恋々高校~あおい視点~   作:インドぱん

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夏体一回戦 VS聖タチバナ学園 下

  side小波

 

まずいな、かなりまずい。

さっきの三振で動揺したのか、姐さんの球が全然来ない。

二、三番とフォアボールを出し、最悪のタイミングで四番を迎えてしまった。

姐さん、いったい何を意識してるんだ?

俺はさすがにタイムを取り、姐さんのもとに駆け寄った。

 

「姐さん、どうしたんだ。らしくねえぞ」

 

「!すまない・・ちょっと力んでたみたいだ。」

 

そういって帽子をかぶりなおす。しかし、顔は浮かない。

 

「橘になにか言われたのか?」

 

言葉は帰ってこない。何かを言われたのだろうがよほど言いたくないことなのだろう。

・・戦略的な言葉は今の姐さんの状態では無意味だ。よし。

 

「あおい」

 

瞬間、姐さんの肩がびくっと震えた。やはりそうか・・

 

「姐さんがそんな顔になるのはあいつのことしかないからな・・大方この試合に勝てば、あおいを渡せとでも言われたんだろう。違うか?」

 

すると、姐さんは一塁の方を横目で見ながら話し始めた。

 

「ああ、そうだよ。確かにそういわれた。だけど・・」

 

姐さんはうつむきながら続けた。

 

「だけど、私のこの人為的に授かった力で天性の野球センスのあるみずきに勝てるビジョンが見えないんだ。」

 

そういうと、姐さんはボールを差し出してきた。

 

「やはりここは亮に任せた方が

「俺はそう思わないけどな」

 

俺はその言葉にかぶせるようにしていった。

 

「途中からではあるが俺もあんたの頑張りは身近で見てきた。あんたがあおいをどんだけ大切に思っているかも知ってるつもりだ。少なくとも俺からすると姐さんが負けるビジョンの方が見にくいね」

 

姐さんは驚いて口を開けたまま聞いている(かわいい)

 

「記憶をなくしてるかもしれねえが、そんな今でもあおいはあんたのことを一番信用しているように見える。その信頼を裏切るつもりか?」

 

姐さんは、はっとしてあおいをみた。あおいの目からは変わらず勝利を信じているような闘志を感じられた。

 

突然、姐さんは顔をたたきよしっと掛け声を出した。

 

「ああ、そうだね。わかったよ要君。ありがとう」

 

その顔には迷いが一切感じられない。

・・立ち直れたか

 

もうこれでうちが負けることはないだろう、そう思わせるのに十分な気合いだ。

 

「口調戻ってんぞ」

 

「あ、わわわ」

 

後はその気合いをぶつけてやるだけだ。

 

「頼んだぞ()()()

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

「ずいぶん長かったね」

 

打席から土居が話しかけてくる。

 

「ああ、どっかの誰かさんのせいでな」

 

「それはごめんよ」

 

お茶らけているように見えるが、顔は真剣だ。どこに投げても打たれそうな雰囲気がある。

 

「悪いけどここで決めさせてもらうよ」

 

普通のピッチャーと組んでたなら勝負をあきらめていたかもしれない。だが・・

 

「ストライーク!」

 

今の姐さんなら勝てる気しかしない。

 

「ははっ、すごいな」

 

土居も驚いている。それもそうだろう。ここまでで最高の球だから。

二球目ライジングカットのサインに姐さんはうなずく。

「ふんっ!」

気迫のこもったボールが投げ込まれる。

 

「もらった!」

 

カキーン!

 

ボールはライトポール際へ見なくてもわかる。ファールだ。

 

「ちっ!」

 

土居、そのボールはどう打ったってフェアには入らない。

おそらくプロでも。

 

三球目もう一度ライジングカットのサインしかし姐さんはこれに首を振る。

まさか・・

俺は違うサインを出してみる。姐さんはうれしそうにうなずいて

「はあっ!」

その球を投げた。

 

 

 

~~~~

 

side土居

 

 

チャンスで二回も打ち損じるなんて俺らしくもないな。

次ミスったら三振じゃねえか。

そんな危機的状況であるのにかかわらず、土居は喜びを覚えていた。

田舎にいたときは感じられなかった喜び。すなわちライバルと呼べるほどの存在。

改めて、橘には感謝しないとな。

そしてもちろんこの勝負にも負けるつもりはない。

さあ、三球目は何なんだ?

 

綺麗なフォームから放たれたボールは伸びてくる。

ストレートか?

しかし、ベース2メートル前そのあたりでボールは失速し、アウトコース低めへと向かう。

ドロップだ!

そして曲がり終わったとき土居の神速のスイングがそのボールを・・

 

「ストライーク!バッターアウト!」

 

とらえなかった。

「は!?」

 

土居は信じられないといった感じでボールの収まったミットを見ていた。

 

「何・・投げたんだ?」

 

帰ってきたのは驚きの球種だった。

 

「二回落ちるドロップだよ。」

 

その回、聖タチバナは三者連続三振だった。

 

 

 

 

~~~~

 

 

やっぱ明日香はすごいや!あそこから三者連続三振なんて!

 

「ナイスピッチ明日香!」

 

「ああ、ありがとうあおい。さああと一点取り返そう。」

 

「うん!」

 

 

 

 

しかし、みずきの変化球クレッセントムーンの前に友沢、小波君と手が出ません。

 

「すまない」

 

「大丈夫だ。私も打ててないんだから何も言えんしな」

 

けど友沢でも打てないとなるとどう攻略すればいいのかなあ・・

 

「六番、ライト、綾小路くん」

 

「ストライーク!」

 

やっぱりあの二人で打てないとなると、初心者の人にはちょっと荷が重いかな・・

そう思っていたんだけど

 

カキーン!

 

「おおっ!」

 

綾小路君が三遊間にクレッセントムーンをはじき返しました。だけどそこは

 

「よいしょっと」

 

「アウト」

 

抜群の守備センスを誇る土居君の守備範囲でした。やばいなあ・・

 

でも、どうして打てたんだろ?

 

「綾小路君、何か見つけたの?」

 

すると帰ってきたのは驚きの真相でした。

 

「ベンチからずっとみてたんだが、あのピッチャーなんかすごい曲がる奴は全部同じところに投げてる気がしたから、試してみたんだ」

 

「それはほんとか綾小路!」

 

「あ、ああ」

 

友沢がやけに食いついてきた。ああ、みずきってそういや同じ中学だったな・・

 

「なるほど、つまり六道がいないと投げられなかったのか・・みんな。おそらくこの後もクレッセントは投げてくると思うが、できれば上位までまわるまで、気づいてないふりをしてくれ。おそらく9回で決めることができる。」

 

そして守備に散っていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「九回の表、恋々高校の攻撃は、一番、センター猪狩君」

 

試合は二対一のままついに九回です。ここで決めないと私たちの負け。つまり初戦敗退です。何としても点を取らなくちゃ!

 

 

 

 

~~~~

side猪狩

 

 

「同じ所に投げたくて投げてるんじゃない。あそこじゃないとキャッチャーが取れないんだ。」

 

打席で友沢の言葉を思い出す。

弟のストレートのように彼女もまた魔球を持っていた。

だが、守にはいた相方が彼女にはいない。

 

橘がモーションを起こす。その細い腕からしなるようにボールが放たれる。

そのボールは胸元で弧を描くように曲がっていく。

 

(悪いがこちらも必死なもんでね。)

 

光が降りぬいたバットは月の先端をとらえ、輪郭をなぞるように打球は飛んで行った。

 

 

~~~~

side土居

 

やられた・・な。。

 

スコアボードの9の下には3という文字。先程の回、みずきは三者連続のホームランを打たれてしまった。

こうなる予想はできていた。バッテリーが不完全のまま試合に臨んだことは、キャプテンとして申し訳が立たない。みずきにも、他のチームメートにも。

(俺がキャッチャーをできればッ!)

悔やんでも悔やみきれない。

 

「ボールよく見ろー!」

不意に聞こえた声に意識が引き戻される。

 

「こらー!柴田ー何よそのスイングー!・・あんたたちも声出しなさい!」

 

みずきだった。彼女の眼には闘志の炎が見える。

 

(クソッ!俺があきらめてどうするんだッ!!)

 

「柴田ー!たのむ!」

 

残った気力を振り絞って俺は声援を送った。

 

 

 

~~~~

 

九回やっと巡ってきた僕の出番!!

 

「ピッチャー宮内さんがファースト。ファースト早川さんがピッチャー。以上に変わります。」

 

ウグイス嬢のコールが終わりプレートに立つ。

2点差油断できる展開ではない。

自分に体力がないのは分かってる。だけどここに立っている間はだれにも負けない!

投球練習が終わり、ロジンパックを手に取り息を吹く。

小柄な体が放つその威圧感は球場全体を包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「礼!」

 

「アザしたー!」

 

球場にはサイレンが鳴り響く。結局裏は三者三振。バットに一球もかすらせることなく僕の当番は終わった。

 

「イヤー完敗だよ・・」

 

土居君が声をかけてくれた。

 

「お前との対戦はほとんどいいところなかったがな・・」

 

小波くんは少しむくれた顔をしていった。土居君は三打数二安打一ホーマー。キャッチャーとしては面白くなかったのかもしれない。

 

でも土居君は首を振った。

 

「いいや完敗さ。チームとしても、俺個人としても、そしてキャプテンとしても・・」

 

心なしか目が赤く見える。土居君は手を差し出していった。

 

「次は負けない!もっともっと力をつけて、君たちを倒す!」

 

小波くんも手をとり、いった。

 

「ああ、俺たちも進化し続けるさ!」

 

彼らはいいライバルになりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~

 

 

 

「負けちゃったな・・」

 

「ああ今回は私の勝ちだ。」

 

小波たちが話している裏、みずきと明日香も会話をしていた。

 

「やはりクレッセントムーンは聖じゃないとだめなのか?」

 

「悔しいけどそのとおりね・・ダーリンですら取れなかった・・」

 

「そうか・・」

 

あれほどの変化球をとれるようなキャッチャーなどそういないだろう。

不意にみずきが顔を上げる。

 

「というか私と話している時くらい普通に話しなさいよ!」

 

「すまないがそれはできない。さっきも小波の前でぼろが出てしまった・・今はあまり普通の話し方をしたくないんだ」

 

「難儀ねえ・・」

 

みずきは頭を掻く。

 

「大変なようなら私があおいをを預かるけど?」

 

「結構だ」

 

分かってはいたが、やはり彼女の意志は固い。

(何よ私のほうが付き合い長いっての!)

そんなことが頭をよぎる。だが覚えられてないことを思い出しすぐにしゅんとなる。

その顔を明日香に悟られないようにまくしたてる

 

「わかったわよ!あおいはあんたに任せる!それと・・あおいに今度は負けないって言っといてよね」

 

「ああ」

 

明日香はくすっと笑うとベンチに下がっていった。

 





綾小路が対変化球〇を取得した!

宮内が二段ドロップを覚えた!

よう実を知ってる人に質問です。この中で、この話で出してもいいよと思うキャラはだれすか?

  • 掘北
  • 軽井沢
  • 一ノ瀬
  • 椎名
  • いらねーよそんなもん
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