眷属探しの旅二日目。
と言うより今日はトレードしたら直ぐに使い魔を探しに行くのがメインになってくる。さっさと契約を済ませていきたいところではあるが。
「……」
「……」
何この状況。朝からなんで千夜先輩とリアスがリビングで睨み合ってるの?
「小猫が欲しいなら、それ相応の対価を要求するわ?」
「私だってアーシアと遥を渡すなら対価を貰うわよ」
「結局俺がダメージ食らうのかよ」
今日も兵藤家は平和なようです。
「白音は貰うよ。ただ対価ってなんだよ。千夜先輩も落ち着けって」
「……そこまでは考えてなかったわね」
「……私もよ」
「おばかなのか。それなのにさっきまで険悪な雰囲気出してたのか」
「主に向かって生意気よ!」
「そんなキャラじゃないだろ。……ま、アーシアと白音、遥は貰うから」
と、二人の前にコマを差し出す。
「了承は取れてるからそこはいいわよ。対価の話も冗談よ」
「冗談で喧嘩みたいな雰囲気出すなよ」
「その方が面白いから?」
一度この二人をしばこうかなやむ。
「でも、遥はともかくアーシアでいいの?ポテンシャルは高いと思うけれど、まだ実力不足だと思うわよ」
「実力はおいおいつければいいんだよ。俺が欲しいんだからいいだろ」
「小猫も同じ理由かしら」
「まぁな。ま、実力の方も白音は成長幅が異常だから一年以内に上級、もしくは最上級レベルになると思うよ」
「随分と高い評価ね」
「事実だからな。気づいてるんだろ、リアスも」
「薄々はその才能に気づいてたわよ」
ま、リアスの眷属だし当たり前か
「ま、本音を言うと実力もそうなんだけど、俺が一緒にいたいメンツを集めてるだけ……いたいです。頬を抓らないでください」
いつの間にか現れたこよみと憂姫に頬を抓られた。痛い。
「私とは一緒にいたくないんだね、お兄ちゃん」
「いや、憂姫は家族なんだから眷属関係なくずっと一緒だろ」
「私は!?」
「逆にお前がどっかに行くのかよ。それこそずっと一緒だろ」
「「よかったぁ」」
少しは考えてから行動して欲しい。
「私は眷属だから一歩リードかな?」
なんて言いながら、階段をおりてきた遥さん。
「寝起き早々爆弾落とすなよ。それと、よろしくな。俺の騎士様」
「了解したよ、主様」
「私もそんな会話したかったああああああああぁぁぁ」
「近所迷惑になるぞ」
「私と近所、どっちが大切なの!?」
「近所」
「私は旅に出ます。探さないでください」
「旅ってどこにだよ」
「私は今イギリスにいます。ヨーロッパのグアムです」
「結局どこにいるんだよお前」
「私は貴方の心に寄り添って」
「やかましい」
「仲睦まじいわね。本当に」
親友同士の悪ノリか、熟練夫婦のどっちかだろ。こんな会話するの。
「あれ、白音は?」
「寝ているのかしら、ねぇ」
「起こしてくる」
と、言いつつリビングから逃げ出した。
白音が寝ているのは二階の俺の部屋の向かい側の部屋。白音貸切にしている。
「入るぞ、白音」
軽くノックをした後に部屋に入ると、白音は気持ちよさそうに寝ていた。
「……可愛いな、ほんと」
ぼそり、と本音が出てしまった。聞かれなくてよかったと思う。
「ほら、白音。起きろ」
「可愛い猫さんは王子様のキスで起きます」
「お前起きてるだろ」
なんかだんだん白音もこの家に染ってきた感がある。
「ま、大事な話があるから聞いてくれ」
そう言いつつ、ベッドの近くに座ってみる。この方が近くで顔を見れそうだし。
「トレードが成立したから、今から白音は俺の眷属な。これからよろしく」
「……ふぇ?」
随分とまの抜けた声がでたな。
「兄様の眷属?」
「あぁ。最上級悪魔に昇格した際に駒を貰ってな。眷属集めを昨日してたんだよ」
「……それで、何故私に?もっと強い人はいると思いますが」
「俺がお前と一緒にいたいって理由以外に必要か?」
「……いえ。それで十分です」
他にもいろいろ理由はあるけど、まぁ……嬉しそうだしいいか。
「白音って使い魔いたっけ」
「猫ちゃんがいます」
猫ちゃんって言い方可愛いな、ほんと。
「レイヴェルもたしか小鳥がいたからお留守番かな」
「話が掴めないのですか。それになぜあの焼き鳥娘の名前が?」
「あぁ、言ってなかったな。俺の眷属のメンバー。女王に千夜先輩の姉。騎士に遥とイリナ。戦車にゼノヴィアと白音。僧侶がアーシアとレイヴェル。兵士がイングヴィルドだな。イングヴィルドは旧魔王の方のレヴィアタンの末裔で人間のハーフの子な」
「……なぜ、焼き鳥娘を」
「ポテンシャルが素直に高い。才能だけで言うなら白音に匹敵するかもな。仲良くしろって言うつもりは無いけど、揉め事は起こすなよ?」
「善処します」
「あと焼き鳥娘もダメだからな。名前で呼ぶこと」
「……はい、わかりました」
「……後でデートするから。スイパラとかで」
「……喫茶店がいいです。学園の近くの」
あ、これ見せつける気満々のやつだ。
「わかったよ。一週間後の放課後とかにな」
そう言うと、こくりと頷いた。可愛いな、やっぱり。
「じゃ、そろそろリビングに行こうぜ」
「……はい」
二人でリビングに降りる頃には俺の眷属全員揃っていた。うん。なんか安心感を覚える。
「……兄様」
何故かわなわなと震えている白音。
「どうしたんだよ、白音」
「兄様、趣味で選びましたか」
「本当にどうしたんだよ、突然」
「ほぼ全員……!胸が大きい女性……!」
「え?俺胸の大きさで眷属選んだと思われてるの?」
「考えてみれば、そうだね」
ヴィルさん!?
「イッセー君、だいたーん」
イリナさんはからかってますよね?確実に?
「……ふむ。そういう目で見ていたのか」
ゼノヴィアさん。案外ノリいいよね、ほんと。
「……」
一夜さんはなんか喋ってください。笑顔で怖いです。
「……はぁ。そんなこと言うならこの中で一番付き合いが長いの遥だから、遥がいちばん話しやすいって話につながってくるぞ」
「つまり貧乳好きと」
「いい加減胸から離れろ」
「あはは……お世辞でも嬉しいかな」
「本心で言ってるわよ、一誠君は。神器で聞けば分かるもの」
「……っ」
あ、顔真っ赤になった。かわい──。
「ね、一誠君。私が一番好きですよね」
と、一夜さんが詰め寄ってきました。真面目に怖いです。迫力すごすぎです。
「それ以上は不毛な言い争いになるからやめとけって」
「むぅ……。今はそういうことにしておきます」
まぁ、ふくれっ面も可愛いとは思うけど。
「じゃあ俺の眷属に聞きたいんだけど、使い魔が居ないやつって何人いる?」
えーっと?手を挙げたのがアーシアと一夜、聖剣コンビにヴィルか。
「諸事情で今日中に使い魔契約しないといけなくなったから、これから行きたいんだけどいいか?」
「え、どうして?」
「文句ならアザゼルに言ってくれ」
「あぁ、納得」
「リアスの方の眷属は全員いるんだろ?」
「えぇ、もちろん」
「じゃあソーナのところの匙でも拉致していくか」
そう言うと、懐からスマートフォンを出してソーナ宛に電話をかけた。あいつも道連れにしよう。いざとなったら生贄に。
『……朝早くからどうしました?』
と、明らかに寝起きの声。
「今起きたのか?」
『えぇ。昨晩ははぐれ悪魔の討伐が……ふわ……ぁ……』
「そんな時に電話をかけて悪いな。ひとつ聞きたいことがあってな。匙って使い魔と契約してるのか?」
『……まだですね。まさか連れていくのですか?』
「諸事情で俺の方の眷属全員使い魔と契約しなきゃならなくなったから、ついでにな」
『分かりました。許可しますので、連れていってください』
「わかった。悪かったな、電話かけて」
『……貸ひとつ、です』
「分かったよ。今度な」
『えぇ、今度……ですね……おやすみなさい……』
それだけ呟いて寝落ちしてしまったので通話を切った。
「よーし、匙確保」
「随分と強引ね」
「ま、ついでだからこんなもんでいいだろ」
それで、使い魔探索隊が結成されたのだった。
「……俺も眠いんだけど」
結局ソーナの助力ありきで使い魔の森に強制転移させました☆
いやぁ、生贄枠……もとい友人枠がいるとテンションが上がるな。まぁ、冗談だけど。
「お前の主様からは許可もらってるんだよ」
「……副会長」
「ま、そう悪いことじゃないだろ。使い魔探しだぞ?」
「使い魔、ねぇ。なんかなぁ」
「どうしたんだよ」
「人魚って聞いてたやつが下半身人間で上半身魚ってやつとあったことがあるんだよ」
あー、居たなそんな種族。
「大丈夫だ。リアスの使い魔とかコウモリで、女の子に変身出来る。そういう奴らもいるんだ。つまり実質さきゅば──げふっ」
「兄様、不潔です」
後頭部を殴ることは無いと思う。
「イッセーさんはサキュバス好き……」
「アーシアさん。俺はサキュバス趣味じゃないです。なんならアーシアみたいに清純な子が好きです」
「……ふぇっ」
どうやら誤解は解けた、か?
「お前って実は本当に残念なやつなんだな」
「変な理解すんな」
「とーーーう!!!!」
そんな空気の中に一人テンションの高い中年男性が降りてきた。
「俺は使い魔マスターのザトゥージ!マダラタウン出身だぜ!お前たちが依頼人か?」
格好が短パン小僧。そしてその名前って完全にアウトだろ。なんだよマダラタウンって。クレイジーなやつの巣窟か?この状況がクレイジーだけども。
「ま、そうだ。今から俺たち全員の使い魔を確保しないといけなくなってな。二十四時間以内に」
「お易い御用だぜ!ブラザー!」
「誰がブラザーだ。誰が」
このテンションやだ。謎に疲れる。
「それじゃあ、早速行こうぜ!」
そして案内されたのは開けた場所。そこには電気を発生させる魔獣が。
「アイツはビリチュウ!でんきねずみモンスターだ!」
「完全にアウトだ馬鹿野郎」
いつの間にか無意識に飛び蹴りをかましていた。
「いってーな!何するんだブラザー!」
「それはこっちのセリフだコノヤロウ。もっとまともなのいないのか。コンプラに抵触しないやつ」
「コンプラってなんだよ!?あいつは強いぜ!避けろって言うとほぼ確定で回避する!」
「余計にアウトじゃボケ」
「なら希望は?」
「水を操るやつ。あとは強いのだな」
「随分と大雑把な依頼主だぜ!それこそ服を溶かすスライムとかならそこらじゅうにいるぜ?」
「もっと普通の。ドラゴンとか虎とか。犬とかでもいいから」
「強さだけで言うならティアマト。水ならセイレーンあたりか」
「お願いだからそこらを紹介してくれ」
ため息を吐きつつもようやく普通のところに連れてって貰えそうだ。
「着いたぜ。ここがセイレーンの泉だ」
連れてこられた場所はわかる。確かに泉だ。ゴリマッチョの半裸のおっさんがポーズ決めてるところを除けば。
「お前おちょくってるのか?なぁ、そうなんだろ?」
まぁ、ヘッドロック位はするよね。俺は悪くない。
「ギブ、ギブ!普通に実力なら中級悪魔程度はある!かなり強い部類だろ!それにメスなら普通に可愛い!」
視線を促されてみた方向には、たしかに可愛らしい女の子の姿はあった。ただ、明らかにぼっちだ。
「ヴィル。あの子はどうだ?」
「親近感を覚える。……うん、あの子にする」
ものすごく反応に困ることを言わないで欲しくはある。
ただ、どうやら契約は成立したようで魔法陣を展開していた。
「良し、これであとは俺と一夜と、アーシアと匙か」
「俺こんな流れで契約できる気がしない」
「俺も同じくだよ」
でも、案外早く契約というものは決まるもので、一夜はどこからがピクシーを連れてきて契約してた。流石に絵になるとは思う。
アーシアに至っては電気を操る小型のドラゴンがよってきて、自ら契約を望む形に。運がよすぎる。
「な、聖剣コンビはどんな使い魔が欲しい?」
「うーん……可愛い子、かなぁ」
「私は強いのがいいが」
可愛いのならともかく、強いのなぁ。
「この二人だけ後で決めるか。ちょっと心当たりがある。強くて可愛いののな」
「え、どんなの?」
「ないしょ」
某白銀の狼が頭に出てきているけど、今は黙っておこう。多分言ったら怒られる。
「って、集めなくていいの?全員分の眷属」
「いざとなったら暴れるからいいよ」
「うわ、実力行使」
有意義な交渉と言って欲しい。
「それで、残るは俺と匙か」
「どうするんだよ、一誠」
「最終手段にするか。匙以外は帰っててくれ」
そう言うと、匙の首根っこ掴んでとある場所に飛んで行った。もちろん魔力とか翼ではなく跳躍力的な意味だ。
「おま、俺を殺す気か!!!」
「悪魔だからそう簡単に死なねぇよ」
悪態をつきながらも到着したのはとある洞窟。目当てのやつはもちろんこの中だ。
「ティア。居るんだろ?出てこいよ」
「……お前か、一誠」
ゆっくりと洞窟から出てきたのは青い鱗のドラゴン。西洋のドラゴンのような見た目をしているけど、やっぱりお世辞抜きで美しいと思う。
「何しに来たのじゃ?」
「契約だよ、契約。悪魔になったから使い魔と契約しろって言われてな」
「何故、儂を選ぶ?」
「いや、冷静に考えてお前くらいしかいないだろ。俺と釣り合うようなやつ。それにこんな洞窟にいるのもいいけど、風呂に入りたくないのか?」
「……入りたい。体ベタベタするのじゃ。体が汚いから会いたくなかったのじゃ」
「うち来て風呂入れよ。あと契約はいいのか?」
「儂しかおらぬのであろう?ならば仕方がない」
そう言うと、ティアマトことティアのからだから光が溢れて人型に纏まった。
だいたい俺と同じくらいの身長の女性。普通に顔立ちもいいしスタイルもいいけど髪も服もボサボサで宝の持ち腐れって感じだ。自慢の蒼髪が泣いてるぞ。
「よし、これで契約終了」
そう言いつつ魔法陣を展開してティアトの契約は終了した。
「え?俺は?」
「な、ティア。この洞窟って確かヒュドラいたよな。こいつと契約させてくれないか」
「あぁ、以前のしたな。そこら辺にいるから契約すると良い」
結果的にすぐ見つかって無事全員契約終了しましたとさ。めでたしめでたし。
「いや、契約したけど俺どうやってコミュニケーションとか対価を支払えばいいんだ?」
「魔力でどうとでもなるから大丈夫だよ。確実に」
まぁ、高レート吹っかけられたら俺も対応するからと付け加えておいた。
これで二日間の俺の仕事は終了っと。いやぁ、これでおわ──。
と、思考を遮るように唇を奪われた。完全に不意打ちだった。
「私に対する対価は衣食住の提供と戦闘後の口付けじゃ。覚えておくのじゃ」
新たな爆弾を抱えましたけどね。本当に。
「本当。お前女性関係気をつけた方がいいぞ」
「お前にだけは言われたくない」
あとでこいつにタンニーンをあてがって修行させよう。真面目に。
ちなみにまた胸の大きなやつを俺陣営に引き込んだから余計に白音が鼻を曲げた。理不尽すぎる