個性[超人]   作:2NN

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決勝戦

 

『雄英高体育祭もいよいよクライマックス!一年の最強がこの一戦で決まるぞ!』

 

 リングへと上がりお互いに向き合って立つ。爆豪の顔は睨んでいるのか笑っているのかよくわからない顔をしていた。それを腕を組んで立っているローレルが睨み返す。

 

『決勝戦!ヒーロー科ローレルケントvs.ヒーロー科爆豪勝己!START!!」

 

 開始と同時に爆豪が爆破の勢いを利用して突撃をしてくる。ローレルの目の前に着地した爆豪は両手叩きつけるようにして何度も爆破を浴びせる。

 

『爆豪!開始と同時に速攻!ここで一気に決めに行くつもりか?!』

 

「うらららららららららら!!!!」

 

 一発一発の手を抜かず高威力の爆破がローレルの体を襲う。今年の体育祭一年生の部では毎度の如く煙によって視界が遮られるが今回も案の定何も見えなくなる。それでも爆豪の攻撃が止むことはなくスロースタートだとは思わせないパフォーマンスを見せる。しかし爆破の衝撃などを無視して伸びてきた手が爆豪の胸ぐらを掴み投げ飛ばされる。

 

 それにより煙が晴れ、無傷のローレルが立っているのが全員に見えるようになった。爆豪の凄まじい爆発を無傷で耐えたことに観客たちは大きな歓声を上げる。

 

 投げ飛ばされた爆豪は飛んでいくからだとは反対に爆発を使いその勢いを殺して場外を免れた。

 

「くそが。てめぇ防ごうともしなかったな。舐めてんのか?」

 

「さあ?どうでしょうね。」

 

 開いた距離を詰めるようにして爆破を使う。今度はローレルの頭を蹴りにくるがそれも腕で防がれる。それでも止まらない爆豪は地面に降りると蹴りを防がれた手を掴み爆発を使って体を回転させてローレルを投げ飛ばした。

 

 空中で体勢を整えて膝をついて着地し爆豪の方へと向くと目の前にはすでに手があり先ほどの爆破の連打よりも強い威力で爆発が起こった。

 

「お前がいくら頑丈でもとっさの判断が遅れりゃ効くんじゃねぇのか?」

 

 確信を持っているというわけでは無い。だが頑丈になるための条件が切島の時と同じであれば付け入る隙はある。そう考えてそうであって欲しいという願いも若干込めながら口にする。

 

「残念だけどそうでも無いよ。」

 

 煙の合間から見える腕を引いた状態のローレルを見てすぐに爆豪は後ろへと下がった。爆発から煙が晴れるまでの間に拳を振るう時間は十分にあった。だがローレルはそれをしなかった。これにより爆豪の頭にはあることが浮かんだ。

 

「テメェ・・・まさか人を殴るのが怖いとか言わねぇだろうな?」

 

 その言葉でローレルの方が小さく跳ねる。図星を突かれた事で焦るローレルとそれを見てだんだん顔を硬らせる爆豪。その言葉を聞いてA組は首を傾げていた。

 

「殴るのが怖い?ケントが?」

 

「そういえばケントさんが誰かに向かって直接攻撃をしているのを見た事ない。」

 

「ならどうして攻撃しないのかしら?」

 

 全員が今までの訓練や体育祭での活躍を思い出す。戦闘訓練時は目からビームを使って核を回収した。USJでは戦っているところを誰も見ていない。体育祭に入ってから唯一拳を振るったのは轟に向けた拳と氷の息のみ。思い返せば一度も人に危害を加えるとこはなかった。

 

『どう言うことだ?』

 

『ケントは個性の制御ができない。だから下手に攻撃でもすれば手加減なしの威力が飛んできて最悪死ぬ。それをあいつは怖がってんだ。』

 

「まさかとは思うが一度もなんて事ねぇだろうな。」

 

「一度もでは無いけど・・・そうだね、私は誰かを傷つけることを恐れてる。」

 

「本気でこいつっただろうが!んだその理由はふざけてんのか!俺が取んのは完膚なきまでの一位なんだよ!てめぇみたいに甘いこと考えてる奴が俺の前に立つんじゃねぇ!!」

 

 体育祭を迎えるまで間に合う見てきたクラスメイトたちの実力、そして行動。自分が誰よりも上だと信じて疑わない爆豪のプライドは傷がついていた。だからこの体育祭ではわざわざ宣誓で自分に発破をかけてまで優勝すると言った。なのに決勝の相手が腑抜けであれば一位自体大したことがなくなってしまう。

 

「・・・私がこの力を使い始めたのは雄英に入る少し前から。本当の意味でヒーローになろうって思ったのもこの体育祭の少し前。爆豪くんからすればムカつくかもしれない。でも全てが遅かった私はこれでも本気でやってる。」

 

 今までクラスメイトにら誰にも言ったことのない話。ここに入ったのに制御ができなかったりヒーロー科に入ったのにヒーローを本気で目指してなかったなど誰にも言えるはずがない。

 

「私だって誰かを助けるヒーローになりたいと思ったし憧れた!私を助けてくれたヒーロー達に!!でも全力でやればここがどうなるかわからない。だから今はこれで許してね。」

 

 姿勢を低くして拳を強く握り腕を引く。準決勝の時に轟相手に使ったオールマイトの技であるTexas Smashと同じ構え。それを見て爆豪はにやりと笑うとこちらへと走りながら空中へと高く飛び爆破によって体を回転させる。

 

「ハウザー・・・」

 

「Texas・・・え?!」

 

 突如全身から力が抜けて立っていられなくなる。強く握った拳も体を支えていた足からも力が抜け体が前へと倒れていく。ふと自分の体に向かって緑色の光が当てられていることに気がついた。その光を目で追うと観客席から全身白のコスチュームに身を包んだヒーローがこちらに拳銃を向けておりその銃口から緑色の光が伸びていた。

 

 緑の光が本当に怪しいのかは不明だがそれを判断するには情報も時間も少なすぎた。

 

「インパクト!!!」

 

 ローレルの視界は爆発によって覆われ、力が入らない体は踏ん張ることができず爆発に逆らうことはできなかった。

 

『麗日戦で見せた特大火力に勢いと回転を加えたまさに人間榴弾!ケントは轟戦で見せたスマッシュを放たなかったようだ!勝敗の行方は果たして?!』

 

 最初に気がついたのは爆豪だった。大技を打ったことでコントロールを失い地面に伏せていたが自分に向かってくるはずの衝撃が一切なかった。煙が晴れてその先を見ると壁に体を打ち付けてピクリとも動かないローレルがいた。

 

 個性を使いすぎて痛む腕に鞭打って立ち上がった爆豪はローレルへと走りよる。

 

「ふざけんなよ!完膚なきまでの一位つっただろうが!こんな一位なんて!こんなの!!」

 

 倒れているローレルの胸ぐらを掴んで体を起こすがその目は開いておらず気絶していることがわかる。今にも殴りかかりそうな様子にミッドナイトが個性を使って爆豪を眠らせる。

 

「ケントさん場外!よって、爆豪くんの勝ち!」

 

 一位が決定したことでスタジアムには今まで以上の歓声が湧き上がった。

 

『以上で全ての競技が終了!今年度の雄英体育祭一年優勝はA組爆豪勝己!!!』

 

 

 

 

 

 気絶していたローレルやミッドナイトの個性によって眠ってしまった爆豪も目を覚ましたことで表彰式の準備が始まる。

 

 大量の花火が上がるとスタジアムの地面が開き下から表彰台ごと生徒、爆豪、ケント、轟、常闇が姿を見せるが一位である爆豪の姿を見て全員が呆れた顔を見せる。

 

 一位の場所には爆豪が拘束された状態で現れたのだ。高速を外そうと動き回り塞がれている口からは隣にいるローレルへと向かってずっと何かを言い続けている。あまりにも暴れると言うことで仕方なく拘束されたらしい。

 

「それではメダル授与よ!今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!」

 

「HA〜HAHAHAHA!」

 

「「私がメダルを持ってきた!!/我らがヒーロー、オールマイト!」」

 

 オールマイトの登場に観客一同盛り上がるが、登場の台詞と紹介のセリフが被りあたりにはなんともいえない空気が漂う。すぐに気を取り直してメダルの授与へと入る。

 

「常闇少年、おめでとう。強いな君は。」

 

「勿体無いお言葉。」

 

「ただ、相性差を覆すには個性に頼りきりじゃダメだ。もっと自力を鍛えれば取れる手段が増すだろう。」

 

 メダルを首にかけてもらいハグをしてもらい轟へと移る。

 

「轟少年、おめでとう。準決勝では積極的に炎を使おうとはしなかったけど、訳があるのかな?」

 

「緑谷戦できっかけをもらってわからなくなってしまいました。あなたがやつを気にかけるのも少し分かった気がします。ケントにも少し言われましたが俺にはまだ精算しなきゃいけないものがある。」

 

「顔が以前と全然違う。深くは聞くまいよ、今の君ならきっと精算できる。」

 

 轟との話を終えてハグをしてもらい次にケントへと移る。

 

「ケント少女、おめでとう。私の技を使ったときは驚いたよ。」

 

「今の私がつかえる最高の技はなんだろうって考えた結果あなたの技へとたどり着きました。勝手に使ってすいません。」

 

「全然いいさ。君も以前の君じゃない。私から吸収できるものは全て吸収してくれて構わないよ。後ハグしていい?」

 

「どうぞ。」

 

 両手を広げて自分からオールマイトへと抱きつく。最後に爆豪。

 

「さて爆豪少年・・・とこれはあんまりだ。伏線回収見事だな。」

 

「オールマイト・・・こんな一番なんの価値もねぇんだよ!!世間が認めても自分が認めてなきゃゴミなんだよぉ!」

 

 ヴィランと言われても納得してしまいそうな形相にオールマイトも内心ビビってた。

 

「相対評価にさらされ続けるこの社会で、普遍の絶対評価を持ち続けられる人間はそう多くない。メダルは受け取っておけよ、決して忘れぬように傷としてな。」

 

 爆豪が首だけ動かしてなんとか首にかけられないようにしているが首ではなく開いた口にかけられる。いらない要らないと言ってもやはり金メダル。捨てることはしなかった。

 

「さぁ!今回の勝者は彼らだった!しかし皆さん、この場の誰にもここに立つ可能性はあった。ご覧にいただいた通りだ。競い、高め合い、更に先へと登っていくその姿!時代のヒーローは確実にその目を伸ばしている!てな感じで皆さんご唱和ください!せーの!」

 

「「「プルスウルトラ!」」」

「お疲れ様でした!!!!」

 

 再びスタジアムを襲う静寂。やがてブーイングの嵐が巻き起こりオールマイトの小さな謝罪によって体育祭は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

「ああああ〜動きたくない〜。」

 

 雄英の敷地内にある自分の部屋へと戻ってきたローレルは制服を脱ぎ捨てて楽な格好になりソファへと倒れ込んだ。体育祭の振替休日として明日明後日の二日間の休みが設けられた。しっかり休んで疲れをとれと言われたためとにかくだらけている。

 

 そうしているとチャイムが鳴り訪問者が来たことを教えてくれる。タンクトップにハーフパンツといつもの格好だが空を気にすることなく玄関へと行き扉を開ける。

 

「やぁケントくん!準優勝おめでとう!」

 

 そこには雄英高校の校長である根津が立っていた。

 

「ありがとうございます校長先生。」

 

「君なら優勝間違い無いと思っていたんだけど決勝で負けちゃうとはね。何があったか教えてくれるかい?」

 

 その口調は何かあったと絶対の確信を含んでいた。特に誤魔化す理由などないためその時に感じた脱力感や緑色の光、そして白いコスチュームを着たヒーローの存在を伝えた。

 

 その話を聞いた根津は下を向いて黙り込む。何かを考えているのだろうか目はとても力強い。

 

「その白いコスチュームの特徴を後で教えてくれるかい?こちらで少し調べてみようと思うのさ。」

 

「勿論です。」

 

「とりあえずその辺何か言われたら体力切れということにしておいて。相澤くんには僕から話をしておくのさ。それよりも君がオールマイトの技を使うとは思わなかったよ。」

 

 オールマイトの話をし始めた途端に根津の雰囲気が変わりいつもの優しい姿へと戻る。暗い話はここまででここからは楽しく話そうと言う根津なりの気遣いだった。体育祭についての話を長い間した2人の顔はとても楽しげなものだった。

 

 

 

 

 

 場所は変わってとあるバー。死柄木や黒霧の本拠地ともいえる場所。そこにはモニターの画面の向こう側に二人、死柄木と黒霧、そしてもう一人男がいた。その男は決勝戦で緑の光をローレルへと当てた人物で個性は計測。物事の計算を行うことができるためこの力を使ってローレルへと光を当てたのだ。

 

「見たよ体育祭の決勝戦。結構面白かったな。」

 

「ありがとうございます。」

 

『実験は成功じゃな。』

 

「ですが長い時間照射していたら途中から光が出てこなくなってしまいました。」

 

 手に持っていたのはその時に使った拳銃。見た目には特に変化は見られないが引き金を引いてももう光は出ない。

 

『そうか、改良の余地がありじゃな。』

 

『とにかく彼には褒美をあげてくれ黒霧。』

 

「分かりました。」

 

 そう言ってワープゲートを出して男を飲み込んでいく。

 

「約束が違う!金をくれるんだろ!」

 

『勿論だとも。これから君を使って大いに名を轟かせよう。そしたらいくらでも金が手に入る。』

 

 男の顔には絶望が浮かぶ。これから自分が何をされるのか見当もつかないからだ。諦めずにも額が最後にはその姿すら見えなくなっていった。

 

「正直に言えばこんな工作みみっちくて嫌だったけど意外と気分がいいな。」

 

『こんな事で満足なんてしちゃいけないよ弔。君はもっと大きなことをするんだからね。』

 

「分かってるさ先生。」

 

 手をひらひらと振りながら答える死柄木。そんな話をしていると扉をノックしてくる音が聞こえる。ここは関係者以外が来ることは全くと言っていいほどない。この場所を知っている人物がいないからだ。一気に警戒する死柄木と黒霧。

 

『ああ気にしなくていいよ。こちらから君に一人送っておいた。』

 

「そうだったのですか。そうであれば一言欲しかったですね。」

 

 そう言って黒霧が扉を開ける。立っていたのは190ほど身長をした男。顔つきは日本人とはかけ離れており体格が良く、それでいてスマートな体つきをしていた。

 

「この方ですか?」

 

『その通りじゃ。成功個体2号じゃな。』

 

 

 




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