仮面ライダーディケイド2〜平成二期の世界〜   作:らいしん

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「お前たちは絶望して、そこで見ていることしかできないんだ」

これまでの仮面ライダーディケイド2は……

「俺がこの絶望に包まれた世界の、最初の希望だ!」
「本当に心の底から誰かを助けたい。そう思ったからだ」
「お疲れさん」
「あんたもな」
「ネガの……世界?」
「そうだ。ここが最後の世界。門矢士、私と一緒に来てほしい」



第20話「再来 ダークライダーズ」

 光夏海が気がつくと、そこはやはり見覚えのある景色だった。

 ここは、ライダー大戦が起こる場所。幾度となく結末を迎えてきた場所。

 もう九つの世界は巡ったはずなのに。

 また夢を見ているのだろうか。これから起こることは記憶に深く刻み込まれている。二度と見たくないと思っていたあの光景。夏海は思わず走り出す。

 最初にあの岩場が爆発して、それを皮切りにライダーたちが押し寄せて……。

 そう思っていると、目の前を光線が通り過ぎる。それと同時に背後で大きな爆発が起きた。

 

「……っ!」

 

 来ると分かっていた。そのため、彼女は悲鳴を上げることはなかった。

 背後を振り返ると、これまでと変わらない景色があった。全く同じ爆発。全く同じ土煙。そして全く同じどよめきが夏海の耳に届く。

 

「うおおおおおおおお!」

 

 彼女の横を、多くのライダーたちが通り過ぎる。

 先陣を切るザビーとインペラー。続いて走っていくライオトルーパーたち。

 次にマシンに乗ったライダー。変形したカブトエクステンダー、マシントルネイダー。サイドバッシャーに乗るカイザはミサイルを発射する。そしてジャイロアタッカーに乗ったライオトルーパーも突っ込んでいく。

 地上だけではない。空からはドラグレッダーとドラグブラッカーなどのミラーモンスター、デンライナーやアカネタカがライダーたちの援護をする。飛行能力のあるジャックフォームや飛翔態で空を飛ぶライダーもいる。

 

「……」

 

 夏海はそれを眺めることしかできない。今までと同じく、この戦いの結末を見届けることしか。

 

「はあっ!」

「おりゃあああああ!」

 

 そして続々と登場する新たなライダーたち。

 ライオトルーパーに混じって戦う黒影トルーパー。近距離・遠距離で使い分けられるアクセレイガンとは違い、影松はリーチのある中距離武器。バイクとは違う、チューリップホッパーを使っての素早い移動もお手の物だ。

 そんな彼らの間をすり抜けて、鎧武がサクラハリケーンで走っていく。

 

「コウタくん!?」

 

 点在する岩を砕きながら爆走するリボルギャリーと、その後ろをついていくトライドロン。リボルギャリーが展開し、ハードタービュラーが飛び出す。そして空中でゴーストが乗るイグアナゴーストライカーと合流する。

 

「シンノスケさん、ショウタロウさん。タケルくんまで……」

 

 旅の中で夏海は彼らと知り合った。各々の世界で、彼らは士たちと共に戦ってきた。お互いの実力を認め合い、仲間として、手を取り合ってきた。

 それなのに。

 

「うわああっ!」

「オオオオオオオオ……!!」

 

 皆一点を見つめ、殺意を剥き出しにしている。

 一つ、大きな爆発が起きた。夏海は目を伏せ、その場でしゃがみ込む。

 

「きゃっ……!」

 

 夏海が再び目を開けた時には、戦いは終わっていた。倒れるライダーたちを越えて彼女はその先に進んでいく。

 ライダーたちの中心には、マゼンタカラーのアーマーに身を包んだライダーが夏海に背を向けて立っていた。

 

「……」

 

 ディケイド。夏海はその名前を呼ぼうとした。彼女の存在に気づいたのか、そのライダーはゆっくりと振り返る。

 

「え……!?」

 

 夏海は目を疑った。目の前のライダーの姿は、紛れもなくディケイドだった。だが、その腰に巻かれたベルトが異なっていた。

 そのバックルは、彼女の見慣れた真っ白なディケイドライバーとは、まるで正反対で――

 

 

 

 

第20話「再来 ダークライダーズ」

 

 

 

 

 夏海は目を覚ました。スタジオの机に伏していた顔を上げ、目をぱちくりさせる。

 

「今のは……」

「あ、おはよう」

 

 ユウスケが夏海が目覚めたのに気づき、声をかけた。笑顔を作って手を振る彼に、夏海は質問をする。

 

「士くんは?」

「ああ。さっき鳴滝さんと一緒に出て行ったとこだよ」

「そうですか」

 

 夏海はスクリーンに現れた絵画を見た。黄色い空。紫がかった芝。不気味な、反転した色使い。

 つまりここは、ネガの世界。

 

「ネガの世界って、前に来たとこだよね。夏海ちゃんの世界とそっくりな」

「はい。私の友達が……ライダーになって……」

 

 夏海の声のトーンは落ちていく。

 

「ご、ごめんね!? 辛いことを思い出させちゃって!」

「いえ。ここは私の本当の世界じゃなかったわけですし……」

 

 TGクラブ。夏海が高校時代に属していた。日々の生活に嫌気がさした数名が作り、そして成長の糧とした。士とユウスケに話したところ、イタいガキだと評されてしまったこともある。

 以前ネガの世界に訪れた時、同級生に扮したダークライダーに騙された。TGクラブの宝を手に入れるため、ネガの世界の夏海を誘き出す餌にされてしまったのだ。この世界の宝はケータッチであり、結局士の手に渡ったわけだが。

 

『この世界では、人間が存在することは許されない』

『この世界ではダークライダーが怪人たちを管理しているの』

『千夏は……死んだわ。奴らの大切な宝物を、命懸けで奪って』

 

「……!」

 

 夏海はもう一度スクリーンを見た。この場所を、彼女は知っている。思い出したくなかった嫌な思い出。あの時の記憶が鮮明に蘇ってきた。

 

「思い出した……!」

「え!? 夏海ちゃん!?」

 

 夏海は写真館を飛び出した。ユウスケは慌てて彼女を追うのだった。

 

 

 

 

 鳴滝は士を連れ、街を歩いていた。その目的地は不明。だが、鳴滝は何かを感じ取っているようで、足取りは確かだ。

 

「なんか変な感じだな。お前と一緒に歩くなんて」

 

 前を歩く鳴滝の背中を撮影しながら、そう呼びかけた。

 以前と同じく、士の格好は変わらない。門矢士そのままの姿だ。ただ、出かけるのに羽織ったコートがどこか鳴滝の格好と似ているのが気に食わない。

 

「そういやお前、前回ここに来た時は俺にお祝いの言葉を贈ってくれたっけか? あれはどういう意図があったんだ」

 

 二枚目の撮影。

 鳴滝は再び質問を無視する。

 

「九つの世界を巡った後にはネガの世界に来るルールがあるのか? ……おい、なんか返事しろよ」

「私は警戒しているんだ。いつ奴らが攻撃を仕掛けてくるか分からないからな」

 

 士はカメラから視線を上げた。

 

「例の白い奴らのことか?」

「そうだ。奴らは常に私たちを狙っている。まさかここに隠れていたとはな」

「いい加減全て教えろ。こうしてお前に協力してやってるんだ。情報共有くらいはしたらどうなんだ」

「……ここは光夏海の世界の裏側の世界であることは知っているな」

 

 鳴滝は話し始めた。彼の言う『最後の戦い』のために必要だと判断したのだろうか。

 

「この世界も、本来は表の世界と同じだった。ダークライダーも怪人も存在せず、人間が殺されることなどなかった」

「ライダーがいなかった?」

「ああ。とある存在がこの世界に入り込み、勝手に作り替えたのだ」

 

 そんな会話をする二人を、謎の影がじっと見ていた。

 

 

 

 

 夏海の足運びはだんだんと速くなっていった。

 

「ここだ……」

 

 夏海は唾を飲み込む。

 息を切らしたユウスケが彼女に追いつき、顔を上げる。そして目の前の景色を見た途端、あっと声を漏らした。

 

「あの絵とそっくりだ……」

 

 だだっ広い広場の中に駐車場と大きな建造物。色は反転していないが、まさしくあの絵の場所だった。

 

「どうしてここが?」

「以前この世界に着いた時に、ここに来たんです」

 

 そこはかつて夏海がメンバーとともにTGクラブの宝を隠した場所。ネガの世界では巨大な施設が建っていた。

 夏海が一歩踏み出すと、背後から腕を掴まれた。

 

「!?」

 

 悲鳴をあげる暇もなく、口を覆われてしまう。同じくユウスケも拘束されるのが気配で分かった。

 後ろにぐいと引っ張られ、夏海たちは茂みの中に入っていく。そして、目隠しは取られた。

 茂みの奥に隠れるように掘られた穴。そこには、薄汚れた迷彩服を着た夏海がいた。

 

「あっ」

 

 ネガの世界の光夏海。ダークライダーや怪人だけの世界で生き延びていた人間。絶望的な状況にあったにも関わらず「明日を信じてこの世界で生きていく」と戦う決意をした。

 

「あなたは――」

「どうしてまた来てしまったの!」

 

 ネガの夏海は夏海の肩をガッと掴み、ものすごい剣幕で彼女を怒鳴る。

 

「この世界は危険だと、もう分かったはずなのに!」

「やめておけ」

 

 一人の男が彼女の手を下ろさせる。

 

「でも!」

「来ちまったものは仕方ないだろ」

 

 反論するネガ夏海の頭をポンポンと叩く。そして彼は夏海とユウスケの方を見た。

 

「あんたたちは別の世界の人間だな。話は聞いてる。俺たちはレジスタンス。ダークライダーたちの監視を逃れ、隠れて生きてる」

「外を堂々と歩くのは危険だってのは、夏海の言う通りね。今奴らに殺されるのは勿体ないよ」

 

 横に座っていた女が、肩にかけていた銃を見せた。

 レジスタンスは、この世界で生き残った人間が集まって結成された。数十人の規模を持つが、普段は数名ずつ自由に行動する。彼らを繋ぎ止める意思は一つ、『生きる』、それだけだ。

 ユウスケと夏海は彼らから水を貰った。汚くはなく、ちゃんと飲めるようになっている。

 

「こう言うのもちょっと変かもしれないですけど、生き残っててくれて嬉しいです」

「武器があるから、怪人相手ならなんとか逃げられる。だけどダークライダーに見つかれば……」

 

 ネガ夏海は口をつぐむ。そしてその続きは、遅れてやってきた一番年のいった男性が継いだ。

 

「殺される。仲間はすでに何人もやられた」

「そんな……」

「だが、あんたたちが来てくれたことで変わるかもしれない」

「え?」

「あたしたちはついにダークライダーを従える親玉の情報を掴んだの。あなたたちもダークライダーを倒したことがあるんでしょ。だったら頼りになるなって」

 

 レジスタンスのメンバーたちは夏海とユウスケを期待の目で見る。たしかに以前とは違い、ユウスケも強くなり、夏海もライダーの資格を得た。ユウスケは「いやあ別にそんな」と照れる。

 

「……ん? あなたたちもってのは?」

 

 ユウスケは違和感に気づき、質問する。

 

「ああ、彼もライダーだと聞いたわよ。あなたたち二人を最初に見つけたのも彼」

 

 彼女が指さした方には、見慣れた男がいた。

 

「海東さん」

「や。小野寺くんにナツメロンくん。無事そうでなによりだ」

「夏海です……」

「海東さんもネガの世界に来てたんですね」

「まあね。鳴滝さんに言われたんだ。なんでも僕に盗んで欲しいお宝があるみたいでね。この世界にもうお宝なんて存在しないと思っていたが、どうやらそうじゃないらしい」

 

 仲間意識が低く、単独行動を好む彼がこうしてレジスタンスに混じって大人しくしている。夏海とユウスケは、これはただごとではないなと感じた。

 

「この人たちに話を聞いたところ、このネガの世界はとんでもないことになってるらしくてね。僕はお宝を頂ければそれでいいんだけど、この世界でお山の大将をやってるやつがちょっと気になったんだ」

「さっき言ってた、親玉ってやつか」

「ダークライダーが怪人を支配し、人間は排除する。それがこの世界のルール。それを作ったやつがいるということさ」

 

 夏海は笑顔をひきつらせた。

 心に湧いた一つの疑問が膨らみ、不安となっていく。

 

「あの、その親玉の名前は?」

 

 彼女は恐る恐る質問する。

 まさかそう都合のいいことが起こるはずは。自分の中で浮かび上がった不安を否定する。しかし、次の瞬間それは打ち砕かれることになる。

 

「ディケイドだ」

 

 レジスタンスの女はそう答える。

 

「!」

 

 夏海とユウスケは顔を見合わせた。海東はそんな彼らを無表情で見つめた。

 

 

 

 

「奴らがこの世界に来たのは、お前がライダーとして旅を始める三年前のことだ」

「勝手に世界に入り込んでって……そんなことができるのかよ」

「できる」

 

 鳴滝は急に立ち止まり、士の方を向いた。士は思わず次のシャッターを切る。

 

「現に私やお前は世界を渡る力を持っているだろう」

「俺は自由に旅できないがな。あくまで夏海たちと一緒だ」

 

 士は訂正したが、鳴滝は気にせず続ける。

 

「これは歴史の管理者である者が持つ力だ」

「管理者? なんだそれ」

「その名の通り、時と空間を超えて全てを眺める立場の者だ。私はライダーの歴史が生まれた時からそれを見守ってきた。そして歴史が破壊されるのを阻止するために、今までディケイドを排除しようと動いてきた」

「俺は行く先々で世界の破壊者だ悪魔だとレッテル張りをされただけなんだがな。風評被害ってやつだ。歴史を破壊なんて今初めて聞いたぜ」

「ああ。結果としてお前は歴史の破壊は達成できなかった。そして記憶を失った」

 

 失われた記憶。そのキーワードを耳にした途端、鳴滝を小馬鹿にするような表情は一変する。

 

「お前は俺の過去を知っているのか」

 

 士には小夜という妹がいた。かつてショッカー首領として君臨していた。ライダー狩りの旅の途中で記憶を失った。士本人でもこのくらいの情報しか持っていない。

 

「ああ。お前は――」

 

 鳴滝は言葉を切った。

 士は鳴滝から視線を上げた。目の前、道のど真ん中。見慣れた白い制服を着た男がそこに立っていた。

 そして彼の背後からひょっこりと顔を出すもう一人の男。こちらは見覚えがある。

 

「久しぶりだな、士。またこうやって出会えたのも運命の巡り合わせというやつなのかもしれん」

「お前は……!」

「ほほう、覚えていたか。ま、当然だな。この俺を忘れること以上に罪なことはこの世に数えるほどしかない」

 

 ネガの世界の紅音也。以前ネガの世界に来た時に対決した。が、彼は決着がつく前に逃げてしまった。

 

「お前の狙いはこれか?」

 

 士は、起動しなくなったケータッチを取り出す。

 

「いや。俺たちにはもうそんなもの必要なくなった」

「なら何しに来たんだ」

「必要なくなったものを処分しに来たんだ。いつまでも残すことに意味がないからな。他でもないお前のことだ、士」

「なに!?」

 

 音也はキバットバットII世を手に持つ。白服の男はハザードトリガーを取り出した。

 

「お前は罪を犯した。決して許されることのない罪をな」

 

《ハザード オン》

《タンク》

《タンク》

 

「ガブリ」

 

「変身」

 

《アーユーレディ?》

 

「変身」

 

《アンコントロールスイッチ ブラックハザード ヤベーイ!》

 

 二人はダークキバとメタルビルドに変身する。

 

「どうやら今回は歓迎モードじゃなさそうだな。変身!」

 

《カメンライド ディケイド》

 

 ディケイドは二人のダークライダーに向かっていく。

 

「お前は本来この影の世界に留まるべきだったんだ、士。お前はそれを拒否した」

「この世界が気に食わなかったからな!」

「さっき見せた宝があっただろう。あれはこの世界の頂点に立つにふさわしい力を目覚めさせるための装置だったんだ。本来の役目を忘れてしまったお前のためのな!」

「役目だと!」

 

 ディケイドは二人の攻撃を拳で受け止めながら戦う。前回戦った時は拮抗した実力だったが、今回は更にメタルビルドを敵に加えても上手く立ち回れている。

 ダークキバとメタルビルドの同時パンチをジャンプで避け、その後ろに回る。キックでメタルビルドを吹っ飛ばし、ダークキバとの一対一に持ち込む。

 

「お前は全ての世界を破壊する存在だ! だが、お前は本物になれなかった」

「本物? お前は何を言ってる!?」

「知る必要はない!」

 

 ダークキバが手からエネルギー波を放つと同時にディケイドは飛び上がり、ライダーカードをバックルに装填する。

 

《ファイナル アタックライド ディディディディケイド》

 

 カードの道がダークキバの方へと伸びていく。

 

「ふん……!」

 

 ダークキバは地面に紋章を浮かび上がらせ、背後でよろよろと立ち上がるメタルビルドへと飛ばす。そしてメタルビルドにダメージを与えた。

 

「ぐ……ぐああああっ!?」

「来い!」

 

 紋章から解き放たれたメタルビルドはこちらの方に飛んでくる。ダークキバはそれを避けた。

 ディケイドのキックはメタルビルドに命中し、爆発した。

 

「ふむ、なかなかやるようになったな」

「……仲間を身代わりにしたか」

 

 ダークキバはディケイドに向かって称賛の言葉を送る。

 

「お前の強さ、見せてもらったぞ。じゃあな士」

 

 そう言い残すと、ダークキバはコウモリのようなエフェクトとなり、その場から消えた。

 ディケイドは変身を解除する。

 

「さっきあいつは、本物だ偽物だとか言ってたが……それがお前の言ってた俺の過去と何か関係があるのか」

 

 士の質問は背後に立つ鳴滝に対して。

 

「余計なことを知って気を散らすことになるため言いたくなかったが……仕方ない。お前は奴らに作られた存在なのだ、門矢士。ディケイドとして、歴史を破壊するための存在として」

 

 鳴滝は続ける。

 

「財団X、それが奴らの名前だ。ライダーの世界を渡りさまざまなデータを集め、歴史を破壊しようと目論む危険な集団だ」

「財団……X」

 

 士は名前を復唱する。そして自分の手のひらを見つめた。作られた存在。鳴滝の言ったことはどうも釈然としないが、嘘を言っている様子はない。

 士は歩き出した鳴滝についていった。

 

 

 

 

 夏海たちはレジスタンスと共に森を歩いていた。あくまでこっそりと、身を隠すように。

 写真館の絵から、あの施設が怪しいと踏んだ夏海たちは、レジスタンスにそれを話した。それが本当だとすれば厳重な警戒がされているはずである。ひとまず距離を取り、遠くから情報を探る作戦だ。

 

「ねえ、あそこにこの世界の秘密があると思う? ただのスポーツの競技場みたいな感じだったけど」

「確信はないですよね。でも、それしか情報がないですから」

「だよね」

 

 不意に地面に火花が散った。

 煙の奥に現れたのは三人のライダー。武神鎧武、ダークゴースト、ゲンム。横一列に並び、夏海らの行手を阻む。

 

「ダークライダーだ!」

 

 レジスタンスが銃を構えつつ、後退する。代わりにユウスケが前に出て、変身の構えを取った。

 

「変身!」

 

 ユウスケがクウガに変身し、ダークライダーたちにとバトルを始めた。だが武器を持つ敵を相手に、素手のクウガは不利だ。

 

「ユウスケが……! 海東さん私たちも行かないと! キバーラ!」

「はいは~い」

 

 やや押され気味のクウガを見て、夏海はキバーラを呼ぶ。そして戦場に向かっていった。

 

「変身!」

「ちゅ♡」

 

 仮面ライダーキバーラに変身し、まずゲンムを斬った。続いて武神鎧武の太刀を受け止める。

 海東もやれやれとドライバーを構えた。戦うのもいいが、出来るだけそれを避けて逃げに徹した方がいいと彼は考えている。

 

《カメンライド》

 

「変身」

 

《ディエンド》

 

 三対三の構図が出来上がった。数々の世界を巡った彼らは、一対一では負けないほどに強くなっていた。

 ダークライダーに対して互角に戦う。レジスタンス側にとってこれはあり得ないことだった。

 

「いいぞ!」

「いけ!」

 

 標的にならないように目立つ行動はできない。声を抑え、戦う三人の仮面ライダーを応援した。

 

「ハアアァァ……」

 

 クウガが必殺技の構えを取る。同時にキバーラは剣にエネルギーを込め、ディエンドはカードをドライバーに装填した。

 

《ファイナル アタックライド ディディディディエンド》

 

「ハアッ!」

 

 三人のライダーが必殺技を放つ。どれもダークライダーに命中し、敵を撃破した。

 

「やったな」

 

 戦いを終え、クウガは物陰で様子を見るレジスタンスの人々にサムズアップサインをした。

 刹那、何者かが目にも止まらぬ速さで三人のライダーを斬りつけた。地面の葉や砂埃が舞う。続いて四方八方から銃弾が飛んでくる。着弾した地面が爆発を起こす。

 

「また新たな敵か!?」

「……!? この力は……!」

 

 三人は辺りを警戒する。

 ザッ。足音がする。一同は一斉にそちらを向いた。

 

「え……?」

「なっ……」

「嘘だろ……?」

 

 現れたのはディケイドだった。クウガたちを斬ったライドブッカーの刃を撫でる。

 

「士くん……!?」

「どうしちまったんだよ、ダークライダーの味方になるなんて! 鳴滝さんはどこだ!?」

 

 クウガがそう言うが、ディケイドは何も答えない。再び高速移動をし、三人にダメージを与える。

 

「きゃああああっ!」

「ぐわああ……!」

 

 ディケイドは圧倒的な強さで三人をダウンさせる。そして一番近くにいたクウガに歩み寄り、首を掴んで持ち上げた。

 

「お前、何をッ! うわあああああああっ!!」

 

 そのライダーの手から衝撃波が出たのか、持ち上げられたクウガの全身から火花が散る。

 

「ユウスケッ!」

 

 キバーラの声も虚しく、クウガは変身を解除されて地面に倒れた。

 ディケイドはユウスケを肩に担ぐ。

 その瞬間、マゼンタカラーのアーマーが揺らぎ、変身が解除された。しかしそれは変身者が現れるのではなく、変身後に重ねがけしたカメンライドが解けただけだった。

 ディケイドの姿を借りていたライダーの正体が露わになる。キバーラとディエンドは息を飲んだ。

 

「黒い……ディケイド……!?」

 

 黒いボディと黄色いライン。複眼は不気味に青く、吸い込まれそうな闇を孕んでいる。そしてその腰にあったのは、夏海が夢で見た真っ黒いディケイドライバーだった。




次回 仮面ライダーディケイド2

「士……死ぬな……!」
「これが本当の世界だったのか!」
「正体を明かす時が来たな」
「私がディケイドを倒す!」
「これがキバーラの真の姿よ。フフッ」
「お前が本当の士だと!?」
「世界は俺が貰う」

第21話「消える世界」

全てを破壊し、全てを繋げ!
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