「ここは一種の地獄だといっても、きっとみんなそれを否定しきれないでしょ。硝煙と血潮でむせ返り、まともな思考をしている人間の一人もいやしない。更にそこにあと二時間ぽっちで天災が来るとは......なんともまぁ、運がないと嘆けばいいのか、この世界そのものを恨めばいいのか。それくらいしても、だれも文句の一つもこぼさないと思うよ?」
———その少年はなんてこともないように、ごく自然体でそこで物言わぬすっかり冷え切った元レユニオン兵に対して話しかけていた。
「もうさ?こうやって互いに殺しあっておいてなんだけど、正直なところ互いに利益はないし、君たちの同胞も悲しむだけだし......」
はたから見れば、その少年は何もない、だれもいない場所に向かって喋りかけているようにしか見えない。というよりも、実際にそうなのだろう。しかし、それを咎めるものも問いただすものもその場所には存在しない。
既に市民は非難したし、此処を占拠していたレユニオン兵は全員何も言わない、言えなくなっている。ほんの数時間前までは平和な時間が過ぎていたであろう面影は、すでに影も形もなかった。
少年はその手に握りしめていたナイフを放り投げて、血にまみれた街道を歩いていく。
「全く、ロドスのみんなは人使いが荒いったらありゃしない」
そんなことをぼやきながら、少年は慣れた手つきで腰につけてあったポーチから小型の無線機を取り出し、どこかに繋いだ。
「あー、はい。こちらγ地点。すでに一般市民の気配はないよー。ん?レユニオン兵?彼らなら快く還ってくれたよ?いやいや、別にそんな追いかけてまで口を閉じてもらってないって」
嗤いながら少年は無線機の相手と楽しそうに会話を続ける。
「あ、もしかして検体が残ってるか心配してる?だいじょーぶだいじょーぶ、ほとんどみんな無傷だから」
そんな風に少年が会話を続けている間に、少年を迎えに来たのか、ヘリが地面に降り立ってくる。
「うん、うん。わかってるって。イフの為にも、私の為にも早く薬を完成させないとだもんね。といっても、私もいつまでもつのやら......」
ヘリによってあおられた風が少年の服を煽る。そして見えるその腹部、腕にはところどころに黒い結晶が生えていた。
「それじゃ、今から帰るね。うん、そっちで待っててよサイレンス。すぐにそっちにつくだろうし」
そうして彼はヘリに乗ってどこかに去っていく。数えきれないほどの夥しい死体の山を残して———
「あ、ゾディア。お帰りなさい。みかん食べる?」
「仕事から帰ってきた私の目の前で堂々とこたつに入りながらみかんをつまんでいるとはこれどういう了見か?あ、ミカンは食べる」
……別段重い話というわけではない。ただこれは、ロドスで少年———ゾディアがまったり(*´ω`)するだけのお話である。
「今日の夕ご飯は水炊きだよ」
「っく、夕飯の話はまだ早いでしょ!?」
こたつに入りながら、ゾディアはミカンを手に取りながら時間を確認する。未だ14時。
というのに目の前でこたつに入っている自身の保護者担当の様子はどうだ。すでに目をつぶり、眠る直前。
「あのさぁ......別にサイレンスのことだから仕事はきっちり終わらせてきているんだろうけど、この真昼間から眠るのはいかがなものかと私は思うわけだけど、ご本人はどうお思いで?」
「......zzZ( ˘ω˘)スヤァ]
「すでに寝てる?!」
こんな人が自身の保護者で大丈夫なのだろうかと思いながら、自身も横になるゾディア。
「.....こんな風に寝ていられるのもいつまでなのかな」
仕事帰りの疲れからか、だんだんと襲い掛かってくる睡魔にその身をゆだねて目をゆっくりと閉じていく———
「大丈夫。絶対に......ゾディアとイフリータは治して見せる。絶対に」
【コードネーム】ゾディアック
【性別】男
【戦闘経験】三年
【出身地】不明
【誕生日】3月19日
【種族】未公開
【身長】149cm
【鉱石病感染状況】
体表に源石結晶の分布を確認。メディカルチェックの結果、感染所に認定。
以降は信頼度上昇で開放