ドラえもん「えぇっ! この素晴らしい世界に祝福をだって!?」   作:腎臓「詫び石だ、受けとれ」

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途中までしか書けておりませんが、さすがに更新しない期間が長すぎたので投稿します。

微エロ注意?


水の女神の生誕祭(前編)

――アクアの自室

 屋敷を手に入れてから数日後のこと。アクアは珍しく早く起きると、ベッドから起き上がって窓を押し開いた。

「んー、いい朝ね。今日という日にふさわしいわ」

 雲ひとつない心地よい朝の日差しに、アクアが満足気にうなずく。どうやら、今日は朝から機嫌がいいらしい。

ベッドをなおして部屋をでると、軽やかな足どりでアクアは階段を降りていった。

 居間に到着すると、ドラえもんがなにやら隅でコソコソと作業している姿が見えた。

 ドラえもんはアクアに気付く様子はなく、むしゃむしゃと朝食のどら焼きを頬張りながら、ポケットから道具をとり出しては、くずかごの中へ放り込んでいた。

「ふふ、こっちに気付いてないわね。……そうだわ。とびっきりの挨拶をしてあげましょう」

 アクアがニヤリと笑った。忍び足で、こっそりとドラえもんの背後へと近づいていく。

「この道具はアクアに見つかったらあぶない。さっさと処分しておこう」

 なにやら女神に対して不届きな言葉を呟いているが、アクアはじっとこらえて近づいた。

 ドラえもんは、背後からアクアがそろそろと近づいてきていることに気づいた様子はない。

 アクアはドラえもんの背後に立つと、「えいっ!」と勢いをつけて思い切り抱きついた。

「うひゃぁっ!?」

 ドラえもんは飛び上がるように慌てふためき、すぐさま後ろを振り返った。

「ぷふ、うひゃぁ!だって。ちょーうけるんですけど!」

「……なんだ、アクアか。もう、びっくりさせるなよ」

 ドラえもんがアクアを確認すると、ホッと胸をなでおろした。

 首に巻きついているアクアの腕をほどき、カーペットに落としたどら焼きを拾いあげて口のなかへ放り込む。

「む、なんだとはご挨拶ね。それで、ドラえもんは何してたの?」

「ポケットの整理だよ。普段使わない道具や、新商品が出て必要なくなったものとかを捨ててたんだ」

 ドラえもんは実演するように、ポケットから道具を取りだした。

 目の前のくずかごへ放り投げると、くずかごはまるでブラックホールのように、どんな大きい道具も次々と吸い込んでいった。

 

「このくずかごの中なら、三次元のものならなんでも入るんだ」

「ふぅん。ねぇ、いらない道具があるなら私に――」

「あげない」

「なんでよ!? いらないんでしょ!?」

「キミにあげたって、どうせロクな使い方をしないじゃないか。ぼくの道具の中には危険なものも多いし、ぜったいだめ」

「大丈夫だいじょうぶ。私たち、もう長い付き合いでしょ? この私を信じなさいって」

「長い付き合いだからこそ信じないんだってば――」

「さぁて、なにが出るかしら」

 アクアはドラえもんの小言を聞き流すと、四次元くずかごをひっくり返した。

「あ! こら、勝手に出すなよ」

 ドラえもんの声もむなしく、四次元くずかごからたくさんの道具が飛び出し、床一面に道具が積まれていく。

「うわ、いっぱい出てきたわね」

「……もう。自分で片づけるんだぞ」

「分かってるわかってる。……あら、これはなに? 可愛らしい見た目ね」

 アクアが道具を吟味していると、ピンク色の機械が目に留まったようだった。ハートがあしらわれた少女趣味のような見た目からは、一見するだけではどんな道具か想像もつかない。

「どれどれ……あぁ、それはガールフレンドカタログメーカーという道具だ。自分が生涯で出会う異性の写真やデータを出せるんだよ。でも、キミは異性とか興味ないだろう?」

「そんなことないわよ。私だって男をちぎっては投げ、ちぎっては投げしたいわ」

「なんで倒していくんだよ……」

「ねぇねぇ、これなら使ってもいいでしょ?」

「まぁ、この道具なら危なくないし、別にいっか。よし、じゃあキミが25歳までに出会う異性で設定して試して――」

「……待って。操作は私がするから、ドラえもんはあっち向いてて」

「え? 操作ならぼくがやったほうが早いんじゃ――」

「いいから!」

「あ、はい」

 アクアに押されて、ドラえもんは慌てて後ろをむいた。

 年齢を入力して決定ボタンを押すだけなのだが、やたらにボタンを連打する音が聞こえてくる。

 やがて、ピンポロポンという音とともに、プロフィールの書かれた写真が大量に飛び出した。

「うそ、こんなに出てくるの!?」

「そんなもんだよ。目に入らないだけで、人生で出会う異性は意外と多いんだ」

 アクアは山と積まれた写真に驚きながら、一枚一枚手に取っていった。表には顔写真が、裏には簡単なプロフィールが書かれている。

「ふぅん、ゼスタにバルター、こっちはバニルにマクスウェル――って、これ悪魔じゃない! 却下よ却下!」

 アクアが問答無用と言わんばかりに写真を破り捨てた。

「あぁ、もったいない。結構カッコよかったじゃないか」

「関係ないわよ。悪魔を異性として見れるわけないでしょ」

「なんだい、えらそうに。選り好みしちゃって」

「それで、こっちの名前は……ぶっころりー? ふざけてんのかしら。プロフィールは……定職に就かずニートをしている、と。却下ね。あとは、サトウカズマにノビノビタ……うーん、どれもこれもパッとしないわね」

「見た目だけで選ぼうとしたらそんなもんだって」

 アクアは適当にパラパラと眺めると、持っていた写真を放り投げた。

 もう興味が失せたのか、アクアは山と積まれた道具をかきわけ、ほかの道具を漁りだす。

「――ねぇ、この福引でよくやるガラガラみたいなのはなに?」

「あぁ、それはホームメイロだ。回すと家の中が迷路になるんだよ」

「ふぅん、どれどれ」

――ガラガラガラガラガラガラ……

「あぁ、そんなに回すなって!」

「どうしたのよ、そんなに慌てちゃって。大げさねぇ」

 アクアがけたけたと笑った。途端、屋敷が大きな地響きを立てだした。

「きゃっ! な、なに今の?」

「……いま、この屋敷が迷路に変わったんだ。ためしに、そこの窓を開けてみ」

「開けてみって言ったって、窓にはなんの変化も――あれ? 外が階段になってる!?」

 

 アクアが素っ頓狂な声を上げた。外の風景が映っていたはずが、窓を開けた途端、屋敷の階段に繋がってしまった。

 ドラえもんがふふん、と胸を張ってアクアを指さした。

「どうだい。この一度入ったら出られない大迷宮に、挑戦してみる勇気はあるか?」

「え、いやよ。疲れそうだし」

「あら、そう」

 アクアは肩をすくませると、窓を再び閉めた。閉めた窓には階段は映らず、いつもの外の光景が映し出されている。

「それで、これは何のための道具なの?」

「ウィルスとかで外に出られない時、おうちで子供に遊ばせる道具」

「……遊びで済むのかしら」

 アクアがコテンと首をかしげた。

 やがて、二階が騒がしくなりはじめた。ドタドタと、誰かがあちこちを駆けまわっている音が聞こえてくる。

『ど、どうなってるんだ!? どうしてトイレの扉が浴場に!? くうぅ……トイレはどこだ!』

「あら、この声はダクネス?」

『こっちは……うわ、げほごほ、物置になってる!  は、早くトイレに行かないと、も、もれ……』

「ほら、ダクネスがトイレに行けなくて困ってるから。戻してあげないと――」

『も、漏れる……なのに、トイレにたどり着けないこの状況……! 放置プレイとはまたちがうこの責め苦! いい! すごくいい! よし、これを迷子プレイと名付けよう!』

「……困ってなさそうよ?」

「おっかしいなぁ。普通は困るはずなんだけど」

 ドラえもんが腕を組みながら首を捻った。

 アクアはというと、次の道具をガサガサとあさり出した。

 

「ねぇねぇ。こっちの道具はなにかしら? 口紅みたいだけど」

 アクアがホームメイロの脇に転がっていた道具を拾いあげた。

「あぁ、それはおせじ口べにだよ。口に塗れば、話す言葉がお世辞に変わるんだ」

「あら、いいじゃない。じゃあドラえもん、私のことほめてよ。ほら」

 アクアは口紅のキャップを取ると、ドラえもんの口元に塗りたくった。

「あ、ばか! やめろ!……って言ってやめないなんて、キミは実にお茶目で可愛らしいなぁ」

「あ、ほんとにお世辞を言いだした。怒った顔で褒められるなんて、なんだか面白いわね」

「おぉ、なんということだ! キミは、美しさの中にも可愛らしさも備えている! 素晴らしい! 完璧な存在だ! キミみたいな女神と出会えて、ぼくはなんて幸せ者なんだ!」

「ふっふーん。ドラえもんもやっと私の魅力に気づいたのね。眉を吊り上げながら言ってるのが癪だけど、まぁいいわ。さぁ、もっと褒めたたえなさい!」

「……ふぅ、やめやめ」

 ドラえもんが腕で口紅をぬぐい取った。紅が取れると効果がなくなるのか、ドラえもんの口調も元に戻った。

「あー! なんでよ!? 今日ぐらいもっとほめてくれてもいいじゃない!」

「なに言ってんだよ、いま充分にほめたじゃないか」

「ぜんっぜん足りないわ。まだまだ、あと1時間は褒めまくってちょうだい!」

「はいはい、キミが立派な女神になったらね」

「なによ、どけち!」

 アクアは頬を膨らますと、べーっと舌を出した。

「さ、もういいでしょ。じゃ、ぼくはちょむすけちゃんと遊んでこよっと」

「あ、待って! もう少しかまってよ!」

「えぇ……今じゅうぶん遊んだだろう? 今日はちょむすけちゃんと遊ぶ約束があるんだよ」

「いいじゃない、もう少しだけ! ねぇ、お願い!」

 アクアは逃がさないとばかりにドラえもんの腕を掴み、ぶんぶんと振り回していく。

「もう、今日はやけにしつこいなぁ。じゃあ、あとちょっとだけ」

「やった、ありがと!」

 アクアはパッと腕を離すと、とたんに満面の笑みを浮かべた。

 やれやれ、とドラえもんが肩をすくめる。

「じゃあねぇ……あら、これは?」

 アクアが手に取ったのは、フラスコのような容器だった。中には丸薬のような粒がぎっしりと詰まっている。

「あ、だめだめ! それは飲んだら大変なことになるんだ」

「……へぇ、飲むタイプの道具なのね」

「あ、しまった!」

 ドラえもんがすぐに両手で口元を押さえる。だが、すでに喋ってしまったことは取り返せない。アクアがニヤニヤと笑みを浮かべながら、その道具を手に取った。

「……で、ドラえもん。どんな効果なわけ?」

「……言わなきゃだめ?」

「ダメ」

「……それを呑むと、10分間性格があべこべになるんだ」

「ふぅん、なるほどね……。はい、ドラえもん、あーん」

「するわけないじゃないか。ひとで道具を試そうとするなよ」

「むぅ。いいじゃない。ちょっとくらい実験台になってくれても」

「やなこった。じゃ、ぼくはこれで――」

 ドラえもんが立ち上がろうとすると、アクアがガシッとドラえもんの肩を掴んだ。

「あら、逃がさないわよ?」

「ばか、離せって!」

 ドラえもんが口を固く結んで逃げようと試みる。アクアと格闘していると、唐突に窓が開け放たれ、ダクネスが現れた。

「なんだ……次は居間か」

 窓枠をくぐって現れたダクネスは、股ぐらを押さえながら、せわしなくキョロキョロと目を動かしていた。

「あら、ダクネスじゃない。なんで窓から?」

「いや、その、私もよく分からないんだが……。それより、トイレがどこか知らないか……?」

「あ、ホームメイロをつけっぱなしにしたままだった」

 ドラえもんが「しまった」と口に手を当てた。どうやら、今の今まで解除することを忘れていたらしい。

「ねぇ、ダクネス。そんなことより、良いものがあるんだけど、飲まない?」

「いや、そんなことよりトイレは――」

「はい、あーん」

「――はむっ!?……ごくんっ……」

 アクアが丸薬を放ると、ちょうどダクネスの口の中に入り、彼女はそのまま飲み込んでしまった。

「あ、もう! 勝手に飲ますなよ」

「いいじゃない。どうせ10分だけでしょ?」

「……ぼくは知らないぞ」

 ドラえもんが頭を振ってダクネスから距離を置いた。

 

 ダクネスはまるで糸が切れたかのように俯いていたが、やがて効果が現れ始めたのか、今まで見せたこともないような意地悪そうな表情を浮かべながら、顔を上げた。

 いつもとは雰囲気が異なり、居丈高な態度でアクアをビシッと指さした。

「……おい、アクア! そこに座れ!」

「えっ!? ど、どうしたの、ダクネス?」

「口ごたえするな! 私の命令に従うんだ!」

「は、はいっ!」

 ダクネスの豹変についていけないのか、アクアが素直に正座した。ダクネスはアクアに近づくと、ニンマリと笑いながらアクアの顎を撫ではじめた。

「なぁ、アクア……。いいことを教えてやろう」

「い、いいこと?」

「……実は私、女もイケるんだ」

「へ……? え、えぇっ!? な、なに! ダクネス、そっちの趣味が――」

「口ごたえするなといっただろう、この雌豚め!」

 ダクネスがアクアの髪を引っ張り、彼女のお尻を引っ叩いた。

「あひぃっ!」

「……ははぁ、なるほど。ドMな性格からドSな性格に変わったのか」

「なるほどじゃないって――痛いいたい! まって! ダクネス待って! 私そんな趣味ないの!!」

 アクアが怯えた顔をしながらダクネスから遠ざかろうとする。だが、アクアの髪はダクネスにがっしりと掴まれており、抜け出せそうにない。

「なぁに、最初はみんなそう言うもんだ。大丈夫。終わる頃にはこのプレイが好きになっている。さぁ、調教の時間だ!」

「いやぁああ! やめて! お願い、髪を引っ張らないで――顔を舐めないでぇぇ! ドラえもん、助けてよぉ!!」

「……いやぁ、ぼくはその、二人が同意の上でやってるなら別に……」

「違うでしょ!? どう見ても同意のうえじゃないでしょ!?」

「大丈夫だ、ドラえもん。同意なら事後に得る。では!」

「では!じゃないから! ちょっとダクネス、どこ揉んでるの!? ねぇ、なんでパンツに手をかけ――だめ、そこは――はぅ! ドラえもんお願い助けてっ! 目を閉じてないで助けてぇ!!」

――10分後

「はぁっはぁっ……いろいろ失ったけど、大事なものだけは守り抜いたわ……」

「……んぅ、私はいったい何を? ……おや、これは誰のパンツだ?」

「わ、私のよ。返してくれる?」

「あ、アクアのか……ゴクリ」

「ねぇドラえもん!? 道具の効果は切れてるのよね!? もう効いてないのよね!?」

「うん、効果は切れてる。つまり、あれは素のダクネス――」

「やめて! 聞きたくないから!」

「は、そうだ。トイレを探してたんだ」

「ひぃ!? やめて! トイレに連れこまないでぇ!!」

「な、なにを言ってるんだ、アクア!? おい、どうして私から距離を取るんだ!?」

――

 

 なんとかアクアのトラウマをおさえると、ドラえもんはホームメイロを解除した。ダクネスがすぐさまトイレへと走っていく。

「……これからは、ダクネスとの付き合い方を見直さなきゃいけないわね」

「キミが変なの飲ますからだろ」

「でも、この道具面白いわ! さて、次の獲物は……」

 アクアがキョロキョロとあたりを見回す。すると、次の獲物は食器棚の扉から現れた。

「や、やっと出れました……」

「あら、めぐみん。ちょうどいいところに」

「ちょうどいいところに、じゃないですよ! これ、ドラえもんたちの仕業でしょう!?」

「「ぎくっ」」

「なにが「ぎくっ」ですか! わたし大変だったんですからね! 部屋のとびら開けたら天井裏に繋がってるし、天井裏を出たと思ったら風呂場で、窓から飛び降りてみたら食器棚の中で……。誰にも会えなくて寂しくなるし、もう二度と出れないんじゃないかと涙が出そうになるし、ほんとに散々だったんですよ!?」

「……アクア、キミがあんなにガラガラ回すから」

「まぁ、その、ドンマイドンマイ!」

「おぅ、その舐め腐った態度、私への宣戦布告ですね!? いいでしょう! 今日の的が決まりました!」

 めぐみんが杖を構える。目が真っ赤なあたり、割と冗談では済まないのかもしれない。

 ドラえもんが間に入って、めぐみんを宥めようと試みた。

「お、落ち着きなって、めぐみん」

 

「いいや! 今回ばかりはだめです! あのにっくき青髪を紅蓮の爆裂で――」

「あ、そうだ! めぐみん、飴あげる!」

「え、飴――あむ!?……ごくん」

 詠唱を始めようとしためぐみんの口の中へアクアが丸薬を放り込んだ。

「ふぅ、これでめぐみんの喧嘩っ早い性格が変わるでしょ。我ながら頭の良さに震えが止まらないわ」

「……あーあ、また飲ませて。ぼくは知らないぞ」

 ドラえもんが自分は御免だとばかりにめぐみんから距離を取る。

 めぐみんはしばらく俯いたままだったが、やがて顔を見てあげると、満面の笑みでドラえもんの方を向いた。

「……ふふ、えへへ。ドラえもん♪」

「うげ、こっちに来た!」

「よっしゃ! 今度は私じゃないわ!」

 めぐみんはドラえもんのもとまで駆けよると、ドラえもんの手を両手で握りしめた。

「ねぇドラえもん♪ めぐみん、歩きすぎて疲れちゃいましたぁ。おんぶしてください、おんぶおんぶ♪」

「うへぇ、うっとうしい。なんだこれ、今度はどう変わったんだ?」

「これはあれね、中二病からぶりっ子にチェンジしたのよ」

 

「あぁ、なるほど――あ、こら、乗っかるなって」

 

「ふふ、いいじゃないですかぁ♪ それとも、ドラえもんは私のこと、嫌いになっちゃいましたか……?」

 

「いや、それは」

 

「うるうる」

 

「……わかったわかった、嫌いじゃないから……」

 

「なんかこう……痛々しいのはいつものことなんだけど、女の敵みたいでイラッとくるわね」

「もう! アクアはなぁんでそんなこと言うんですかぁ。めぐみん、怒りましたよぉ! ぷんぷん! てへっ♪」

 こてん、と首をかしげて、めぐみんが小悪魔的な笑みを浮かべた。

「……ごめん。私のせいなのは分かってるんだけど、殴ってもいい?」

 アクアが額に青筋を浮かべながら、力強くこぶしを握りしめた。

「い、いやいや。ダメだって。あと10分は付き合ってあげなきゃ」

「だって、一人称が自分の名前なのよ!? 口で「てへっ♪」とか言ってるのよ!? もう鳥肌がヤバイわ!」

「アクアっ♪」

「なによ!」

「呼んだだけでぇす♪」

「……ぶっ殺す!!」

「きゃ、アクアが怒っちゃいましたぁ♪」

 アクアがついに拳を振り上げて「ゴッドブロー」と騒ぎ始めたので、慌ててドラえもんが取り押さえた。

「まぁまぁ、アクア。落ち着きなって」

「離して、ドラえもん! あれは人間じゃないわ! あれは悪魔、いや、悪魔よりおぞましい存在よ! ここは女神として、あのど腐れぶりっ子野郎を退治すべきなのよ!」

「ひぃ、なんだかアクアまで性格が変わってるような……」

――10分後

「……あれ? 私は今までなにを……?」

「ふぅ、ようやく元に戻った」

「ごめんね、めぐみん。いつも中二病とかイタイとか、同類に思われたくないとか思ってて。めぐみんって、実はそこまでイタくなかったのね。もっと痛々しいタイプがこの世に存在したわ。アレに比べたら、あの寒気がする名乗りも、今なら丁度いい清涼剤になりそうだわ」

「なんですか!? なんなんですか!? 私、いま喧嘩を売られてるんですか!? おう上等だ!ちょっと表に出てもらおうか!」

「ま、まあまあ……」

 




※ガールフレンドカタログメーカーについて。
 名前からして女性は使えない可能性が高いですが、原作に類似品(ボーイフレンドカタログメーカー?)が出てきていないため、この小説では女性も使える設定にしました。
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