スーパーマンではなくスーパーガールやパワーガールではないのかというお言葉を頂きました。御尤もです。
見た目についてはスーパーガールの容姿をイメージしました。
「こいつ。」
相澤は見た、緑谷の中にある可能性を。先ほどまでの緑谷に対する評価を改める必要がある。大部分の問題は解消されてはいないが。
「700mを超えた!?」
「やっとヒーローらしい記録出たよぉ!」
「指が腫れ上がっているぞ。入試の件と言い、おかしな個性だ。」
「スマートじゃないね。」
各々が緑谷の記録について話している中、一人だけ違う視線を向ける人がいた。
(な!なんだあのパワー。個性の発言はもれなく4歳までだ。ありえねぇ、けど実際。)
その人物は爆豪勝己。緑谷の幼馴染みだ。二人の仲はとてもではないがいいようには見えない。何でも出来た天才肌の爆豪に対して何をやってもダメな無個性の緑谷。そしてずっと小さかった頃に起こった一つの出来事。これにより二人の関係は崩れて行った。
「どう言うことだ。こらぁ!訳を言え!デクてめぇ!」
両手から個性による爆発を起こしながら緑谷へと突っ込んでいく爆豪。その姿は訳を聞く前に爆破されてしまいそうな勢いがあった。しかしどこからか飛んできた布が頭を体を締め付けて爆豪の動きを封じる。
「んだ、この布。硬ぇ・・・」
「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ捕縛武器だ。ったく、何度も何度も個性使わすなよ。俺はドライアイなんだ!」
(((個性すごいのに勿体ない!)))
見たものの個性を消すと言うのは目を開いてずっと見続けていなければならない。瞬きをすれば解除されるてしまう。ドライアイである相澤だが本当にもったいないと言う言葉が的確だ。
「時間が勿体ない。次準備しろ。」
爆豪へ伸ばした布を解除し再び自分の首へと巻き戻す。解放された爆豪は緑谷へと突っ込むことはなかった。その横をおっかなびっくりしながら抜けていく緑谷。
(ついこないだまで、道端の石ころだったろうが!)
その後痛みに耐えながら全種目が終了した。全ての種目が終わると緑谷は思いの外疲れて思わず地面に横になってしまった。だがすぐに集合がかかったため急いで立ち上がる。
「んじゃあパパッと結果発表。トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明するのは時間の無駄なんで、一括開示する。」
(トータル最下位が除籍。僕の記録らしい記録はボール投げだけ。持久走に至っては痛みでひどい結果だった。)
相澤が持っていた端末を弄ると空中に水色のディスプレイが浮かび上がる。そこにはランキング形式で名前が並んでいた。
(最下位・・・除籍・・・)
緑谷の名前は20位、雄英高校ヒーロー科の人クラスは20人であるため自分が最下位だったことがわかった。
(あれ?20位?教室に来た時は一人遅刻がいたはず。ここにいる人たちもパッと見ただけだけどクラスで見た人たちばかり。ならあの席は?)
端末を弄ると空中に投影されたディスプレイは消えた。そしてなんでもないかのような口調で相澤は言った。
「ちなみに除籍は嘘な。」
全員がその言葉を聞いてポカンとした表情になる。ほとんどの生徒が相澤の言った言葉を理解することができていなかった。
「君らの個性を最大限引き出す合理的虚偽。」
「「「はああぁぁぁぁ!!!」」」
相澤の顔にはいたずらが成功したかのように口角が上がっていた。本当に除籍されると思っていた生徒達の声がグラウンドに響く。特に最下位だった緑谷は燃え尽きたかのような真っ白になっていた。
「あんなの嘘に決まってるじゃない。ちょっと考えれば分かりますわ。」
(き、気づかなかった。)
「ちょっと冷やっとしたな。」
「俺はいつでも相手になるぜ。」
騙された、焦った、真っ向からぶつかりに行く。生徒達の反応は様々で、その様子を見るだけでいったいその人がどんな人だったのかが大体わかるだろう。
「これにて終わりだ、教室にカリキュラムなどの書類があるから戻ったら目通しておけ。緑谷、保健室で婆さんに戻してもらえ。明日からもっと過酷な試験の目白押しだ、覚悟しておけ。」
大きなため息をついて今日の個性把握テストについて頭の中で振り返っていた緑谷。相澤は生徒達を置いて先に校舎へと戻っていく。そこに体育着を着た一人の少女が走り寄ってきた。
「相澤先生、遅くなりました。」
「遅い、除籍にすんぞ。」
「私は今日からホームレスですか。」
金色の髪に女性にしては高い身長、すらっと伸びた手足にくびれた腰、それと反するように大きな胸。顔は日本人とは思えないような顔立ちをしている。
突然現れた一人の少女に対してクラスでは一体誰なのかと言う話をしていた。かく言う緑谷も、先ほどの遅れたと言う会話からもしかして空いていた席は彼女のものだったのではと予想をしていた。
「はぁ、どうして遅れた。」
「根津さんに話を」
「分かったもういい。合理的じゃないがお前も個性把握テストをやるぞ。」
合理的な趣向をする相澤が遅れてきた理由を聞いただけで許したことに全員が驚いた。いったいどんな事情があれば遅れてきても許されるのか。
「まずは50m走だ、行くぞ。お前達はもう戻ってていいぞ。」
「先生、彼女は?」
生徒を代表して飯田が相澤に問いかける。
「あいつはお前達のクラスメイトだ。今年は例外中の例外としてA組のみ21人になってる。」
「21人!?他よりも多いのですか!」
「ああそうなってる。事情がわかったらお前らはさっさと戻れ。」
そう言って背を向けて少女の後へとついていく相沢だったがまたしても生徒に呼び止められてしまう。
「先生!私達もあの人の体力テストみてもいいですか?」
「それは本人に聞かなきゃな。おいケント?」
「構いません。」
生徒達からすれば突然現れた21人目の生徒に興味が湧かないわけがない。他の生徒の個性は見たが後から来たケントと呼ばれた少女の個性はまだ知らないのだ。それを言えば後からやってきた少女は周りの生徒の個性を見ていないため知らないのためアドバンテージに差が生まれるのだが。
《第1種目:50m走》
こうして再び始まった体力テスト。先ほど全員がやった時とは違い今は一人なためすぐに終わる事はわかっている。なのでA組は全員見学をしている。中には遅れてきたくせに。さっきの除籍処分が云々かんぬんと思うものもいた。
『位置について、よーい、ドン!』
音とほぼ同時に地面を蹴る少女。次の瞬間にはすでにゴールへと辿り着いていた。
『0秒62。』
「「「はああぁぁぁ!!??」」」
そのあまりの早さにクラス全員が驚いた。足に自信がある飯田はその大きな差に固まっている。誰も走っているところを見ておらず、その姿が消えたと思えばいつの間にかゴール地点へと立っていた。そのことに誰もが驚きを隠せない。
《第2種目:握力》
手に持った測定器を難なく握り潰す少女。それを相澤へと見せる。その握力の凄まじさに再び全員が驚いた。
「・・・測定不能。」
「おい嘘だろ!あいつぶち壊しやがったぜ!」
「ケント、反対も同じか?」
「同じです。」
「ならしなくていい。無闇矢鱈に機材を壊すのは合理的じゃない。」
《第3種目:立ち幅跳び》
「地面に足つかなきゃいいんですよね。」
「立ち幅跳びだぞ。地面につくに決まってるだろ。お前はそうでもないかも知れんが。」
そう言って少女の体が宙に浮き始めた。最初の高速移動に凄まじい握力、さらには空を飛べる。もはやなんでもありな姿に他の生徒は口をあんぐり。
「いつまでやりますか?私はここで限界を知るってのも面白そうだと思います。」
「んな時間とってられるか。無限だ。」
《第4種目:幅跳び》
流石に高速で移動できるとは言え慣性の法則を無視する事はできない。そのため最低限の速度を持って行っていた。
「いやあれでも早すぎだろ。」
「あの子の体どうなってるのかしらね。」
《第5種目:ボール投げ》
円の中から出なければ何をしてもいいと言うことなので体を空中に浮かせて空へと辿り着きボールを投げる。放たれたボールは目にも止まらぬ速度で飛んでいき容易に大気圏を突破した。少女が戻ってくる時には無限を叩き出しており二度目をやる必要はないと一投で終わってしまった。
《第6種目:上体起こし》
クラスで一番力がある手の多い生徒に足を抑えてもらいながら高速で上体起こしを行った。その勢いの強さに必死に足を抑えている姿を見て少女は自重し速度を若干下げた。
《第7種目:長座体前屈》
こればかりは自身の能力を活かす方法はないため普通に行った。体は柔らかい方だったためそこそこの記録を出すことができた。
「普通だね。」
「普通ね。」
《第8種目:持久走》
空を飛んで高速でグラウンドをぐるぐる回るその姿をもはや諦めの境地のような場所で全員は見ていた。
「よし、これで終わりだな。教室に資料があるから戻って読んどけ。明日は遅れんなよ。」
「私じゃなくて根津さんに言ってください。」
「お前が自分で言え。それと根津さんはやめろ。」
そう言って相澤は校舎へと戻っていった。今日はこれで終わりなため帰って資料を読もうと更衣室へと戻ろうとした少女だった。しかし後ろからくる人だかりに捕まり歩くことは叶わなかった。
「あんたすげぇな!一体どんな個性してんだ?」
「しかも美人!日本生まれなの?羨ましい〜!」
「ああ、オイラ生きててよかった!」
先ほどの圧倒的な体力テストを目にした生徒達は少女を褒め称えた。一人足にひっついている人物がいるがそれを無視して自己紹介を行う事になった。
「私は、ローレル ケント。一応日本生まれだから英語は期待しないでね。」
自己紹介も終わり教室へと戻ることになった。更衣室で着替える時もその見事なプロポーションに全員に羨ましがられた。特に耳たぶがイヤホンになっている女子に。
初日は、終了し学校にいる生徒達は帰り始めた。教室からもどんどん人は減り最後にはローレルのみが残った。一緒に帰ろうと誘われはしたものの、ローレルはそれを丁寧に断った。
「さ、帰るか。」
鞄を手に持ち教室を出るローレル。扉の前には今朝も見た遅刻の原因である校長先生、根津が立っていた。
「やぁ、ローレル君!初日の学校はどうだった?」
「誰かさんのせいで遅刻しました。」
「それは本当かい?ならその誰かさんには僕から言っておくよ。」
「お願いします。」
そう言って会話をしながら並んで歩き出す。ローレルは雄英の保護下にいるため敷地内に家がある。そのため遅くなってもあまり困らないのだ。
「このスカートは嫌ですね。ひらひらしてて気持ち悪いです。」
「女の子がそういうことを言ってはいけないのさ。君は綺麗なんだから見た目も気をつけなきゃね。」
ロイスはスカートよりもズボンを履きたいタイプなため最初制服を見た時かなり嫌がった。どうにかズボンに変えてくれないかと直談判したが、ミッドナイトが絶対ダメだと取り合ってもらえなかった。
話しながら歩いていればすぐに校舎の入り口へと辿り着いた。既に生徒はおらず明るいながらも静かな空間が広がっていた。
「それでは根津さん、さよなら。」
「さようなら。せっかくなら僕のことは校長と呼んで欲しいのさ。」
「分かりました校長。では。」
そう言って根津に頭を下げ玄関を出ていく。敷地内の一部に一人暮らしをするには十分な家を建ててもらいそこで生活をしている。
制服を脱ぎすぐにタンクトップにショートパンツと楽な格好へと着替える。
「あ〜何もしてないけど疲れた〜。」
実際の所は動いているのだが彼女本人の認識ではそこまで動いた扱いにはならないようだ。
(みんな本当はどう思ってるんだろう。)
体力テストで見せた凄まじい動きを見てクラスメイト達はなんて思ったのか。すごいと褒めてくれたがそれは上っ面。腹の中ではなんて思っているのかわからない。
近くにあるハンバーガーの形をした置物を手に取り少し力を入れて握る。それだけでその置き物は凹んでしまった。
「これじゃあねぇ。」
少し力を入れただけで物が壊れてしまう。なので雄英に連れられてきた時から多くのものを壊してきた。中には恐ろしいものを見たと言う表情をしていた人は少なくない。
(やめよ、これじゃただの嫌なやつだし。)
純粋に褒めてくれた人がいたかもしれない。であれば先ほどの思考はその人に対してひどく失礼なことであるためローレルは途中で考えを切って資料に目を通し始めた。
誤字、脱字が多くてすみません。