JOKER   作:ちよ那須

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稚拙な文ではあると思いますが、楽しんでもらえたら幸いです。


JOKERの船出

彼の名は松田柔。4月から地方の大学に通うことになったのだが、最近コロナウイルス騒ぎで家で一人寂しく暮らしているのだ。

「あーあ暇だな。5月まで大学行かなくていいから今日も友達の塩田と遊ぶか」

彼は講義が始まるその日まで、毎日たこ焼きづくりに勤しむ一般的大学生のような生活をしていた。朝起きて寝るまで、トイレに行くとき以外はすべてたこ焼きづくりに力を注いだ柔。大学が始まるまでにかれのたこ焼きを作る技術は、大阪人をも驚かせるほどになっていた。

「俺のたこ焼き食いたい奴は俺のとこへ来い!!!俺は人類の限界を超えたたこ焼きを作るために大学へ入ったんだ!!!新たな歴史を……新たなたこ焼きを共に作っていこう!!!」

柔は日に日にたこ焼きを作る技術を向上させた。彼のたこ焼きを求め彼のもとへ集う人間の数も日を追うごとに指数関数の勢いで増えていった。

しかし、彼のたこ焼きづくりがうまくいったのは最初のうちだけだったのだ。彼の過酷なたこ焼きづくり生活は彼の身体を蝕んでいった。たこ焼きづくりを始めて一週間たつ頃には彼の右手はもう原形をとどめていなかったのだ。

しかし彼は全くあきらめなかった。

「俺のたこ焼きを待っている人世界にはたくさんがいる。俺は……俺はたこ焼きを食べて世界中の老若男女問わずすべての人間が笑顔でたこ焼きを食べることのできるような世界を作りたいんだ。!!」

彼の意志は強かった。燃え盛る炎のように激しかった。しかし、彼の意志はあまりにも強すぎたのだ。

大学の授業を待たずとして彼は息を引き取った。彼のたこ焼きを待ちわびた地球の民は彼の死を深く弔った。

彼はもう死んだ。

 

 

 

 

はずだった。彼が次に気づいたときは、一人ぼんやりと浜辺に打ち上げられていたのだ。なぜだか右手にはたこ焼きを回すピックのようなものがあった。彼はまたたこ焼きづくりができることを神に感謝し、人気のある所を目指して歩き始めたのだ。

彼は何分歩いたのだろうか。そんなことは頭にも浮かぶ暇なく彼はひたすら歩いた。裸足で砂の上を何時間も歩いた彼の足は、皮ははがれ筋肉が見えていた。彼の本能は明らかに足を止めるよう働いていた。しかし、彼のたこ焼きに対する思いはそれ以上だったのだ。

太陽が沈み、狼たちの声が夜空に響き渡るようになったころ、地平線のほうからぼんやりと明かりが見え始めた。彼は走ってその明かりのほうへ近づいて行った。

それは小さな村だった。いや、村と呼ぶには小さすぎるくらいの家の集まりだ。しかし、柔は満面笑みを浮かべてその集落に走っていったのだ。

 

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