織田信奈の野望IF「金は天下の回り物っ!」   作:Takenoko is God

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第18話 道三救出戦

尾張・玉ノ井の屋敷

 

 

十兵衛、犬千代と預かった手勢と共に清洲を飛び出し、

一路玉ノ井に着いた俺たちはすぐさま作戦会議を開いた。

 

「さっきの評定で信奈が言っていた通り、今はこれ以上の兵は織田家としては出せない。

かと言って美濃の動乱を無視することも俺はダメだと考えている。」

 

「ということは・・・道三さまを救出するということですか!無謀ですぅ!」

 

「十兵衛、無謀なのは百も承知だよ。

だが今この状況で道三どのを救出出来なければどのみち織田家は詰むぞ。」

 

「・・・でも、どうするの?」

 

「さっきの評定でも言った通り、事前に謀反を見越して川並衆を動かして既に手は打ってるんだけど、ただそれだけじゃ不十分だ。

上手くいくかは五分五分だけど今は賭けるしかない。

少しでも道三どのを生還させられる可能性を上げるために全力で行くからみんな協力してほしい!」

 

「もちろんです!」

 

「・・・分かった。」

 

俺の決意を聞いて十兵衛と犬千代も覚悟を決めてくれた、正直戦闘に関しては素人の俺にもかかわらず、信頼してくれるのはありがたい。

俺は半ば博打のような作戦を開陳する。

 

「・・・という段取りだ。頼めるか?」

 

「なるほど、承知したです!」

 

「・・・任せて。」

 

2人に仕事を頼んで、俺も同時に動き出す。

俺の目的地は川並衆が五右衛門と共に待機している長良川のねぐらだ。

 

 

 

「遅いでござるよ小笠原氏。さ、早くにょるでごじゃる。」

 

「すまん五右衛門、みんな!」

 

俺はねぐらに着くや否や川並衆が用意していた筏に飛び乗った。今回は戦場の真っただ中に突っ込むことになるので甲冑着用だ。

津島で買ったは良いがこうして使うのは初めてで少し動きにくく感じるが、これも身を守るためだ。

 

「おい小僧!その甲冑じゃ落ちたら沈むぞ!しっかり踏ん張れ!!」

 

櫂を漕ぐ前野某にどやされる、かなり無謀なギャンブルをしているのに豪胆なことだ。

見れば周囲の面々も笑っている、流石に川賊をやっているのは伊達ではなく肝の据わり方が半端ではない。

いや、これが戦国時代の普通なのかもしれないなと、初めて戦場に立つ身として一つ学びを得たと思うことにしよう。

 

「分かってるよ!とりあえず作戦を伝える!時間がないからそのまま聞いてくれ!!」

 

俺はそんな野郎どもにありったけの声で呼び掛けた。

筏同士があまりに近づきすぎると接触して壊れるかもしれないので、これで声が届いていることを祈る。

 

「今回の目標は単純!戦場にいる美濃の蝮を盗んで尾張の姫に貢ぐだけだ!」

 

「小笠原氏、なんだか川族が板にちゅいてるでぎょざるよ。」

 

「一回やってみたかったんだこういうの。

仕事は簡単!このまま稲葉山に乗り付けて落ちてくる蝮を拾ってそのまま流れに乗って羽島まで下る!あとは陸路で玉ノ井に入る!以上!!質問は!?」

 

「こりゃあ馬鹿にも分かる簡単な話だ!して報酬は?」

 

「全員の武士階級復帰を信奈さまに申し出る!この手柄なら十分だろう!」

 

「よっしゃー!いっちょやってやろうぜ野郎ども!!」

 

筏の上でノリと勢いだけの会話を済ませて戦意を煽る。

気が付けば稲葉山は目と鼻の先だ。

既に馬が出す砂煙が上がっているのが見える、野戦の印だ。

 

「よし!道三は恐らく背水の陣を敷いているから川沿いに行って確認するぞ。」

 

「なぜ背水でいると分かるのでござるか?」

 

「今回道三はここで華々しく散る気だからな。

尾張側から一番遠い稲葉山城の北、川沿いが一番自然ってだけだよ。」

 

川を下りながら数分、道三のものと思われる陣はすぐに見つかった。

幸いにも霧がかかっており、双方に気取られずに陣に近づくことが出来た。

 

「よし、全員ここで待機!いつでも逃げれるように準備しておいてくれ!」

 

「よっしゃ小僧行ってこい!さっさと蝮を連れてきてくれよ!」

 

川並衆からの野太い声援を背に受け、俺は道三の待つ陣へ駆ける。

 

 

「道三さま!義龍軍は既に西美濃三人衆を引き入れ城内に侵入、城は間もなく落ちます!」

 

「うむ、やはり先に外に出ておって正解じゃったか。将兵にもう間もなく最後の突撃を敢行すると伝えい!死にとうない者は先に逃げよとも言ってくれい!」

 

「はっ!」

 

道三の本陣は間もなく最後の突撃を敢行しようとしているところだった。ギリギリ間に合ったか・・・!

 

「道三さま!織田家より使者が参っております!」

 

「道三どの。失礼するぞ。」

 

「むう!そなたは金槻どのではござらんか!

何故このような所へ参った!?」

 

「あんたの迎えだよ、道三どの。既に長良川に筏を用意してある。

脱出し、尾張へ来ていただく。」

 

「使者に送った十兵衛には援軍不要と伝えたはずなのじゃが。」

 

「ああ、確かに援軍不要というあんたの願いは届いたよ。

実際今回信奈は動いてない。これは俺の独断だ。」

 

「この、大馬鹿者ッ!!!!!この長くはない命を救うために若いお主が命を張るでない!」

 

道三は俺を一喝した、その声だけで俺は半歩後ずさる。

しかしここで負けてはいられない。

何より道三を救う選択をした時点で俺も覚悟を決めているのだ。

すぐに言い返す。

 

「馬鹿はあんただ道三どの!あんたがここで死ねばどのみち織田家は滅ぶ!

いや、理屈は無しにしても今の信奈にはあんたが必要だ!

義父だって言うなら娘を泣かすようなことはするな!」

 

時間もないのでまくし立てて道三にあたる。

俺は遠くに義龍軍の旗がいるのを確認した。時間が無い・・・!

 

「信奈だけじゃない!十兵衛にとっても、俺にとってもあんたはまだ必要な人物なんだ!

それにな、あんたの命はあんたが思っている以上に重いんだよ。そんなもんをこんなところでドブに捨てるな!」

 

「な、なんと!?このワシの覚悟にそこまで言いおるか!ワシがこの先生きて何になるというのじゃ!」

 

「何かにはなる!というか俺があんたをまだ使える駒にしてやる!

正徳寺でも言っただろ!信奈の目標に必要なものを揃えるのが俺の仕事だって!あんたは替えが効かないんだよ。

どうしてもっていうなら言い値で買ってやるから動いてくれ!」

 

俺は半分以上願うような気持ちで俺の言いたいことを言いきった。

これで動かなければ作戦は全て失敗、下手すればここで道三共々死ぬことになる。

そんな俺の願いが通じたか。

 

「分かった、そこまで言うのならお主についていってやろう。

しかし忘れるでない、お主は既にワシ以上に信奈どのに必要とされておる。

このような無茶は控えられい。」

 

「ああ、善処するさ。とにかく急ぐぞ!もう義龍軍がそこまで来てる!」

 

俺は道三を引き連れ、川へ戻る。

 

「遅いでござるよ小笠原氏。さ、早くにょるでごじゃる。」

 

「すまん!急げ!!」

 

上流のねぐらを出た時と同じようなセリフが聞こえてデジャブを感じるが、今はそんなことを気にしてはいられない。

俺も櫂漕ぎに参加して最高速で戦場から離脱する。

なんとか本陣から離れることは出来たが、このタイミングで霧が晴れてしまう。

 

 

 

「報告します!道三軍本陣に稲葉一徹どのが突貫、陣を破りましたが道三どのはおられず!落ち延びたものと思われます!」

 

「ぐぬぬ、父上を逃せば厄介なことになる。草の根を分けてでも探しだせい!」

 

「はっ!」

 

ここは稲葉山城天守、城に入った斎藤義龍は外の戦場を眺めながら父・道三を捜索していた。

ちょうど出ていた霧が晴れて、戦場が見渡せられるようになった時、長良川を下る筏の軍団を偶然発見したのだ。

 

「む?あれは・・・間違いない!父上、逃がさん!

皆の者!ついて来い!」

 

城に残っていた手勢と共に駆けだした義龍は真っすぐに筏を追った。

 

 

「小笠原氏!後ろから追手にござる!」

 

「くそっ、やはりバレたか!全員!全力で逃げるぞ!余裕があれば盾を出しておけ!」

 

戦場から離れて間もなく、早くも義龍の手勢が追ってきた。

本陣では撒いたと思っていたが、やはり直後に晴れた霧では完全に隠れ切ることはできなかったらしい。

 

「追いついたぞ父上!お命頂戴する!」

 

「ぬう。義龍め、早いのう・・・」

 

「あれが斎藤義龍か・・・。」

 

ふと後ろを振り返れば馬で追ってきている義龍軍、その先陣には義龍本人がいた。

直接顔を交えるのは初めてだが、六尺五寸もあろうかという大男であり馬が小さく見える。

 

「火矢を放て!ここで仕留めるぞ!」

 

義龍の指示が聞こえてきて内心舌打ちする。

今の状況ではこちらに攻め手は無く、圧倒的に不利な状況だ。

しかも火矢など打ち込まれてしまえば筏はたちまち燃えてしまう。

そして、この攻撃を防ぐ手段すら、今のこちらには無いに等しい。

 

「それ!放て!!」

 

俺たちの筏をめがけて一斉に火矢が飛ぶ。

五右衛門がある程度手裏剣などで落としてくれてはいるがそれにも限界がある。

俺も刀を抜き必死に防戦するが、そうこうしているうちに後ろについていた筏に火矢が刺さってしまった。

瞬く間に燃え広がり、その筏は行き足が止まってしまう。

そこに群がるように更なる矢が放たれる。

 

「ぐあああああああああっ!」

 

「ぎゃああああああ!」

 

そして、一人、二人と味方が倒れていく。

信勝の謀反では被害を出していないので、俺にとって味方の損害はこれが最初のものだった。

 

「・・・くそっ!」

 

俺はそう吐き捨てる、これ以上の損害はダメだ。

しかし対抗手段が無い、俺は窮した。

 

その時だった。

 

「・・・待たせた。」

 

義龍軍の進む道に突如として軍勢が現れた。

犬千代の率いる一宮の軍勢だ。

俺が犬千代に依頼していたものだった。

玉ノ井で先んじて、信奈から預かった千の兵を一宮からそのまま進軍させ、羽島に入っておくように伝えていたのだ。

気が付けば既に筏は羽島に入っていた。

 

これで状況は一気に好転した。

犬千代が兵を出して道は塞いでいる。

そして兵力も五分になり、これでようやくまともに戦えるようになった。

俺たちはここで筏を捨て、馬に移る。

防戦するしかなかった筏に比べれば幾分楽になった。

 

「助かった犬千代!」

 

「・・・どういたしまして、急ごう。」

 

「ああ!全軍、玉ノ井まで引き上げるぞ!」

 

ここからは陸路での撤退戦だ、こうなればまだ対処のしようはある。

本音をいえば義龍軍にはここで引いて貰いたかったが、彼らは俺たちを追撃してくるか構えだ。

 

「犬千代!道三を頼む!前に出て木曽川まで退いてほしい!俺は後詰をする!」

 

「・・・任せて」

 

「金槻どの、あと一息じゃ!」

 

犬千代に道三を任せ、後詰に着く。川並衆にはそのまま道三の回りを固めてもらっているので、俺は犬千代が率いてきた兵の一部を使って追手を防ぐ役割に入った。

 

「よし!俺たちはここで撤退の足止めだ!幸い敵の数は多くないから矢をお見舞いしてやれ!」

 

俺の合図と共に一斉に矢を射かける。これまでやられっぱなしだった分の仕返しだ。

 

「ぐぬう・・・、奴め!邪魔はさせん!!」

 

義龍軍の足が一時的に止まる。

その隙を見て俺たちも引き上げにかかるが、それを見て義龍は再度追撃をかけてくる。

 

「しつこいなぁもう!五右衛門!!」

 

「承知!」

 

五右衛門にまきびしを撒かせる、これでもう少しは時間を稼げるだろうか。

その間も俺たち後詰は玉ノ井へ向けひた走り、ある程度進んだところで後ろの軍勢を止める。

ある程度捌いて後ろに引いてという流れを繰り返した。

その動きを続けて暫くすると今度は木曾川が見えてきた。

既に先陣は対岸に向かって動き始めている。

 

「チッ、これ以上は下がれんか・・・

全員!ここを死守するぞ!!退路を確保するんだ!」

 

俺は再度兵たちに激を飛ばす。

ここで義龍軍を防ぎきらなければこちらは瓦解する、今度は俺たちが背水の陣になっていた。

とは言ってもこちらはずっと撤退を続けてきた。

既に兵は疲弊しており、陣も何もない野戦では限界はすぐに来た。

最前線の兵から伝令が入る。

 

「小笠原どの!前線が間もなく破られます!」

 

「分かった!犬千代と道三の部隊はどうなった!?」

 

「現在玉ノ井湊の美濃側船着き場でございます!間もなく川を渡られる様子!」

 

「よし!それじゃあ俺たちも船着き場まで退くぞ!」

 

再度後ろに引く、玉ノ井の美濃側船着き場は十兵衛が管理している区画だ。

今はまだ建設中の建物が多く、入り組んだ迷路のような区画である。俺はそこまで引き下がった。

背後は船着き場であり、もう後が無い。

そして義龍軍も全力で湊に突っ込んできた。

 

「よし!全員退いたな!?今だ十兵衛!」

 

「待っていたですよ金槻どの!撃てーっ!!」

 

ここに来て俺たちの最期の頼みの綱が建設中の建物のあちこちから現れた、十兵衛だ。

戦の前、玉ノ井の屋敷で十兵衛に予め頼んでいた作戦がこれだ。

美濃の各地に少数だがいる道三派の勢力をかき集め、玉ノ井で待機しておくように伝えたのだ。

 

時間が無かったので井ノ口や羽島など近所の勢力だけだが、それでも100人ほどを集めた十兵衛は、管理のため玉ノ井に置いていた手持ちの火縄銃を与えて船着き場近辺の建物に潜ませた。

ここは十兵衛にとっては自分で作った庭のようなもので、敵がどの方向から来るかも、どこに兵を配置するのが効果的かもありありと分かった。

更に加えてこれは俺の指示ではないのだが、川並衆も船着き場の撤退作業に参加しない分はここに残って隠れたらしく、50人ほどが同じように隠れて弓を構えていた。

合わせて200にも満たない僅かな数だが、このあたりは十兵衛の管理地ということで、工事中にも関らず土岐桔梗の旗が数多く靡いている。

また兵を上手く散らして配置して一斉に撃ち込んだことで、四方八方から矢弾を浴びせることに成功したのだ。

そのことを知らずに攻め寄せた義龍には、大量の伏兵に囲まれた死地に見えた。

 

「こ、これは・・・!」

 

「いけません義龍さま!明智の手勢が待ち伏せておりました!どこからともなく鉄砲や矢が飛んでき・・・ぐぁっ!!」

 

義龍に状況を報告していた足軽にも鉄砲の弾が当たる。

ずっと猛追をし続けていた義龍にとっては敵陣奥深くに誘い込まれた感覚に陥った。

 

「くそっ!退け!!覚えておれ父上!光秀!小笠原金槻!!」

 

たまらず義龍軍は撤退を始める。

義龍はこの戦いで率いていた兵の1割強を損じ、道三を討ち漏らす結果となった。

 

 

 

「・・・退いたか、何とかやり切ったな。」

 

「金槻どの!ご無事で!?」

 

「ああ、なんとかな・・・、助かったよ十兵衛、それに残ってくれた川並衆も。」

 

「親分が戦ってるっていうのに、男が逃げるわけにはいきませんからな!」

 

「小笠原の小僧も、案外肝が据わってたぞ!それでこそ漢だ!」

 

その後、俺たちも道三と犬千代の後を追って対岸の屋敷のある船着き場に向かった。

 

 

「・・・金槻、大丈夫だった?」

 

「おお!金槻どのに十兵衛!よくぞご無事だったのう!」

 

ここは戻って玉ノ井の屋敷、俺たちはここで合流した。

 

「いやー、流石にこんな賭けは二度と御免だな。何度か死にかけた。」

 

「金槻どのは悪運が強いですう。

普通あの状況の道三さまを救うなど無理なのですう!」

 

「今回は霧とかもあったから本当に幸運だったから、2回目同じことしろって言われても絶対無理な自信があるよ」

 

「・・・それで金槻、ここからどうするの?」

 

「おっと、そうだったな。

ひとまずは清州に戻って信奈に報告するが・・・その前にこちらの被害の確認だ。五右衛門!」

 

「お呼びでござるか?」

 

「ああ、今回の戦い、川並衆の損害はどれほどだった?」

 

「それならば前野某が詳しいでごじゃるよ。呼んで参る。」

 

「頼む。じゃあ川並衆については待つとして、一宮から引っ張った兵についてはどうだ犬千代?」

 

「・・・千の兵を全部連れてきてた、戻ってこれたのは今のところ六百。散り散りに逃げたりもしてるから多分この後多少は増える。」

 

「・・・それでも残って650から700程か・・・」

 

改めて損害の大きさに絶句する。無謀な道三救出に撤退戦とくればある程度は覚悟していたが、それでも4割近い損害はあまりにも大きい。

 

その後前野某も戻ってきて損害を報告した。

 

「川並衆は今回100人ほどで川を下ったが、こっちは20人ほどが帰ってきてねぇ。

俺が直接見てるのは川下りの時に筏をやられたのが15人、残りの5人は生きてるかもしれねぇが、馬に乗り移ったときのゴタゴタでやられたと思う。」

 

「分かった。本当にすまない前野の親父、五右衛門。」

 

「気にすることじゃねえよ坊主。

てめえは太平の世から来たらしいから知らねぇのも無理ねえが、こんなことは川族やってりゃよくあることだ。」

 

「左様、小笠原氏はこの戦で皆のために逝った仲間のこちょを覚えちぇおいてくれたらしょれで十分にごじゃる。」

 

「ああ・・・ありがとう。

今回の戦で死んだ者の墓は俺の金で正徳寺に建てる。

前野の親父、任せて良いか?」

 

「おう、それだけしてくりゃ十分だ。

丁度藤吉郎の墓もあそこだしな。」

 

「そうだな、それと生き残った者には十分な休養を取らせる。

1週間帰省するなり遊ぶなり好きにしてくれ。

その分の賃金も玉ノ井の収益から出してくれ。

あと戦の被害がでた美濃側の湊復旧、これは十兵衛に任せる。

こうなった以上美濃にはびた一文上納はしないから、美濃の財布に入る予定だった分をそのまま十兵衛に預ける、復興費の足しにしてくれ。」

 

「承知したです!それで、湊の使用については如何するですか?」

 

「当然斎藤家には一切使わせない、また美濃に向かう荷物は全て中身を改める。

稲葉山に向かうような軍事物資は全て徴用。

井ノ口の商人には不便をかけるが、特産品などは通常通り扱うから安心するようにと伝えてくれ。」

 

「はいですぅ、荷物検査は任せてください!」

 

「五右衛門は再度浅井に向かってくれ、近況の確認を頼む。」

 

「承知。」

 

「犬千代と道三は俺と一緒に清州に入る。今回の件の報告だ。

こっちも少なくない損害は出してるからな、信奈に怒られにいこう。」

 

「・・・わかった。」

 

こうして、戦後処理も程々に俺は清州へと向かった。

 

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