ドンテンカーンドンテンカン、ドンテンカーンドンテンカン   作:コジマ汚染患者

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第一話

「仮面ライダーになりたい」

 

そんなふうに考えたこと、幾らでもあります。ああ、何度も何度も考えたさ。悪の怪人をぶちのめし、誰かを地球を世界を救う正義のヒーロー。3分間しか戦えない光の巨人とか、必ず3人組か5人組で戦うスーパーな戦隊とかもいいけど、俺が望むのは仮面とスーツに身を包み、必殺のキックで敵を倒すバイクに乗ったヒーローだ。

 

『いいだろう、それでは仮面ライダーとやらの力をやろう』

 

真っ白い空間に老人の声が響く。俺はこういう二次創作やな〇うとかでよくあるトラックに轢かれて死んだという状態らしい(メメタァ)

そして、神様らしい声の主から転生の話を受け、それに伴いどんな力が欲しいかを聞かれて今に至る。

 

「お願いします。・・・にしても、こーいうときの神様ってなんで老人が多いんですか?」

 

『お前たち人間の考えた偶像としての姿だからだ。正直なことを言えば老人だったり少年だったり、美女だったりと人々の考える神のイメージが元になっているから我に原型と呼べる姿は無い』

 

「あ、そうですか・・・」

 

『では来世へと行くが良い。幸多き生とならん事を』

 

「ありがとうございました」

 

そう言うと、俺の体は光となり、意識は何処かへと引っ張られていくのだった。

 

 

 

 

 

 

『・・・行ったか。さて、仮面ライダーの力とやらを与えなければ。しかし、仮面ライダーというものをそこまでよく知らぬな・・・調べるとしよう』

 

 

 

・・・。

 

 

『・・・ほぅ、なるほど。興味深いものだ。ライダーの力とやらはあの世界でなら面白いやもしれぬな。これと、これと、ああこれも良いな・・・』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

転生と言っても、その世界に生まれて直ぐに記憶が目覚めるわけでは無かった。俺が記憶を思い出したのは、小学校に上がる数ヶ月前のことだった。子ども部屋でおもちゃを手に持ったままハッと突然記憶が蘇ってきたときは驚いた。しばらくすれば元に戻ったので良かったが。

 

「取り敢えず、これまで生きてきた記憶はあるっぽいし、不審には思われないと思うけど・・・」

 

そう言って手を握ったり開いたりしつつ体の確認をしてみる。まだ5、6歳児程度の身体能力であるため違和感があるが、動かすことに問題はなさそうだ。

 

「家庭的には可もなく不可もなく、ってところか」

 

記憶にある親の様子を見ても、前世の感覚で見て一般的という域を出ない家庭であることがわかり、そのことにホッとする。

 

(流石に超貧乏だったりしたら生活がやばいし、裕福でも要らない問題や誘拐とかを考えなくちゃいけないし、普通ってやっぱ素晴らしいな)

 

そんな事を考えていると、部屋のドアが開き、母さんが入ってくる。こちらを見て少し驚いているようだが、すぐににっこりと笑ってこちらへ駆け寄り、俺を抱き上げる。

 

「あら、せん君。もう寝る時間よ。そろそろ片付けしましょうねー」

 

「はーい」

 

返事をしながら、顔に当たる柔らかい感触を出来るだけ無視するように務める。母さんは俺を抱いたまま部屋を出る。・・・間取り的に一軒家のようだ。そのままリビングへ向かう。そこには、テレビを見ながら寛ぐ作業着姿の男性がいた。記憶にもあるし間違いない、俺の今世の父親だ。

 

「お、せんと。もう寝るのか?」

 

「うん!おやすみ!」

 

「ああ、おやすみ。よく寝るんだぞ〜?」

 

少し気恥ずかしいが、これまでの俺の通りに振る舞いつつ挨拶すると、父さんは笑いながら俺の頭を撫でる。・・・他人に撫でられるって割と気持ちいいんだな。親ってのもあるんだろうけど。

 

「・・・ん?」

 

「?どうしたの?」

 

ふと、父さんの後ろにあるテレビに意識が向く。どうやらどこかの災害現場を移しているっぽい。いつかはああいうところでライダーとして救助とか出来るようになりたいな・・・

 

「どうしたの?」

 

「ああ、どうやらA市で火災事故があったらしい」

 

「まぁ、隣の市じゃない。大丈夫かしら」

 

「大丈夫だと思うよ。今ちょうどヒーローが到着していたし」

 

「だといいけど・・・」

 

・・・は?

 

「ヒーロー?」

 

一瞬思考が停止してしまったが、慌てて聞いてみる。聞き間違いか・・・?

 

「ん?ああ、せんとも興味があるのか。ほら、今ちょうど活躍してるぞ。あれがヒーローだよ」

 

そう言って父さんが指差す先には、瓦礫の山から人々を引っ張り出したり、手から水を出して消化作業をしている妙なコスチュームの人達。

 

「ヒーロー・・・」

 

「お、せんともヒーローになりたいのか?」

 

茫然としている俺を見て、にっこりと笑いながら聞いてくる父さん。しかし俺は嫌な予感がして返事ができない。そこへ母さんから、ダメ押しの一言が。

 

「じゃあせんとも、ヒーローになれるような個性があるといいね」

 

「・・・そうだね」

 

カラカラに乾いてきた喉からどうにか絞り出した返事。その後直ぐに子ども部屋へと連れて行かれ、母さんはそのまま電気を消して出て行った。1人になり、ようやく現状を理解した俺は思わず呟くのだった。

 

「・・・ヒロアカやんけ」

 

個性というものが世界中のほとんどの人に宿り、その力でヒーローという「職業」を生業とする存在が公務員として存在する世界。確か総人口の8割に個性という異能があるんだったか。

 

「いやまぁ、仮面ライダーの力があれば問題はないだろうけど・・・とにかく今はいいか」

 

俺にはすでに確約された力がある。それがあればヒーローとして働くことも容易だろう。そう考えるとこの世界でも案外やっていけそうだ。ただ、問題があるとすれば原作の内容についてやや覚えているか不安なところがあるってことか。

 

「とにかく楽しみだな。・・・ぁふ、取り敢えず寝よう」

 

未来への希望を胸に、今はやってきた眠気に従い夢の中へと落ちて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「君、個性無いよ」

 

「はっ!?」

 

翌日、個性の把握のために訪れた病院で、衝撃の発言に思わず体が真白に固まった。個性がない・・・無い、ナイ?

 

「あ、あのっ、すいません先生、何かの間違いでは・・・?確かにうちの子はまだ個性が発現してませんけど、少し遅れているだけ、とかでは・・・」

 

相当に混乱している俺だが、そんな俺以上に動揺を隠せないでいる母さんが、担当医の眼鏡のおじさんに聞いている。

 

「いいや、奥さん。あなたは個性の方は?」

 

「ええ、わたしは空気中の水分を集めて操る個性が・・・旦那は電気を発生させて機械に充電したりできる個性です」

 

「そうですか・・・」

 

そこから聞かされた話は、ようするに珍しい事例だが、個性をどちらの物も受け継いでおらず、無個性なのだという話だった。

 

家に帰り、思考の海へと沈んでいく俺。ちなみに、遅くなったが名前は乾 戦人(いぬい せんと)。あきらかに仮面ライダーの一部を意識した名前だ。

 

(いやそれよりも個性がないってどういうことだ。あの神様、雑な仕事したんじゃないのか?)

 

考え続けたが、結局納得のいく答えは出なかった。仕方がない、今は取り敢えずゆっくりと待とう。ひょっとしたらただ発現が遅れているだけかもしれないし。

 

「・・・うん?」

 

すると、俺の部屋の向こう、リビングから声がする。どうやら母さんと父さんの様だが、様子がおかしい。

 

「・・・んで、・・・前のせいだろ!」

 

「・・・によ、そっ・・・この・・・!」

 

「母さん?父さん?」

 

何かあったのか、そう思いそっと扉の向こうを覗く。

 

「個性がないなんて、一体どうするんだ!」

 

「知らないわよ、じゃああなたがどうにかしなさいよ!」

 

「・・・っ!?」

 

なん、だ?一体何を怒って・・・

 

「あんなのうちの子じゃない!」

 

・・・え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そこからの記憶は、正直思い出したくない。あれから月日が経ち、俺は中学生になっていた。

 

「おーい、戦人ー。帰ろーぜー」

 

「おう、今行く」

 

放課後になり、下校時間となる。部活に入っていない俺は、友人に呼ばれ帰るために鞄を手に取る。

 

「あー、乾ー。お前少し残ってくれー」

 

「え・・・はぁ。わり、先帰っててくれ」

 

「あーあ、今日は何やらかしたんだお前ー」

 

そう言ってからかいながらじゃ、と手をあげる友人に苦笑いを返し、鞄を持ったまま教員について歩く。

 

(・・・まぁ要件はなんと無く予想つくけど)

 

職員室で担任の席の前に座らされ、対談が始まる。

 

「お前、雄英希望なんだって?」

 

ほらやっぱり。

 

「はい、普通科ですけど」

 

そう言うと、担任はふぅとため息をついた。

 

「ま、そうだよな・・・無個性のお前がヒーロー科に志望するわけないよな」

 

「・・・ええ、まぁ」

 

落ち着け、悪いとは思ってない。先生に悪気があるわけじゃない。

 

『でも悪意はあるなぁおい。遠回しに「ヒーローになろうなんて思うなよ?」って言ってるってことだ』

 

「うるさい、黙れ・・・」

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「いえ何も」

 

頭の中で響いた声に思わず苛立ちのままに呟く。担任にはなんでもないと返し、ついでに笑ってみせる。その後は淡々と雄英の過去問やら対策についての話をして、十分ほど後に帰路についた。

 

『にしても、お前も災難だよなぁ。個性とか言うのがないばかりに夢を諦めるってんだから』

 

「もう黙れ・・・思ってもないくせに」

 

『おっ、分かるか?いやぁ、あいにく俺は夢とか希望とかどーでもよくてなぁ』

 

帰り道、元気に走っていく小学生たちを眺めながら歩く中、再び声が頭に響く。カラカラと笑いながらも、どこか小馬鹿にした様な言い方に再び苛立ちが湧くが、グッと堪える。どうせ相手は何もできないし、こちらも何もできない。

 

『おい、この先右に曲がったところの路地、いるぞ』

 

「・・・行くぞ」

 

『あいよ。っつっても、俺はなにもしないけどなぁ』

 

声に従い、歩いた先にある路地へと曲がる。表通りの喧騒が嘘の様に寂れた、ゴミの散乱した道を歩いていくと、凄惨な光景が広がっていた。

 

「オラ、まだやれんだろうが、とっとと立てよ!」

 

「がっ、ま、まて、もうやめてくれぇ!」

 

路地の先は袋小路になっており、やや広いスペースがあった。そこの中心で、ボロボロのチンピラ風の男が、筋骨隆々の妙なマスクをつけた男に捻りあげられていた。

 

「つまんねぇなぁ!もっと愉しませろヤァ!」

 

「ゴフッ!」

 

マスクの男は、拳を握り、助けを求めるチンピラの腹へと打ち込む。すると拳は簡単にチンピラの胴体を突き抜け、鮮血が辺りに飛び散る。

よく見ると周囲には同様に腹に風穴の開いた死体が転がっている。

 

「あああああああうぜええええええええええ!!!!もっと滾らせてくれる野郎はいねぇのかぁ!!!!」

 

マスクの男は発狂し周囲の地面を殴り続ける。男の拳が当たるたびに地面にはクレーターが出来上がり、振動が地震の様に周囲に伝播している。

 

「うわぁ、なんだあれ。ゴリラかよ」

 

『おおかた筋力増強、とかの個性じゃねーかぁ?』

 

「ってか言動がなんかおかしいし、薬でもキメてんのか」

 

「あぁ?・・・なんだお前ぇ!」

 

うわーないわー、と見ていると男がこちらに気づく。怒りのままに男はググッと体を曲げて・・・って!?

 

「あぶなっ!」

 

「!・・・へぇ、これをよけやがるかぁ!」

 

あっぶな、まさか腕部だけじゃなくて足の筋力も上がるのか。弾丸の様に突っ込んできたが、どうにか躱すことが出来た。

 

「おもしれぇ!さぁやろうぜ、最っ高の殺し合いぃ!」

 

「うっせぇなぁ、やるわけねぇだろ」

 

鞄を下ろし、制服の上を脱いでカッターシャツの袖をまくる。準備ができたところへ、先程と同じように男が突撃してくるが

 

『予備動作が多い、軌道は直線。まぁ当たるわけねぇよなぁ』

 

声がそう言う通り、相手の動きは単調。故にちょっと横に避けるだけでその体当たりは回避できる。

 

「っ避けんなぁ!」

 

「冗談」

 

壁に激突し止まった男が、腕力にモノを言わせて裏拳をうってくる。冷静に距離を取り、うまく横回りで背後へ回避したところでガラ空きの後頭部へとワンツーを打ち込む。

 

「ああああああああああ死ねぇえええええええ!!」

 

「っと、ダメか」

 

しかしさすがは増強型個性というべきか、俺の拳では大したダメージにならないようだ。むしろ怒りを増長してしまっている。

 

『こりゃダメだ戦人。使うしかないぞ』

 

「・・・分かってる。戦闘中にいちいち喋るな」

 

声に従うのもしゃくだが、そこまでこいつに時間をかけるわけにもいかない。『実験台』をもっと探したいし。暴れる男から距離を取るように鞄を置いた場所へと戻ると、手を突っ込み目的のものを取り出す。

 

「ああ?んだそれは!」

 

「お前が知る必要ないよ」

 

そう言って俺は手に持った機械を腰へと当てる。するとそこから腰の周りを覆うようにしてベルトが巻きつき、内側にある端子が腰回りに突き刺さり激痛が走る。

 

フォースライザー!

 

「っ・・・こればっかりは慣れないな」

 

痛みに耐えながらポケットに手を入れ、中から黄色い長方形のキー・・・『プログライズキー』を取り出し、上部のスイッチ『ライズスターター』を押す。

 

jump(ジャンプ!)

 

軽快な音が鳴り、即座にそれをフォースライザーにセットする。

独特な機械音が鳴り響く。その異様な機械音や妙な機械を警戒し、男はこちらを睨み動かない。好都合ではある。

 

「・・・変身」

 

宣言とともにフォースライザーの『フォースエグゼキューター』を引く。『エクスパンドジャッキ』によりセットされたプログライズキーが強制展開され、認証が始まる。

 

フォースライズ!

 

「な、バッタ!?」

 

ベルトから飛び出すように巨大なバッタが飛び出してくる。驚きで動きが固まった男にそのまま飛びかかり吹き飛ばしながら、バッタは俺の周囲を飛び回る。

 

(ライジングホッパー!)

("A jump to the sky turns to a rider kick.")

 

音声とともにバッタは原形を崩し、俺に覆いかぶさるように展開し縛り付けるようにして俺に装着される。

 

"Break down."

 

そうして、黄色と黒の装甲に覆われたライダー・・・『仮面ライダー001(ゼロゼロワン)』へと変身した。

 

「な、なんだお前・・・!」

 

何かを感じ取ったのか、男の顔は恐怖に歪んでいた。震える声で呟く男に、俺は仮面の中でため息をこぼしながら近づいていく。

 

「く、来るな・・・!」

 

「・・・」

 

「来るなぁぁぁぁぁ!」

 

錯乱しその豪腕を歩いて近づく俺にむけて振り下ろす男。そこで俺は、先程のように回避・・・はせずそのまま受け止めてみせる。

 

「なっ!?」

 

「どうした?受け止められたのがそんなに驚きか?」

 

受け止めた腕をそのまま握りしめるように掴んでいるので、おそらく男は動かない腕と握られる痛みで困惑してるんだろう。

 

「がっ、くそ、離せ!・・・ぎゃああああああ!や、やめろ!やめてくれ!」

 

『ほぉー、こいつは面白い。さっきは命乞いする奴を快楽のために殺しといて、自分の時にはやめてくれ、か。こいつはまた人間らしい低脳な野郎だぁ!』

 

「お前に慈悲をかける気なんてないよ。とりあえず、死んどけ」

 

掴んだ腕を上へ跳ね上げ、ガラ空きの胴に連続で拳を叩き込む。男の顔が苦悶に歪み、言葉になってない叫びとともに両拳が振り下ろされる。

 

「フッ!」

 

「ゴッ!?」

 

わざわざ受け止めるのも面倒になったので、振り下ろされる腕に拳を合わせ、殴ってカチ上げる。驚愕する男の喉へ飛び膝蹴りを喰らわせると、勢い良く路地の壁へと突き刺さる。

 

「て、めぇぇぇ!!」

 

『タフだなぁおい』

 

「終わりだ」

 

そう言ってフォースエグゼキューターを戻し、すぐに再度展開する。

 

ライジング!

ディストピア!

 

「ぐっ・・・!おあぁぁぁぁ!」

 

激痛とともに装甲の隙間から赤黒い血飛沫のような煙が吹き出る。ってかクッソいてぇ、やっぱこのベルト嫌だマジで!

 

「ハッ!」

 

「!?消え・・・グホッ!?」

 

強化されたスピードに任せて高速で男へと突っ込み、蹴りをぶち込む。

知覚不可能な速度での一撃に鯖折り状態で吹っ飛んだ男を追いかけ、壁に激突する前に頭を引っ掴み地面に叩き込む。

 

「ッガァ!?」

 

「消えろ!」

 

そのまま上空へと放り投げ、今度はフォースエグゼキューターを二度展開させる。

 

ライジング!

ユートピア!

 

パワーの集まった足で地面を蹴り、男の真上へと飛び上がる。

たまたま見えた男の最後の顔は、ぐちゃぐちゃだったがすぐにわかるほど恐怖で歪んでいた。

 

「あ、あ、あああああああああああ!」

 

「・・・チャオ」

 

ラ   イ   ジ   ン   グユ

                 Ⅰ

                 ト

                 ピ

                 ア

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『おい、戦人』

 

「あん?」

 

実験台との戯れを終え、キッチリと警察に通報だけは済ませた俺は、コンビニで買ったチキンを頬張りながら歩いていた。

一応言うと、男は生きてるし瀕死でもない。空中で落下中に完全に気を失ってしまったので最後の一撃は男の顔面の真横、地面に打ち込んで済ませた。流石にまだ殺人の罪を犯す気にはなれない。

 

『なんでわざわざあのベルトを使うんだ?普通に負担がヤバいだろう?』

 

頭の声が心配げに聞いてくる。・・・全く、気に食わない。

 

「何が言いたいんだよ」

 

『あんな体への負担の大きいベルトなんか使わなくても、「俺」を使えばいいだろって話さ』

 

どうせそんなことだろうとは思った。チキンを食べ終えクシャリと紙を丸め、通りかかりに自販機の横のゴミ箱へと突っ込み缶コーヒーを買う。

 

「ふざけんなよ『エボルト』。お前の言うとおりにするわけないだろうが。どうせ体の所有権を奪いたいんだろう」

 

『はっはっはバレたか!まいいさ、気が変わったらいつでも言えよ?』

 

心底面白いと言うように笑うクソッタレに、俺はため息をつきつつ鞄の中を覗く。

 

 

 

使用していくたびに性格が攻撃的になり、最後には精神崩壊する、『デルタギア』

 

赤いトリガーとウサギ、戦車の描かれたボトル、黒い本体に赤いハンドルのついた、愛と平和を望んだ最高の科学者の負の面、『ハザードトリガー』と『ビルドドライバー』

 

人間用に作られておらず、使用時や必殺技時に激痛に苛まれる、『フォースライザー』

 

使えることには使えるが、使ったが最後エボルトに体を乗っ取られるであろう、『エボルドライバー』と『トランスチームガン』

 

 

「・・・どう考えても地獄だ・・・」

 

『ま、楽しく行こうか!ハッハハハ!』

 

 

これは俺が、最低でクソッタレなヒーローになろうとする物語だ。




主人公
乾 戦人 (いぬい せんと)
★夢がないけど夢を守るオルフェノクと、愛と平和の最高な科学者と、元お笑い芸人現社長の3人から1文字ずつ取ってできた名前。
★年齢はデク達と同じ。幼少期、デクと同じで個性がないと診断される。転生時の取り決めである時期から仮面ライダーとしての力を持つ。(ただしデメリットは全部受ける)
ヒーロー願望あり。転生時に特典として「仮面ライダーの力」を望んだが、「何の」を言っていなかった。結果、神(作者)の好みで選ばれたライダーの力とついでで火星人()を持つ。ついでで付いてきた火星人()がヤバイ。
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