The iDOLM@STER Cinderella Girls ~Two Irregulars~   作:せいけー

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タイトルの面白みがなくなってしまいました。


第21話 Where are they(1)

 休日とは言え、一人暮らしにとっては忙しい事に変わりない。溜まっていた家事を全てこなしておかなければならないからである。掃除は粗方終わらせておいたし、ワイシャツのアイロンがけももう少しで終わる。――そろそろ暑くなってきたから、冬物も仕舞っておかないと。今日中にある程度、大仕事は終わらせてしまわないといけないな。

 

 突如、メッセージアプリの通知が来る。送信者は……美嘉か。珍しいな。

 

『今ヒマ?』

 

 ……うーん、『今アイロンがけしてる』っと。よし、返信も終わったしアイロンに集中して――。

 

『ヒマならきて』

 

 ……暇じゃないんだけどな。

 

『まだ家事が残ってる』

 

『いいからきて』

 

 タコのような宇宙人のような黄緑色のキャラクターが怒りで真っ赤になっている、よく分からないスタンプが送られてきた。このスタンプが送り付けられるのは、大体本当にイラついている時か怒っている時だ。……分かったよ。

 

『今支度するから場所教えろ』

 

 ワイシャツ一枚のアイロンなど、脛蹴りに比べたら安いものだ。脛蹴りはマジでいてえし。

 

――――

 

 待ち合わせ場所に余裕を持って着くと、美嘉が近付いてきた。

 

「……ダサくない?」

 

 開口一番にそれか。

 

「仕方ないだろ。急いできたんだから」

 

「何それ!? 七分袖のシャツに黒いチノパン!? センスが高校生じゃん!?」

 

 悪かった、悪かったって。ビシッと決まっている美嘉と雲泥の差で悪かったって。

 

「……ファッションチェックはいいんだよ。それよりも、何なんだ急に呼び出して」

 

 美嘉はまるで、信じられないとでも言うような顔をした。

 

「今日、莉嘉がイベントする日! 何で進兄が知らないワケ!?」

 

 あれ、そうだったっけな。俺の方には連絡が行ってない気が――。

 

「……うっわ、マジだ」

 

 メッセージアプリを開くと、莉嘉が「明日イベントだから来てー☆」と送り、俺が既読した後が。やべえな、殆ど寝ている状態で既読してたかもしれんな。

 

「さ、行くよ進兄!」

 

 美嘉はずかずかと歩き始めた。

 

「分かったからそんなに急ぐなって」

 

 くそう、俺の休日が。

 

 さて、莉嘉達のユニット「凸レーション」が今回受けた仕事は、ファッションブランドとのコラボイベントという事だった。元々モデル事業部だった武内さんのコネがあり、こうして大きな仕事が舞い込んできた――とは美嘉の話。

 

「うーん、武内さんのコネはすげえな」

 

 俺がしみじみと言うと、美嘉はため息をつきながら俺の方を向く。

 

「進兄も、もう少し頑張ったらどう? 担当しているアイドルが可哀想じゃん」

 

「はいはい」

 

 お前に言われるまでもねーよ。……作曲の先生には何回か確認を取っているが、「スランプで曲が書けない」とか言ってるし。作詞の先生が友人って話だったから、彼とも結託して急かすべきだろう。

 

「素っ気ないなあ……。そんなんじゃ、シンデレラプロジェクトに追い抜かれちゃうよ」

 

「シンデレラプロジェクトと言えば、美嘉は最近顔出してるのか? 結構部屋にやって来てたって話だったが」

 

 俺が訊くと、美嘉はぷいっと視線を逸らした。……何かあったのかよ。

 

「……いや、ほら、アタシは部外者だし? 余計な事してまた何かを起こしたくないっていうか」

 

 ……ああ、本田さんの件でまだもやもやしているんだな。美嘉は何も悪くないのに。

 

「――っと、着いたよ」

 

 丁度、イベントの最中だったらしい。特設のステージでは、莉嘉と諸星さんとあと一人、小学生ぐらいの女の子がキャピキャピと司会の女性とトークをしていた。

 

「うんうん、緊張していないみたいで良いじゃないか」

 

 天真爛漫に年少の二人がトークを繰り広げ、諸星さんが二人をやんわりとセーブして舵を切っている。上手い具合に纏まってるじゃないか。

 

「緊張してないだけじゃダメなんだけど」

 

「……美嘉は厳しいな」

 

 ……おっと、ステージの上の莉嘉と目が合ってしまった。にししと笑うと、彼女は俺と美嘉に向かって手を振った。流石に無反応で突っ立っているのも悪いので、小さく手を振り返す。それに気付いたらしい諸星さんが、すぐに観衆に向かって手を振った。……確かに、「城ヶ崎美嘉がいる」となったら、別の意味で騒ぎになりかねないからな。こうして観衆全員に手を振る事で、サービスの一つだと思わせるのか。ナイス判断だ、諸星さん。

 

『あー! みりあもやるー!』

 

 もう一人の女の子は、二人に負けじと観衆に向かって手を振った。いや、あれじゃ手を振るって言うより腕を振ってる感じだな。

 

「全く莉嘉は……。もう少しステージに集中しなさいよ」

 

「ま、そうだな」

 

 我が従妹ながらハラハラしたぞ。

 

――――

 

 ステージが終わるや否や、美嘉はステージの裏へと向かっていく。

 

「おい美嘉、どうした?」

 

「進兄も来る? 346の社員証は?」

 

「持ってるけど……ああもう、分かった分かった」

 

 おそらく先輩アイドルとして、あるいは一人の姉として意見を述べるのだろう。俺からしてみれば、別にこれと言った問題点は何も無かったけどな。新人アイドルとしては満点に近いだろう。

 

「やっほー皆」

 

 美嘉に続いてステージの裏に佇んでいたテントに入ると、パイプ椅子に座って水を飲む凸レーションの三人がいた。

 

「あ! おねーちゃん! それに進にーちゃんも!」

 

 真っ先に反応したのは莉嘉だった。諸星さんはすっと立ち上がると、にっこりと笑った。

 

「城戸ちゃんおっすおっす! お仕事はお休みー?」

 

 ううん、まだちょっと慣れないかなーこの子の喋り方には。

 

「おう。明日はまた仕事だけどな」

 

 寧ろ、今は彼女達が仕事中だ。

 

「きらりちゃん、もしかしてこの人が進にーちゃん?」

 

 黒髪の小学生が、諸星さんに訊く。

 

「うん、そだよー! 莉嘉ちゃんと美嘉ちゃんのお兄さんでー、プロデューサーなんだって!」

 

「へー!」

 

 ちょっと違うんだけどな。正確には兄じゃなくて従兄だが。諸星さんの言葉で興味が湧いたのか、小学生は立ち上がって俺に近付く。

 

「わたし、赤城みりあって言うの! よろしくね、進にーちゃん!」

 

「よろしく、みりあちゃん」

 

 こう、なんだろうか、年相応の女の子っていうのを久々に見た気がする。……今までが個性派揃いというかなんと言うか。

 

「あ、進兄ダメだから。小学生に手を出しちゃ」

 

「誰が出すか」

 

 下手すりゃ孫みたいなもんだぞ。手を出したら異常者じゃねえか。

 

「――城戸さんと、城ヶ崎さん?」

 

 武内さんがテントの中に入ってきた。俺と美嘉を見るなり、彼は目を見開く。

 

「おはようございます、武内さん。今日は休日だったのですが、こいつに連れられて」

 

 美嘉を見ると、奴はわざとらしく肩を竦めた。

 

「もちろん、オッケーだよね? アタシ達、関係者だから」

 

 両方とも莉嘉の親族であり、346に所属している身だ。確かに、これ以上ないくらいには言い訳が出来るが。

 

「ええ、はい。城ヶ崎さんと城戸さんなら、問題はないかと。城戸さん、社員証は」

 

「ああはい、持ってます」

 

 ポケットに突っ込んでいた社員証を首に掛けて見せると、武内さんは小さく頷いた。……随分とセキュリティーが甘い気がするが、この際棚に上げておくか。

 

「お二人は、先程のステージを見ていましたか?」

 

「うん! おねーちゃんと進にーちゃん、デートしてた!」

 

 武内さんの質問に答えたのは、莉嘉だった。デートってお前。

 

「……城戸さん?」

 

 武内さんも動揺しないでくれよ。

 

「莉嘉の年頃だったら、男女が並んでいるのを見たらそう思うんじゃないですか?」

 

「……城ヶ崎さん」

 

「――絶対に、ない。コレはちょっと無理。生理的に」

 

「生理的に!?」

 

 反抗期の娘かよ! いや時期的にそうかもしれないけど、俺は従兄なんだけど!

 

「えー、つまんない」

 

「つまんないって話じゃなくてな」

 

 武内さんも話のペースを乱されて困惑しているらしく、首筋に手を当てている。

 

「その、お二人から見て先程のステージはいかがだったでしょうか」

 

 さっきのステージ、ねえ。

 

「問題ないと思いましたよ。新人にしては、しっかりとトークを掘り下げ、ピカピカポップのPRも盛り込んでいる。ターゲットであるティーンエイジャー層に届くようなものだったと思います」

 

 俺の感想を受け、莉嘉はにんまりとした笑みを浮かべる。

 

「進にーちゃんに褒められた!」

 

「やったにぃ、莉嘉ちゃん!」

 

「ずるーい! みりあも褒めてー!」

 

「あ、いや、三人とも良かったと思うぞ、うん」

 

 しかし、美嘉は考え込むような素振りを隠していない。

 

「まず、莉嘉はもっとステージに集中して。お客さんがいっぱいいるんだから、アタシ達の方ばっかりチラチラ見ないこと」

 

「……はぁーい」

 

「きらりちゃんはナイス! もっとバンバンキャラを出してこ!」

 

「バンバン?」

 

「美嘉ちゃん! わたしは?」

 

「みりあちゃんは優等生過ぎるかな? でも可愛いからオッケー!」

 

 ……身内が可愛い故に厳しくなってしまったか。とはいえ、途中で俺達に向かって手を振り、諸星さんのフォローを知らずに受けてしまったからな。厳しい意見はやむを得ない部分がある。

 

「武内さん自身は、どう思いました?」

 

 むうと不満そうに頬を膨らませる莉嘉は置いといて、彼女達のプロデューサーである武内さんに話を振る。

 

「――お客さんを、もっと巻き込みたいと思いました。ファンのみならず、通りかかった人も足を止めるような」

 

 武内さんはゆっくりと、言葉を選ぶように意見を言った。

 

「……通りかかった人も足を止めるような、ですか」

 

 脳裏に浮かぶのは、渋谷さん達ニュージェネレーションズのデビューライブだ。あのライブ自体は武内さんの言った通り、通りかかった人も足を止めていた。だが、それはパフォーマンスがあっての事である。トーク一本で通行者を振り向かせるのは、新人の凸レーションにしてみたらかなりの仕事だろう。

 

「何かアイディアはあるの?」

 

 美嘉が武内さんに訊くと、武内さんは考え込むような姿勢のまま答える。

 

「……引き続き、三人の思うように進めていこうかと」

 

「何それ。丸投げ?」

 

「……武内さん、それでは諸星さんに負担が集中する気がするんですが」

 

 凸レーションの特色は、ユニット名にもあるように「凸 」の字のような身長差や年齢差にある。しかし、それ故に、年少の二人が暴走してしまうと、年長者である諸星さんが事態の収拾を行わざるを得ない。一応先程のステージで示したように、諸星さんはそれが出来る子である。とはいえ、彼女に全てフォローを頼むのも虫が良すぎるし、負担も大きいと思うのだが――。

 

「三人は、自由に行動させたら面白いユニットです。――私は、それに賭けてみたいと思います」

 

 武内さんの言う通り、面白いことにはなるかもしれない。彼がしっかりと手綱を握るならば、大きな事件は起こらないだろう。

 

「……ま、いいけど。責任取るのはプロデューサーの仕事だし」

 

 美嘉は納得いかないような様子でため息をついた。

 

「ああ、それが俺達の仕事だ。――それじゃ三人とも、またな。武内さんも、また後ほど」

 

 俺が手を振ると、凸レーションの皆は三者三様に手を振った。

 

「うん! またね進にーちゃん!」

 

「次のステージも見てね!」

 

「また会おうにぃ!」

 

 複雑そうな顔をしている美嘉の腕を引っ張り、テントの外に出た。

 

「さて、どうすっかな。次のステージまで、まだ時間があるし」

 

「……うん」

 

「美嘉はこの後どうなんだ? 仕事か?」

 

「……ううん」

 

 美嘉はじっと、凸レーションと武内さんが入っているテントを睨み付けていた。

 

「まあ、あの三人なら何とかなるだろ。心配しなくてもいいって」

 

 首にかけていた社員証をポケットに突っ込み、美嘉の頭頂部に軽くチョップする。叩くのではなく、乗せるような感じで。

 

「いったあ! 女の子に暴力振るうのはダメでしょ!?」

 

「オーバーなリアクションはやめろ。その帽子はただの帽子か?」

 

「そうに決まってんじゃん!」

 

 ツノみたいな飾りが付いてるし、強そうだが。……いや、今はそんな事じゃなくて。

 

「何かつっかえてるんなら、相談に乗るぜ?」

 

 今日は休日だし、プロデューサーではなく従兄として、相談事に乗ってあげようじゃないか。




ハリポタ由来のキャラがでていないせいで普通のデレアニの二次創作にしか見えないですが、続きます。
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