この小説の作者は艦これをやったことがありません、その為自己解釈やオリジナル展開などの要素が含まれます。それでもいいという方のみ先にお進みください!
『私』の目の前には何百という数の書類が置いてあった。その紙は自分の艦装や排水量、各性能などを書く欄が延々と印刷されている。
「Heyこんごうサーン?一緒にbreakfastでもどうデスかー?」
「あぁ金剛さん…後少しで書類書き終わるので先行っていいですよ」
「Oh…あの書類デスかー、あれは数だけが無駄に多くて嫌になりますよネー…少し手伝いますヨー」
「はい…面目ないです…」
一緒に溜息をついた後、金剛さんに手伝ってもらいながら書類を書き進めていく。
今の『私』は『こんごう』という護衛艦だ、といっても最初は一人称も『私』ではなく『俺』だった。つまり元男である。
さて、今書類を書き進めている間どうしてこんな事になったのかを振り返るとしよう。
~一週間前~
いつもと同じ学校の帰り道、俺は自称戦艦マスター(にわかだって自覚があるらしいが)の友人からあるゲームの話を聞いていた。
「…艦これ?」
「おう!正式には『艦隊これくしょん』だ、お前日本の軍艦好きだろ」
「まぁ俺が好きなのはイージス艦とかだが……どんなやつが出るんだ?」
「二次大戦位までの日本艦だ」
それは……結構出てくる船少なくないか?
………まぁいくら人気でもブラウザゲームだから充分多いんだろうな。
「ふぅん。じゃあイージス艦は出ないのか」
「イージスねぇ……お、そうだ、艦これではないが狂気の護衛艦きりしまならあるぜ」
「なに!?きりしまがあるのか!?」
イージスは出てたのか!やっぱり対空用にイージスだけは実装したのだろう。
と、内心歓喜乱舞していると友人は「最初にこっちを見ておけ」と言い携帯の画面を見せてくる。どうやらイラストサイトの様でゲームサイトではないらしい。画面には眼鏡を掛け巫女服を着た少女の絵があった、これだけ特に問題ないのだがその少女が背負っている物がおかしかった。バックパックのような形状をしたものからX字にアームが伸びていて、アームの端っこそれぞれに2本の筒がついた物体………砲が取り付けられていた。
「なんだこれ?」
「これは艦これ内での戦艦『霧島』だ」
「霧島?これがか?」
どうみてもラノベのヒロインとかその辺のにしか見えないそれを数秒眺めた後「全然戦艦っぽくねぇな」と呟いたが友人には聞こえなかったようで「んで、これからが本題だ」と言って携帯を操作した。
「確かこのファイルに…あった、これが『宮城地本からやってきたこんごう型二番艦』だ」
「いや名前なげーし」
今度の絵はどうやらあの宮城地本の公式呟きサイトらしい、そこにあったのは…………
四角や丸で構成された人型で肩に20mm対空砲ファランクスらしき何か、背中に垂直ミサイル発射装置らしき箱とハープーン対艦ミサイルらしき筒が書かれている絵だった。
その絵の上部には一言「\イージスです/」と書いてあった。
「ブッ!!」
「どうだ?イージスだろ?」
「いや確かにイージスですって書いてあるけど非公式絵じゃねえか!」
「おう、非公式だ」
さも当然のように友人は言い放つ。大和の船体を思い切りぶつけてトマホーク巡航ミサイルをぶち込んでやりたくなった、無理だけど。
「だが、どうやら艦これの公式がこの絵をいたく気に入ったらしくてな、新規登録者限定に自衛隊の護衛艦や輸送艦を配布するらしい、勿論擬人化モデルだ」
「それは新規デザインなのか?」
「さぁな、既に出てる艦と同名のが多いから外見が似てたりはするだろうな。まぁ始めて損は無いと思うぜ、この前の大幅アップデートで新規サーバが出来てたから普通に入れる筈だ」
興味を持った俺は友人から艦これの始め方や基礎知識等を聞いてから帰宅した、思えばここが俺の人生の別れ道だったのだろう。
自分の部屋に入って俺は即パソコンを起動し服を着替える。
着替えた後パソコンを操作し艦これのゲームサイトを開き、メールアドレスとパスワードを打ち込みログインする、運営しているDMMの会員登録自体は済ませてあったのでかなり楽だった。
ページが飛び泊地だかなんだか(恐らくサーバのことだろう)を選ぶ画面になったので適当に入った、どんな名前かは知らん。
選んだあとにまたページが飛んで『新規着任しました。次の中からお好きな艦をお選びください』という文字が表示され『きりしま』や『おおすみ』の名前が表示される。本当はきりしまにしたいが友人に見せられた二番艦を想像してしまうため
・ミサイル護衛艦こんごう型一番艦『こんごう』
という文字をクリックする、と。
画面からどう考えても出る筈のない程の光が溢れ出したのだ。
「うおっまぶし!」
これが俺の(この世界での)最後の言葉だった。
少しずつ意識が覚醒していく、まるで深い眠りから覚めたような感覚だった。
体がまるで『何かで固定されている』かの様に全く動かないし目も開ける事が出来ない。
鼻孔に入ってくる空気には少し油、それも調理用のものではなく機械用の潤滑油の匂いと微かに潮の匂いがする、恐らく海の近くの工場だろうか。
俺は確か今起きる前まで艦これのサーバやらなんやらを選択して……そうだ、護衛艦を選んだ途端AMSから光が逆流したんだった。
などと何の意味もない思考を繰り広げていたところ真横で「しゅーりょー!」という声が聞こえた。一体何が終了したというのか。
「ミサイル護衛艦こんごう建造完了!部屋に運ぶよ~!誰か提督に報告してきて~!」
「わたしがいく~!」
「いってこ~い!」
………ちょくちょく物騒な単語が入らなければまるで子供の会話の様であるが今の会話で状況がわかった。今の会話の主はゲーム内での謎生命体、妖精さんだろう、人類が絶賛衰退中な作品の方ではない。
さて、そして今俺は台車か何かに乗せられて何処かに運ばれている。この事実と先程の妖精が言っていたことを合わせて考えた結果……俺がミサイル護衛艦こんごう型一番艦『こんごう』になったという結論にたどり着いた。
…さて、とりあえず色々と突っ込んでやりたいが一つだけにしておこう……ど う し て こ う な っ た。
…と、自問していると部屋の扉が開き白い軍服を着た若い男が入ってきた。
「えぇっと、君が新しい艦だよね?」
そういえば友人が新しく手に入れた艦は最初に一言喋るって言ってたな…仕方ない。
「あー…えっと……い、イージスです…」
「イージス…?」
………超恥ずかしー!
イージス艦こんごうのスペック(ネット上の資料から抜粋)
基準排水量:7250t/満載排水量:9485t
主要寸法:全長161.0m×幅21.0m×深さ12.0m×喫水6.2m
エンジン:ガスタービン4基(COGAG)2軸 出力:100000PS
速力:約30kt
船型:平甲板型(遮浪甲板型)
乗員:約300名
主要装備:127mm54口径単装連射砲×1 高性能20mm多銃身機関砲CIWS(Mk15)×2 対艦ミサイル・ハープーンSSM発射筒×2 スタンダードSAM/アスロックSUM・VLS(Mk41)×2(前部29+後部61セル) 3連装短魚雷発射管×2 イージス防空システム