一週間ぶりの投稿です。
登場人物が多いと誰のセリフかわかりづらいところがあったので、分かりにくい箇所はセリフの後に名前を入れました。
それでは、どうぞ。
俺は、風太郎から急に呼び出した理由を聞き出すことにした。
「風太郎。至急話したいことって一体何だ?」
「ああ。実はな…」
風太郎side in
あのセレブお嬢様と一方的に別れたあと、俺は妹のらいはからメールが来ていたので、すぐに電話をすることにした。
その内容は、衝撃的な内容だった。
『お兄ちゃん!うちの借金がなくなるみたい!』
「何?」
どうやら親父がかなり割のいいバイトを見つけたらしい。
最近引っ越してきた金持ちの娘の家庭教師をして欲しいとのことで、
アットホームで楽しい職場!相場の5倍の給料です!
とのことだ。
俺はそれを聞いたとき、すぐに裏の仕事の予感がして、あまり乗り気ではなかった。
だが、
『これでお腹いっぱい食べられるようになるね!お兄ちゃん!』
らいはのこの言葉を聞いて断れるやつがいるだろうか。いやいない!
俺は決意を新たに、その生徒に接触してみようとした。
のだが…
「中野五月です。よろしくお願いします。」
あろうことか、その生徒は、先ほど俺が揉めた相手だった。
(まずい。さっきのことで、彼女から俺への印象は最悪。このままでは家庭教師の仕事がなくなってしまうかもしれない。それだけは何としてでも阻止しなければ!俺のため、そして何よりも、らいはのために必ず仕事を成功させなければ!)
風太郎side out
「なるほどね。そりゃあお前にとってはやっと降りてきたチャンス。絶対にものにしたいところだな。」
「ああ。だがお前も知っての通り、俺は彼女を怒らせてしまった。このままではまずい。」
「それが分かっているんなら、何であの時あんなこといったんだよ。」
「ぐっ…」
「まぁあの後それとなくフォローしたから、そこまでひどいことにはなっていないと思うけどね。」
「ほ、本当か!」
「とは言っても中野さんから風太郎への印象はかなり悪いと思うけどね。」
「だよな…」
「とりあえず、風太郎は明日、中野さんに誠心誠意を持って謝ること。それが出来なきゃ話にならん。」
「わ、分かった。元々俺が撒いた種だ。俺が何とかする。」
「ああ、そうしろ。どうしようもなくなったら俺も手を貸してやる。もちろんタダじゃ動かねえけどな。」
「なるべくそうならないようにする。」
風太郎も分かっていたのか、俺の言葉に了解の意を示す。
どうやら俺に話しかけたのは、自分の考えをまとめるためでもあったらしい。
ところで、風太郎は、教える生徒が彼女だけではないことを知っているのだろうか。
いや、この様子だと知らないな。
当然、俺は現時点で風太郎よりも中野家について詳しく知っているが、ここでこいつに教えてもいいのだろうか。
俺は考えた末、
「じゃあ俺は帰るよ、お前も頑張れよ。」
何も伝えずにおくことにした。
一応理由はある。風太郎がこのことを知って家庭教師に乗り気でなくなる可能性があるので、こいつには直前まで知らせない方がいいだろう。
まあそれとは別に、昼に俺に余計な仕事を押し付けたこのバカに対するささやかな仕返しというのが約8割含まれているが。
まあどちらにせよ、この仕事以上に身入りのある仕事なんてそうないだろう。
(らいはちゃんにも喜んで欲しいからね。がんばれ、風太郎。)
帰宅時、俺は件の中野姉妹を発見した。このまま素通りしても良かったが、知り合いに会って無視するのは今後の関係性に問題が生じるかもしれなかったので、彼女たちに挨拶することにした。
「中野さん。こんにちは。」
「「「「「えっ」」」」」
挨拶すると、5人全員がこちらを振り向く。皆中野さんなんだからそりゃあそうなるよね。
その中で、二乃さんと五月さんは、俺と面識があったため、俺に話しかけてきた。
「白銀君!偶然ですね。」(五月)
「白銀くん!用事はもう終わったの?」(二乃)
「ああ。たまたま見かけたもんでね。用事はちょっとした相談みたいなもので、思ったよりすぐ終わっちゃったんだ。ええと、な、なか…」
俺が彼女たちの名前を言いよどんでいるのを見て察した彼女たちは、
「私のことは名前で呼んでいいですよ。信じられないかもしれないですが、後ろの3人も含めて私たち5つ子の姉妹なんです。苗字だと紛らわしいので。」
「わたしも、二乃って呼んで。」
「分かったよ。五月さん。二乃さん。」
「さんもつけなくていいですよ。」
「分かった。五月、二乃。それにしても5つ子なんて実際に存在するとは思わなかったよ。こうして目の前にいるのを見たら信じるしかないけどね。」
「あははっ、よく言われます。」
それはそうだろう、まず一卵性双生児が生まれる確率が250分の1、それが5つ子ともなると、その確率は3億3211万110分の1にもなるらしい。はっきり言ってこうして実在するのがすでに奇跡とも言えるだろう。
俺が彼女たちと話していると、後ろから3人の中野姉妹がやってきた。
「なになに、君、二乃と五月ちゃんとどういう関係?」(一花)
「二人が男の子と親しくしているの、めずらしい。」(三玖)
「おお!なんだかすごいイケメンさんが二乃と五月と親しくしてますよ!」(四葉)
何だか盛大に勘違いされていそうだったので、説明することにした。
「俺の名前は白銀祐介。二乃とは同じクラスで、五月とは昼休みにたまたま話す機会があったんだ。」
「へえー。あ、私は中野一花。一花でいいよ。」
「中野三玖。好きに呼んで。」
「中野四葉です!よろしくおねがいしまーす!」
「ヨロシク。一花。三玖。四葉。」
三人と挨拶を交わした後、二乃と五月は質問攻めにあっていた。
「それにしても、転校初日でいきなりこんなかっこいい男の子を捕まえるなんて2人ともやるじゃん。」(一花)
「ちょ、そんなんじゃないってば!」(二乃)
「そうですよ!彼とはそんな関係じゃありません!」(五月)
「五月。そんな関係ってどんな関係?」(三玖)
「むむむ、これはあやしいですねー。」(四葉)
二乃と五月は顔を赤くして否定していた。
とりあえず、これ以上変に思われるのはこちらとしても困るので、誤解を解くことにした。
「二乃とは隣同士の席で、授業中困ってそうだったから手助けしただけだよ。五月とは少し頼まれごとをして、その時に、俺の仕事の説明をしたんだ。」
「仕事って?」
「実は俺、探偵なんだ。名刺は五月に渡してる。」
「「「「ええええええええ!!!!」」」」
五月以外の4人は、当然ながら驚いていた。まあいきなり「自分、探偵です。」なんて言ったら、普通驚くよな。
そのまま五月から、昼にあったことを説明した。
「なるほどね。そういう理由なら仕方ないか。」
「うん。まあ依頼とかは抜きにして、今後も君たちとは仲良くしたいと思ってるよ。とりあえず今日は挨拶だけってことで、そろそろ帰るよ。」
そういって、俺は5人と別れ、自宅に帰宅した。
自宅にて
俺は今日の出来事を思い返しながら、これから楽しくなりそうだと、心躍らせていた。
だが、同時に、俺自身の秘密をバレないように、より一層気を引き締めなければいけないと感じていた。
俺の秘密は誰にも打ち明けられない。例え親友でも、恋人でも、家族にさえ…
秘密を知られれば、周りの人間が危険に巻き込まれる恐れがある。
(父さん、母さん、俺はもう二度と同じ過ちは繰り返さないよ。例え何があっても俺は俺の大切なものを守ってみせる。)
俺は家族全員が写っている写真を眺めながら、決意を胸に、眠りについた。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。