個性[超人]   作:2NN

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到着、オールマイト

 無事に水難ゾーン突破した三人は相澤のことが気になると言って様子を見に行くことにした。自分たちを守るためにイレイザーは無理をして飛び込んでいると緑谷は思っていた。だから少しでも手伝えないかと考えている。だが初戦闘にして初勝利したことで自分たちの力は通用すると錯覚してしまった。

 

「なぁ緑谷は、様子を見るだけだぞ。」

 

「うん、わかってる。危ないと感じたらすぐ逃げるから。」

 

 そう言って三人は姿勢を低くして体を隠して遠くから相澤の様子を伺っていた。そこでは個性、布、体術を巧みに使い戦うイレイザーヘッドの姿。ダイナミックに飛び回り次々にヴィランの意識を刈り取っていく。そこへ全身に手の装飾をした男、死柄木が相澤へと向かってくる。本命だと確信しているイレイザーも死柄木へと向かって走る。

 

 職員室の時のように布を飛ばすと死柄木はそれを掴み個性を発動しようとする。だがイレイザーの抹消により発動はせずそれでも止まらず走り寄ってくる。相手の動きを崩すために掴まれた布を引っ張り自身の肘を思い切り体へと打ち付ける。一瞬入ったと思ったが死柄木の手によって肘が掴まれておりダメージは入っていない。

 

「動き回るから分かりづらいけど髪が下がる瞬間がある。」

 

 図星を突かれたイレイザー。露骨な反応はしないがゴーグルの奥に隠れた瞳が見開かれる。肘を掴まれた瞬間にイレイザーの個性は切れてしまい死柄木に掴まれた服がだんだんと崩壊していく。

 

「一アクション終えるごとだ。そしてその感覚はだんだん短くなってる。無理をするなよ、イレイザーヘッド。」

 

 掴まれた肘は服を超えて皮膚まで崩れ筋肉が露出してしまった。このままではまずいと思ったイレイザーはクールタイムを終えたことで個性を発動し死柄木を殴ってその場から飛び退く。一対他によりイレイザー体力は消耗し右肘は筋肉が露出しているため100%のパフォーマンスは難しい。

 

「その個性じゃ集団との長期決戦は向いてなくないか?普段の仕事と勝手が違うんじゃないか?君が得意なのはあくまで奇襲からの短期決戦じゃないか?それでも真正面から飛び込んできたのは生徒に安心を与えるためか?」

 

 瞬きにより髪が下がった瞬間に背後にいたヴィランが伸びた爪で切りかかってくる。その爪を回避して布で縛り上げると別の方向から飛んでくる鉄球を防ぐために盾へと使う。その隙に無事な左腕で殴りつけ回し蹴りでまた別のヴィランを蹴る。

 

「かっこいいなぁ、かっこいいなぁ。所でヒーロー、本命は俺じゃない。」

 

 背後から気配を感じたイレイザーが振り返るとそこにはオールマイトよりも大きな体に全身真っ黒な皮膚を持つ能無が立っていた。

 

「教えてやるよ、イレイザーヘッド。そいつが対平和の象徴、怪人能無。」

 

 

 

 

 

「全てを吸い込み塵にするブラックホール。なるほど、驚異的な個性です。しかし13号、あなたは災害救助で活躍するヒーロー。やはり戦闘経験は他のヒーローに比べて半歩劣る!」

 

 ブラックホールを使い黒霧を吸い込んでいた13号。黒霧は13号の背後にワープゲートをつなげることでブラックホールの吸い込み先を背中へと変えた。それにより13号は自分の個性で自分の身体を塵にしてしまった。ブラックホールを止めてもそれはすでに遅く13号は倒れてしまった。

 

「飯田、走れって!急げ!」

 

 砂藤が先ほど話していた飯田が走って助けを呼ぶように言う。救うために個性を使えという13号の言葉を思い出し飯田は黒霧の横走り出した。ヴィラン連合にとって厄介な相手はオールマイトとプラスαのみ。ここで他の教師まで呼ばれれば厄介だと飯田の前にワープする。走る足を止めてしまいそうになるが横から障子が黒霧を掴み目の前からどかしたことで飯田はそのまま走り続ける。

 

 それでもモヤを飛ばして追いかけてくる。麗日は黒霧の体にモヤではない部分があることに気がつき実体があるのではと考えた。飯田は再び黒霧に飲み込まれそうになっていたため理屈は捨てて無重力を使って黒霧を空中へと放り投げた。そこへ瀬呂がテープを伸ばし砂藤のパワーで遠くへ投げ飛ばすことで飯田から距離を離しUSJの外へと脱出させることに成功した。

 

(応援を呼ばれる、ゲームオーバーだ。)

 

 

 

 

 背後に立っていた脳無に頭を掴まれたイレイザーはそのまま顔を何度も地面に叩きつけられた。ゴーグルは壊れ頭から血が流れ辺りに飛び散っている。脳無に掴まれた右腕は肘からおられ反対の手は上から大きな手で潰されて折れてしまった。

 

「個性を消せる、素敵だけどなんてことないね。圧倒的な力の前には、ただの無個性だもんね。」

 

(小枝でも折るように。確かに個性は消した、つまり素の力がこれか。オールマイト並じゃねぇか。)

 

 そこでまたイレイザーの顔面を地面へと叩きつける。そのあまりの強さから叩きつけた地面は凹んでいる。

 

「死柄木弔。」

 

 そこで先ほどまで入り口付近にいた黒霧が死柄木の隣へとワープで現れる。

 

「黒霧、13号はやったのか?それと金髪の女も。」

 

「行動不能にはできました。ローレル ケントも予定通り特別ステージ送りに。ですが散らし損ねた生徒がおりまして。一名逃げられました。」

 

(13号先生がやられた!?それにケントさんも!?)

 

「・・・は?」

 

 何を言っているのかわからなかった死柄木は黒霧を一度見た後にそのことを理解し首元を猛烈に掻き始める。

 

「黒霧、お前・・・お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ!流石に何十人ものプロ相手じゃ敵わない。あーあ今回はゲームオーバーだ。帰ろっか。」

 

 ローレルよ名前は緑谷のみがなんとか聞こえており他の二人の耳には届かなかった。だが帰ろうという言葉しっかりきこえておりそれを聞いた三人はとても気味が悪いた感じた。ここまで攻めてきておいて簡単に帰ると言っていることからどこまで本気にオールマイトを殺しにきたのかわからない。このまま帰れば雄英に警戒されるだけなためヴィランたちが何を考えているのかわからない。

 

「そうだ。帰る前に平和の象徴としての矜持を・・・少しでもへし折って帰ろう!」

 

 気がつけば目の前にしゃがみ込んでで蛙吹へと手を伸ばしてくる死柄木。先ほど肘が崩れていくのを見た緑谷はこのままでは蛙吹が同じ目にあう姿を幻視してしまった。誰も動くことができず、蛙吹の頭が掴まれるところをただ見ていることしかできなかった。だが蛙吹の身には何も起こらない。

 

「ちっ!本当かっこいいぜ・・・イレイザーヘッド。」

 

 背後では能無に頭を掴まれていながらも個性を使って死柄木をじっと見つめるイレイザーの姿。傷だらけになりながらも生徒を守るために自身の個性を使ったのだ。しかしすぐに能無によって頭を今まで以上の強さで地面に叩きつけられる。

 

(やばいやばいやばいやばい!さっきの敵とは明らかに違う!蛙吹さん助けて急いで逃げなきゃ!)

 

 この短い時間に緑谷は飛び上がり死柄木へと殴りかかる。

 

「手を離せ!SMASH!」

 

 怪我をした手とは反対の手を使って怪我を厭わずSMASHを放つ。凄まじい暴風が起こり水難ゾーンの水は揺れドームのライトは全て破壊される。大きな砂埃が起こり自分の目の前が見えなくなるが手応えは確かにあった。そしてさらに一つ気がついたこと。

 

(折れてない、力の調整がこんな時に。出来た!うまくSMASHが決まった!)

 

 そう思って殴った先を見ると目の前には能無が割り込んでおり、その体で緑谷のSMASHを受け止めていた。そこで蛙吹の殺せる算段という話を思い出してしまった。

 

「いい動きをするなぁ。SMASHってオールマイトのフォロワーかい?ま、いいや君。」

 

 能無鎌緑谷の腕を掴み持ち上げて反対の手を伸ばしてくる。それを助けようと蛙吹が舌を伸ばすが死柄木の手が峰田と蛙吹の二人に向かって伸びてきている。まさに絶体絶命、今この場において助かる手段など皆無に等しかった。そう、いまこの場においては。

 

ガァン!

 

 USJの入り口が吹き飛ばされ大きな音が鳴った。ドーム内に響く靴の音、立ち込める煙を無視して現れたのは全員が待ちわびていた人物オールマイトだった。

 

「もう大丈夫、私がきた。」

 

 普段から笑顔の絶えない彼の顔に笑みなどなく、あるのは怒りのみだった。

 

「あー・・・コンティニューだ。」

 

 ネクタイを破り取る上着を投げ捨てる。そして目にも留まらぬ速さでヴィランたちを通り過ぎるついでに意識を刈り取り、イレイザーを抱き抱えて救出した。イレイザーに一言謝った後今度は緑谷、蛙吹、峰田を素早く救出する。ついでにヴィランたちを一発殴ることも忘れない。

 

「みんな、入り口へ。相澤くんを頼んだ。意識がない、早く!」

 

 その指示に急いで行動を開始する三人。殴られた瞬間にマスクが外れた死柄木はかなり狼狽えていたが、落ちたマスクを装着することで落ち着いた様子を見せる。

 

「助けるついでに殴られた。国家公認の暴力だ。さすがに早いや、目で追えない。けれど思ったほどじゃない。やはり本当の話だったのかな?弱ってるって話。」

 

 マスクの隙間から見せる歪んだ口元からは不気味さが漏れ出している。緑谷は不安になり自分の攻撃が効かなかったことを口にする。

 

「緑谷少年、大丈夫。」

 

 振り返ったオールマイトの顔には先ほどとは違い笑顔が戻ってきていた。安心させるためかピースまでしている。それを見た緑谷は今抱えているイレイザーのこともありすぐに避難を開始した。

 

「Carolina!」

 

「脳無。」

 

「SMASH!」

 

 手をクロスさせてXを描くようにして手を振る。だが死柄木の前に脳無が立ち塞がりオールマイトの攻撃が防がれてしまう。脳無の背後ではオールマイトの攻撃による余波で大きな水しぶきが上がっている。

 

 たが脳無にダメージが通っている様子はなく両腕を広げてオールマイトにつかみかかろうとしてくる。それをリンボーダンスのように体を倒して回避した。

 

「まじで全然効いてないな!」

 

 腹に向かって一撃、反撃する手を回避して顔面に二発を与える。伸ばした手を避けるためにバックステップで回避。飛び込んできた脳無の動きに合わせてカウンターで一撃を入れる。何度も何度も打撃を与えるがそれが効いてる様子はいまだにない。

 

「効かないのはショック吸収だからさ。能無にダメージを与えたいならゆっくりと肉を抉り取るとかが効果的だね。それをさせてくれるかは別として。」

 

「わざわざサンキュー!そういうことならやりやすい!」

 

 脳無の背後に周り両腕を伸ばして腰をガッチリとホールドするとジャーマンスープレックスをした。爆発が起きたかのような大きな衝撃が辺りに走る。

 

 それを見ていた生徒たちはオールマイトの勝利を信じて疑うことはなかった。ただ一人緑谷を除いては。投稿中に見るヒーローニュースで今朝オールマイトが三件の事件を解決していることを知っていた。そして訓練が始まる前に13号がイレイザーへと見せた三本の指により活動限界が近い可能性がある。だから緑谷は安心できてはいなかった。

 

 煙が晴れたそこには地面に埋まった脳無ではなく、脳無に脇腹を掴まれ血を流しているオールマイトだった。黒霧のワープでオールマイトの背中へと顔を出した脳無が脇ばわらに指を食い込ませてダメージを与えていたのだ。しかも握られている場所はオールマイトが昔怪我を負った場所。

 

 どうにか手を離そうと能無の体から今度は手を掴むが一向に離れる様子はない。

 

(何というパワー。)

 

「黒霧。」

 

「私の中に血や臓物が溢れるので嫌なのですが、あなたほどのものならば喜んで受け入れる。目にも留まらぬ速度のあなたを拘束するのが能無の役目。そしてあなたの体が半端に止まった状態でゲートを閉じ引きちぎるのが私の役目。」

 

 オールマイトの体がモヤへと飲み込まれていき見える部分は胸から上のみとなった。どうにか脳無の手から逃れようと足掻く。それを見た緑谷が蛙吹にイレイザーを担ぐのを代わってもらい走り出した。

 

(嫌だよオールマイト。あなたに教えてもらいたいことが、まだ山ほどあるんだ!)

 

「オールマイト!」

 

 手を伸ばしながら走り寄る緑谷の前に黒霧が現る。止まることができない緑谷はそのまま飲み込まれようとしていた。

 

 

 




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