ドンテンカーンドンテンカン、ドンテンカーンドンテンカン   作:コジマ汚染患者

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ヌルッと更新
めちゃくちゃで陳腐な今作品ですが、
「関係ない、書け」
と言える方であれば是非拝読下さい
訳:下手なのはわかってるから批判きてもいいけど心は折れるのでオーバーキルはやめてね(土下座)


第4話

エボルトとのケンカ()から月日が経ち、もうすぐ雄英の受験が始まる。友人や同級生も必死に机に向かっている姿が板についてきたころの、いつもと変わらない学校の放課後。

かくいう俺もサポート科での合格を目指し日々勉強である。今日のノルマは終わらせ、カバンに教科書を突っ込みながら席を立つ。

 

「戦人ー、今日漫画の新刊の発売日だぜ、息抜きに少し書店寄ってこー」

 

「おー」

 

すると割と付き合いの悪い俺の数少ない友人達が、教室の入り口で呼んでいる。・・・俺も息抜きはしたいしな。適当に返事をし、さて行くか、と鞄を持ったところで急に廊下から物凄い足音が迫ってくる。この異様な足音は・・・!

 

「・・・っ!マズイ!」

 

「あ!?おい戦人何を」

 

「悪りぃ、先行っといてくれ!後から追いつく!」

 

友人達にそう言って即座に窓から飛び降りる。こーいう時二階の窓際席ってのは役立つってことを不本意ながら知った。

 

「こら乾ー!窓から飛び降りるなとあれほど言っただろ!」

 

「すいません、以後気をつけますー!」

 

運悪く下を歩いていた担任からの怒声を背後に受けながら、全力で走る。全くあいつは、いい加減にしろっての・・・!

 

「はっはっは!かかりましたね乾さん!廊下の足音は私の作ったベイビーの一つ、『足音偽造くん』!私の普段履いている靴を履かせただけの走る下半身です!乾さんなら私の自作靴の足音を見抜けると思いました!」

 

「!?」

 

「おい、下半身が走ってるぞ!?」

 

「きゃぁぁ!何あれ!?」

 

教室や廊下からは他の生徒の悲鳴や驚きの声が聞こえる。しかし、俺にはそれを聞いている暇はなかった。

突如頭の上から聞こえてきた嫌な声に、咄嗟に上空を見上げる。

 

「今日は技研部の活動日です!さぁ一緒にドッ可愛いベイビーの試作に取り掛かりましょう!」

 

「ふざけんな発目ェ!試作っつか俺を実験台にするだけだろ!」

 

上空から妙な靴を履いて降りてきたのは、発目明。ヒーローが使うサポートアイテムを作ることを趣味とする、俺と同じ雄英サポート科志望の女子だ。なんの因果か目をつけられてしまい、こうして時折部活動の日に追いかけられることになってしまった。基本逃げいているんだが、うちのクラスの人間から居場所を聞いて追いかけてくるから疲れることこの上ない。・・・既にうちのクラスでは受け入れられているというのが解せないが。

 

「え!?ダメなんですか!?」

 

「まず人で実験をするな!するとしても安全確認をしろ!それがあって初めて人だろ!」

 

「失礼な!ちゃんと安全性は確認してます!」

 

「じゃぁなんで前回は背負った途端に爆発したんだあれ!」

 

「・・・さぁ行きましょう!乾さんの体と、ついでに知識が必要なんです!」

 

「答えろよ!」

 

 

 

 

 

 

走っていく戦人と何故かゴムボールのように跳ねる靴で跳びながら追いかけていく発目。2人を窓から見送りながら、友人達はため息をつく。

 

「いつのまに発目さんと仲良くなったんだろなあいつ」

 

「え、あれ仲いいって言えるっけ?」

 

「いやいや、あの戦人があそこまで素で接している時点で割といい関係じゃん」

 

「確かになぁ。初めて会ったときのあいつとか、こう、見てらんなかったじゃん」

 

「「あー」」

 

うんうんと頷き合う友人達。あいつも俺たち以外に友達できたのか、よかったよかった。と何故か親心のような何かを感じているのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「お前、まじで制作物使うのはなしだろ・・・」

 

「いいじゃないですか!乾さんは捕まえられて、さらに試運転もできるんですよ?一石二鳥です!」

 

『流石に捕まるかぁ』

 

(一応言うと俺個性ない扱いだからな?発目さんも個性は戦ったりできるわけじゃないけど、アイテムがエグい。これでまだ学生ってんだからびっくりだよ・・・まぁ、逃げるって言ってもわざわざベルト使うほどのことでもないし)

 

ため息をつきつつニコニコ顔の発目の後ろをゆっくり歩く戦人。結局捕まってしまい、発目と共に技研部へと向かっていた。

 

「にしても、なんで俺にそこまでこだわるんなんだよ。俺の持ってるものが興味あるんなら、条件付きで見せてやってもよかったけど」

 

「いえいえ、そちらも魅力的ですけど私としては乾さんの考えやアイデアがとても良い刺激になりますから!むしろ、実験台よりそちらの方が実はメインです!」

 

『とうとう実験台って言っちまってるな・・・』

 

そんな話をしていると、遂に部室へと到着する。数人の部員と部長が俺と発目を見て、「ああ、また捕まってるな」と同情の目線を向けてくる。

 

「お疲れ様」

 

「・・・ええ」

 

部長らしい男の同級生・・・名前は知らない。というかこの部に強制的に入れられるまでは知らなかった・・・から労いの言葉を受ける。そう思うのなら、しっかり手綱を握ってくれよ。

 

「さてさて、今日はこれいっちゃいましょう!」

 

部室に着くや否や恥に集められている発目作の試作アイテムが放られてくる。咄嗟に受け取り見た感じ、ゴツい手袋みたいだが・・・。

 

「これなんだ?」

 

「ふっふっふ、それはですね!『のびーるハンド』と言います!簡単です、5メートルほど伸びるだけ!」

 

なんだ、まんまか。某漫画の海賊王目指すDの人みたいなものか・・・?いや、そこまではいかねぇだろうな。とりまつけるだけつけてみるとするか・・・。

 

「思ったより普通だな。今までの感じで言うと悲惨な事になりそうだと思ったんだが」

 

「当然です。そう何度も失敗なんてしませんよ!」

 

試してみろ、と渡されたアイテムを使い的がわりの空き缶を5メートル程離れた場所から取ったり、天井を掴んでぶら下がったり、窓の外から木の枝を掴んで飛び上がり、そのままターザンのように移動したりしてみる。・・・本当に普通だ。というかまじで有用だ。これ発目が作ったのか?

 

「今回のは当たりだな。流石は発目だ」

 

「いえいえ!それほどでも・・・あるかもしれないですね!」

 

よく良く考えると、こいつは毎回ぶっ飛んだ物を作るわけじゃない。どちらかと言うと、そんなことは稀だ。・・・その稀にできる問題児を押し付けられるんだが。

 

「さぁどんどん試しましょう!」

 

「はいはい、俺の例のやつも手伝ってくれよ?」

 

「もちろん!」

 

 

 

 

 

 

「あの先輩すげーな」

 

「ああ。あの発目先輩の実験に平気で付き合えるって、やばいよな」

 

「前回爆発した時も、何故か無傷で発目先輩に説教してたし」

 

遠巻きに発目と戦人の様子を眺めていた他の部員達。戦人が来るまで発目の異常なまでの開発スピードに驚愕していたが、最近のペースは更に異常だった。

部活であり、使える材料や機器、作れるものに制限はあるためザ・武器と言えるようなものは流石にないが、素人目に見てもヒーローのサポートアイテムとして有用であろう数々のアイテムを作る発目。

しかし、発目は話を聞かず突然そのアイテムを他の部員に試させてくる事があった。他の部員達の中では、それがやや問題となっていたのだが・・・。

その発目の作ったアイテムを簡単な説明を受けただけで使いこなしている戦人。戦人が来てからは、その役目が全て彼に回っており自分たちの制作が捗っていたため、実は戦人は割と歓迎されていたりする。

部活後下校時間ギリギリまで何やらやっていたりするようだが、部員達には2人のその圧倒的意欲に感心し、また戦人に感謝していた。

 

「にしても、これどうするんだ・・・?」

 

「俺たちの先輩も何個かは参考的な意味で部に置いていったけど、発目のこれは残すの流石にまずいだろ・・・」

 

一方発目の同級生である3年生の部員と部長は、部室を圧迫し続けるアイテムの数にため息をつくのだった。

 

 

 

 

 

「さてさて、今日もやっていきましょうか乾さん!」

 

「あいよ」

 

部活動が終わり、部長から鍵を受け取ってウキウキが全面に出た笑みを浮かべ宣言する発目。相変わらず発明に関する意欲が尋常じゃない。

鞄から「トランスチームガン」と「バットフルボトル」を取り出す。

さて、何故部に所属していない俺が技研部で発目の手伝いをしているのか。

 

「今日も見せてください!早く早く、ハリーアップ!」

 

「分かったから!ちょっと離れてろ、あと落ち着け!」

 

その答えが、これである。

 

バット!

 

「・・・蒸血」

 

ミストマッチ

バット・・・バ、バット・・・ファイヤー!

 

ボトルを装着し、宣言と共にスチームガンの引き金を引く。銃口から黒い煙が噴き出し俺の体を覆う。こうもりのようなゴーグルと胴の紋章、、額には「セントラルチムニー」という器官が伸び、肩からパイプのようなものが伸びる。全体的に黒く、どちらかというとヒーローというより悪役の見た目だ。

 

「ナイトローグ・・・変身完了」

 

「おおおおおおお!!!」

 

変身が完了し、火花と共に煙が晴れると、発目が目を輝かせながら周囲をぐるぐると回る。

 

「この洗練されたフォルム!厳つい顔でありながらスマートさも併せ持つ立ち姿!凄いです、流石です!」

 

「・・・あんまり褒めようとしないでいい。にしても、これ毎回するのか?」

 

「当然です!それが私との契約、でしょう?」

 

そう、不本意ながら、発目とは契約、という名の口約束をしている。このナイトローグになる為のガジェットをエボルトから受け取ったあの日、偶然にも発目にそれを見られた。説明するまで離さないと言って聞かない発目に、止む無く「これは俺が作ったアイテムだ」と出まかせを言ったのだ。

 

『ぜひ!ぜひ使ってみるところを見せてください!』

 

そう言われ、俺がこういうのを作っていると誰にも言わない、ということを約束させた上で一度変身して見せた。すると、発目・・・こいつは、真剣な表情で話を持ちかけてきたのだ。

 

『もしよろしければ、私のベイビー開発に協力してください!あなたの発想や技術力がいいきっかけになると思うので!その代わり、部長に頼んでここの設備をあなたも使えるようにしてもらいますので!』

 

『・・・え、まじで?』

 

 

 

 

 

「まさか、ここまで好き放題されるとは思ってなかったがな・・・」

 

「ほうほうほう、これは中々・・・素晴らしい肌触り!フィット感も良いですねー!」

 

回想してたらなんか発目が身体中を触りまくってた・・・。おいやめ、くすぐったおうふっ。

 

「なるほど、あれだけの短時間で簡単に装着できるスーツとは、とんでもない技術ですね乾さん!」

 

「お前も凄いよな、異性の体スーツ越しとはいえめっちゃ触るし」

 

「はい!ベイビーを作るために妥協はしませんから!」

 

ああそう、と言いつつ変身を解除する。するとすぐさまペイッと体から離れ、発目は作業台に向かっていた。

 

「ふむふむ、着脱が容易な上に持ち運びは武器にもなる銃型のアイテムとボトル一本・・・携行性も抜群ですねぇ。そうです!携行性にも優れたアイテムならより需要が上がるのでは・・・!ですがそれだと耐久性が・・・」

 

「はぁ、まあいいか」

 

ぶつぶつと呟きながら図面をひいている発目を横目に、置いてある椅子に座って自分のすべきことをすることにした。勝手に帰ろうとすると「暇なんですね!ならこれを!」とか言って試作品を使わされかねない。

あくまで部活のためサポート科みたいな設備はないが、それでも発目の作る試作品はたまに殺傷出来そうなくらい爆発する。それだけは避けたい。

 

『よう、いいのか?』

 

「何が」

 

エボルトが突然話しかけてくる。発目は・・・集中してるな、小声なら大丈夫だろう。

 

『お前の正体・・・まぁあの姿でやらかしたわけじゃねぇが、あれを見せてよかったのか?今後あの姿でこっそり、ってのが難しくなったんだぞ?』

 

「・・・」

 

ナイトローグは、俺の持つ姿の中で最も知名度の無い姿だ。今後どのように活動するにしても使いやすかったのは間違いない。だが、エボルトの言う通り仮に発目がナイトローグの凶行を目撃してしまえばアウト。つまり俺はナイトローグを使うことに外的リスクができたのだ。

 

「・・・まぁいいんだよ」

 

『ほぅ?』

 

「流石に反省した。もう今後よほどのことがない限り実験はしないし、特訓はどっか人気のない場所でやる。・・・もうあんな事して気分悪くなりたくないからな。あとお前に説教されるの腹立つ」

 

『はっはっは!ああそうかい。好きにしな』

 

そう言って黙るエボルト。俺はとりあえずいつか必要に迫られた時のために自分の強化用アイテム、その基礎だけでも作ろうと許可を得た部の備品で製作に取り掛かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

彼、乾戦人さんは不思議な同級生だった。

 

『乾?ああ、あの無個性の奴だろ?いや、知り合いじゃないけど、珍しいことに無個性の奴ってこの学校だとあいつしかいないじゃん?だから知ってるってだけで』

 

『あいつ、あんまノリはよくないけど、まぁ悪い奴じゃないっぽいぞ』

 

『ああ、あいつの事か?無個性だけど身体測定やばいよな。運動神経はずば抜けてるよ。・・・個性あればよかったのになぁ』

 

初めて出会ったあの日の翌日から、彼の事を聞き込みで調べた。何故か私が彼について聞くと驚く人がいましたが、なんででしょう?

まぁいいです。そして分かったのは、彼が無個性であるということ、個性を抜きにすれば運動が得意だということ。そして、大多数から平坦な印象を持たれていること。

自覚はしてますが、自分は好かれるより驚かれるような人間です。まぁそれが嫌だとは微塵も思いませんが!・・・しかし、彼は違う。無個性でありながら、忌避されたり、いじめの対象になっていない。女子からモテるわけでも、クラスの中心にもいない。上位にも下位にもいない。友人がたくさんいるわけでも、所謂ボッチというわけでもない。絶妙な立ち回りで、自身への他人の感情を考えた生活している、それが彼を観察して得た答えです。

 

そんな何処までも平坦な人間だと言わざるを得ない彼ですが、少数の彼に友好的な人からの評価は意外でした。

 

『戦人?あいつのこと聞きたい?あいつは・・・何考えてるか分からない無口なとこあるけど、実はここだけの話、タコがダメなんだと。昼にたこ焼きとか食いに行こうって言ったら全力で逃げるんだ。まぁ、その悪戯してもすぐに許してくれるし、地雷さえ踏まなきゃいい奴だよほんと』

 

『あいつ、授業とかで当てられてもすらすら答えるくせに、なぞなぞにすっごい弱いんだぜ。それと、あいつ趣味でコーヒー淹れるんだけど、あいつが入れたらスッゲーまずい。まじで。・・・でも、わざわざ飲みたいって言ったとはいえ友達のためにコーヒーメーカー持ってきて先生に怒られるってのには呆れたけどな』

 

『私、ヴィランに囲まれた時に乾くんに助けられたことあるんだ。ちょっと話しかけづらい人だと思ってたけど、声かければ割とお話ししてくれるし、いい人だったけど・・・その、発目さんはなんで乾くんのこと聞くの・・・?』

 

どうやら深いところまで接した人とは良い関係を築ける人柄のようです。実際、私もここ最近よく彼にちょっかいを出していますが、彼は突っ込んだりはしますが、何だかんだで手伝ってくれるし、こうやって秘密も見せてくれます。

 

(フフフフFUFUFU、まぁ彼の持つ技術についてよく知るには好都合でしたし、まぁよいでしょう)

 

そう思い私は、彼との追いかけっこやベイビー開発のことを思い出し、どこか暖かい気持ちになりながら帰路についた。

 

「そうです!明日は、今日使ったのびーるアーム、あれの足バージョンを乾さんに試してもらいましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ははは、いい女みっけ・・・」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『随分と遅くなったな』

 

「そうだな・・・」

 

『まさか部室にスマホ忘れるかよ。ちょっと気ぃ抜いてんじゃねーか?ヴィランは別にお前から寄ってこなくても襲ってくるんだぜ?』

 

「わかってる・・・というかお前が言うなヴィラン筆頭みたいな性格しやがって」

 

くっそ、部室閉められてたから教員に頼み込む羽目になった・・・。受験生という事もあってあんまりいい顔されなかったな。気をつけないと。ただでさえ発目との追いかけっことかで内申が怖くなってるし・・・。

 

『・・・ん?おい、何か居るぞ』

 

「?この辺って工場があるし、誰かいるもんだろ」

 

『・・・にしちゃあ随分と俺好みの悪い気配だがな』

 

「・・・」

 

エボルトの気配察知は割と優秀だ。それも、こいつ自体が悪意の権化みたいな性格してるからか、ヴィランの気配を見つけるのが上手い。おそらくその誰かというのもヴィランなのだろうが・・・。

 

「だとしても俺は、しばらく自粛するって言っただろ。それにヴィランっぽい気配っつっても別に本当にヴィランだとは限らねぇ。警察に連絡入れてヒーロー呼ぶんでいいだろ」

 

そう言ってスマホを取り出す。電話を起動し、110を入力し通話ボタンを・・・

 

『ん?この感じ・・・』

 

「なんだよ?」

 

『ああ、こりゃぁお前の同級生の発明家の女の気配だな。ヴィランっぽい気配と一緒だな』

 

瞬間、俺はとっさに駆け出していた。

 

「場所は!」

 

『まぁ待て・・・ここから3つ目あたりの工場内だな。中にはヴィランっぽいのと、あと例の発明家女含めて4人ほど気配があるな』

 

「変身!」

 

jump!

 

フォースライズ!

 

(ライジングホッパー!)

("A jump to the sky turns to a rider kick.")

 

"Break down."

 

走りながらもフォーズライザーとプログライズキーを取り出し、変身する。バッタの跳躍力を生かして大ジャンプし、エボルトの言っていた工場の上にたどり着く。どうやら廃工場になっている場所だったようで、窓から様子を伺う。

 

「・・・!いた!」

 

中には、広い空間の中で真ん中に集められた4人の女性。中には発目もいる。そして、その目の前でニヤニヤしながら手に持った箱のようなものを手慰みに遊ばせているチャラい男と、目を瞑りじっと腕組みをして立つ角刈りの男。

 

「2人だけか・・・?とにかく、今は様子を見るしかないか・・・」

 

『戦人、警察は呼んだのか?』

 

「ああ」

 

『なら退散したほうがいいんじゃねぇか?その姿を見られると面倒だろ』

 

「だが、どう見てもこのままじゃ遅すぎるだろ。ヴィランの無力化はヒーローに任せるとして、人質を助けろくくらいしとかねぇと」

 

そう言って突入の隙を窺っていると、突然弾かれたように腕を組んでいた角刈りの男が目を見開きこちらを睨む。

 

「っ!?バレ・・・!」

 

すると突然、角刈りの姿がぶれ、次の瞬間

 

「何者だ、てめぇ」

 

「!?」

 

咄嗟に両手をボクサーのように顔の前で構える。するとそこに衝撃が加わり吹き飛ばされる。一瞬のうちに、角刈りが目の前まで移動して殴りかかってきたのだった。

 

「なっ・・・!?」

 

「逃すかよ」

 

そのまま飛ばされる前に、またいつの間にか背後に回っていた角刈りに蹴りを入れられ、窓を突き破りながら工場内へ落下する。

 

「・・・ぐっ!?」

 

「きゃぁ!?」

 

「おぉ!」

 

「あん?なんだ?」

 

地面にぶつかるとともに周囲から悲鳴が上がる・・・なんか1人おかしかった気がする。が、そんなことを気にする暇もなく咄嗟に立ち上がり後ろへ跳ぶ。

 

「っぶね、早い・・・!」

 

「おい相棒、なんだよこいつ?」

 

「知らん。覗きだ」

 

「へー、そうかそうか。覗きじゃあ殺されても仕方ねぇなぁ」

 

先ほどまで倒れていた場所に角刈りが飛び降りてきて、クレーターができる。背後にあった柱に背中をぶつけながら距離を取り、俺、男2人、女性4人という形で一直線になる。

 

『この位置は宜しくねぇなぁ』

 

(・・・それもだが、あの角刈りの個性が厄介だ)

 

未だに目の前にいるのに全体がぼやけて見える角刈りに警戒心が強まる。攻撃スタイルとかさっきの高速移動から、なんとなく予想はつく。対策というか、こちらには加速方法だってあるから色々うてる手はある。問題は、チャラ男がどんな個性で、どんなことをしてくるかが分からない。下手に動いて、ハメられたら詰みだ。

 

『まぁ、撤退・・・という手は』

 

「無いんだがな・・・!」

 

『よっし、よく行った!まぁ俺が出来ることなんて無いから、せいぜい健闘を祈るぞ』

 

エボルトが黙ったのを見計らったかのように、チャラ男が手を広げ立ち上がる。

 

「よぉ、よくわからねぇがヒーロー・・・ってわけじゃなさそうだな。ヒーローなら、居ても邪魔なくらいだが警察も連れてくるはずだしなぁ。それに先行して監視していたにしては相棒に見つかるほどにお粗末。他に監視の人員がいる様子もねぇし、単独で動くヴィジランテとかその辺だろ、お前」

 

(思ったよりこいつ頭回るのか・・・とりあえず2人とも厄介だな)

 

「ああ、喋らなくていいぜ。別に返答は求めちゃあいねぇ」

 

そう言ってチャラ男が中指と親指を合わせ、こちらに向けてくる。

 

「!くそっ!」

 

「どうせ殺すからよぉ!」

 

パチン、とチャラ男の指がなる。嫌な予感がして横に跳ぶと、俺の背後にあった柱が真っ二つになっていた。轟音を立てて、柱の上の方が崩れ柱そのものがこちらに向けて倒れてくる。

 

「なんだよそれ・・・!」

 

蹴りで柱を粉砕し回避する。土か埃の煙が舞うが、無事に終わる。が、舞っている煙の中から、突如角刈りが物凄いスピードで蹴りを放ってくる。

 

「遅いぞ」

 

「!」

 

「・・・堅いようだな」

 

ガードが間に合わず、顔面に衝撃が伝わる。のけぞらされたところへ追撃の拳がくるが、のけぞった勢いのままに後方へ距離を取る。

 

「だが、俺の個性の最大風速はこんなものじゃ無い。次はそのマスクごと顔面を砕いてやる」

 

「その後で俺が丁寧に殺してやるよ!」

 

余裕の表情で狂気的に笑うチャラ男と、背後に風を纏った角刈り。チャラ男は女性達の前から動いておらず逃すことは難しそうであり、チャラ男の個性は食らうとまずい予感がする。角刈りはスピードタイプのくせに威力もそこそこにある。

 

「・・・面倒だな。・・・まぁいい」

 

一度深呼吸し、拳と拳をガツンと合わせる。

 

「取り敢えず、ボコってから助ける!」

 

「やってみな!ただ、真っ二つだがな!」

 

「当たらなければどうということはないんだよ」

 

そうして俺は、ヴィラン2人に向かって突撃した。




次回、戦人無双開始
ヒント:タイトル
ようやく出せる・・・ss内の使用上使える時が限られてて出したいのに出せなくて辛い
次回もお楽しみに
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