精霊に文学少女がいないのはおかしいと思う   作:山野化石

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お待たせしました。


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「みんな注目。新しい精霊が出たから情報共有するわよ。」

夕食後にみんながゆっくりとしている時に琴里が言い出した。

「ん、何だ?何か問題でもあったのか?」

「今回の対象が対人に特化しすぎてるのよ。

少なくともAST程度じゃ話にならない。」

「懐疑。それほど危険なのですか?」

「まぁ、一応そうとも言えるわね。何しろ、人を強制的に従わせる事が出来るんだから。」

「なるほど…。それでなんで私達が必要なの?」

「対象の天使は精霊に対しては効きづらいのよ。だからいざという時のための保険ね。デート当日はみんなフラクシナス内で待機。いつでも出れるようにしておいて欲しいのよ。」

「それで新しい精霊とはどんななのだ?」

「織別名『パラディン』、本名白石一華。

貴方達の先輩に当たるわね。」

「嘘…委員長が…精霊?」

「疑問。それは本当ですか。」

「本当よ。士道が既に接触しているわ。」

「士道…それ…本当なの?」

「本当だ。金髪になってたけど白石先輩だった。」

「先輩…嘘ついてたのかな…。」

「それはないと思うぞ。」

あの後すぐに先輩からメールが来た。デートの予定ではなく、二人に向けた謝罪だった。

「先輩からメールが来たんだ。デートの約束よりも先に二人に謝罪しないといけないって。約束は守れそうにないって書いてあった。約束ってたしか…」

「うん…士道に手を出さない、その証拠に先輩から情報をもらう約束…」

「肯定。耶俱矢が勝手に言い出した約束でしたが、先輩は快く受けてくれました。こうなった以上先輩を恨むのはお門違いかと。」

「結構わがままな約束だったのか…」

先輩にとってメリットが一切ない。これでよく先輩が受けてくれたと思う。

「まぁ、パラディンと二人の関係は置いといて、この精霊は精霊に対してはあまり強くないと思うわ。だからこそみんなの力を借りたいの。いざという時の保険としてね。」

「分かった。いざとなったら私に任せてくれ。」

「分かり…ました…。」

みんな頷きながら了承してくれた。

「ありがとうみんな。じゃあ士道、デートの確認をするから後でフラクシナスに来て。」

「ああ、分かった。」

 

 

 

「士道。白石一華の事なんだけど。」

「どうかしたのか?」

「多分、美九の時よりも面倒くさいわよ、彼女。」

「なんだよ。先輩がそんな特殊な人に見えるのか?」

先輩は美九の様な特殊な性癖持ちではない。

何を心配しているのか。

「あんた、パラディンの目の色が変わったって言ってたわよね。」

「ああ、先輩の目の色は黒だったはずだ。」

だから、最初は信じられなかったのだから。

「士道、人が初めて精霊になる時にある現象が起きるの。」

「空間震の事か?」

「違う。それはその時にある人体の異常を治すって事よ。美九の失声症が治ったのもその影響よ。」

「そんなのがあったのか…」

「普通、気が付かないわよね。でも今回ので確証が取れた。」

「まさか、先輩の目の色が変わったって…」

「ええ、彼女は元々目の色が青かったのでしょうね。今、令音に調べてもらっているわ。」

「じゃあ髪の色が変わったのも…」

「元々金髪だったからね。」

「本人は不思議がっていたけどそれはどうなんだ?」

「本人に施術の時の記憶がないとかかしら。目の色を変えるなんて相当危険な手術のはず。」

辛かったから記憶に封をしたという事か。一体どれだけ辛かったのだろうか。

「じゃあ先輩が記憶喪失って噂は…」

「本当の可能性が高いわね。少なくとも自分の髪と目の色が変わったのを覚えていないのならそんなのもう病気よ。」

「そんな…」

「だから面倒なのよ。下手に記憶を刺激すれば攻略どころじゃないわ。記憶を取り戻したいのなら封印した後にしなさい。」

「それがラタトスクの見解か。」

「記憶を取り戻す方法も分からないからこうするしかないのよ。」

「なんかそれ、すげぇ嫌だな。」

すごくもやもやする。

「でしょうね。でもしょうがないのよ。封印し終わったらラタトスクも記憶を取り戻す手伝いはする方向でまとまってる。だから今はデートに集中しなさい。」

「分かった。後で絶対に手伝ってもらうからな。」

「封印してから言って頂戴。」

「任せとけ。」

 

 

 

 

 

 

私はルイスキャロルの本が嫌いだ。

正確にはアリスシリーズが嫌いだ。

特に大した理由はない。内容が嫌いだとかそう言った話ではないのだ。昔、文庫版を読んだ時は別になんとも思わなかったのだから。

しかし、家にある英語版のハードカバーだけは嫌いだった。相当年季が入った物だとは思う。恐らくは記憶を失う前から持っていたのだろう。何故それが家にあるのかは分からないがそれを見た時、私は言い表しようのない気持ちに襲われる。だからいつもは本棚の奥にしまっておくのだが、時折引っ張り出して手に取って読まずに元に戻す。その度に感情を揺さぶられるのだが、感情の薄い私にとってそれは唯一はっきりとした感情の発露だった。少なくともかなり尖った実用書でもここまで感情を揺さぶる事はできない。だからこそ私にとって一番嫌いな本であり、一番大事な本なのだ。

「まぁ、此処まで理由なく嫌っているのも不思議な話ですけどね。」

この本が嫌いなのは恐らく、あの夢の幼女だろう。内容が大事なのではなく、あの本である事が重要なのだ。

「まぁ、此処までは今までに分かっていた事です。」

だが、この前にあった時には私もそうだったが彼女も随分と荒れていた。今までも適当な助言はしていたがあそこまで酷くはなかった。

「つまり、誰かに対して特別な感情を抱く事を彼女は恐れている。そしてあの本に対しても恐れている。」

ならばデートの後にでも読んでやろう。そうしたら何か分かるかもしれない。

「これはますます明日のデートが楽しみです。耶俱矢さん達には悪いですが。」

そう言いながら私は眠りについた。




プロフィールが更新されました。

白石一華
age18
height163cm
B-81/W-65/H89
来禅高校3年生 図書委員所属 役職 委員長
好きな物 読書 特に実用書 五河士道?
嫌いな物 家にある古いアリスの本
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