職場体験中にヒーロー殺しと戦闘をして入院していた轟、緑谷、飯田。未来のヒーローたちを守るために警察はヒーロー殺しを倒してのはエンデヴァーという事になった。例えヴィラン相手だとしても個性を無断で使用したのは事実、三人の活躍は世間をに知られることはなくもみ消されることとなった。
「ケントくんにも後で連絡をしなければ。彼女にも心配をさせてしまったからな。」
「そう言えば職場体験に行く前に話してたもんね。」
「ああ、まさにそのときに話していたんだ。」
そういって電話をかけようとした飯田。だが両腕にはギプスがはめられており携帯をいじることができない。仮にできてもその携帯を耳元に持ってくることができない。
「俺がかけるからそのときに持っててやるよ。」
「本当か、ありがとう轟くん。」
一番の軽症である轟が携帯を手に取りローレルへと電話をかける。だが電波が通じていいないのかコールすらなることはなかった。
「今職場体験中だし電源切ってるんじゃない?」
「いや、俺たちがヒーロー殺しと遭遇したあのとき。俺とケントは一緒に携帯を取り出したんだ。電源は切ってなかった。」
「じゃあ単純に忙しいんじゃないか?後で掛け直したほうがいいと思うぞ。」
今はヴィランでも発生して忙しいだけなのかと思い時間を開けて連絡をする事にした。だがその後もローレルが電話に出ることはなかった。
夜になり電話をかけ直してみるも一切の反応は無し。これまでに数回かけても音沙汰はない。疲れて眠ってしまったのだろうかと思ったためまた明日連絡をする事にした。
「まぁとりあえずテレビでも見ようよ。ニュースニュース。」
テレビをつければ能無とヒーロー殺しの話が中心となっている。ここら辺のことは現場にいた三人はよく知っている。だがそこで三人にとって新たなニュースが入った。
『全員急いで逃げて!』
「「「!!」」」
ビルを支えながらも人を逃そうと声をかけるローレルの姿だった。その近くにいた男が何かを投げるとビルは崩れまだ残っていた人とローレルが下敷きになった。
この後に救助隊が駆けつけ生き埋めになった人たちを捜索し全員が生還したことを告げた。だがその中で雄英の生徒一人が意識不明の重体になっているということも言っていた。
そのニュースを見て誰も声を出すことができなかった。出せなかった。自分たちはヒーロー殺しと戦って大変な思いをしていたと思っていた。だから自分のことばかり考えていた。特に轟は同じ場所にいたのに何の連絡もなかったことに気がつくのが遅かった。
(俺は馬鹿か!同じ事務所にいたのに!同じ場所にいたのに!どうして気がつかなかった!)
エンデヴァーが三人の元へと到着した時ローレルはその場にいなかった。轟は自分があのとき先に行ってしまった後に何かあったのかと考えた。
「親父に電話をしてみる!」
「轟くん・・・」
コール音が数回なり普段なら絶対に聴きたいとは思わないじゃ父親の声が耳に届く。
「親父!今ニュースを見た・・・ケントは今どうしてる!」
『・・・ケントくんはビルの下敷きになった。』
「そんなのは知ってんだ!俺が聞きてぇのは踏み込んだ話だ!」
「轟くん落ち着け。ここは病院だぞ。」
ヒートアップしてしましまい自分が今何処にいるのかを忘れてしまった。すぐに冷静になり音量を下げる。
『救助隊が到着した後に下敷きにされていた人たちは全員救出された。全員無事だ・・・ケントくん以外はな。』
嘘だといって欲しかった、だが聞こえてきたのは望んでいた言葉とは逆で今一番聞きたくはなかったものだった。目は見開かれ自然と手には力が入る。電話越しに聞いていた二人の息も止まる。
『あのビルに潰された場所には人を避けるかのように空間をができていた。そして何処か一つでも崩れていたら崩落して全員が命を落としていた。救助隊の人たちは言っていた、奇跡だってな。』
「などうしてあいつは無事じゃねぇんだ。」
『言っただろう、何処か一つでも崩れていたら崩落していたと。ケントくんもそのビルを支える柱となってずっと耐えていたんだ。』
少しでもずれれば崩落する可能性がある。どれだけの精神を擦り減らせばそんな中で支え続けていられるだろうか。
「でもケントさんってかっちゃんの爆破も効かないし轟くんの氷も効かなかった。なによりケントさんのパワーもとんでもないはず。どうして怪我を?」
「確かにそうだ。体育祭であれだけの凄さを見せてたんだ、ならその話はおかしいんじゃないか?」
緑谷と飯田が電話から聞こえる内容から本当にそうなのかと疑問に思った事に対して話をしていた。それを聞いていた轟もおかしいとは感じている。
『彼女の力や耐久力が凄まじいのは俺も知っていた。だが発見したときケントくんの全身には瓦礫の破片が刺さっていた。そして心臓の鼓動がとても弱くなっていた、ケントくんは衰弱していたんだ。』
「衰弱?そんな短期間であいつがそんなんになっちまうのか?」
話を聞くだけではどうしてそうなっているのかが全くわからない。
『いいや、ありえない。何もかもが不明だ。なにより彼女の肌が緑色に若干変色していというのも奇妙だ。焦斗、お前はそんな話を聞いたか?』
「いや、聞いてねぇ。そもそもあいつの個性は不明な点が多い。体育祭の時に見せた氷の息吹もあの時は誰も知らなかった。」
『そうか。とにかくケントくんは今入院中だ。確かお前たちのいる病院だったはずだ。』
「そうか、わかった。」
電話が終わってから轟は何も口にすることはなかった。飯田は親が迎えにきておりその日は帰ることとなった。自分も辛いはずだったが帰り際も轟を心配するような顔をしていた。
「轟くん、今日はもう休もう。」
「・・・ああ。」
それぞれの事務所で全員が貴重な経験を終え学校へと登校する日がやってきた。全員テレビで放送されたローレルの映像を見ていた。だからその安否が気になり自然と教室に来る時間も早まってしまった。一人、そしてまた一人と教室には生徒が入ってくるが望みの人物はいまだにやってこない。
保須市で起こった事件、ヒーロー殺しの逮捕。その三人も教室へと揃ったが三人誰一人として楽しそうに話をしていない。SNSでクラス全体は職場体験中もやりとりをしていたが事情を知っている三人は誰一人としてローレルについて話そうとはしなかった。
そんな空気の中で爆豪の8:2に突っ込めるものなどいるはずもなかった。
ローレルが轟と同じ事務所に行ったことは全員が知っている。だからローレルがどうなったのか轟に聞きたかった。だが轟の悔しそうな、責めるような顔を見て誰もが聞くのをやめてしまう。
予鈴がなりついにはローレルは姿を表さなかった。代わりに入ってきたのは相澤。いつものようにホームルームが始まる。
「相澤先生、ケントは・・・」
「・・・まだ目覚めてない。一度見舞いにも行ったが眠ったままだ。」
「そう・・・ですか・・・」
轟の疑問で全員の疑問が解消された。だがそれによって不安と心配がより募るってしまう。
「お前たちが心配になるのはわかる。だからこそこんな時は今までのように馬鹿騒ぎでもしてろ。あいつが目を覚まして今のお前らを見たら悲しむぞ。」
自分のせいでクラスの雰囲気を壊してしまった、そう思って自己嫌悪に陥るかもしれない。それよりならばいつきてもいいように笑って迎えられる場所を用意したほうがいい。
「「「はい!!」」」
「見舞いに行こうぜ!」
その一声から始まった。相澤にいつもどおり過ごせと言われても自分の目で確認しなければ気が済まない。ヒーローを目指すという心意気がある生徒が集まっているのだ、そうなるのは必然と言える。
相澤にあらかじめ見舞いに行ってもいいかと聞けば程々にと言われた。程々にすれば行っても構わないとの事なので行きたい人を連れて向かう事になる。といってもいかないと言ったのは爆豪くらいだったが切島が無理やり連れ行く事になり全員となった。
「すみません、ローレル ケントという方にお会いしたいのですが。」
「ああ、あなたたちですねその子に会いたいって子たちは。実は雄英から見舞いに行ったらよろしくお願いされたのよ。」
その言葉で全員が相澤の顔を思い浮かべた。わかりづらいがやっぱり相澤先生は優しいんだなと全員が再認識して病室へと向かう。飯田は兄の件もあり少し緊張していたが緑谷に肩をたたかれて平常心へと戻る。
「ここです。お静かにお願いします。」
そういって案内してくれた看護婦さんは戻っていった。一応ノックをするが当然返事は返ってこない。飯田が扉を開けて中へと入るとローレルが一人で眠っているだけで他には誰もいないいわゆる個室だった。
詳しい症状などは飯田、緑谷、轟以外は分からないが目が覚めないということは相当重症だったのだと誰しもが思った。口にはマスクがされており規則他正しく膨らんでは縮む胸を見て呼吸は安定している。腕には点滴が刺さっており体には包帯が巻かれている。ぱっと見では怪我の具合などは分からないがそれ以外には外見からわかることはなかった。
この状態を見れば自分たちはどれだけ運が良かったのかを再認識させられる。彼女ほどの個性を持った人物がここまでになるなど誰も想像だにしていなかった。
「まだ目覚めてないっていってたよな?」
「眠りっぱなしって事でしょ。」
「すごい怪我、本当にあれだけでここまでなるの?」
「普通はなるだろ。むしろ生きてるのが奇跡だ。」
「でも爆豪くんの爆破が効かなかったんだよ?」
「そうですわ。それほどの耐久性を誇っていてもケントさんはこうなった。それはつまり・・・」
「あの時の映像じゃわからない何かがあったってことか。」
今たまに目は覚めていない。だがそれでも生きていることは自分の目で確認することができた。これによりクラスメイト全員の胸が少し軽くなった気がした。
長居はいけないからそろそろ退散しようと提案し病室を出ようとした。轟は最後に一度振り向きローレルの顔を見る。すると先ほどまで閉じていた目が開いているのが見えた。
目覚めたばかりで思考がまとまらないのかぼーっと天井を見ていると誰かが近くに寄ってくるのがわかった。見えるのはローレルの顔を覗き込んでいる轟の顔。
「轟・・・くん・・・」
「ケント!起きたのか!」
轟の声を聞いて一度退出した生徒たちが再び病室へと入ってくる。飯田はすぐにナースコールを押し、看護婦たちを呼ぶ。その音を聞いて部屋の外からは慌ただしい足音がした後乱暴に扉が開かれる。顔を少し動かして見てみれば以前もお世話になった先生がいた。
「私・・・眠って・・・」
「今はいい、ゆっくり休め。」
「うん・・・」
そう言ってローレルは目を閉じて眠った。ローレルの様子を見ていた先生と生徒たちはようやく目が覚めたことに安堵した。
目が覚めた事でおそらくこれから忙しくなる。そう考えてすぐさま帰ることになった。
翌日になるとローレルはいつものように目を覚ました。眠っていた時間は一週間ほど。あまりに眠りすぎて授業に遅れるのではと心配になった。少しすれば相澤とオールマイト、そして塚内という警察官が病室へと入ってきた。
「起きて早々申し訳ないがあの時の話を聞かせて欲しい。」
「大丈夫です。」
あの日緑谷から位置情報による連絡が来たこと。突然男が現れ自分を襲ったこと。その男が自分と同じような存在のこと。ビルを支えていると男が何か投げ、その直後から突然力が抜け始めたこと。
その話を聞いて全員が首を傾げる。これだけではわかっていることは少ない。現場を操作した時は緑色の石を拾ったがまさかその石が原因だとは夢にも思わなかった。
「戦ってた男ってのは本当にお前と同じなのか?」
「多分同じだと思います。私と同じ個性を使っていたので。なにより資料にあった顔写真の男の人と顔が似ていました。」
「過去の人間のDNAを使って現代に蘇らせるか。なかなか悪趣味な話だね。この話は内密にしてさっきまでのことを調べてみるよ。それじゃあ僕はこれで。」
塚内警部が退出して相澤のみが残り今後の学校についての話が始まる。
「もうすぐで夏休みに入るがその時に林間合宿がある。そこで全員が個性を強化する訓練に入るわけだがお前は個性を制御する術を覚えてもらう。」
「ですよね。」
ただでさえ制御できないのに強くしたところで意味はない。となれば伸ばすのではなく使いこなす練習が必要になる。
「だがその前に期末テストがある。そのテストで合格点に満たなければ山のような補修が待ってる。遅れた分は自分で取り返せ。」
「保証してくれないんですか?!」
「当たり前だ。」
「ですよね。分かりました。わざわざありがとうございます。」
ここで、授業が遅れてしまっているのは自分の責任。学校側が保証してくれるはずもない。というよりも本人の学力を学校がどう保証すればいいのかも不明だが。
「当たり前だ・・・すまないな、お前にこんな苦労をかけ続けて。」
そういって相澤は病室を出ていった。
「先生のせいじゃないのに。」
返すタイミングを逃したローレルの声は病室に寂しく消えていった。
目が覚めてから2、3日ほど検査入院となりようやく学校へと復帰することができたローレル。相澤が来た翌日には根津も見舞いに来てくれた。それと同時にとても心配されたためとても申し訳なくなった。
教室に入ると全員がこちらへとよってきて安否の声をかけられる。以前にも同じような状況になったため何だかおかしく感じてしまう。
「ケントくん!」
「飯田くん?どうしたの?」
飯田が登校してきたローレルに気がつくと大きな声をかけて歩いてくる。
「君はあの時俺を心配してくれた。なのに俺はその時自分のことばかり考えていて君の気持ちを一切考えていなかった。すまない!」
「誰にだってそんなことはあるでしょ?飯田くんは今回たまたまそうだったってだけだよ。だからこれからはみんなに相談しようね。」
ローレルは飯田が何も言わなかったことに対して特に起こっているというわけではない。ただ何時もより様子がおかしかったから声をかけたという程度だった。そのためここまで深く謝罪されるほどのことは何もしていないと思っている。
「ケント、悪い。」
今度は轟がローレルに向かって歩いてきて頭を下げる。こっちにもなぜ謝られるのか分からないため混乱する。
「あの時緑谷のメッセージを見てすぐにそっちにいかなきゃって思った。そのせいでお前を置いてって大変な目にあわせちまった。」
「いやいや私こそごめんね轟くん。エンデヴァーさんに追いかけろって言われたのにそれすら守れなかったよ。恥ずかしい。個性の使用許可ちゃんと出てたけどそれ知らなくて私なんかよりも大変だったんじゃない?」
「いや、そんなことない。お前に比べれば俺の方なんてたいしたことない。じゃなきゃ一週間も寝坊なんてならねぇしな。」
入り口に人が集まりワイワイ話していたことで背後から相澤が来ていることに気がつかなかった。相澤の姿を見て全員の顔がひきつりそれを見てどうしたのだろうかと振り向けば個性を発動させて髪を逆立てた相澤がいた。
「元気があるようでよろしい。さっさと席につけ。」
その声で全員が素早く席へと着いた。もはや訓練されているとも言えるほど綺麗に。
「入り口の前で話すのはやめろ。しかも帰ってきてまず謝るってのは違うんじゃないか?」
相澤の言葉で全員が確かにという顔をする。
「「「おかえり!!」」」
全員が声を揃えて迎えの言葉を送る。おかえりなど今までで大して言われたことがなかった、ましてやここまでの人数に言われては少し緊張してしまう。
「ただいま!」
そんなA組の様子を見た相澤は誰にも見られないように静かに微笑んだ気がした。
誤字、脱字が多いです。申し訳ありません。