個性[超人]   作:2NN

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ヒーローネーム

 体育祭が終わり2日間の急行を経て学校が再開した。生徒たちはそれぞれ今朝あった出来事について話しておる。内容は今朝いろいろな人に声をかけられたとの事。全国でテレビ中継をされていれば目立った生徒が声をかけられることは珍しくない。

 

「おはよー。」

 

「おはよう!ローちゃん今朝どれくらい声かけられた?」

 

 教室に入るなり芦戸に声をかけられた。芦戸はローレルが構内に住まわせてもらっていることを知らない。そのため体育祭で2位になったローレルは自分なんかよりも大勢に声をかけられたと思っていた。

 

「声?全然かけられてないけど。」

 

「「「えー!!」」」

 

「うっそだー!ありえない!!」

 

「そんなこと言われても・・・」

 

 もはや名物と言わんばかりの同調に飲み込まれてしまう。すれ違うのは生徒のみで声をかけてくる相手などいるはずもない。

 

「おはよう。」

 

「「「おはようございます!!」」」

 

 扉を開けて入ってきたのは相澤。既に包帯は外れておりその姿を見て生徒たちは安心する。

 

「今日のヒーロー情報学、ちょっと特別だぞ。」

 

 その言葉でA組生徒全員にまたテストかと不安と動揺が走る。だが相澤が口にした言葉は生徒たちをいい意味で裏切った。

 

「コードネーム、ヒーロー名の考案だ。」

 

「「「胸膨らむやつきたー!!!」」」

 

 全員が席を立ち喜びの動作を行なう。それを見た相澤が個性を発動し一睨みすると生徒たちはすぐに席へと座り直した。

 

 体育祭前に話したドラフト指名に関係がある。指名が本格化するのは経験を積んだ2、3年から。今回一年生にきた指名は将来性に対する興味といった感じとなる。卒業までに興味がなくなればキャンセルというのも珍しくはない。

 

「いただいた指名がそのまま自身のハードルになるんですね。」

 

「そう。で、その集計結果がこうだ。」

 

 相澤が黒板へと向けてリモコンのボタンを押すと生徒たちにきた指名が表示され始めた。

 

(よ、4500・・・)

 

 ローレルの名前が一番上にありその数は4537。体育祭一位である爆豪3556を抜いていた。また轟にも若干負けている。それを見た生徒たちが指名に関する話題の話をしていた。特に爆豪が二人に抜かせれている話をすれば

 

「ビビってんじゃねぇよプロが!!」

 

 と騒いでいた。

 

「流石ですわ轟さん、ケントさん。」

 

「ほとんど親の話題ありきだろ。本当にすげぇのはケントだ。」

 

「あはは・・・ありがと。」

 

 八百万は同じ推薦組である轟やそうではないケントに負けていることを恥じながら二人を褒める。そんな様子を見て素直に喜べないため笑ってごまかすことにした。

 

「この結果を踏まえ指名の有無に関係なく、いわゆる職場体験ってのに行ってもらう。」

 

 A組は一足先にヴィランと接触してしまったが、本来プロの活動を実際に経験するのはこの職場体験で行うのだ。

 

「まぁそのヒーロー名はまだ仮ではあるが適当なもんは・・・」

 

「付けたら地獄を見ちゃうよ!学生時代につけたヒーロー名が世に認知され、そのままプロ名になってる人多いからね。」

 

「「「ミッドナイト!」」」

 

 相澤があらかじめ呼んでいたのだろう。相澤は自分のヒーロー名にこだわりなどない。今のイレイザーフッドも人からつけてもらった名前だ。

 

「将来自分がどうなるのか、名をつけることでイメージが固まりそこに近づいていく。それが名は体を表すってことだ。オールマイトとかな。」

 

 生徒たちへボードを配ると相澤はさっさと寝袋へと入って眠ってしまった。それぞれが昔から考えていた重い思いの生へをボードへと書き込んでいく。

 

(名前・・・名前・・・どうしよう。)

 

 全員がいくつかの名前を決めていく中、今までそんなことを一度も考えたことがなかったローレルは一人苦戦を強いられていた。

 

「じゃあそろそろできた人から発表してね。」

 

 ミッドナイトの声に何人かが動揺する。こう言った発表は最初の一番などは特に度胸がいるがそれを全く感じさせずに青山が前へと出る。

 

「いくよ。輝きヒーロー、I can not stop twinkling.訳してキラキラが止められないよ!」

 

(((短文!!!)))

 

 全員が何故それにしたとツッコミを入れる中ミッドナイトはこっちの方がいいとボードの英文を修正して青山に差し出す。またしても全員がいいのかよと突っ込んだ。

 

「じゃあ次私ね!ヒーロー名、エイリアンクイーン!」

 

「2!血が強酸性なあれを目指してるの?!やめときなよ!」

 

 ミッドナイトのダメ出しでふてくされながら席へと戻る芦戸。普通であればああいうのはダメなんだなと全員がそれを参考にするのだが今はそれどころではなかった。

 

(((ばかやろー!最初に変なのきたせいで大喜利っぽい空気になったじゃねーか!!)))

 

 同じようなヒーロー名を出さなければいけないのかと萎縮する中その空気を破ったのは蛙吹だった。ヒーロー名はフロッピー。親しみやすくお手本のような名前だと褒められ大喜利の空気を吹き飛ばした。

 

 そこからはつつがなくヒーロー名が決まっていく。最後に残ったのは爆豪、飯田、緑谷そしてローレルの四人。爆豪が一度爆殺王で名前を出したのだがすぐに却下されてしまった。

 

 飯田は兄であるインゲニウムから名前を継いで欲しいと言われたが自分にはまだその名前を継ぐことはできない。そう思って天哉となった。

 

 緑谷はデク。元々は悪口だった。その意味を麗日が変え、それがとても嬉しかった。それによりこの名前が好きになりヒーロー名にすることにした。

 

「ケントさん、あなたは?」

 

「え?えー・・・」

 

 爆豪以外の視線がローレルへと集まる。全く思いつかなかったわけではない。むしろ名が体を表すという意味ではこれほど的確なものはないとまで言える。的確すぎて捻りがないとも取れるが。

 

「じゃあ・・・」

 

 候補が少なく他にも考えていたのだが全員(爆豪以外)が決まった事で先を促されている気がしたためボードを持って教卓へと立つ。

 

「私のヒーロー名はこれです。」

 

 そう言ってボードを裏返してみんなに見せる。難しいことは何一つ書いてない。だが全員一度は首を傾げた。

 

「ケントさんそれでいいの?」

 

「はい。ガールだと成長した時に疑問が残りますしウーマンだと語呂が悪い、となるとこれしかありませんでした。私のヒーロー名はスーパーマンです。」

 

 

 

 

 

「爆殺卿!!!」

 

 爆殺に何故かこだわる爆豪は違うそうじゃないと言われ再び却下された。

 

「クスクス。」

 

「テメェ金髪女!何笑ってんだコラ!!」

 

「だって・・・爆豪くん・・・そういうとこバカだなって・・・」

 

「ぶっ殺す!!!!」

 

 おかしくて仕方ないのか体を震わせ笑いながら答える。それを聞いた爆豪は青筋を立てた。

 

 

 

 

 

 

 全員(爆豪以外)のヒーロー名が決定したことで相澤が再び話を始める。職場体験の期間は一週間。指名があった生徒には学校側がリストにまとめて渡し、そうでないものは学校側からオファーしている先へと向かうことになる。

 

 ローレルも指名をリストにした紙をもらいそこで一時限目は終了した。期間は2日後の今週末まで、それまでにどこの事務所に行くのかを決めなくてはならない。休憩時間に入った事でそれぞれが事務所についての話をしている。

 

 紙に目を通して指名がきた事務所を見るが4500というと方もない数を見るにはそれなりに時間がかかる。普通の人であれば。

 

「ねぇケント、あんたそれ見るの大変じゃない?手伝おうか?ってか見せて。」

 

「それ本音だよね。私は見終わったから見てもいいよ。」

 

「は?」

 

 耳郎がローレルに渡された指名に興味を持ったのか建前と本音を見せた。それまでは良かったがローレルの見終わったという言葉に耳を疑う。

 

「見終わった?この量を?」

 

「終わったよ。流石にこれだけあると迷うね。どうしよう。」

 

「いやいやいやいや!迷うよりもまず見終わるの早すぎない?!授業終わったのさっきだよ!」

 

 耳郎の声に全員がこちらを向く。聞き耳を立てていた生徒も複数人おりやはり目を見開いてこちらを向く。全員がローレルの圧倒的な指名数に興味があるのだ。

 

「まぁまぁそんなこともあるって。」

 

「納得いかない・・・」

 

 だがもうすぐで予鈴がなるためクラス全員が席へと着くこととなった。

 

 

 

 

 

 職場体験の当日、コスチュームを持った生徒たちは駅にいた。ぜんこくからのしめいあなため新幹線を使った移動があるのだ。

 

「全員コスチューム持ったな。本来なら公共の場じゃ着用禁止の身だ。落としたりするなよ。」

 

「はーい!」

 

「伸ばすな芦戸、はいだ。」

 

「はい・・・」

 

 元気よく伸ばした挨拶をした芦戸は相澤に注意されて小さくなった。そしてついに各々の体験先へと向かうこととなった。

 

「ねぇ飯田くん。」

 

「ん?どうしたんだいケントくん。」

 

 ローレルは最近様子がおかしいと感じていた飯田へと声をかけた。最近は声をかけてもどこか上の空でぼーっとしており心ここにあらずといった感じだったためださすがに心配になった。

 

「どこか具合でも悪いの?元気ないようだけど?」

 

「いやどこも悪くはない。心配をかけたならすまない。」

 

「ならいいんだけど・・・何かあったらいってね。私だけじゃないよ。」

 

「飯田くん!」

 

「ほらね。」

 

 緑谷と麗日が飯田を心配して声をかけてくる。言いたいことは言ったとローレルは三人のもとを離れて同じ職場体験に行く人の元へと向かう。

 

「行こっか、轟くん。」

 

「ああ。」

 

 轟が行く事務所はエンデヴァー、父親のところだ。行き先は一緒、つまりローレルもエンデヴァーを選んだ。万年No.2というのはオールマイトの上に一度も立てないという事だが、逆に言えば毎年No.2に立ち続けているということだ。ならば得られる経験値はおそらく大きい、そう考えて決めた。

 

 新幹線に並んで座り外を眺める。お互いに話しかけることはなく、二人の間にあるのは静寂のみ。だがそれを轟が破った。

 

「どうして親父のとこ受けたんだ?」

 

「どうしてって・・・万年二番っていうイメージはあるけどさ、毎年二番にまで上り詰めてるってことじゃん。ならすごい経験出来るかなって思って。」

 

「そうか。」

 

 そうして口を閉じてしまった。ローレルは轟にも同じ質問をするべきか悩んだがそこら辺は体育祭の時にデリケートな部分だと分かったため聞くことはやめた。

 

 新幹線を降りてメモに記した住所にまで二人で歩いていく。その道中で体育祭を見ていた人たちにたくさん声をかけられて今朝の芦戸の驚き具合に納得した。

 

 メモの通りに進めば大きな建物へと到着した。中には受付があり雄英からの職場体験といえばすぐに中へと投じてもらうことができた。大きな扉の前まで通されノックをして入室する。

 

「来たか、待っていたぞ焦斗。ようやく覇道を進む気になったか。」

 

「あんたが作った道を進む気はない。俺は俺の道を進む。」

 

 エンデヴァーはだいたいいつも炎を出しているが二人の間にあるのは冷たい空気だった。それほどまでに大きな溝が出来てしまっている。

 

「まぁいい。そして歓迎しようケントくん。君ほどの逸材が来てくれてとても喜ばしく思う。」

 

「はい、よろしくお願いします。」

 

 轟は親ということもあり親げに話しているがローレルはそうではない。相手はプロのヒーロー、敬意を持つのは当然。

 

「二人とも準備しろ、出かけるぞ。」

 

「?何処へ。」

 

「ヒーローというものを見せてやる。」

 

 そうして轟とローレルはコスチュームへと着替えた。ローレルのコスチュームは最近になってようやく届き、この職場体験では二度目の着用となった。不備があっては困ると一度着替えてミッドナイトに見せたが本当にそれでいいのかとまで言われてしまった。

 

 コスチュームの案にはそこまで難しいことは書いていない。というよりむしろ詳しいことなど書いてない。ただ丈夫で動きやすいものと言った風だ。あらゆる知識が乏しいためそこら辺は何も思い浮かばなかった。案を出す時は相澤に一度見せたことがあったが呆れた表情をしていた。

 

 仕方ないと今世のヒーローの代名詞ともいえるオールマイトのスーツを参考にした。その結果無駄なものはほとんどないシンプルなデザインとなった。全身青のスーツに赤いブーツと穴あき手袋。スーツには特別なギミックなどはなくただただ丈夫な作りとなっている。

 

 ヒーローのイメージとしてマントが強かったが戦闘においてマントなどぞ邪魔にしかならないと考えて却下した。ほかには数少ない要望としてに薄い素材はやめてと書いたためそれがちゃんと守られていたことには安堵した。

 

「それおまえのコスチュームか。」

 

「うん。なんか触った感じいかにも丈夫、って感じだったから壊れることもないと思う。」

 

「それ言うなら体育祭の時に爆豪の爆発食らっても服とか破れてなかったよな?あれどうしてだ?」

 

「そうだっけ?うーんなんでだ?」

 

 そんなことなど意識したことすらなかった。思い出してみれば爆破を喰らった切島は体操服に穴が開き、麗日の場合は背中に焦げがついていた。にもかかわらず自分の着ていた服は、破けることも焦げることもなかった。

 

「今度調べてみようかな。ありがとう轟くん。」

 

「いや、俺は何もしてねぇよ。」

 

 コスチュームに着替えた二人はエンデヴァーの元へと戻る。

 

「着替えたな。では行くぞ。」

 

 こうして轟とローレルの職場体験が開始した。

 




 Manには人という意味も一応込められています。よろしくお願いします。
 誤字、脱字が多いです。申し訳ありません。
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