精霊に文学少女がいないのはおかしいと思う   作:山野化石

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今週UA数にてデートアライブないか第7位に入りました。皆さまありがとうございます。


04

「先輩!待ってくださいよ!」

「えっ…五河君…いえ、私は先輩などではありません!人違いでは!」

「俺の事を知ってる時点で先輩じゃないですか!」

恐ろしく下手くそな嘘をついている。声も上ずってるし。ここまでポンコツになっている先輩は見た事がない。

「分かりました!分かりましたよ。あれだけたくさんの精霊と関わってる士道君なら知ってると思いますから白状します。私は『パラディン』と呼ばれる精霊です。」

あっさりと白状した。もっと誤魔化すかと思っていたのだが。

「その…驚きました。まさか髪の色が変わる精霊がいるなんて…」

「多分、私だけですよね…ここまで姿が変わるのは…おかげで今までバレなかったんですが…遂にバレてしまいました。」

「あの…先輩!」

「はい?どうかしましたか?もうすぐASTとかいう組織がここにくるはずですから早く逃げた方がいいですよ。」

「俺と…デートしませんか!」

「えっ、あっはい。」

なんか勢いでデートに誘ったらノリでOKされた。

「えっと…じゃあ…日程は後ほど連絡するので、とりあえず避難してくださいね。」

「あっはい。」

そして俺は急いでとシェルターに避難していった。

 

 

 

 

 

「何やってんのよこのバカ士道!!そこは『俺が守ってやる』とか言って助ける場面でしょうが!何、勢いでデートに誘って避難してるのよ!アンタの使命を忘れたの!?」

「すまん、琴里。色々と驚きすぎて正常な判断が出来なかった。」

「まぁ、落ち着きたまえよ琴里。シンもちゃんとデートに誘っているし、完全に役目を忘れたわけじゃないだろう。」

「そうです司令。士道君はちゃんとパラディンの正体を突き止めてなおかつデートの約束まで取り付けてくれました。これでパラディンの封印に現実味を帯びてきました。」

「それに、彼女の正体が分かったのが大きいですね。彼女の個人情報もすぐに分かりましたし。」

「ハァー……。士道。今回は許してあげるけど次はちゃんと守ってあげなさいよ。」

「分かってる。十香の時みたいにはさせない。」

二度とあんな光景は見たくない。全てを憎んで壊してしまう様なものは。

「ふーん。良い顔になったじゃない。それじゃあデートプランの計画を立てるわよ。」

 

 

 

 

 

「もう五河君も避難した頃ですかね。」

既に避難が済んだ街の光景を見て少し安心した。

「というか、私、勢いに任せてとんでもないことしてしまったのじゃ…」

彼からのデートのお誘いは嫌ではなかった。むしろ喜ばしくさえあった。

「八舞さん達。すみません。約束、守れそうにありません。」

なんなのだろうか、彼には精霊を誑かすフェロモンでも出ているのだろうか。

「去年はなんとも思ってなかったんですがねぇ…」

去年はただの真面目な後輩。それだけだった。間違いなくそれだけの感情だった。

八舞姉妹にでも当てられたのだろうか。そうだとしたら中々に酷い話だ。

「他人の感情に当てられて絆されるとか私もチョロい女ですね。」

ならばせめて彼とのデートを楽しく過ごすためにこんな所で躓いている場合ではない。

「やっときましたか、ASTの皆さん。」

『支配騎士。命令。ここには何もいなかった。』

命令ならば相手の認識すら書き換える。絶対遵守の能力ゆえの無敵さだ。対人無敵。それが『支配騎士』の持つ強みだ。

「空間震警報は誤報。精霊の出現は確認出来ず。これより帰投する。」

「さて、デートの下準備をしないといけませんね。」

何しろ生まれて初めてのデートだ。失敗しない様にしないといけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前に鍵のかかった扉がある。

昔からたまに見る夢だ。

明晰夢らしいこの夢は時折私に何かを告げる。今回もそういうタイプなのだろう。

『デートするんだ?』

幼い少女の声が響く。

「ええ、別に関係ないでしょう貴方には。」

『うん、関係ないね。でも、貴方がデートなんてできるの?誰かを信じた事もないくせに。』

「うるさいですよ…」

『図星じゃない。誰も信じてこなかった女が誰かを愛するなんてできると思ってるの?』

「もう、喋らないで下さい…」

『まさか今さら変われるとでも思ってるの?子供じゃないんでしょ?そんなチャチな希望は捨てちゃいなよ。』

「うるさい!ずっと閉じこもっている貴方には言われたくない!」

『へえ、ここまで反論するのは初めてだね。驚いたよ。記憶無し。』

「私が何をしようと関係ないでしょう!」

『うん、関係はないね。最初に言った通り私には関係ない。でもいつかそれは貴方にとって最悪の結果になるよ。』

「そんなのあるはず無いでしょう。」

『まぁいいや。精々頑張りなよ。』

「貴方に言われるまでも無いです。」

『じゃあね、記憶無し』

「くたばりなさい、引きこもり。」

 

 

「ん…久しぶりに見ましたねあの夢。」

あれは結局なんなのだろう。気が付けば見るようになっていた。私の事を記憶無しと呼ぶくらいだ。私の昔の記憶なのだろうか。

「いつかは話さないといけませんよね…」

自分の記憶の話。流石に記憶障害はなんとかしなければ。それこそあの少女の思う壺なのだろうがそれでもいつかは知らなければならない。

何故自分には10年前から昔の記憶がないのか。

 

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