精霊に文学少女がいないのはおかしいと思う   作:山野化石

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精霊に文学少女がいないのが我慢ならなくなったので初投稿です。
え?ニ亜?あれは別のナニカだから。


一華アイデンティティ
01


白石一華の人生を表すなら中途半端に悲惨というのがふさわしいだろう。母親の連子として今の家に来て10年になるが父親とは殆ど話した事がなく、母親も後から生まれた弟にかかりきりだった。

その後、両親は弟の教育のためという名目で海外に行ってしまった。

残されたのは一人で過ごすには広すぎる家と毎月の生活費。その為、暮らすには困らなかったがどうしようもなく惨めになった。いっそのこと生活費がなければ両親を恨めただろうがそれも出来なかった。

そして学校ではいじめの標的となり、今でもその時の名残りは続いている。学校では一度大事にしたため、安全に過ごせるようになったが、予備校などでは未だに続いていた。

今日もそんな風にいじめられていた。

相手は同じ予備校に通うギャル3人組だ。

「この後、ウチらカラオケなんだけどさー、カラオケ代貸してくれない?」

「この前貸した分も返ってきて無いんですが…」

「そんなの今カンケーないから。サイフ出せよ!ホラッ!」

カバンを引ったくられサイフの中を漁られる。その間私は蹴り飛ばされて壁に打ち付けられていた。

「やっぱお金持ちの家って小遣いもいいんだねー。羨ましいわー。」

「オッ、諭吉はっけーん。まぁこれでいいや。じゃーねー。」

そういうと彼女達は去っていった。

数分程経っても自分はまだ立てずに壁にもたれかかっていた。

『大丈夫かい?』

「大丈夫…に見えますか…」

こんな自分に話しかける物好きがいたとは驚きだ。

『力が欲しいかい?』

顔を上げてみるとそれは人ではなく、モザイクが集まったモノだった。人ですらないモノに心配されるとは。

「その力でなんとかできるんですか…こんな状況を…?」

物理的な力でどうにかできる程人間関係は甘くない。できないのならそんな物は持て余すだけのものだ。

『できるよ。偶然拾った合成品でもそれくらいはできる。』

余程このモザイクは自分に力とやらを渡したいらしい。なら受け取ってやろうじゃないか。合成品だろうが関係ない。

「じゃあください。その力とやらを。」

そう答えるとモザイクは宝石の様な物を放ってきた。やたらと刺々しい形をしていたそれを受け取ると変化はすぐに現れた。

さっきまで着ていた制服はどこかへ消え、代わりに映画などに出てくるような鎧を纏っていた。

『へぇ、適性の高そうな子を選んだけどこれは想像以上の結果だ。これなら本当に予備にも使えるかも。』

そう言うとモザイクは何処かへ消えていった。

残されたのは鎧の少女と少女を囲む様にしてできていた直径1m程のクレーターだった。

 

 

 

それから3ヶ月ほど経ったが私はこの力を完全に持て余していた。

ギャル達からお金を取り戻したり、関わらない様にするのには役立ったもののそれ以外の使い道がなかった。一度ASTとかいう組織に襲われて以来、力を使う事を最大限避けているのも理由のひとつだが。少なくとも高校に同族や敵がいなくならない限りこの力を使う事は避けた方がいいだろう。

「委員長!このイタリア語の本借りたいんだけど!」

「説明。耶俱矢は先日見たアニメに影響されてカッコいいイタリア語を使いたがっている様です。」

この様に関わらざるを得ない場合があるからだ。

「耶俱矢さん。まずは先週貸したラテン語の本を返却してからにして下さい。夕弦さんもこの前貸し出した小説がまだ返却されていないですよ。期限内には返して下さいね。」

「うげっ。流石委員長、私達が借りた本覚えてるんだ。」

「伊達に3年間も図書委員長をやっていませんから。」

それに、同族として注目せざるを得ないからだ。幸いまだバレてはいないようだが油断はできない。

「驚愕。委員長は一年生の頃から委員長だったのですか。」

「なし崩し的にですけど。この委員会はサボる人ばかりで私しか仕事をしないんですよ。だから私が3年間、委員長をさせてもらっています。」

「へー。じゃあサボらなかった人とかいなかったの?」

「今年はいませんけど去年は一人一年生の子が頑張ってましたよ。その時は私も楽させてもらいました。」

「そんな人いたの?私の知ってる人?」

「そういえば今年は殆ど来てませんね。図書委員になれなかったとは聞いていましたが…。貴方達と同じ二年生ですから名前は知っているかもしれませんよ。五河士道君っていう子なんですけど知ってますか?」

「えっ、士道って先輩と一緒に委員会してたの?」

「はい、そうですが。」

「疑問。二人っきりで?」

「そうですね。顧問の先生も殆ど来なかったので二人で活動してましたね。」

「まさか…委員長もライバルだったなんて…」

「驚愕。一年間のアドバンテージは膨大。

これは手強いライバルです。」

今年に入ってから彼の周りに女性が絶えないとは聞いていたがこの二人もその内のメンバーらしい。

「あの、私は五河君に対して特に何も思っていませんから、安心してください。大丈夫ですから。」

馬には蹴られたくない。それに彼女達とはあまり関わりたくはないのだ。

「じゃあ士道がよく借りてた本とか教えて欲しいんだけど。」

「五河君がよく借りてたのは料理本なんかが多かったですね。この図書室には雑誌なんかも置いてますし。」

彼がたまにライトノベルを借りていたのは秘密にしておこう。何故か嫌な予感がする。

「やっぱりそっち系かー。」

「納得。それであのレパートリーの多さにも合点がいきます。」

何故この二人は彼の料理を日常的に食べているのだろうか。より彼の女性関係が分からなくなってきた。

「二人とも、不純異性行為はダメですからね。」

「そ、そ、そんな事してないし!?」

「肯定。そういった行為はまだしておりません。」

「まぁ他人の恋路の邪魔はしませんが気をつけてくださいね?」

「よしっ!言質取ったからね!」

まぁ別に他人がどうなろうと私には関係ない。ただ日々を安心して暮らせれば良いのだから。

 

 

 

   フラクシナス内にて

「そろそろあの映像を見せるべきかしら。」

「たしかに。一区切りついている今ならば彼女の捜索も簡単でしょうし、そろそろ士道君にも見せても良い頃合いでしょう。」

「あんたに聞いてるんじゃないの!」

「オウフッ!いい肘打ちです!司令!」

「令音はどう思う?」

「いいんじゃないか?時間もあるし映像を見せるくらいなら問題はないだろう。」

「そうね、神無月。士道を呼んで頂戴。士道が来たら『パラディン』攻略会議を始めるわよ。」

 





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