ドンテンカーンドンテンカン、ドンテンカーンドンテンカン 作:コジマ汚染患者
文才が、欲しいです・・・!
『まったく、世話が焼けるなぁお前は』
ハザードフォームの一撃が、チャラ男に命中する寸前、そんな声と共に必殺の拳が止められていた。チャラ男は白目を向き泡を拭いて倒れ、角刈りも相方が死にそうになったというショックで固まっている。
「・・・」
『ハザードレベル4.4・・・。まさかここまで急激に上がるとはなぁ、流石に予想外だったよ。そんなにあの女が大事か?』
ハザードフォームが拳を抑えている存在へと目を向ける。いつの間に出てきたのか、蒸気を纏った状態のブラッドスターク(エボルト)がいた。
離れたところで見ていた発目はというと、突然現れたエボルトに流石に思考が追いついていないのか???と頭にクエスチョンマークが浮かんでいる。
「・・・」
『おっと、危ねぇな。まーこれ以上数値が上がっても「今は」面倒なんでな、一旦落ち着いてもらうぞ戦人!』
躊躇いなく蹴りを頭部へ放ってくるハザードフォームに、そう言って距離を詰めスチームライフルを腹に当てる。
コブラ!
スチームブレイク!
「・・・」
『おっ!?マジかよ!』
しかし、とんでもない反射速度で動いたハザードフォームが、ライフルを掴み真上へと強引に照準をずらす。当たる相手のいなくなったエネルギー弾は、工場の天井を突き破り空へと消える。
一瞬驚きつつもスタークは反撃を避けるために後方へと飛んだ。
『まったく、意識が飛んでるな?まだ乗っ取るにはハザードレベルが足りねぇし・・・』
「・・・」
ガタガタゴットンズッタンズタン!ガタガタゴットンズッタンズタン!
ready go!
ハザードフィニッシュ!
様子を見ているスタークに、なおも容赦なく攻撃を開始するハザードフォーム。ベルトのハンドルを回し、エネルギーを纏うと素早い動きでスタークへと飛びかかる。
『そら、出番だぞ、っと!』
フルボトル!
スチームアタック!
「・・・?」
ロケットフルボトルを取り出し、ライフルを構え応戦するスターク。ホーミングするミサイルがハザードフォームを襲うが、大したダメージにはならず一瞬ではあるがハザードフォームが戸惑う。
「乾さん!」
「・・・」
爆煙に包まれ一旦止まるハザードフォーム。すると、煙の中を突っ切って何かが近づいてくるのを感じる。合理的な対処のためにいつでも攻撃を躱せるよう構える。
「どーも!」
「・・・」
声と共に煙の動く気配を感じ、背後から近づいてきた存在へと裏拳を叩き込もうとするハザードフォーム。しかし、拳は空を切り腰部分に衝撃を感じる。
下を向くと、そこには怯えた表情ながらじっと顔を見上げる発目の姿があった。
「落ち着いてください、もう大丈夫ですから!あの二人はこれ以上やってしまうと殺しちゃいます!」
「・・・」
発目の言葉も意に介さず拳を再び握り、上段に構える。そのまま振り下ろされようとしたその瞬間、
『良くやったぞ女ぁ!この瞬間を待ってたんだ!』
そう叫びながらスタークが煙を突っ切って現れ、ベルトを掴む。
そのままトリガーを引き抜こうとするが、外そうとした途端ハザードフォームに腕を掴まれてしまう。
『!?』
「・・・」
『おぉあ!?』
発目に振り下ろされようとしていた拳がスタークへと向けられ、突然のことでスタークは顔面に諸に拳を喰らい吹っ飛ぶ。
「よく分からない人ー!?」
発目がそれを見て大丈夫かあの人!?と心配の声を上げる。しかし、次の瞬間ハザードフォームが動きを止め、ぐったりと倒れ込んでしまう。
「な、なんですか!?」
「・・・ぅ」
「!乾さん!」
そのまま変身が解けたハザードフォーム・・・戦人は気を失っており、発目に抱き抱えられる形となって座り込む。
『いってて・・・ま、どうにか止まったかぁ』
スタークが遠巻きにその姿を見ながら、殴られた頬をさする。さすっている方とは反対の手には、ラビットフルボトルが握られていた。
『相変わらずトリガーの方は抜けねぇか・・・今回はあの嬢ちゃんの手柄だな。仕向けたとはいえうまく気を引いてくれたからこうして止められた』
ふと、スタークが耳を澄ますと、遠くからパトカーと救急車のサイレンが近づいてきていた。
『ナイスタイミング、ってか。・・・ハザードレベル3.9。下がり始めたか?まぁ今回は成果もあったしこれで満足するか』
そう言ってスタークは、蒸気となり戦人の中へと戻っていくのだった。
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「・・・知らない天井ネタをすることになるとは思わなかったなぁ」
目を覚ますと、真っ先に見えたのは白い天井と、周囲を覆う同じく真っ白なカーテンだった。
確か変身が解けた後、その場の勢いでビルドになって・・・だめだ、そっから先が思い出せねぇ。
『よう、起きたかよ?』
「・・・エボルト」
エボルトの上機嫌な声でようやくぼんやりとしていた意識が戻ってくる。今いるのはどこかの病院のようで、病室のベッドに横たわっているようだった。
「お前が俺を止めたのか?」
『そうその通り・・・と言いたいところだがな。ま、半分だ』
「半分?それってどういう・・・」
ことだ、と言おうとしたところで腹の部分に違和感を覚える。
起きるのも結構辛かったが、痛みを我慢し起き上がってみると、
「・・・あー」
『もう分かったか?』
「大体。・・・なるほどなぁ」
そこには、俺を枕にして椅子に座ったまま眠っている発目がいた。窓の外の様子的に翌日の早朝5時ごろ。時間的に多分面会とかではない。隣のベッドにぐちゃぐちゃの毛布の山があること、そして発目の顔や腕に手当ての痕や白い絆創膏があることなどから大体の状況を理解する。
「そうか、俺、助けるつもりが助けられたのか・・・」
俺の上で眠っている発目の髪を何気なく梳きながら自己嫌悪に陥る。
俺は彼女を助けるために戦ったはずだ。なのに、その俺が彼女に助けられる。俺が最後に確認したときには、発目にこんな傷は無かったはずだ。つまり、これは俺を止めるため、もしくは俺が戦った余波で負った傷だ。
「なんて様だ、デルタの時から何も変わっていない。俺は俺の都合で人を振り回しているだけだ。やっぱり、俺は・・・」
『言いたいことは何となく分かるが、お前の考えは間違ってるぜ戦人』
「なに?」
エボルトが突然擬態化し、腕を組んでこちらを見下ろす。・・・多分今俺をぶちのめせば乗っ取れるんじゃないだろうかと考え身構えるが、エボルトは喋るだけだった。
『お前さんは十分この女のために戦ったよ。それこそヒーローってやつだ。お前が来なきゃあこの女も他の女も今頃はあのヴィラン達の手で酷い目に遭っていただろうなぁ』
「だが、俺は結局発目を危険な目に」
『だから、別にそれは問題じゃねぇだろう?お前がいようがいまいが、結局は巻き込まれていただろうよ』
エボルトの言葉に思わず黙り込む。エボルトの声は、今まで聞いたことないくらい真剣だった。
『別にお前さんはヒーローになった訳でもない。ましてやスタートラインにすら立ってねぇんだ。そんなガキが、ヴィラン二人を相手に人質抱えた状態で善戦どころか圧勝だぞ?ヒーローで見ても難しい仕事をやったんだ、むしろフォロー有りだとしても上出来だろうさ』
「・・・」
エボルトは、そうぶっきらぼうに吐き捨てながら発目のであろうベッドに座る。態度は結構雑であったが、その言葉には何故か今度は優しさのようなものが感じられて少し戸惑う。こいつ、なんで急に俺の慰めなんか・・・
『ま、俺としたらハザードレベルが上がってくれたから万事オッケーなんだがな!最終的には3.1から4.1だぞ!やったな!あ、だがそう考えるとお前としては今回の件は俺に乗っ取られる可能性上げただけだな、ドンマイってやつだ!』
「台無し&ドン引きだよオメーはよ!」
そんなことはなかった。この野郎、ポ○テピピックみたいな中指の立て方しやがって・・・!というか、いつのまにかそんなにハザードレベル上がってたのかよ、クッソ!そういえばビルドになるの久しぶりだし、あの時は感情がMAXで昂っていた気がする。あーもう、なんで変身しちまったかなぁ!・・・。
「・・・まぁ、いい」
『ほぉ?』
色々と問題も抱えたし、なんだったら発目にライダーとしての姿と変身を見られた。それだけでも大問題だが、何故か俺はすっきりとした気持ちだった。
「何だろうな、いまはこう、嬉しいと思ってる。発目を無事に助けられた。他の人も、あとお前が止めたっていうなら多分ヴィランの方も生きてるだろう?人を助けて、人を守れた。誰も失うこと無く。こう、初めて・・・「仮面ライダー」らしいことができたんじゃねーかな、って思う」
『・・・』
エボルトはなにも喋らない。だが、吐き出してみるとより心が軽くなった。そうだ、俺は力を得て初めて、自分のためではなく「誰かのため」に仮面ライダーになれたんだ。
『・・・その女じゃなくても、お前は誰かの為に動くのか?』
「ああ。思い出したからな。俺が、何になりたかったのか」
『じゃあその女はどう思ってたんだ?』
「そうだな・・・最初は変なやつだと思ってた。まぁ今でも思ってるけど。だけど、こいつは案外いい奴だ。俺みたいなのにでも普通に接してくれるしな。あと今回は命の恩人でもあるかな?」
『・・、なるほどねぇ。じゃあ最後だ』
「まだあんのかよ・・・」
『こいつへの好意でも持ってるのか?』
・・、?質問の意味が分からねぇ。まぁ、そうだな、発目に好意、ねぇ。ようするにこいつと仲良くなりたいかどうか、だよな。
「ああ、持ってる。・・・もういいだろ、俺もう寝るからな。エボルト、発目もいるんだ、とっとと戻れよ」
『はいはい、仰せの通りに』
妙な態度をとるエボルトに首を傾げる。が、もう眠気が尋常じゃなかったため、俺は素直にその眠気に身を委ねたのだった。
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「とっとと戻れよ」
そう言って布団にくるまる戦人。すぐに寝息が聞こえてくることからも、だいぶ消耗していたのだと分かる。
(今なら簡単に乗っ取れる・・・)
ハザードレベルも上がり、そろそろ体を奪うには頃合いといえる段階にある。こいつ本来の戦闘センスもなかなかだ。少々ハザードレベルが足りていないが、乗っ取って暫くおとなしくするのであれば許容範囲。
『・・・ま、いいか』
だが、待つ。まだ待つ。もういつでも戦人が気を抜けば奪うことは容易い。しかし、俺の中に新たな考えが浮かんで止まない。
(こいつがどこまで行くのか見てみたいーーーーーー)
こいつは間違いなく歪んでいる。いや、「歪んでいた」。心にあったライダーになりたいという願望と環境から曲がった精神、二つの絡み合いが絶妙な形で戦人の中を歪ませていた。
俺が前回修正したのだってあくまで願望の部分だけ、精神に関してはノータッチだった。
それがどうだ。今回の一件、ただそれだけを乗り越えただけなのに、歪みが正されようとしている。
(脆い心、故に柔軟に変化し成長していく・・・素晴らしい!こいつは、こいつは俺の最高のおもちゃだ!)
歪みやすく、正されやすい。それでいて、一本強靭な想いがあるから、折れない。歪ませようと思えば簡単に歪むくせして、絶対に折れようとはしない。
戦人の体に戻りながら、静かな病室で誰にも聞こえないくらい小さく呟く。
『・・・もう少し、もう少しお前を見ていることにするぞ、戦人。精々俺を楽しませてくれよ?』
あとこいつも、面白そうだ。蒸気となり戦人の体に戻りながら、伏せた顔の横、耳を真っ赤にし頭から蒸気を出している女・・・発目とか言ったか・・・を見ながら俺は眠りにつくことにした。全く、これだから人間は面白い。
「・・・どうしましょう」
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どうやら人質の人たちは軽症だったようで、あっという間に退院していった。発目もそれに変わりはなく、俺はあっという間に一人となった。礼を言いたかったのに、発目のやつなんか俺と目を合わせてくれなかったな・・・。
「・・・暇だな」
『ああ、暇だ』
「そういえば、鞄は?他のベルトも入ってたんだ、どっかでスられてたらやばい」
『あー、安心しろ、俺がこっそり持ってる』
「そうかー・・・暇だな」
『全く、俺が応急処置してやったってのに、何で傷が開くかねぇ・・・暇だな』
「そればっかりはしょうがねーだろ、お前と違って俺は純正の地球人なんだよ・・・暇だな」
エボルトとくだらない話を続ける。個室というわけでもないためいつもなら他の病人がいるのだが、タイミング良くいまは誰もいないため遠慮せずエボルトと会話できる。
『・・・あ?おい、戦人。誰か来てるぞ』
「もう他の人が戻って来たのか?」
そう言って待っていると、病室のドアが開く。俺は何気なくドアの方を向き、少し驚く。
「・・・発目?」
「ど、どうも・・・」
そこにいたのは、私服姿の発目だった。手には見舞いであろう袋を持っており、いつもと違いどこかぎこちない笑みを浮かべている。
「サンキューな、わざわざ見舞いに来てくれて」
「いえ、助けてもらったんですから・・・」
「「・・・」」
ベッドの横に座った発目、ベッドの上の俺。妙に居心地の悪い静寂が続く。・・・え、なに、なんなのこの時間。というか、聞くべきことが色々あるだろ。
「・・・聞かないのか?その、俺のあのスーツのこととか」
「・・・その、聞きたいことには聞きたいのですが、なんというか」
歯切れの悪い発目に流石に困ってしまう。そこまでコミュニケーション能力高くないからフォローとか出来んぞ?
「・・・ありがとう、ございます。助けてくれて」
「あ?ああ、どういたしまして?」
「・・・っふ、あはは。なんで疑問形なんですか?」
「いやぁ、別にお礼を言ってほしくて助けたわけじゃないし、というか最終的には助けられたし」
少しだけだが笑ってくれた。よ、よし。とりあえず少しは調子戻って来たか?
「・・・あの姿、というかアイテムについては正直気になりますけど、今は純粋に助けてくれたことに感謝してるんです。いくら私でも命の恩人に余計な詮索はしないですよ」
「・・・そうか」
二人して少し気が緩んで笑みが溢れる。なんとなく気恥ずかしくなるな、面と向かって礼を言われるってのも。発目も完全にペースが戻って来たのか、いつもの笑顔になる。
「退院したら、また一緒に技研部で部活しましょう!あのアイテムに関しても色々知りたいですし!あ、なんだったらいま渡してくれてもいいですよ?」
「ざけんな!絶対にバラすつもりだろお前!」
「・・・そんなこと、ないですよ?」
「返事おっそ!あと目を見て言えや!」
「ところで戦人さんは、高校はどこにいくか決めましたか!?」
「誤魔化すなっての・・・雄英だよ、サポート科で」
「おお!私とおんなじですね!・・・よかった、一緒ですか」
「ん?なんて?」
「いいえ何にも!」
その後は、何気ない今後の学校での話や今回の件についての話、進路の話などをして過ごした。時に発目がボケ、俺がツッコみ、心の中でエボルトがからかうのにもツッコみ、二人ともが同時にボケて更に俺がツッコんだ。・・・おい、なんでツッコミが俺しかいねーんだ!
「・・・っと、もうそろそろ時間じゃねぇか?」
「おっと、そうですね!では私はこれで!」
そう言って立ち上がる発目。思わず心に浮かんだ言葉を言いたくて引き留める。
「・・・発目」
「?」
キョトンとした顔の発目を見て、そんな顔もできるんだな、と思いつつ努めて笑顔で言う。
「また、明日な」
「・・・はい!」
一瞬の間の後、発目はいつもの笑顔で返事をしてくれ、元気に帰っていった。
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「俺!復活!」
一ヶ月後、無事俺は退院することができた。医者は「腹切れてたのに回復早いねー!」と驚いていたが、昔から色々あったし、そこそこ回復力には自信がある。
「さてと、勉強再開か!頑張んねーとな!」
『ああ、もう時間もねーしな。後3日、頑張れよ〜?』
「お前に言われるまでもねーよ!・・・ゑ?」
ふと、エボルトの言葉に嫌な引っ掛かりを覚える。
『だから、後3日だろ?受験ってやつまで』
ギギギ、と軋むように首を動かし部屋のカレンダーを見る。今日の日付からちょうど3日後のところに赤丸があり、『受験当日!』と書かれていた。
『さぁて、徹夜、頑張れよぉ?』
「嘘だろォォォォ!?」
俺は絶叫した。
真夜中の更新。
エボルトがこんなに優しいわけないじゃんと思ったそこのあなた!
大丈夫(暗黒微笑)、エボルトだから。
次回、雄英編突入。
サポート科に関して原作であまり出てない気がする・・・まずい、このままだと主人公と発目さんが研究室でキャッキャウフフするだけの話ができてしまう・・・!