ドンテンカーンドンテンカン、ドンテンカーンドンテンカン 作:コジマ汚染患者
ボブは訝しんだ。
「おえぇぇぇ!げほっ、グエェェっ!」
全く、ヒデェ有様だ。帰宅と同時に吐くかよ。
洗面所へと駆け込み、トイレに向かって泣きながら吐く戦人を上から眺めるような視点で鑑賞する。
そんなことになるくらいなら、最初からやらなきゃいいのになぁ。
笑いながら見ていると、戦人はフラフラと自室へと向かい、そのまま倒れるようにしてベッドに突っ伏す。
『おい、風呂入るんじゃねぇのか?』
「・・・うるさい」
俺の言葉に悪態をつく元気もほぼないかぁ。これは重症だな。
・・・丁度いい。戦人も寝ちまったみてぇだし。
『此処で潰れてもらうわけにもいかない、ってわけでお節介でもするかねぇ』
そう言って俺様は、死んだように眠る戦人の頭へと手を伸ばした。
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『全く、ひでぇ奴もいたもんだ』
(・・・黙ってろ)
昨日から相変わらずエボルトは機嫌が良さそうだ。こいつが機嫌良い時ってのはだいたいろくでもないこと考えてるからこっちとしては面倒の一言だ。
学校へと向かう道すがら、ふと昨日ヴィランと女子を殺した場所の近くまで来る。若干の吐き気と、あれでよかったんだと叫ぶ自己肯定の心の声に顔をしかめてしまう。
(・・・あれが俺の本性・・・なのか?)
昨日の事は鮮明に覚えている。デルタによる闘争心の向上はあったが殺ると決めたのは俺の意思だ。だが、時間をおくごとにあれで本当に良かったのか、と囁く声が聞こえるような感覚がしてイラつく。
どうしても気になってしまい、昨日の惨状が広がるであろう道へと向かってしまう。・・・この曲がり角の先に、黄色いテープと警察官にパトカーが・・・
「・・・なっ!?」
曲がり角の先には、何もなかった。黄色いテープのバリケードも警察の姿も。それどころか、昨日俺がデルタを使って行動した事で出来ていたはずの割れたアスファルトも、ヒビの入った壁も全て元どおりだった。
極め付けは、女子の死体も、ヴィランの死体も消えていた事だ。まるで最初からあんなことがなかったかのようだった。
「どうなって・・・!?」
明らかな異常事態に混乱していると、今朝からいつもより大人しいエボルトが声をかけてくる。
『・・・時間、これ以上はねぇんじゃねぇか?』
「・・・」
(まさか、こいつ・・・)
心にしこりを残しながらも、俺は学校へと向かった。
「おはよう」
「うーっす、今日はちゃんと起きれたのな」
「ほっとけ」
「そーいやさ、昨日この近くでヴィラン出たらしいぞ。なんでも・・・」
学校へと到着し、なるべく普段通りに挨拶をする。・・・話題に少しどきりとするが、友人たちはそこまで知っているわけではないようで、気をつけないとな、程度の話だった。どこかほっとしながら与太話をしていると、不意に背後から声をかけられる。
「えっと、乾くん?」
「?・・・っ!?」
ガタン、と思わず椅子から立ち上がり茫然とする。
突然の俺の動きに驚いたように目を見開いているその人は、昨日ヴィランに絡まれていた女子生徒だった。
「な、なん!?」
「えっと、昨日はありがとね!」
「な、何がだ?」
恐る恐る聞いてみると、女子は一瞬キョトンとして、その後すぐににっこりと笑う。
「何って、昨日ヴィランから守ってくれたじゃない」
「何!?おい戦人まじか!?」
「・・・あ、ああ」
「ヴィランに囲まれていたところを、戦人君が隙をついて横から手を取って一緒に逃げてくれたの!」
「ま、まじか・・・!」
「圧倒的イケメンムーブ!」
(んな馬鹿な!?あの時確かに・・・!)
俺は表面的には苦笑いしつつ、内心で絶叫する。この女子が生きていることもそうだが、何故か俺の変身もヴィランも見ていないと言っている。一体何が・・・!?
「その、他の友達は?」
「何言って・・・そっか、あの状態じゃ気づかなかったよね。乾くんが来たときには、もう・・・」
「ヴィランは?」
「まだ逃走中だって。あの個性で燃やしたりしていた人は捕まったらしいけど」
恐る恐る聞いてみると、ヴィランに殺されていた方の生徒はそのまま。しかし目の前の女子は生きていて、しかも俺のしたことの記憶が無い。
ヴィランの方も、主犯格は捕まり他が逃走中。ってことは生きている。
「・・・まさか!」
「?おい、戦人!?どこ行くんだよ!?」
「行っちまった・・・。もう授業始まんぞ?」
学校の屋上までやってきた俺は、頭に手を当て苛立ちのままに声を荒らげる。
「エボルト!聞いてただろ、あれテメェの仕業だろ!一体何したんだ!」
『ああ?何のことだ?』
「惚けるな!」
叫ぶと、エボルトがため息をつく感じがした。そして次の瞬間、
「っが!?」
突然全身に激痛が走り、どす黒い血の煙のようなものが吹き出してくる。それは俺の目の前で固まっていき、そしてそこに人の形を形成していく。
「・・・エボルト」
『おー、この姿で会うのも久しぶりー・・・とか言ってる場合じゃねぇか』
現れたのは、エボルトの持つ数ある姿の一つ、『ブラッドスターク』。エボルトは片腕を回したり、首を左右に振ったりと体の確認をしつつこちらを睨んでくる。
「もう実体化できるまでになったのか」
『いいや、あくまでこの姿は擬態さ。まだお前のハザードレベルも3.1とそう高くないし、俺自身もそこまで回復していないからなぁ』
忌々しい、と睨んでいると相変わらずの何を考えているかわからない笑いをこぼすエボルト。
『・・・で?聞きたいことはなんだ』
「昨日の対ヴィラン戦、俺は間違いなく殺意を持って行動していた。そして、目撃者である全ての人間を・・・殺したはずだ」
『で、何故かそいつらが生き返っているって事で、俺の仕業だと?』
「ああ」
『証拠があるわけじゃぁねぇだろう?俺じゃなくて、ひょっとしたら通りすがりのヒーローとかが何かしたかもしれねぇじゃねぇか』
「・・・」
『・・・』
俺が黙って睨んでいると、エボルトもこちらを睨んでくる。双方睨み合いの膠着状態が続く中、突然エボルトが吹き出す。
『・・・フッ、ハハハハハ!まぁいい、そうだよ、俺がお前の体を使ってちょいとやらせて貰ったよ!あの時のお前はひどく不安定で、扱いやすかったよ!』
「なぜ、そんな事をした?お前がただの善意でそんな事をするはずがない」
『なんだ?そんな事ってのは、わざわざ人間を蘇らせた事か?それともその上で記憶をいじってお前がバレないようにした事か?』
「・・・どっちもだ」
何が言いたいのか分からない。しかし、こいつは何を考えているのか分からないのがデフォルトだ。擬態とか言っていたが、それでも戦うくらいできるだろう。いっそここで『ヤる』べきか・・・
『あー、なんだ。今回はあくまでお前に説教をしようと思ってなぁ』
「・・・はぁ?」
そう言うと、パチンと指を鳴らすエボルト。すると校舎の屋上から、やや街から離れた工事現場へと飛ばされる。どうやらまだ人はいないようだ。
「お前なんかに説教されるいわれはない」
『本当にそうかぁ?』
「・・・何が言いたいんださっきから」
エボルトから感じる雰囲気がガラリと変わった。これは・・・!
「ぐっ・・・!」
『そら、どうしたんだ?さっさと変身しねぇとやられるぞ?』
いきなり殴りやがって・・・!ああそうか、今ここで俺の体を完全に乗っ取りたいわけだな!説教とか言って、結局は体が目当てか。
「いいぜ、やってやるよ・・・!変身!」
フォースライザー!
jump!
フォースライズ!
(ライジングホッパー!)
("A jump to the sky turns to a rider kick.")
"Break down."
即座にフォースライザーを取り出し、001へと変身する。変身が完了するのを待つ事なく一気にブラッドスタークとの距離を詰め、膝蹴りをぶち込んでいく。
『いいぞぉ、もっとだ!もっとこい!』
「言われなくてもぶっ殺す!」
そうして始まる殴り合い。躱し、殴り、受け止め、蹴る。超至近距離での戦闘になり、周囲には衝撃でヒビが入ったりしている。スペックがどれだけ違うのかは分からないが、エボルトの方にはまだ余裕がある風に見え、突然挟まれたフェイントに対応できず腹に蹴りをもらってしまう。
「くっ、くそ!」
『ほらほら、その程度じゃねぇだろう?』
「なら、これで!」
ライジング ディストピア!
『おっ・・・と。ならこちらも』
激痛に耐えつつ加速しヒットアンドアウェイで攻撃を仕掛ける。スタークの方も流石に素手じゃ対応できないと判断し、トランスチームライフルを取り出し銃撃してくる。
『なぁ、いつからだ!?お前が仮面ライダーとして裏で戦闘を始めたのは!』
「あぁ!?」
銃撃と高速移動の最中、スタークが急に話しかけてくる。・・・なんなんだ今日のあいつは!
『確か俺がお前の中で目覚めた頃には、お前言ってたよなぁ!「誰かを助けるヒーローになる。仮面ライダーになって、正義のために戦いたい」って!』
「・・・!」
『いつからだ、お前が昨日みたいに実験と称してヴィランをやるようになったの!』
蹴りやパンチを繰り出し、スタークへの殺意に染まった思考の片隅でふと考える。最初はあくまで、雄英に入るまでに力をつけるってのを目的にベルトに慣れるための行動だった。デルタや001での戦闘を続け、時には予想外に強いヴィランにボコボコにされ死にそうになりながら逃げた時もあった。どうしても激痛が耐えられない時期には、デルタを多用し出力に任せてヴィランを倒しまくった。
『お前気付いているか!?昨日のお前、相手を殺した時まるで機械か人形みたいだったぜ!いや、昨日というより最近か!』
「うるさい・・・」
銃撃が突然頬をかすり、スタークの言葉に思わず立ち止まる。と同時にディストピアの効果が切れ、スタークがライフルの照準を合わせてくる。
『本当に今やっていることはお前のなりたかった正義の味方か?』
「・・・」
『お前のなりたい仮面ライダーってのは、あんな存在か!』
「・・・ぅ」
『お前はただ、与えられた力に溺れているに過ぎないんだよ!』
「違う!俺は、ヒーローに・・・!仮面ライダーに!」
『なれると?っは!無理だね』
・・・エボルトがコブラフルボトルを取り出す。違う、俺は仮面ライダーだ・・・。彼らのような、カッコいいヒーローに・・・!
『今のお前は正義の味方すら演じちゃいない!』
コブラ!
スチームブレイク!
「・・・るさぃ」
『お前は仮面ライダーごっこですらない。お前がしているのはただの自己の保身だよ!』
「うるさい!!」
ライジング ユートピア!
エボルトがライフルを構え、エネルギーが溜まっていく。それをみて、無意識に俺もジャッキを操作して必殺技を起動しジャンプする。不思議と、今だけはあるはずの激痛が気にならない。
「俺は・・・俺は!」
ラ イ ジ ン グユ
ー
ト
ピ
ア
エボルトの放った一撃と俺の蹴りが交差し、拮抗する。真っ向から突っ込む形になったため、じわじわと押し返されようとしていた。
「ぐ、ぐぅぅぅ!!」
『・・・』
「・・・ああああああっっ!!」
結果、蹴りと銃撃、双方のエネルギーが弾け、俺は吹き飛ばされる。
一回、二回と転がり、止まったと同時に変身が解ける。そこで俺の意識はブラックアウトしていった。
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気絶したか・・・ま、本調子じゃない状態で無理に変身すれば当然か。
『やれやれ、ずいぶんと手間かけさせてくれるな全く』
よっと一声、隣に腰掛け、仰向けに大の字で倒れたまま眠る戦人を見る。
顔色は悪く、寝不足の隈が隠し切れていない。眠れていない証拠だった。
『にしても、相変わらずどれだけ挑発してものらねぇなぁ』
戦人から「ハザードトリガーが外れないドライバー」を取り出す。過去にあった出来事で外せなくなり、使えば必ず誰かを巻き込む暴走列車となったビルド。こいつを使ってくれればハザードレベルもいい感じに上がってくれるんだがな。俺の存在を知ってから全く使おうとしないとはまた用心深いことで。
(ま、今回はこいつが本来のペースに戻ればそれで良し。流石に昨日は驚いたからな)
デルタとか言う俺の知らないライダーシステムを使い過ぎた結果だろう。闘争心というか若干倫理観まで外れかかっていたからな。別に外れてもハザードレベルが上がるならいいが、むしろ下がっていったのには驚いた。感情が昂るというより、殺意が増しているだけなのか?それとは別の理由もあるが、今回の暴走と発言に関してはまだギリギリ許容範囲だ。
『暫くはデルタを使わないよう言い聞かせるか・・・あるいは』
まぁこれ以上俺様に不利になる方向にはならないだろう。
・・・せいぜい上手く育ってくれよ、宿主さんよ?
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「・・・負けた、のか」
『おう、やっと起きたか寝坊助め』
目を覚ますと、学校の屋上にいた。時刻はすでに18時、結局無断のサボりになってしまったな、なんてふと考える。
「・・・ありがとう」
『はぁ?』
「なんとなく昨日の俺がおかしかったってのはわかった。今の俺の行動がヒーローとしてどうなるのかってのも考えたし、大人しくするさ。そう言った諸々を気付かせてくれたこととか、昨日の始末をつけてくれたこととか。そう言ったことへの感謝」
・・・なんだ?エボルトが喋らな
『うっわ気味悪いな』
「あ゛あ゛!?」
なんだこいつ人が素直に謝ったってのに!
『冗談だよ冗談。まぁ俺としても不利益な状況だったしな。Win-Winってことにしといてやるよ』
「・・・おう」
これだ。なんだかんだでエボルトは俺に甘い。それが計算された甘さなのか、ただ単に気まぐれなのかは分からないが、こいつのこういうところだけは微妙にありがたい。
・・・にしても、今はとりあえず帰るか。
『あ、そーいうわけだから、デルタは暫く自重したほうがいいぞ。流石に次やらかしても知らねぇからな』
「分かってる。・・・となると、まともに(?)使えるのはフォースライザーだけか・・・」
『あー、それに関してだが少し提案がある』
「あ?」
屋上から階段を降りていると、エボルトがそう言うと同時に俺の目の前に銃のような物が現れる。
「これって・・・!」
『それに関しては俺は関与しねぇ。だから好きに使いな。せいぜい頑張って強くなるんだなぁ戦人』
どこか楽しそうなエボルトの声を聞きながら、俺は「トランスチームガン」と「バットフルボトル」を手に取り顔を顰めた。
やっぱり、こいつわからねぇ
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「ふんふんふん!なるほどなるほど、ここが悪かったんですね!」
やはり可動域のプログラムが甘かったようです!私とした事が、随分と無茶でしたね!くるぶしが180度回りそうだった先輩には後で謝罪しないといけませんね!
「おーい、発目ー。もう部活終わりの時間だから、お前鍵頼むわー」
「はいはい!了解です!」
おっと、もうそんな時間で。いやはや、ドッ可愛いベイビーの開発は時間が足りなくて困りますね。
「・・・から・・・だろうな?いや、・・・なくて!」
「・・・んん?」
おや、外から声が。もうこの時間ですとこの「技研部」以外の部活は終わっている筈では。
・・・まぁ、ベイビー開発には関係ありませんし、どうでもいいでしょう。
「だから、お前からもらったフルボトルとか使う気ないって!」
『いや、別にそれ使ったからってハザードレベルは上がんねーから。大丈夫だから』
「お前の大丈夫は安心できねぇんだよ!」
・・・うるさいですね。何やら独り言叫んでますし、おかしな人でしょうか。
「すいません、折角のベイビー開発の最中なんですけど、静かにしてもらえますか!」
「おっ!?す、すいません」
全く、これでもう少しだけ専念でき・・・!?
「ちょ、ちょっとそれ、サポートアイテムですか!?」
「は!?ってあんたは・・・げっ!?」
何やら私を見て、そのあと手に持っているサポートアイテムを見て妙な声を上げていますが、そんなことより!
「見せてください!銃のようですね、どんなものを撃ち出すんでしょう!?やや!?何かを装填する場所がありますね!しかもあなたが持っているその小さいボトルか何かがジャストフィットしそうです!私、気になります!どうでしょうか、少しその素晴らしいベイビーを見せていただけないですか!あ、私のベイビー達も見てあげてください!まだサポートアイテムとも呼べないような物ですけど、数だけはあるので!」
「長い長い、というか待って、持ってくのはやめろぉ!?」
・・・これが、私が彼と初めて出会い、そして私のサポートアイテムの方針を変えた転換期となったのでした。
あ、因みに結局長いことベイビーについて話していて先生には怒られました!同志を持つというのも悪くないですね!
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『さてさて、取り敢えずはいい感じに戻ってきたな。まぁ、初めっからハザードトリガーを使ってくれりゃあここまで長くはならなかったんだが』
『気長に行くとするかぁ。なぁに、時間はある』
『戦人もまだ「あのこと」を乗り越えたわけでもねぇし』
『楽しみだよ戦人。お前といると本当に飽きない』
エボルトは、キラキラした目でトランスチームガンを愛でている発目から必死に取り返そうとする戦人を見つつ静かに笑うのだった。
エボルト(ブラッドスターク)vs仮面ライダー001
まぁ主人公疲労してたし、使うと痛いから、しょうがないね!(白目)
あとまだ戦人くんのメンタルが割とブレッブレな感じ・・・どこのARCーV主人公かな?
まだ中学編は続くんじゃよ。