ハイスクールN×D Re:make   作:紺狐はボクっ娘信者

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数ヶ月前に書き終わってるくせに投稿し忘れてた作者とかおる?()


6話

「はぅ……どうしましょう……」

 学校から出て商店街を散策中、困った表情を浮かべた金髪の少女と遭遇した。出で立ちがシスターそのもので、悪魔としては少し近寄り難い。

 しかし、重そうなバッグを抱えて途方に暮れているようで、とてもスルーする訳にはいかない状態になっている。

「どうかしたのか?」

「ええと、道に迷ってしまいまして……」

 そう、申し訳なさそうな顔をうかべる少女。

「ん、どこに行くんだ?よければ案内するぞ」

「え……?よろしいのでしょうか」

「嫌なら最初からこんな提案しないって。それに、アンタ外国人だろ。下手にうろついて悪い奴らに連れていかれても後味が悪い」

 と、言いつつ、ただお節介をやきたいだけの十六歳。

「あ、ありがとうございますっ」

 ぺこり、と頭を下げる少女。

「そんで、どこに行くんだ?」

「この教会に行きたいのですが……」

 と、地図を見せられると、そこは見覚えのある教会の名前が記されてあった。

「ここ、うちの近所だ。電車、降りる場所間違えてるぞ」

「え……あ、あ……」

 これは相当のドジっ子だな。これで天然ならどっかのギャルゲーのヒロインを張れる。

「ちょうど帰り道だし、送ってくよ。電車賃はあるのか?」

「あ……ない、です……」

「……確認だけど、ここに着いたのは何時だ?」

「えっと、9時です……」

 ……今何時だと思ってんだ。もうすぐ5時だぞ。8時間くらいうろついてたのか、見知らぬ土地を。

「わかった。まずは腹ごしらえからだ。なにか食いたいものでもあるか」

「え、ええと……道案内だけでも申し訳ないのに、ご飯まで……」

「いいんだよ。迷惑なんて考えない。それに、こーゆー時は厚意に思いっきりあまえる。そのほうが喜ばれるもんなんだよ」

 そう言い、手を差し伸べながら笑顔を向けた。

「ほら、立てるか?」

「は、は……きゃあっ」

 手を取り、軽く引っぱった瞬間によろける少女。それを優しく抱きとめるも、それこそ何処ぞの恋愛ゲームのワンシーンのような状態に。

「す、すすっ、すみませんっ」

 ばっ、と勢いよく離れる少女。

「あー……いいよ。今のはわざとじゃないし」

「うぅ……」

「それよりも、今は腹ごしらえだろ?」

「そ、そんなこと……」

 少女が何か言いかけた瞬間、ぐぅううううっ、と大きなお腹の鳴る音が聞こえた。

「……行くか?」

「……はい」

 少女は顔を真っ赤にしてこくりと頷いた。

 

 

 それから数分後、近くのファミリーレストランに到着。重そうな荷物は勿論、俺が運んだ。少女は終始申し訳なさそうな顔をしていたが。

「こちらです、お嬢様」

「お嬢様だなんて、そんな……っ」

 ちょっと礼儀正しくエスコートしてみると、少女は顔を赤くした。流石に痛かったか。

「ええと、宗教とかで食べられないものとかあったりするのか?」

 と、少女を席に座らせた後に気を取り直して聞いてみる。

「えっと、特にはないですっ。……できれば、パンケーキを」

「パンケーキだな、了解した。じゃあ俺は……」

 メニューを見て、それとなく食べたいものを選んで店員を呼ぶ。

 頼んだのはパンケーキとチョコレートケーキ、そしてブラックコーヒーとカフェラテ。割と無難だと思う。

「そういや、名前を聞いてなかったよな。俺は兵藤一誠。君は?」

「あ、私はアーシア・アルジェントですっ」

「アーシア、か。俺は仲間内からよくイッセーって呼ばれてる」

「それでは、イッセーさんとお呼びしてもよろしいでしょうか?」

「ああ。よろしくな、アーシア」

 よくよく考えてみれば、名前も知らない子にご飯を奢るのってあんまりないことじゃないのか。……うん、これからは自重しよう。

「そんで、アーシアはなんでこの街に?」

「先程お聞きした教会へ、赴任してきましたっ」

「そうなのか?見た感じ、俺と同い年くらいに見えるんだけど」

「日本の学生とすると、高校二年生ですねっ」

 わお、本当に同い年だった。……ん?普通、それくらいの年齢の少女を、こんな異郷の土地に派遣させるか、普通。

「んー……なんかわけアリってやつか」

「……話せば、長くなります」

「相当なやつなのか。なら、無理に話す必要は無いさ。話したい時に話せばいい」

「……いえ、これも何かの縁です。それに、ここまで親切にしてくださった方に話さないのも、おかしいと思います」

 と、覚悟を決めたような表情のアーシア。

「私は、孤児院に引き取られた孤児でした。物心ついた時には、既に孤児院で生活していました。その孤児院はキリスト教を信仰しているということもあり、私はクリスチャンとして生活を送っていました」

 クリスチャン、ねぇ。悪魔としては天敵に近いと言っても過言ではない。

「私は、特殊な力を生まれつき宿していました。手をかざした対象を治癒する、主に与えられたものです。孤児院の……私の育ての親であるシスターは、その力を人々のために使いなさいと私に教えました」

 要するに、聖女として祀り上げられたと推察するのが正しい……のか?

 確かに、そんな神のごとき力を手にした少女が人々のために力をふるえば、信仰者を増やすことにもつながる。……半分招き猫の役割も得ている、という訳か。

「……私は、多くの人々の怪我を治療しました。小さな子供からお年寄りまで。でも、嫌ではなかったです。誰かを救えているという実感は、とても心地のいいものでしたし。でも、事件が起きました」

「事件?」

「悪魔を、治したんです」

 ……そういう類の話か。

「その日、私は教会の近くを散歩していました。協会の近くには森林があって。とても日差しの気持ちのいい場所でした。そこに、傷だらけの悪魔が倒れていたんです」

「それで、治したと」

「……はい。悪魔と言えど、傷ついた人を見過ごすことなんてできませんでした。でも、結果として異端の烙印を押されて、こちらの教会に赴任してきました」

 随分と酷い話だ。勝手に聖女とまつりあげておいて、都合が悪くなったらお払い箱。しかも身寄りがないことをいいことにこんな異郷の土地に左遷とは、随分と酷いことをする。

「……これで、よかったんだと思います。所詮、私は穢れてーーいたっ!」

 言葉を遮るように、アーシアのおでこにデコピンをする。軽く赤くなる程度に抑えたけど、不意打ち気味のせいで酷く驚いている様子だ。

「アーシアは穢れてなんかないし、これでよくなんかもない。傷ついたやつを救うようにしむけたくせに、人間じゃないやつを治しただけで異端なんて、アホじゃねぇか」

「で、でも……」

「でも、じゃねーの。人間には等しく幸せになる権利ってもんがある。それなのに、今のところ不遇な目にしかあってない」

「それは、私が穢れて……」

「だから、穢れてなんかねーよ。怪我してるとはいえ、敵対する相手を治してしまうような優しい子が穢れてるなら、人間なんてみんな穢れてることになる」

 ……ったく、なんでこんな子が不遇な目に遭わなきゃなんないんだよ。

「今までが不遇だったなら、今からはそれ以上幸せにならないなら嘘だ。自分を見限ったヤツらを笑えるくらい幸せになる権利がある」

「……権利?」

「そうだよ。今の話を聞いてると、友達と遊びに行く、なんて経験をしたことも無いんだろ?」

「……確かに、ないです」

「なら、今度遊びに行こうぜ?遊園地に映画館、動物園に水族館。あとゲームセンターとか。行きたい場所はないのか?」

「……水族館に、行ってみたいです」

「なら、決まりだ。今度の日曜日に行こうぜ。ちょっと強引だけど、いいだろ?」

「でも、イッセーさんの迷惑では……?」

「迷惑じゃないさ。俺がアーシアと一緒に行きたいんだ。だって、もう俺とアーシアは友達だろ?」

 そう、首をかしげながらアーシアを見る。すると、アーシアはぽろぽろと涙を零し始めた。

「ど、どうしたんだ!?」

「あ……いえ……その、そんなことを言われたのは……初めてだったので……嬉しくて……」

 初めてって、それって今まで全部一人で背負ってきたってことか?その小さな肩に、聖女としての重圧と、異端の烙印による周囲からの圧力を、一人で?……それって、相当しんどいやつじゃないのか。それこそ、自殺を考えるような、途方もないほどの。

「お待たせ致しました。チョコレートケーキ、パンケーキ、ブラックコーヒー、カフェオレになります」

 と、タイミング良く?店員さんが料理を運んでくる。美味しそうなことには美味しそうだが、こんな状態で食べる気にはあまりなれない。

「これは、当店からのサービスです」

 そう言って、バニラのソフトクリームふたつと、俺に対してナプキンを渡された。

『彼女さんを泣かせた時は、素直に謝るのが一番です。隣に座って、誠心誠意謝れば許してもらえるはずです』

 そう、書かれてあった。

 って、彼女じゃねぇぇぇええええっ!!!!!!俺が泣かせたのは間違いないんだろけどさ!いきなりそんなことしろってのか!

 ……でも、下手に抵抗すると変な雰囲気にするだろうし。……仕方ない。嫌われること覚悟でやることにしよう。

「これからはさ、いろんな所に行って一緒に思い出を作ろうぜ?日本にはいろんな面白いところがあるんだ。全部行ってみなきゃ損ってやつだろ」

 そう言うと、指示された通りに隣に座って頭を撫でてみる。すると、アーシアは今まで溜め込んでいたものを全て吐き出すように号泣し始めた。

「いっせ……さんっ……わたし、つらく……て……こわくっ、て……でも、だれに……も……そうだ……できなく……てぇっ……」

「そうだよな。……って言っても、他人事のようにしか聞こえないかとしれないけどさ。悲しみの捌け口ぐらいに離れるから……全部、吐き出そうぜ?」

「は、い……ありが、とっ……ござ……ま……うわ……ぁ……こわかっ、た……よぉ……つらか……た……よっ……」

 そう、泣きじゃくるアーシアの頭を撫でながら、優しく抱きしめ続けた。

 店員さんは暖かい視線を送ってくれるが……後で変な噂が流れないことを願う。

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