精霊に文学少女がいないのはおかしいと思う   作:山野化石

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「琴里、会議ってなんだ?まさか新しい精霊が出たのか?」

「ええ、そうよ。まぁ今までは他の精霊の対処で忙しかったから言わなかったのだけれどそろそろ頃合いだと思ったのよ。」

「それでは概要を説明するよ。三ヶ月前に天宮市内の路地裏にて直径1m程のクレーターが発見された。そこには微量ながらも未確認の霊力が観測された事により新しい精霊がいると分かったんだ。」

「そんなに前からいたんですか!?」

「美九の例もあるから不可能ではないのだろうね。だが少なくともこの精霊は人間に溶け込む事においてはどの精霊よりも上手なのは確定的だろう。」

「実際、最初のクレーター以降、こちらから発見する事は出来なかった。存在すると分かってはいてもその正体が掴めなかったのよ。」

「なるほど、だから俺には知らせなかったのか。」

「ええ、そうね。どこにいるのか分からない精霊よりも目の前にいる精霊を攻略した方がいいからね。」

「そして一ヶ月前に時崎狂三と接触しているところをASTが発見。その後時崎狂三は逃走したがパラディンは逃げ切れずにそのままASTと戦闘を開始した。その時の映像がこれだ。」

映像にはASTの隊員が金の鎧を纏った金髪碧眼の精霊を取り囲んでいる様子が映し出されていた。

命令(ディクリー)。這いつくばれ。』

精霊が口に出すと囲んでいたASTの隊員は全員が叩きつけられたみたいに地面に這いつくばった。

「なんだよこれ…」

「まだ、これからよ。」

命令(ディクリー)。そこの貴方、貴方の装備を全て頂戴』

すると隊員の一人が自分が着ていたワイヤリングスーツをも含んだ全ての装備を外し、精霊に差し出した。

そして自分の映像が撮られている事に気が付いたのだろう。

指示(コマンド)。爆ぜろ。』

そんな事を呟くと映像が不自然に途切れた。

「ここで映像は終わっている。その後、回収したドローンは内部から爆発した形跡が確認された。」

「これがパラディンの姿を映した唯一の映像よ。」

「ここから分かることは今回の精霊は人間だろうが機械だろうが問答無用で命令を聞かせる能力を持っていると判断して良いだろう。」

「そんなのどうやってデートすればいいんだ?命令されたら攻略どころじゃないだろ。」

「大丈夫よ。その能力、精霊には効果が薄いみたいだから。」

「そうなのか!?」

「ええ、狂三にも何か命令したようだけどあまり効いてはいない様子だったわ。つまり士道にも効きが悪いはず。でも無効化できてるわけではなさそうだから気を付けなさいよ。」

「分かった。それで充分だ。」

「なら、パラディンの捜索はこっちでやっておくから報告があるまでは待っていて頂戴。」

「ありがとう琴里。」

「礼を言うなら封印してからにしてちょうだい。」

 

 

 

次の日

「士道!お昼食べよう!」

「勧誘。一緒に食べましょう。」

「耶俱矢に夕弦。いいぞ。殿町と一緒で良ければだけど。」

珍しい。いつも二人は自分の教室で食べていたから驚きだ。

「オイオイ!隣のクラスの八舞姉妹じゃないか!お前、いつの間に仲良くなったんだよ?」

「それはいいだろ殿町。お前、少しは自重しろよな。」

「そんな事したら俺のアイデンティティどうなるんだよ。特徴なくなっちまうだろ。」

「いや、お前のアイデンティティはそんな事じゃゆるがないな。」

「さっすが五河君!よく分かってらっしゃる!」

「はいはい。どうかしたのか?いつもは自分達の教室で食べてるだろ。」

「あー。少し聞きたいことがあってさ。」

「聞きたい事?」

「質問。委員長についてです。」

「委員長?委員長がどうかしたのか?」

ウチの委員長と何かあったのだろうか。

「夕弦。言葉が足りないわよ。あー白石先輩の事。図書委員長の。」

「あー、先輩のことか。先輩がどうかしたのか?」

懐かしい名前が出てきた。今年に入ってからあまり会わなくなっていたが元気にしてるだろうか。

「いや、さ。去年一緒に委員会してたって委員長に聞いたからさ。どんな感じだったのかなぁって思ったんだ。」

「いい先輩だったよ。優しいし、なんでも知ってたし。」

「あー、そういえばお前去年図書委員だったな。それで白石先輩と知り合いになってたと。」

「殿町も知ってるのか?っていうかお前が誘ったんだろ。美人の先輩がいるから一緒にやろうって。」

殿町は最初こそ真面目に仕事をしていたがある時からサボる様になってしまった。

「そうだったっけ?まぁいろんな意味で有名だからな、あの人。」

「いろんな意味?」

「まぁまず、第一に美人だろ?川の様にきれいに伸びた黒髪。知的に光る眼鏡。それでカウンターで本読んでる、なんて姿見たらそんなの男はみんな虜になっちまうからな!」

「随分と俗な理由だな。」

だがそれなら美人な先輩で済む話の筈だ。

まだ何かあるのだろうか。

「後は、言いにくい話なんだが。あの人、色々と黒い噂があるんだよ。」

「噂?何それ。」

「疑問。別に悪い人ではありませんが。」

「まぁ聞けって。あの人、中学時代にいじめられてたらしくてさ。その時に取った方法がヤバかったらしい。証拠を残して、教育委員会に根回しして、主犯格どころか担任だった教師を辞任するまでに追い込んだらしい。」

「なんだそれ?聞いた事ないぞ。」

そんな事する様な人には見えなかったが。

「そりゃお前、秘密になるに決まってるだろ。生徒が教師を辞めるまで追い込むなんて。」

「まぁそうだな。」

「そこからなんだがまぁ色々と噂が立つんだよこれが。曰く、夜の路地裏に入って行くのを見たとか、やたらと大きな家に一人で住んでるとか、昔の事を覚えていないとかな。下らないところだとあの眼鏡は伊達だって噂もある。」

「眼鏡の噂は本当だぞ。」

「マジかよ!うわー、これはメガネ好きを敵に回したぞお前。」

「本当だって。先輩が言ってたんだから。疲れ目予防のやつだって。」

「そうだったのか…。これは俺が墓場まで持っていくしかないな。」

「カッコつけんな。」

「まぁ、それで何も知らない一年生はほいほいと図書委員に立候補するんだが、その後に噂を知って離れてく。そんなわけでまるで誘蛾灯みたいだって影で言われてる。」

酷い話だ。勝手な噂話で先輩が大変な目にあっているなんて。

「うわ、最低。」

「同感。最悪です。」

二人も同じ気持ちだったらしい。

「あー。お前ら、何かしようと思ったなら何もするな。あの人は気にされるのが嫌いらしいからな。」

「なんでだよ。放っとけっていうのか!?」

「前に同じ様な事をした奴がいたらしいんだが、次の日、そいつは恐ろしい程にやつれていたらしい。」

「なんでそんな事に…」

「理由を聞いても答えたくないの一点ばりだったらしい。」

「そうなのか…」

「だからいつも通りに接してやれ。そうするのが一番喜ぶだろうさ。」

「分かった。」

嫌な話だ。飯がまずくなった。

 

 

「じゃあ私達は戻るね。」

「謝礼。一緒に食べてくれて嬉しかったです。」

「おう、じゃあな。」

 

 

「先輩の言う通りだったね。殿町君を我慢すれば一緒にお昼を食べられるって。」

「肯定。十香やマスター折紙がいない今、士道とお昼を食べるのは容易でした。」

「でも、私はもういいかな。」

「同意。流石にあのテンションは我慢できません。」

「まぁ、情報も手に入ったし結果オーライだね。」

「同意。有益かどうかは不明ですが。」

「そうだねー。」

 

 

 

五河君に手を出さない事の証拠に彼と昼食を食べる方法を教えてみたがどうだっただろうか。

「そんな事よりもやはり謎だらけですね。」

精霊の力、霊装を展開すると見た目が変わる。服が変わる程度は他の精霊も同じらしいが、髪や目の色が変わるのは私だけらしい。

「まぁ、金の鎧を着ているのに黒髪では似合わないでしょうが。」

ミスマッチにも程があるだろう。兜があれば

意外性があって映えるだろうが兜らしき物はない。

「後は、実験で使いたかったから強奪しちゃいましたがどうしましょう。」

ASTとかいう組織から奪ったこの武装一式だが、使えないわけではなさそうではある。

少なくとも身の危険に対して使えなかったでは働き損である。

しかし、問題があるとすれば

「こんなピチピチスーツを着るなんて絶対に無理ですね…」

まるで痴女みたいな格好だ。鎧はまだコスプレだと思えば我慢はできるがこれは許容範囲外だ。

「剣と銃。後はバックパックくらいですね。使えそうな物は。」

支配騎士(カシエル)

指示(コマンド)。私に使われて。』

私の天使、『支配騎士』はとても便利な能力だとは思う。人や機械に対し強制的に命令を遵守させる。機械なら知識がなくとも勝手に改造する事もできる。生き物なら物理法則に逆らう様な命令も下す事ができる。戦闘には向かない能力だが心配はない。

もう一つの力が私の戦闘能力に対して絶対の安心を約束していた。

『支配騎士【十冠】(テンズクラウン)コール、囁告篇帙』

ひとつのメガネを取り出す。本家よりは劣化しているが調べ物には丁度いい。

「えーと、この剣の起動方法についてっと…」

『支配騎士』のもう一つの能力。それは他の精霊の天使を使う事ができるというものだった。




白石一華
age18
height163cm
B-81/W-65/H89
来禅高校3年生 図書委員所属 役職 委員長
好きな物 読書 特に実用書
嫌いな物 メルヘン系 特にアリスシリーズ
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