個性[超人]   作:2NN

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 お気に入り数が百を超えていました。こんなのですがありがとうございます。


トーナメント戦

 雄英体育祭はマスコミを呼んでライブ中継を行なっている。全世界で放送されるためあらゆる人が視聴することが可能だ。善も悪も関係なく。暗い部屋の中白い髪の青年が椅子に座りながら雄英体育祭を見ていた。

 

「このガキ・・・金髪・・・」

 

 画面には騎馬戦が終了した直後の映像で緑谷チーム全員が映っていた。イラついた青年は首をガリガリとかいて落ち着こうとする。ふいに首を書くのをやめるとぐにゃりと顔を歪めて笑顔になる。

 

「金髪には実験台になってもらおう。それも最高の舞台で!」

 

 少年は席を立ちその部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 騎馬戦が終了し1時間ほどの昼休憩となったため生徒のほとんどは食堂へと来ていた。

 

「ケントくん、ここにいたんだな。」

 

「どうせここに来るんなら声かけてよ〜。あれ?デクくん一緒じゃないの?」

 

「ごめん。二人とも楽しそうに話してたから。緑谷くんならさっき轟くんに連れてかれたけど?」

 

「そうなんや。」

 

 一緒の席へとついて昼食を取る。午後から残った四チームでの競技があるがその前にレクリエーションがあるためある程度食べる量を抑える必要があるだろう。そんなことお構いなしにローレルはいつもより大目に食事をとっているが。

 

「ケントくん。君は俺のレシプロバーストを知っていたのか?そうでなければあんなに早く対応できるとは思えないんだが。」

 

「いや、知らなかったよ。何か仕掛けてくるのは見て分かったから警戒してただけ。」

 

 実際は飯田が動き出してから高速で移動していることを理解したのだがそれをいってもしょうがないためそれっぽく答えておく。

 

「最後の二人の動き私全く見えなかったよ。気がついたら何かしてたみたいな。」

 

「咄嗟だったからね。」

 

 三人で談笑していると緑谷も中に入ってきたため麗日が手を振ってこちらの存在を伝える。手を振り返した緑谷は食券を買いに列へと並ぶ。

 

「緑谷くん轟くんから何を言われたんだろうね。」

 

「開会式の前から緑谷くんに対して宣戦布告をしていた。それはケントくんに対しても同じことを言えるがそれ関係か?だがそれだとケントくんが呼ばれない理由がわからないな。」

 

「男の因縁だよ。」

 

 三人が食べ終わった頃に緑谷が料理がのったお盆を持って席へとやってきた。飯田がどんな話だったのかと聞けば緑谷は複雑そうな顔をするばかりだった。答えられないことなのかと思い飯田は聞くのをやめた。誰にでも答えられないことの一つや二つはある。

 

「そういえばさっき上鳴くんと峰田くんが午後から女子はチアの格好しなきゃいけないみたいなことを言ってたけど本当?」

 

「チア?何で?」

 

「応援合戦らしいよ。」

 

「そうなのか?俺は聞いてないぞ。」

 

 その時に聞いた話を詳しく話すが委員長である飯田は全く聞き覚えがないとのこと。峰田の言い方はクラス委員長なら知ってて当たり前という風だったため疑問が残る。

 

「相澤先生の伝え忘れ?」

 

「まさか、合理主義を具現化したような存在なんだよ。」

 

「麗日さんズバッといくね。」

 

「これは一度先生に確認してみる必要があるな。俺が今から聞いてこよう。」

 

 みんなのためにと席を立って相澤先生を探しに行こうとする飯田を手で遮るローレル。自分が携帯番号持ってるから電話で聞いてみると説明する。先ほど放送で寝ると言っていたため電話に出てくれるかは怪しいが出なければ飯田が聞きにいくことになった。食堂を出て静かな場所に移動して相澤へと電話をかける。

 

『・・・なんだケント。』

 

 本当に眠っていたからか声が低いように聞こえる。

 

「寝てるところすいません。午後から女子はチアの格好して応援合戦するって本当ですか?」

 

『何だそりゃ・・・そんなわけねぇだろ。誰が言ってた。』

 

「上鳴くんと峰田くんです。」

 

『分かった。応援合戦なんてないからそれをちゃんと全員に伝えとけよ。』

 

 そう言って電話は切れてしまった。今聞いたことを三人に伝えるために食堂へと戻る。話を聞いた麗日は胸を撫で下ろしあんしんしたようすをみせる。よほどチアの格好が恥ずかしいのだろう。SNSでクラスの女子全員に連絡すると、上鳴と峰田から話を直接聞いていた八百万と耳郎は騙されたと怒っていた。

 

 昼の休憩ももうすぐ終わるためスタジアムへと戻ることになり四人は移動を開始した。

 

『さぁ昼休憩も終わっていよいよ最終種目発表!とその前に予選落ちのみんなに朗報だ!あくまで体育祭、ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ!本場アメリカからチアリーダーも呼んで一層盛り上げていくぜ!!』

 

 プレゼントマイクの声により多くの生徒たちが喜びの声を上げる。プレゼントマイクも言っていたようにこれはあくまで体育祭。全員が楽しめるような項目も必要なのだ。

 

「どうしてお前ら着替えてねぇんだよ!!」

 

「ケントさんが相澤先生に聞いたらしいですよ。」

 

「ケントォォォォ!!!」

 

「あんたら・・・覚悟できてるよね?」

 

 耳郎の耳から伸びたプラグが二人へと刺さり心音を爆上げして流し込む。二人は悲鳴を上げてその場に倒れた。誰も介抱しようとしないあまり普段の二人もあんな感じなんだろうなと全員が思っていた。

 

『さぁさぁみんな楽しく競い合おうレクリエーション!!それが終われば最終種目進出、四チーム総勢十六名からなるトーナメント形式!一対一のガチバトルだ!!』

 

「それじゃあ組み合わせ決めのくじ引きしちゃうよ。組みが決まったらレクリエーション挟んで開始になります。レクに関しては進出者十六人は参加するもしないも個人の判断に任せます。んじゃあ一位のチームから・・・」

 

「あの!俺は、辞退します・・・」

 

 突然尾白が手を挙げて辞退を宣言する。周りからは驚きやどうしてと言った疑問の声。尾白は騎馬戦を勝ち抜いたチームであるがその時の記憶がなかった。一人の生徒に声をかけられてから意識が失われ気がついたら勝っていた。芦戸が自分も同じようなものだと、葉隠が気にしすぎだと声をかける。

 

「違うんだ・・・俺のプライドの話さ。俺が・・・嫌なんだ。」

 

 全員が全力を出して本気で競い合った中で訳も分からないまま進んでいくのが尾白は許せなかった。チャンスの場だということも愚かな事だという事も、自覚しているがこればかりは許容できなかった。

 

「あの、B組の庄田 二連撃です。僕も同様の理由から棄権したい。実力以前に何もしていない者が上がるのは、この体育祭の趣旨に相反するのではないだろうか。」

 

 周りの反応は様々だった。男らしいと涙を流す者もいれば主審であるミッドナイトに任せるという者もいる。そんな中ミッドナイトは

 

「そういう青臭い話はさぁ・・・好み!!庄田、尾白の棄権を認めます。」

 

(((好みで決めた・・・)))

 

 最初はシリアスな雰囲気を出していたが途中からなぜか恍惚とした顔をしながら危険を認めるミッドナイト。全員が好みで決めていいのかと突っ込んだ。

 

「僕は、やるからね。」

 

 誰も聞いてはいないが青山が尾白にそう宣言した。心操とチームを組んでいたのは尾白、庄田、そして青山だった。

 

 二人が辞退したためその穴を埋めるために自動的に5位にいた拳藤チームから選ばれる。しかしこのチームを率いていた拳藤一佳が動けなかった自分たちよりも最後まで上位に食い込んでいた鉄哲たちの方がいいと言って鉄哲チームから選ばれることになった。話し合いにより鉄哲と塩崎という生徒が繰り上がった。

 

「抽選の結果組はこうなりました!」

 

 一回戦 心操 対 緑谷

 二回戦  轟 対 瀬呂

 三回戦 塩崎 対 上鳴

 四回戦 飯田 対 ケント

 五回戦 芦戸 対 青山

 六回戦 常闇 対 八百万

 七回戦 鉄哲 対 切島

 八回戦 麗日 対 爆豪

 

 モニターに表示された対戦表を見た選手たちの顔には喜びや恐怖、焦りといった様々な表情が見られる。特に麗日の相手が爆豪になった事でびびりまくっていた。

 

 対戦が決まった事でレクリエーションが開始した。一番最初に行ったのは借り物競走。それぞれが地面に置いてあるカードを拾いそこに記されたものを探しに走り回る。峰田が拾ったカードには調理に用いられる背脂と記されており絶望していた。

 

 以降も他の体育祭でも見られるような種目を個性ありきで競う事で普通とはまた違った体育祭となり大いに盛り上がり楽しむこととなった。しかしこの後に個人戦を控えている者たちは違った。相手の攻略を練る、平常心を保つ、戦いに備える、神経を研ぎ澄ます、緊張をほぐそうとするなど様々な過ごし方をしていればすぐにその時はやってきた。

 

『色々やってきましたが、結局これだぜガチンコ勝負!!ヒーローでなくてもそんな場面ばっかりだ!わかるよな?!心、技、体に知恵知識を総動員して駆け上がれ!待ちに待った最終種目進出!第一回戦成績の割には何だその顔!ヒーロー科緑谷出久!vs.ごめんまだ目立つ活躍なぁし。普通科心操人使!』

 

 プレゼントマイクの声で二人が入場する。セメントスが作ったリングへと上がり睨み合う。

 

『ルールは簡単、相手を線の外側に押し出すか行動不能にする。あとは参ったとか言わせても勝ちのガチンコだ!道徳倫理はいったん捨て置け!勿論命に関わることはOUT!危なくなったらセメントスが止めに入るぜ!』

 

 プレゼントマイクの説明も終わりいよいよ初戦が開始した。心操が声をかけるとそれを聞いた緑谷が怒こり出し走り出した。だがすぐにその体は動きを止めた。目は見開いているがどこも映してはおらず時が止まったかと思わせる。原因など全員が分かっている、心操の個性だ。どういった個性かは不明だが真相が何かをしたのかは一目瞭然だった。

 

 突然緑谷が心操に背中を見せて歩き出す。そそのまま歩けば場外へと出て負けてしまう。

 

 心操 人使。個性は洗脳、声をかけた相手がそれに返事をすると操ることができる。本人にその気がなければ洗脳にもかかることはない。

 

(緑谷くん。それ以上出ると負けちゃうよ!)

 

 A組の生徒達に用意された席に座って見ていたローレルの体にも自然と力が入り手を強く握りしめる。

 

 あと一歩踏み出せば緑谷が場外に出てしまうというところで緑谷を中心に風が吹き荒れ歩みが止まった。それを見て観客の全員が大きな歓声を上げる。緑谷の人差し指と中指は赤く腫れている。ワン・フォー・オールを暴発させて無理やり洗脳を解除したのだ。衝撃によって目を覚ますことを知ったのは尾白からの情報であり、その尾白からも託されている緑谷は負けられないと使えるものを全て使った。

 

 緑谷は走り出し左腕と右手を使って心操の体を押す。迫る場外に危機を感じた心操は緑谷の顔と怪我をした指も殴らる。怯んだ緑谷と体を入れ替えて心操がそのまま押し出そうとする。だが緑谷は右手で心操の襟、左手で腕を掴む。怪我が痛むがそんなものは今は関係ないと無視して戦闘訓練の時に爆豪相手に見せた背負い投げを使って心操を場外へと投げた。

 

 これにより緑谷が一回戦を制した。下を向いて退場していく心操。その姿を見て緑谷は声をかけるべきか迷っていた。だが戻る時に上から同じクラスの生徒達。そしてヒーロー達の声により自分はヒーローになってもいいんだと思わせてくれた。今までは中途半端に目指していたかもしれないがこれからは本気で目指す事になるだろう。

 

 緑谷が引っ込みリカバリーガールのもとで治療を行なってA組みがの席へと戻るとちょうど二回戦が始まるところだった。

 

『お待たせしまた!!続きましてはこいつらだ!優秀!優秀なのにぬぐいきれないその地味さは何だ!ヒーロー科瀬呂範太!vs.予選3位と好成績を残しているぞ!推薦入学者の実力は伊達じゃないってか!同じくヒーロー科轟焦斗!それでは最終種目第二試合、Ready start!』

 

 プレゼントマイクによる開始の合図。その瞬間、スタジアム全体に真っ白な氷が襲い掛かった。

 

 開始直後に瀬呂がテープを伸ばし轟の体を拘束したあとそのまま場外に出そうとした。だがその速攻も轟がリング全体、それどころかスタジアムを飛び出して特大な氷を出したのだ。瀬呂の体のほとんどが氷に包まれておりここまでされてしまえば動くことすらままならない。これにより行動不能と判断されて轟の勝利となった。

 

 周りの観客はその凄まじさに声すら出せなかったが一人が瀬呂を気遣ってドンマイと声をかけるとそれに続いて多くの観客によるドンマイコールが起こった。

 

 瀬呂へと近づいた轟が氷を溶かし二人ともリングから出て行ってしまった。圧倒的な力を見せた轟に誰しもが敵うものなどいないと思わせる。だがその背中はどこか悲しげだった。

 




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