『おいおい第一関門ちょろいってよ!んじゃ第二関門はどう?!落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな!ザフォール!』
第一関門を続々と突破する生徒が増え続いて第二関門へと突入する。そこにはいつ作ったのかも分からないそこの見えない谷となっており、ロープをつなげた足場が続いていた。簡単に言えば大袈裟な綱渡り。そこの見えない深さに生徒の足は止まる。
最初にザフォールを進んだのは蛙吹。個性で大きくジャンプするとロープへと着地し両手両足で這うようにロープの上を進んでいく。その姿を見て自分も行こうと覚悟を決めるものが増える中一人怪しく笑っているものがいた。
「フフフ・・・来ました・・・来ましたよ!アピールポイントが!見てください多くの企業さん!私のどっかわいいベイビー達を!」
そう言って飛び出したのは発目明。サポート科に所属している彼女の体には機械によって固められておりその姿をにツッコミをいれる芦戸と麗日。だがサポート科はヒーロー科とは違い訓練がない。その代わりに自作のサポートアイテムのみをコスチュームとして使ってもいいことになってる。
飛び出した発目は腰に装着されているアンカーがつけられたワイヤーを射出し壁へと埋め込む。伸びきったワイヤーが発目の体を壁へと吸い寄せブーツのような機械が壁に垂直に着地する際の衝撃を和らげる。射出したワイヤーを巻きつけると同時にブーツについた車輪が回転し勢いよく空へと飛び再びワイヤーを射出して先へと進んでいった。
落ちたくはないが進まなければいけないため慎重に進んでいく中、轟はロープを凍らせて滑るようにしてどんどん先へと進んでいく。爆豪も爆発で体を浮かせて空を飛びゴールを目指していく。
「おそらく兄も見ているのだ。かっこ悪い様は見せられん!」
『かっこわりぃぃーー!!!』
飯田がTの形でバランスをとりながらエンジンを使ってロープを滑るように進んでいく。轟も同じようにして滑るように進んでいるためとてつもないバランス感覚が求められるのがわかる。そのせいで速度はあっても見た目に格好がつかないでいた。
先頭を進んでいたは轟はすでにゴールへと到着しており第二関門はあっさりと突破されてしまう。それを見た相澤がスタジアムを見てローレルへと向けて言葉を放つ。
『そろそろ頃合いだな。ローレル、スタートしていいぞ。』
『ここでスタジアムに取り残された哀れな小鳥が今飛び立つことを許された!』
『あいつが小鳥だったら俺たちはもう卵だな。』
『確かに!シヴィーー!!』
スタートの合図を聞いてようやく走り出した最後の一人。ローレルは他よりも遅れるスタートのほかに空を飛ぶことも禁止されているため今出せる最高の速度で進み第一関門へとたどり着く。
ローレル用に新たに投入されたロボが行手を阻むが速度が乗ったローレルを前にロボットの壁など意味はなく通り過ぎると同時に衝撃が走りロボが倒れていく。
『おいおい!もう第一関門突破か?!しかも丁寧にロボまで破壊してくれちゃってよぉ!!こいつは予算がやばいぜ!』
『いくら出したところで足止めにすらならないか。進行と同時に撃破とは実に合理的だ。』
その放送により背後から恐ろしい速度で追い上げてくる人物がいることを全員が聞いていた。レースに必死になっていたローレルがいなかったことにA組は全員が気がついてはいたがいないならそれで構わないと考えるよりも動いていた。
「あいつハンデ背負ってやがったのか。」
「ッチ!舐めやがって!」
先頭を走る轟と爆豪は苛立ちを隠せない。追いつかれないようにとにかく進むしかないため後ろを気にしつつも第三関門へと向かっていく。
『早くも最終関門!その実態は、一面地雷原!地雷の位置はよく見りゃ分かるようになってんぞ!目と脚を酷使しろ!ちなみに地雷は競技用で威力は大したことねえが、音と見た目は派手だから失禁必至だぜ!?』
『人によるだろ。』
プレゼントマイクの放送を聞いて第三関門の仕組みを理解した轟は地面をよく見てみる。地雷が埋まっている部分は掘り返した跡があるためそこを避けて進む。
(成る程な。こりゃ先頭ほど不利な障害だ。エンターテイメントしやがる。)
背後では地雷を踏んだ生徒がその音と威力によって飛び上がり飛んでいってしまう。人一人が空へと打ち上げられるほどの威力があるため踏んで仕舞えば相当なロスになってしまうことが窺える。
そこに地雷とは違う爆発音が轟へと近づいてくる。振り返ると爆豪が空中を飛んで地雷を避けながら進んでくる。足元に注意しながら進んでいた轟は進行スピードが落ちていたため容易に追いつかれてしまった。
「俺は関係ねぇ!てめぇ!宣戦布告する相手を間違えてんじゃねぇよ!」
『ここで先頭が変わった!喜べマスメディア!お前ら好みの展開だぁ!!おっとケントが既に第二関門の半ばまで来てるがミイラマン!あれは本当にいいのか?!』
『あいつには空を飛ぶことを禁じてるがあれは見ればわかる。ジャンプしてロープを渡ることなく進んでやがる。』
轟が爆豪へと追いついた頃ローレルも第二関門へと既に入っておりタイムロスを埋めるようにして突き進む。いまだにロープにくっついて進んでいく生徒達を追い越しながらも進んでいく速度は凄まじいものだった。
後続も第三関門へと到達し怒りのアフガンを進み始める中、先頭二人はお互いが相手への妨害を行い思うように先へと進むことができないでいた。爆豪は轟の前に出れば氷づけにされる恐れがあるため地上に降りて爆破で攻撃をする。轟は爆豪の前に出てもすぐに追いつかれ攻撃されるため氷で攻撃する。どちらも相手への攻撃を行いミスを誘発させようと同時に自分の足場を確認しながら一進一退の攻防を繰り広げていた。
第三関門へと到達した緑谷は先頭とはだいぶ距離が空いてしまっているため今からまともに追っていては間に合わないことを察した。だからすぐに追いつくためのプランを考え出した。その考えは緑谷が今持っている装甲がなければ成立しないものであったためここまでただの重りだった装甲を有効に使えるタイミングが来たことで少し前の自分を褒めたくなっていた。
装甲を使って地雷を沢山掘り出す。そして穴を掘地雷をそこへありったけ詰め込んだ。その間も周りはどんどん進んでいくため欲張り過ぎないように注意する。
「借りるぞかっちゃん!」
伸びているコードを両手に巻き付け、装甲をソリのようにして地雷の上へと着地する。直後地雷単体では類を見ないほどの大きな爆発が起こった。後方で起こったあまりに大きな爆発を聞いて思わず振り返る轟と爆豪。
『後方で大爆発!なんだこの威力!』
誰もがその爆発に目を奪われていた。ピンク色の煙が登るとその中から空高く飛んでいく何かが見える。勿論緑谷だ。爆風を利用して前方へと大きく飛んだ緑谷は風で飛ばされないように必死にしがみつく。
『A組緑谷!爆風で猛追!!ツーが抜いたぁぁ!!!』
(計算通りの飛下手けどやっぱり勢いすごい!それに・・・着地考えてなかった!)
自分たちの前へを進むものが現れたことで轟と爆豪は足の引っ張り合いをやめ緑谷を追いかける。爆豪は地雷に触れないように空を飛び、轟は後続に道を作ることになるがもはやそれも仕方ないと氷で地雷を踏まないように地面を凍らせる。
『元先頭の二人、足の引っ張り合いをやめ緑谷を追う!共通の敵が現れれば人は争いをやめる!争いは無くならないがなぁ!!』
『何言ってんだお前。』
爆風による勢いがなくなり始め徐々に失速していく緑谷。地面に落ちそうになる瞬間には隣に轟と爆轟がおり抜かれてしまうのは目に目えていた。ここで追い抜かれてトビカガチ二度と前に出るチャンスはなくなってしまう。先頭二人を抜いたこのチャンスを不意にするわけにはいかない。
緑谷は装甲から伸びたコードを強く握る。背中から落ちそうになっていたところで体を縦に回転させ並んで進む二人の肩に一瞬だけ着地した。その一瞬に思い切り力を込めて装甲を地面へと思い切り叩きつける。地面には地雷があるため当然大きな爆発が起こった。轟と爆豪は爆発により態勢を崩す中、緑谷は装甲により前へと吹き飛ばされ二人の前へと飛び出すことに成功した。
『緑谷!間髪入れず後続妨害!なんと地雷原則クリアァ!!』
地面で前転のように体を回転させ勢いを殺すことなく立ち上がり走り始める。すぐに態勢を立て直した二人が煙を抜けて緑谷を追う。
『イレイザーヘッドお前のクラスすげぇな!どういう教育してんだぁー?!』
『俺は何もしてねぇよ。奴らが勝手に火付けあってんだろ。まぁ後方からはもうあいつが来てるがな。』
相澤の言葉にタイミングを合わせるかのように後方から爆発音が鳴り響く。ローレルが地雷が爆発するよりも前に走り抜けているのだ。どんどん近づいてくる音は轟と爆豪を追い抜き緑谷を追い抜いた。その時緑谷はローレルと目が合う。そして悔しくなった。あそこまでのハンデを背負わされながらも先頭に追いつき剰え追い越されてしまったことに。
『雄英体育祭一年ステージ!序盤の展開からこの結末を誰が予想できたー!圧倒的なハンデをものともせずに一番に帰ってきたその人物はローレル ケント!!』
緑谷を追い越しスタジアムへと戻ってきたローレルの姿を見て観客から大きな歓声が湧く。最後尾からの追い上げの凄まじさに称賛の声がほとんどだが中にはそれを認めようとしないものもちらほらと見られる。しかしここで見せた実力に嘘はなく、映像の記録まで残っているため声を大にしてそれを言う勇気はなかったようで声に出されることはなかった。
(知らなかったとは言えあんなに有利な条件を出されていた。にもかかわらず負けた・・・。オールマイトの期待に応えるつもりだったのに・・・!)
次々にスタジアムへと戻ってくる生徒達。ローレルが戻ってくる生徒達の様子を見ている中、爆豪は腕を押さえて悔しがっていた。個性と言えど身体昨日の一つ。酷使すれば何かしらの症状が現れる。最初から最後まで爆破を使い続けていたためその反動がやってきていた。
「くそ・・・!くそが・・・!」
離れてローレルと緑谷を見ていた轟は何もいうことはなくその場から離れていった。
「ケント、一位おめでとう。」
「あんたの姿が最初見られなかったのは先生になんか言われたから?」
「それにしてはありえねぇ速さだったな!」
「ハンデがありながらも一位になるケントさんには完全に負けました。」
ゴールしてきた障子、耳郎、上鳴、八百万がローレルへと話しかける。A組やB組と言ったヒーロー科のメンツも揃い始め顔なじみで固まり始めていた。
「実は前日に相澤先生に個性の禁止と遅れてスタートすることを言われててね。みんなには伝えるなって言われてたから言えなかったんだ。ごめんね。」
「いや、気にしなくていいよ。そんなん話されてたらむしろ困るっていうか。」
「聞かされた俺たちはどう反応すりゃいいのかわかんねーよな。」
「相澤先生が言っていた通り規格外だな。」
ハンデのことは気にせずみんなが褒めてくれることに少し安心した。もしかするとハンデについて何か苦言を言われるかと思っていたからだ。口に出さないだけかもしれないが少なくとも目の前にいる人物達は本心で話していることがわかったため気持ちが楽になる。
「一年ステージ、第一種目もようやく終わりね。それじゃあ結果をごらんなさい!」
そう言って空中に投影されたディスプレイに名前と顔写真、クラス、そして順位が表示される。次の種目に参加できるのは上位42名。42位にギリギリ青山がおりA組21人B組20人のヒーロー科全員が次の種目へと進むことができた。
「残念ながら落ちちゃった人も安心なさい。まだ見せ場は用意されてるわ。そして次からはいよいよ本戦よ。ここからは取材陣も白熱してくるよ!気張りなさい!さぁて第二種目よ。私はもう知ってるけど・・・何かしら?何かしら?言ってるそばからこれよ!」
ディスプレイには騎馬戦と書かれていた。それを見て生徒達が自分には向いてないや複数人で組んでどういうルールにするのかなどの声が上がる。
「これから説明するから安心なさい。」
参加者は二人から四人の騎馬を自由に作る。基本的なルールは普通の騎馬戦と変わらないがここで先ほどのレースの順位が関係してくる。順位によって確実ポイントが振り分けられるのだ。入試のようにポイントを稼ぐという点では同じだがポイントは騎馬の組み方によってポイントが変動すること。
ポイントの振り分けについては最下位の42位に五ポイントが与えられ、順位が一つ上がるごとにポイントが五ずつ増えていく仕組みになっている。
(なるほど。なら私に与えられるポイントは210。一番高得点だけどジャイアントキリングでなければ狙われる必要もそこまでない。)
「そして一位に与えられるポイントは・・・1000万!!」
(・・・ん?)
それを聞いたローレルは思考が一度停止した。再起動したローレルは聞き間違いなのではと思いミッドナイトを見るがこちらに向かってウィンクをするだけだった。全員の目がローレルに向けられる。一千万とは即ちどれだけ順位が低くとも絶対に一位になれるということ。
「そう、上位の奴ほど狙われちょう下克上のサバイバルよ!!」
ローレルの口からはため息しか出なかった。
誤字、脱字が多いです。申し訳ありません。