口の周り汚れてるぞ」

 そう言いながら、イリナの口の周りをナプキンで拭く。……これじゃまるで兄弟だな。

「仲がいいのね」

「幼馴染同士でいがみあうのもおかしいだろ」

「ねーっ」

「まぁ、綺麗に食べるって作法は覚えて欲しいけど」

「上げて落とすのは酷いよっ」

 まぁ、ゼノヴィアがそこら辺をしっかりしているから、余計にそう見えるのかもしれないけど。

「ふふ、私の場合は孤児院で叩き込まれたからね」

「あ、聞いちゃまずい話だったか」

「構わないさ。その程度のこと、隠す程でもってやつかな」

「ん、そうか。イリナには苦労させられるだろ」

「まぁ、それなりにはね。前にあったことは、四字熟語を教えると言って焼肉定食と答えたことかな」

 こいつバカだ。前よりもバカになってる。

「弱肉強食と間違えただけでしょ!?」

「普通間違えないだろ……」

「脳に行く栄養が全て胸に言っているのだろうね」

「反応に困る発言をしないでください」

 確かに肉付きはかなりいいと思うけどさぁ……。

「あ、照れた」

 やかましい。

「色んな人に言い寄られるくせに、女性耐性はゼロなのよ、一誠君は」

「甲斐性なし?」

 余計なお世話だ。

「べ、べつに……婚約者いるからいいし……」

「こ、婚約者!?」

「いきなり大きな声出すなよ。ま、色々あるんだよ」

「こ、婚約者かぁ」

「悪魔だと割と一夫多妻制はポピュラーよ」

 余計な事を言わないで欲しい。

「随分と爛れているね。旧約聖書だと案外その限りではないけれど、新約の方では完全に一夫一妻制だよ、キリスト教は」

「なら悪魔になるか?宗教の方はあれだけど、文化的にはできるようにはなるぞ」

「それは私達以外には言わない方がいい。冗談だとしても切り殺される程度の暴言になり得る」

「軽率だったよ。悪かった」

「構わないさ。それに、何かしらの……信仰を揺るがすものがあれば分からないかもしれないけれどね」

「まぁ、今は一応下級悪魔だからな、俺。駒を持ってすら居ないからな」

「君程の人物が?確かタンニーンは最上級だっただろう?」

「だって責任諸々がな。どんなに強いって言ってもまだ高校生だぞ?真面目な話、そこまで責任を負えるような立場にはなれない」

「まぁ、普通はそう考えるかな。ふふ、良かったよ。俗にいう普通の感性を持っている人物で」

「どういうふうに伝わってんだよ……」

「イリナからは散々かっこいいところと称して惚れている部分を語られ──」

「ゼノヴィア?」

「……すまない」

 もしかしたら手綱を握られているのはゼノヴィアな気がしてきた。

「元教会側の最強戦力、とは聞いていたよ」

「そっちに居たのは一年程度だぞ。ってか、強さならデュランダル使いのあの爺さんも居るだろ。下手な魔王なら片手間に倒せそうな」

「あの人は引退したよ。今の所有者は私だ」

「ちょっと、ゼノヴィア!?」

「この男なら話してもいいだろう。それに、協力関係になるのだから、手の内は晒すべきだ」

「それはそうだけど……」

 イリナの言いたいことは分かる。こんな公衆の面前で自分の武装を語るのは不用意だって事だろ。

 ま、ここに協力者がいたら消すだけだけど。

「ああ、異空間に収めてるのか」

「ご名答。あまりにも暴れん坊なのでね。こんな場所で出せば無差別に切断してしまう」

「先代は空間すら切ってたもんな。あと拳に聖なるオーラを素で纏って数キロ単位で吹っ飛ばすパンチ使ってきたりとか」

「先代は俗に言う怪物だったからね。それに追いつけるように精進するつもりさ」

「ま、幹部は屠れるようにならないと……かな?」

 煽るつもりは無いけど、最高戦力ならそれくらいはないと三大勢力のひとつとしてはメンツがな。

「イリナは?どんな剣を使ってるんだ?」

「エクスカリバー。それを四本統合したもの、って言えばわかるかな」

「……は?」

 マジで言ってんの?

「まず統合する技術が生まれてたのか?それに、それを扱えるのか……?」

「ミカエル様が統合したって聞いたよ。それに、因子量的には問題ないし」

「ん?なら統合前の三本を盗まれたってことか?」

「ん、そうだね。一日一本が限界らしいし」

「ふーむ、そうなのか」

 まぁ、本物に近づくのは悪いことでは無いか。

「で、これからどうすんだ?宛もなく捜しまわる訳でもないんだろ」

「ふふ、まずは……君の実力を知りたい。本気で戦って欲しい、とだけ言っておこう」

「女の子をいじめるのは趣味じゃな……って冗談だって。睨むなって、怖いから」

「……その軽口はやめた方がいい。戦士に対しては侮辱になる」

「悪いって。……なら、駒王学園に行こうか。スイーツはその後だ」

 何となくだけど、ゼノヴィアが好戦的な視線を向けているような気がした。まるで楽しい喧嘩をする前のやんちゃ坊主みたいな。そんな……楽しそうな視線を。

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