個性[超人]   作:2NN

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期末試験

「期末テストまで残すところ一週間だが、お前らちゃんと勉強してるだろうな?テストは筆記と演習だ、頭と体を同時に鍛えとけ。特にケント。以上だ。」

 

(名指し・・・)

 

 ローレルは中間テスト6位だったが職場体験のこともあり人よりも勉強が少し遅れている、相澤はそのことを考えていったのだろう。

 

 順位の低い者や苦手な場所がある者は八百万の開く勉強会、切島は爆豪に教え殺されるようだ。

 

 昼時となり緑谷、飯田、轟、麗日、蛙吹、葉隠、そしてケントの七人が食堂で一緒に食事をとっていた。

 

「演習試験か・・・内容不透明で怖いね。」

 

「突飛でなければいいのだが。」

 

「筆記試験なら授業範囲内だからなんとかなるけど。」

 

 この中で順位が低い麗日ぎ緑谷のなんとかなるという言葉に戦慄を覚えていた。試験勉強と演習試験。頭と体を両方鍛えておくと必要があると考えていた緑谷の頭に肘が炸裂する。

 

「あぁごめん。頭大きいから当たってしまった。」

 

「君は・・・B組の・・・確か物真くんだっけ?」

 

 今のは誰が見てもわざとにしか見えないが本人にそれを言えばかならず面倒くさいことになるため誰もその事に突っ込むことはしなかった。

 

「君らヒーロー殺しに遭遇したんだってね。体育祭に続いて注目を浴びる要素ばかり増えていくよね。でもそれら全部はトラブルを引きつける的なやつだよね?」

 

 物真の言葉に全員の顔が強張る。A組の生徒だって好きでトラブルに巻き込まれているわけではないがその点をついて嫌味な言い方をしてくる。

 

「あ〜怖い。いつか君たちが呼ぶトラブルに巻き込まれて僕らまで被害が及ぶかもしれないなぁ。疫病神に祟られたみたいに。」

 

 事実を含んだ言い方をするからよりたちが悪い。否定をすれば事実の部分のみで反論し自分は真実と嫌味で攻めてくる。

 

「はぁ・・・」

 

「そのため息は何かな?僕だって本当はこんなこと言いたくないけど周りに被害が及ばないように注意してあげてるのさ。君もテレビで見たけど凄かったね。周りに人がいるのに潰されちゃってさ、死んじゃうかもって思わなかったの?どうしてもっと頑張らなかったの?」

 

 思わずため息をつけば物真はローレルに狙いを済ませ集中砲火する。物真が言っていることは間違っていない。突然力が抜けたとはいえあれで人が生きていたのは奇跡に近い。となれば無理にでもあそこは頑張るべきだった。

 

「おい、それ以上はやめろ。不謹慎だ。」

 

「そういう物言いはヒーロー志望としてどうなんだ?」

 

 ローレルを庇うように轟と飯田が反論をした。

 

「あれあれ?僕は事実を言ってるだけだよ?あそこで支えるのを諦めちゃうなんてさヒーロー志望としてありえないじゃん。」

 

「お前!」

 

「待って。」

 

 物真は二人の反論が気に食わなかったが気に食わなかったのかさらに反論をする。轟が起こり出しそうになったためすぐにローレルが止めた。

 

「言いたい事はそれだけ?とりあえず君もご飯食べたら?冷めちゃうよ。」

 

「まだ僕とお話の最中じゃないか。逃げちゃうの?ヒーローになったらマスコミの対応とかで絶対に話をする場面があるのに逃げちゃうの?」

 

「私がなんて言ってもどうにかこうにか頑張って反論するんでしょ?とりあえず君の言いたいことは分かったよ。その上で聞くけど他に何か言いたいことはある?」

 

 その言葉に物真は固まった。今まで自分がこのような話し方をすれば必ず反論をしてきた。それを自分がまた説き伏せて優位に立っていたのだが目の前にいる少女はそれをしなかった。その驚きで思考が止まってしまった。

 

「それなら言わせてもらうけどカハッ・・・」

 

 物真が何かローレルの言葉通りどうにか反論の言葉を考えながら口を開くと、すぐに背後から首藤が飛んできて気絶させられる。

 

「物真洒落にならん。飯田の件知らないの?ケントに関してはその子がいなかったら大勢の人が死んでた。どうして凶弾する必要があるんだ?ごめんなA組、こいつちょっと心があれなんだよ。」

 

 現れたのはB組の委員長を務めている拳藤。B組は体育祭の時は妥当A組を掲げていた。だが今はそれもほとんど終わっており拳藤は非常に申し訳なさそうにしていた。そのお詫びかどうかは不明だが先輩から期末の演習内容は対ロボットの実戦演習らしいとのこと。内容を教えてもらい拳藤は物真を引きずってそのまま席を離れていった。

 

「なんか、あんまりこういうこと言いたくないけど・・・感じ悪いね。」

 

「そうね、陰口みたいね。」

 

「ローちゃんどうして反論しなかったの?」

 

 麗日が先ほどのローレルの言葉についてか疑問を送る。反論ではなくどうして肯定をしたのかと。

 

「面倒だったからとりあえず頷いておけばどっか行ってくれるかなって。否定するから反発するんだしとりあえず流しただけだよ。」

 

(((大人の対応。)))

 

 

 

 

 

 演習試験が対ロボットと分かり後は勉強をすればいいとなりテスト当日まで各々が勉強と訓練に明け暮れることとなった。

 

 そうして迎えたテスト当日。全員がこの三日間に備えて勉強をしてきており、それを全て出し切った。筆記は終了し、残るは演習試験のみとなった。

 

「それじゃ、林間合宿いきたきゃみっともないヘマはするなよ。」

 

 実技試験を行う会場へとローレルを除いた全員がコスチュームを着て集合した。前情報でロボット演習だと聞いていたが集まってみれば先生達が勢揃いしていた。ただのテストによる演習だとはいえここまでの人数はおかしいと何人かは思っていた。

 

「諸君なら事前に情報を仕入れて何するか薄々分かってると思うが。」

 

「諸事情があって今回から内容を変更しちゃうのさ!」

 

「「「校長先生!」」」

 

 そう言って現れたのは校長である根津。相澤の首に巻いた捕縛布の中に潜んでいたようだ。内容を変更するという言葉を聞いて余裕だと息巻いていた上鳴や芦戸は真っ白になっていた。

 

「これからは対人戦闘、活動を見据えたより実践に近い教えを重視するのさ。というわけで諸君らにはこれから二人人組でここにいる教師一人と戦闘を行ってもらう!」

 

「先生方と?!」

 

 組と対戦相手はすでに教師が決めている。ペアと対戦相手を順次知らせていくがA組は21人、2人1組というのは全員に当てはまるわけではない。

 

「先生!なんでケントはいないんですか?」

 

「あいつの試験だけは明日だ。諸事情があってな。」

 

 ペアを組まないという時点ですでに反しているような気がしないでもないが教師側がそれを理解していないはずがない。

 

「もしかしてケントまた1人か?」

 

「流石に今回は厳しいんじゃね?」

 

 自分の番が回ってくるまでは他の生徒達の試験内容を見ることができる。それはみられても対策されるという心配がないからだ。だが前もって試験内容を教える、そして試験を見られるとあらかじめ対策されてしまう可能性がある。そうならないように翌日にしたのだ。

 

 試験の制限時間は三十分。生徒達の勝利条件は先生にハンドカブスを装着する、または生徒の片方でもステージから脱出すること。これは倒せるヴィランはよくとも自分よりも格上や相性の問題で戦うことが難しい場合はすぐに離脱して応援を呼べるようにという意味もある。

 

「轟、飯田、緑谷。お前らはよく分かってるはずだ。」

 

 ヒーロー殺しと戦っていた時は逃げる方が賢明だということは分かっていた。だがそれを相手が許してくれるかは別問題。つまり脱出するにも相応の力が必要になるのだ。

 

「君らの判断力が試されるのさ。けどこんな試験逃げの一択じゃね?って思いますよね〜。そこで私たちサポート科にこんなの作ってもらいました!超圧縮重り!!」

 

 この重りを手足に装着することで体重の総重量を体にかけることができる。ハンデとして動きづらく体力をより削りやすくすることで戦闘を視野に入れるためだ。

 

「待っている間は見学するなりチームで作戦を練るなり好きにしろ、以上だ。」

 

 そう言って教師達は演習試験会場へと入っていた。こうしてA組の試験が開始した。

 

 

 

 

 

 翌日、他のクラスメイト達は試験を終わらせようやくローレルの試験がやってきた。演習試験会場のある広場へと立ち相澤が試験の説明を行う。

 

「で相手だ。小難しいことを考えほしいところだが今回は別だ。」

 

「私がする。」

 

「お前の個性は凄まじい強さを誇ってる。おそらくこの人以外では相手にすらならない。だからオールマイトさんに頼んだ。」

 

 ローレルの試験を翌日にしたのもこれが理由だ。もっともらしい理由を挙げたがオールマイトの活動時間を懸念して1人だけ翌日にしたのだ。

 

「では準備しろ。」

 

それだけ言って2人は会場へと姿を消した。その後を追うようにしてローレルも中へと入る。試験会場の場所は岩場、峰田と瀬呂がミッドナイトと戦った場所だ。勿論そのことをローレルは知らないが。

 

『ケント、演習試験。Ready Go!』

 

 ゴツゴツとした足場にちょっとした岩が所々に立っているだけで基本的にどこも開けた場所となっている岩場ステージ。隠れる場所は多いとはいえない。ましてやオールマイトの巨体よりも大きい岩などそうは置いてない。何が言いたいかといえばゲートの前で仁王立ちしているオールマイトがよく目立つ。

 

 体を岩に隠しながらオールマイトの様子を伺えばキョロキョロと辺りを見渡している。

 

(こっちには気がついてないか。ならここは奇襲だね。)

 

 身を乗り出して飛び込む。ちょうどオールマイトが背中を見せていたその瞬間を狙って拳を繰り出すが、それを片足を軸にしてくるりと周り回避される。

 

「奇襲か、出だしはいい感じだね。」

 

「そのいい感じを避けられたんですけど。」

 

「いいかい、こう言ったケースの場合人の死角である背後は逆に警戒されてるのさ。」

 

 そう言って拳を振り抜くオールマイト。動きは見えているため体を真っ直ぐ捕らえる拳を腕で横に押してそらした。その隙にオールマイトと同じ目線になるように飛んで右足で蹴る。

 

「やっぱり見えてるね。でもまだまだこんなもんじゃないよ!」

 

「それはこちらもです!」

 

 体をそらして回避したオールマイトは余裕綽綽と話しかけてくる。ローレルの蹴りはオールマイトの顔面ギリギリを通過した。体を起こそうとしたところで今度は左足による蹴りが放たれ再び体をそらして回避する。

 

「今のちょっと危なかったよ!」

 

 先ほどから変わらない笑みを浮かべながらなためそれが本当なのかわからない。相手を油断させるための発言の可能性があるため油断は一切しない。

 

「DETROIT SMASH!」

 

 オールマイトの必殺技がローレルの体を捉える。クロスアームブロックによって何度か防御するがその衝撃の強さで体が少し後ろへ退いた。背後ではそのパンチの強さで岩と地面が削れている。

 

「Texas Smash!」

 

 お返しとばかりに離れた場所からスマッシュを放ち風を巻き起こす。オールマイトの技を勝手に借りたため高頻度で使おうとは思わないが相手が相手。使えるものは使うべきだと判断した。

 

「私と同じかそれ以上、本当に凄いよ君は。」

 

「そう言って油断させるんですか?」

 

「素直な称賛さ。でもま今は試験中、そう思っても仕方ないよね!」

 

 

 

 場所が変わってモニター室。いつでも治療ができるようにとリカバリーガールが椅子に座って戦いを見ていた。

 

「あればケントのコスチュームか。何というかシンプルだな。」

 

「必要最低限って感じだね。」

 

「あーおっしい!」

 

「あのパンチよく防げたな。」

 

「空中で二回の蹴りもそわな簡単に打てるもんじゃねぇし避けられるもんでもねぇぞ!」

 

「お互いにスマッシュなんてこれはこれで珍しいわね。」

 

 A組の生徒達と共に。今日は他の生徒達は休みになっているのだが1人が見たいといえば全員がそれに同意した。相澤も仕方ないとそれを了承しモニター室で見ることを許した。

 

 ローレルの試験相手がオールマイトだと知り、同じくオールマイトと戦った爆豪と緑谷はモニターをじっと見ていた。自分たちは逃げることしか出来なかったがローレルは一体どうするのかと。

 

 

 

「なら手数で押せばどうなるかな!」

 

 オールマイトが能無と戦った際にした連打による猛攻。それに対してローレルも同じく拳の連打と応戦する。お互いの拳がぶつかり合うことで衝撃が発生し周囲の岩は崩れ地面にはひびが入る。

 

「この試験は倒さなくてもいいんですよね?」

 

「ああその通りだ。私はヴィランだからそう簡単に逃さないけどね。」

 

「なるほど、さよなら。」

 

「あ!ちょっと!」

 

 拳の連打の途中で離脱してすぐにゲートへと向かう。突然の行動に一瞬行動が遅れたがオールマイトもすぐに追いかける。全速力でローレルへと向かって走ればなんとか追いつくことができた。これ以上は進ませないと腕を掴むために手を伸ばすが、突如ローレルの体が反転しオールマイトの顔を蹴り付けた。

 

 それによりオールマイトの体は後ろへと吹き飛び地面へと倒れる。立ち止まったローレルもオールマイトの方へと向き直り構える。

 

「背後は警戒してるんですよね?」

 

「全くその通りだ。いい線つくねほんと。」

 

 立ち上がる前に近くの岩を持ち上げオールマイトへと投げつける。この程度何ともないというように拳で岩を砕くが、岩の後ろにはローレルがおりオールマイトを殴りつけた。よろめいた体に追い討ちを仕掛けるべくパンチを繰り出すが、オールマイトは自分から体を地面に倒し攻撃を回避すると蹴りでローレルの体を蹴り上げる。

 

 空中へと飛ばされたローレルは問題なく静止するがオールマイトの機転を見て流石にNo.1だなと納得した。痛みは全くと言っていいほどない。闘うこともできている。唯一心配があるとすればオールマイトの怪我を悪化させてしまわないかということ。強めに殴れば怪我に響くかもしれない、しかし弱めれば決定打にならない。

 

(こんなに悩むならオールマイト先生の体見なきゃよかった。)

 

 高速で近づいてもいいがオーラマイト自身も高速で移動できることから目も非常にいい。下手をするとカウンターを喰らい大ダメージを受けてしまう可能性がある。ここは静かに地面へと着地することを選んだ。

 

「ケント少女。もしかして君、私の体心配してるだろ。」

 

「・・・まぁしてます。」

 

「やっぱりか。なら遠慮しなくていい。私だってプロだ、君達を受け止められなければヴィランも倒せないさ。」

 

「・・・分かりました。なら、行きます!」

 

 目のも止まらぬパンチにオールマイトは対処できずにもろに喰らった。右の脇腹を強打され体が少し浮くが飛ばされると同時にローレルの方に足を伸ばして蹴り飛ばす。二人の体が同時に岩へとめりこんだ。

 

 ローレルが目をあげればすぐ目の前にはオールマイトが立っていた。いち早く岩から飛び出しローレルの前へと移動していたのだ。顔面を鷲掴みにして持ち上げると大きな動作で体を地面へと叩きつける。

 

 轟音と共に地面にクレーターが入る。鷲掴みにされたことで視界が隠れてよく見えないためすぐに手首を掴み脛を蹴り付けて引き剥がした。脚を押さえながら蹲るオールマイトにローレルは予備動作なしで突撃を行った。蹲っている今なら食らうのではないかと考えて。

 

 だが演技だったのかどうかは不明だがすぐに立ち直った。先ほどよりも早く動いているのだがオールマイトはその動きに合わせてパンチを打ってきた。小さい動きでそれを避けると肩に手をついて地面へと体を倒し、そのまま体を地面と密着させたまま速度を殺すことなく進んでいく。

 

「いだだだだだだだだだだ!!」

 

 オールマイトからそんな声が聞こえてくる。動きを止めて見てみればいつものような笑顔は変わらないが心なしか汗をかいているような気がする。

 

 

 

「速ぇな。」

 

「あ、逃げた!」

 

「さすがこの事件をよく理解してるな。」

 

「岩の影に隠れてなんてうまいね!」

 

「オールマイト強く蹴りすぎじゃない?」

 

「顔を鷲掴み・・・恐ろしいですわ。」

 

「地面にあとできてるよ!痛そう!」

 

「おい!よく見たらオールマイトの手足に重りついてねぇぞ!」

 

 その声に続いて全員がそういえばという顔になった。

 

「あんたら少し静かにできないのかい!オールマイトは今回最初から重りをつけてないよ。」

 

 オーラマイトとの戦いで盛り上がりを見せているA組がなかなか煩かったためリカバリーガールによる一喝が入る。それにより全員が静かになった。

 

「どうしてなんですか?」

 

「そんなのあの子の個性が強すぎるからに決まってるさね。」

 

 その声に誰しもが黙った。自分とは全く違う戦いを見せるケントに爆豪は苛立ちを隠せないがそれでも見ることはやめない。自分に取り入れられる動きがあれば何でも取り入れられるように。

 

 

 

「先生、有難うございました。」

 

「え?」

 

 オールマイトの体からおりて頭を下げるケント。どうしたのかと思えば今自分が倒れている位置、ゲートを通り過ぎた場所だった。

 

『ケント。条件達成。』

 

「NOOOOOOOO!!!」

 

 その場には放送とオールマイトの声が木霊した。




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