やはり俺の魔本はまちがっている   作:ポンたん

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SS初投稿です。


ブリの眼と八幡

休日。

 

 

リア充たちは、やれ遊びだ部活だと忙しい時間だろう。

 

 

だがちょっと待て。

 

 

――それ休めてないだろ。

 

 

休日とは、就業規則や労働基準法に基づいて与えられるものを指し、休暇は勤務日と定められた日に使用者の許可を得て、または労働者が指定して休むことを指す。

 

 

つまり休日とは本来、次の勤労に備えて体力を回復するための期間であり、身体を動かすなど本末転倒に等しい。

 

 

八幡「つまり、こうしてくつろいでいる姿こそ、真に休日を満喫していると言える」

 

 

小町「まぁーたこのごみいちゃんは……日曜日の昼間っからリビングでゴロゴロして……小町的にポイント低いなぁ」

 

 

妹の小町が我が家のペットのカマクラと遊びながらそんなことを言うが、俺はそんなことで動いたりしない。

 

 

小町「あ、そういえばお父さんがうちで子ども預かるって言ってたよ?」

 

 

八幡「なにそれ初耳」

 

 

小町「お兄ちゃんには当日まで言うなって、お父さんとお母さんに言われてたから。ほら、なんか追い返そうと画策するんじゃないかって」

 

 

八幡「当然だろ。今のこの家は俺と小町の愛の巣だ。何人たりとも寄せつけねぇ」

 

 

小町「うわぁー……流石にそのシスコン発言は引いちゃうなぁ……」

 

 

八幡「とにかくさっさと今から来るであろうガキをさっさと――」

 

 

小町「それじゃ、小町はこれから晩御飯の買い物行くからお兄ちゃんはお留守番しててねー」

 

 

俺の言葉を遮り、すぐさまリビングから飛び出していく小町。

 

 

八幡「……逃げるの早い」

 

 

言い逃げ、ダメ、絶対。

 

 

八幡「はぁ……マジかよ……マジで見ず知らずのガキがうちにやってくんのぉ?」

 

 

考えただけでも気が滅入る。

 

 

俺の聖域が、そんなどこの馬の骨ともわからん輩に侵されるなど言語道断。

 

 

――ピンポーン

 

 

八幡「あ?」

 

 

インターホンが鳴ったので、玄関へと向かう。

 

宅配便かと思い、玄関の扉を俺は開く。

 

 

そしてそこには、金髪の子どもが、何故か背中にブリを背負って立っていた。

 

 

?「お主が比企ヶ谷八幡だな!」

 

 

八幡「比企ヶ谷は隣だ」

 

 

――ガチャンッ

 

 

八幡「……見なかったことにしよう」

 

 

なんだよあのガキ、なんでブリ背負ってるの?

 

 

あの状態で街中歩いてきたの?

 

 

どういう神経してんだよ?

 

 

――ピンポーン、ピンポンピンポンピンポーン!!

 

 

八幡「…………」

 

 

――ガチャ

 

 

?「お隣は鈴木さんであったぞ! やっぱり比企ヶ谷はこちらではないか!」

 

 

八幡「いや、そっちじゃなくて反対の隣なんだよ」

 

 

?「そっちは加藤さんであったぞ!」

 

 

もう行ったのかよ。

 

 

?「ウヌ…………ちょっと待つのだ」

 

 

その子どもは、急に背中にしょっていたブリを前に持ち直す。

 

 

?「…………ウヌッ、やはりお主が八幡だなっ」

 

 

八幡「ちょっとまて、今お前そのブリの眼と俺の眼を比較したよな? なんだ、何を確かめた?」

 

 

?「こっちの方が新鮮で美味そうなのだっ」

 

 

初対面の子供に、遠回しに目が腐った魚みたいだと言われた。

 

 

?「我が名はガッシュ・ベル! 八幡の眼を治すようご両親に頼まれて来たのだ!」

 

 

 

 

 

 

――八幡へ。

 

前略、お前の眼が腐っているから、真っ直ぐな目をしたその子どもを見習いなさい。

 

 

P・S

その子どもは記憶喪失らしく、身元がまったくわからなかった。

 

唯一の手がかりと思われる本も何が書いてあるのかわからず、結局手がかりにはならなかった。

 

その子は他に行く宛がなくこちらで面倒を見ようと思ったのだが今は忙しいので、そっち生活させることにした。

 

 

 

八幡「P・Sの使い方間違ってるだろ……」

 

 

ガッシュ「ウヌ、や、やめるのだ! それはわたしのブリなのだー!」

 

 

カマクラ「ふしゃー!」

 

 

カマクラ相手にブリを奪い合いっているこのガキがそれほど深刻な状況にあるとは思えないんだが……

 

 

八幡「……で、これが例の本か」

 

 

唯一の手がかりというこの赤い本。

 

 

軽く開いて見た。

 

 

八幡「うっわ……何書いてあるのかさっぱりわかんねぇ……材木座辺りが好きそうだ…………ん?」

 

 

ページをめくっていると、色の違う文字があった。

 

 

まったく知らない文字のはずなのに、その部分だけは理解できる。

 

 

「……なになに? ……第一の術……“ザケル”」

 

 

――バチンッ

 

 

カマクラ「ふぎゃ!!」

 

 

何か妙な音が聞こえたと思ったら、急にカマクラがその場から飛び上がってリビングから逃げて行った。

 

 

八幡「…………」

 

 

ガッシュ「……ウヌ? …………あー! わたしの、わたしのブリが黒焦げになってるのだー!」

 

 

…………待て。

 

 

待て待て待て待て待て。

 

 

今、このガキ……ガッシュの奴、口から電撃を吐き出さなかったか?

 

 

八幡「…………疲れてるんだな。うん。寝よう」

 

 

今のは夢だ。

 

目を覚ませばきっと、いつものように小町と俺だけの聖域に戻っているはずだ。

 

 

ガッシュ「八幡、お腹が減ったのだっ」

 

 

八幡「ブリ食っただろ?」

 

 

こいつは俺を夢の世界に旅立つことすら許さないのか?

 

 

ガッシュ「何故か急に黒焦げになってしまって食べられないのだ」

 

 

八幡「いや、それはお前が…………いや、きっと俺の見間違いだ。とにかく小町が帰ってくるのを待て。なんかお前の為に御馳走作ってくれるらしいぞ」

 

 

ガッシュ「ウヌ…………しかし、わたしはまだ朝ご飯もお昼御飯もまだなのだ」

 

 

――きゅーぐるるるるー……

 

 

八幡「…………ちょっと待ってろ。財布取ってくる」

 




八幡の心の力って半端なさそう……
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