無の心に愛は灯る   作:はすきるりん

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陸話

「かっかっかっ!とんだ化け物だなこりゃ!自分の刀でやりてえぐらいだ!」

 

「…ああ。俺たちが普段使う日輪刀とは形が違う木刀を使っていたとはいえ、まさか負けてしまうとは…とても人とは思えん」

 

「「「「「ハァ…ハァ…ハァ…」」」」」

現鬼殺隊最強の柱と言われる海柱の海原岸士と土柱の岩廉志門は片膝を地につけ、雨柱と炎柱以外の柱は肩で息をしながら倒れていた。そんな柱たちは自分たちを負かした相手を見ていた。

 

「…」

 

少しボロボロになりながらも、相変わらずの無表情で柱を見下ろしていたのはなしろだった。

雨柱と炎柱の勝負のあと、なしろの実力に気になった柱たちがさらになしろに試合を持ち込んだのだが、結果はご覧の通り柱たちの完敗だった。

 

「いや〜随分楽しませてもらった!…なぁ耀哉様、このガキの階級を最初っから柱にできねえか?」

 

『『『『は?(え?』』』』

 

海原岸士の発言に他の柱たちは驚愕の表情を浮かべた。だが柱のそのリアクションも仕方ないだろう、なぜなら本来鬼殺隊の階級は1番下の癸から始まり、任務で鬼をたくさん殺すことで段々と上がっていくのだ。

 

それなのにも関わらず海原はそれらの行程を飛ばして、なしろを最初っから柱に就任させろということだった。

 

「情けねえ話だが今のこいつに本気で殺り合っても傷はつけれど勝てはしねぇ。そんな実力のあるやつを柱にしねえでどうすんだよ。それにどーせすぐ柱になるんだったら今のうちに仕事とかも慣れていた方がいいだろーよ」

 

海原の考えに他の柱たちは納得していた。現に自分たちを負かした実力があるのならすぐにでも柱になれる条件など達成してしまうだろうと。

 

「まさかお前がそんな細かいことを考えているとは時の流れは恐ろしいものだ…俺もその案に賛成だ。だが…これだけははっきりさせなくてはならない、この子どもの呼吸はどうする?」

 

土柱の岩門の疑問にみんなも頭を悩ませていた。なしろは一応柱たちの呼吸は先ほどの戦闘で大体は扱えるようなっていたが、それもまだ少々なしろ自身の癖があったりした。それに同じ呼吸を使う者が柱にはなれないため、なしろを何柱にするか決めかねていた。

 

「僕は…」

 

「ん?」

 

すると今まで静かだったなしろが口を開いた。それに反応した槇寿朗はなしろに視線を移した。

 

「僕にはなにも“無い”。感情も痛みもなにもない、僕はただ鬼を殺すためだけに生きる。それが僕の生きる目的なんだ…僕は…“無”でしかない」

 

(なにも無い…無い…無…)

 

「…少年」

 

なしろの言葉に引っかかっていた槇寿郎はなしろの正面に移動し、真っ直ぐなしろを見た

 

「俺はずっと君に違和感を感じていた。君の刃は他人の呼吸を真似る時は多少殺気などが分かるが、君自身で刀を振るう時、俺はなにも感じなかった。いや感じれなかったと言う方が正しいだろう。君は自分には何も無いと言うが、俺はその“無”は君にしかないと思っている。最後に俺にやった技…あれはまさに君の技だった。なにも感じない無の流派、すなわち無の呼吸。

無柱というのはどうだろうか?」

 

「無…柱」

 

なしろは槇寿郎が考えた無柱と言うのを聞いて、一瞬だが無意識に瞳に光が宿った。

そしてその一瞬を耀哉は見逃していなかった

 

「《無柱》なしろ…どうやら気に入ったみたいだね。槇寿郎もよく思いついたねありがとう。…それじゃなしろ無柱として最初の任務はまず、鬼を滅しながら無の呼吸を完成させてほしい。お願いしてもいいかな?」

 

「…わかった」

 

「無柱かぁ!なかなか良いじゃねえか!おいなしろ!早く無の呼吸を完成させろよ!そして俺と殺り合おうぜ!」

 

「柱とはいえ新人なんだ。海原お前はもう少し気遣いというものを知った方が良い」

 

新しい柱《無柱》の誕生に海原は心底楽しそうに、岩廉はそんな海原を注意しながらも表情はどこか嬉しそうだった。

そして他の柱も先ほどの勝負を引きずるような事も

 

「チッ!ガキが調子に乗んなよ!?お前が自分の呼吸を完成させたらもう一回俺と殺れ!次は本気で叩き潰してやる」

 

「おいやめろ嵐野、その件はもう終わったんだからもう忘れろ。これからは協力する仲間なんだから」

 

「うるせー木更!お前から叩き潰してやろうか!?」

 

「暑苦しい…」

 

…一部を除いて引きずってなく、みんな新しい柱を受け入れていた。

 

「それじゃこれから10人、この顔ぶれでまた柱合会議が出来ることを願っているよ」

 

「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」

 

「…」

 

耀哉の言葉を最後に、今回の柱合会議は完全に終了した。

 

そしてこのあとわずか3日で無の呼吸が完成するとは誰も知らない。

 

 

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