無の心に愛は灯る   作:はすきるりん

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漆話

無の呼吸を完成させたなしろは、あれからすぐに正式な柱になった。

耀哉から屋敷をもらい、自分の隊服と日輪刀が来るまでの数日間待機するよう命じられた。

だがなしろは、鬼を斬ることが生きる目的となっているため、槇寿朗から刀を借りて一日中鬼を斬っては移動を不眠不休で行っていた。

 

そんな何かに取り憑かれた様に一心不乱に鬼を斬る生活をして数日後、他の鎹鴉よりも一際大きい鴉がなしろの肩に飛んできた。

 

「明日には屋敷に刀が届く。周囲にもう鬼はいない。帰るぞなしろ」

 

「…了解クロ」

 

なしろの鎹鴉の名前はクロと言い、他の鎹鴉よりも知性が高く、人の言葉を流暢に喋れる。

耀哉がなしろのために選んだ鎹鴉だ。

 

「なしろの足なら日が昇るまでには着くな。今日ぐらいは休め。耀哉からもそうさせる様頼まれている」

 

「…ん」

 

なしろは移動しながらも返事だけ返すと、さらに速度を上げ数日ぶりに屋敷へと帰っていった。

 

クロの言った通り日が昇るまで少し時間があるぐらいで屋敷に着くと、なしろは縁側でぼーっと空を眺めていた

役割を終えた人形の様に微塵も動くことなく上を向いていた。

その姿は他者から見たら、“幻想的で美しい絵画のようだ”と感じる人もいれば、ただただ子供が座りながらも生き絶えてる様な痛々しく感じる人と分かれるだろう

 

そんな状態から数時間が経つとクロが「来たぞ」となしろに声をかけた。

なしろも気付いていたらしく、玄関に向かうと丁度玄関がガラガラと開かれた。そこにいたのはひょっとこの面をつけた男だった。

 

「貴方が無柱のなしろさんですね?私は鉄鵞矢鋼豪(てつがやこうごう)と言います。今後貴方の刀を担当します。ちなみに歳は12と若いですが腕には自信がありますのでよろしくお願いします!」

 

鋼豪は元気よく頭を下げ挨拶した。

 

(…え?これいつまで頭下げてればいいんですか!?無柱様のことは向かう前に少しお話は聞きましたがこれはどうしたらいいんでしょうか!?)

 

鋼豪は自分が思ってた以上に無反応ななしろに、内心ではかなりパニックになっていた。そしてずっとしばらく頭を下げているとずっと動かなかったなしろが突然動き始めた。

 

(え〜!?ちょ、ちょっと無柱様!?どこ行くんですか!?私は!私はどうしたらいいんですか〜!?)

 

自分をほったらかしにして何処かへ行ってしまったことにさらにテンパる鋼豪。だがそんな鋼豪に声をかけるものがいた。

 

「もう顔を上げていい鋼豪。なしろは飲み物を取りに行ったよ。なしろは小さいがそれまでに色々あって人との接し方が分からないんだ。すまないが許してほしい」

 

「…あ、ああはい!いえ、大丈夫です!分かりました!私も無柱様がどんな人なのかもっと詳しく知ったけばよかっただけですので!」

 

それはなしろの鎹鴉のクロだった。クロの言葉に鋼豪は頭を下げペコペコしていた。

すると奥からなしろが水を持って来たので鋼豪は再度頭をペコペコし、ありがたく飲み物を飲み、落ち着きを取り戻した。

 

(改めて見ると無柱様って子供なのに凄い雰囲気が落ち着いてるなぁ。

雪のように白い綺麗な髪に人形のようなお顔…男って知らされても信じられないくらい美しいなぁ…)

 

鋼豪はなしろの姿を面越しにじっくり見るとその人離れした容姿に見惚れていた。

 

「…刀、いい?」

 

「あ!すいません!」

 

しばらくしてなしろに声をかけられ、まだ刀を渡して無かったと聞いた鋼豪は急いで自分で打った刀をなしろに渡した。

 

「こ、これが無柱様の日輪刀です!どうぞ抜いて見て下さい!日輪刀は別名《色変わりの刀》、私は初めて色が変わるところを見るので楽しみです!」

 

鋼豪は鼻息を荒らしながらさぁさぁ!と目で抜いてくれと訴えている。

今回なしろには二本の刀を持って来ている。なしろは二刀流とまでは行かないが、なしろが使う無の呼吸の型には刀を二本使用する型もあるため鋼豪に二本打ってもらったのだ。

 

なしろはまず一本目の刀をゆっくりと抜いた。刀身には柱の称号たる『悪鬼滅殺』の文字が刻まれている

完全に刀を抜くと徐々に刀身の色が変わった。

 

「黒い…真っ黒です!凄い綺麗な漆黒ですね!ということはもう一本も黒色ですね!どうぞ!美しく染めちゃって下さい!」

 

初めて刀身が染まるところを見たからか鋼豪はかなり興奮しながらなしろに刀を渡す。

鬼殺隊士の刀を造る鍛治氏はみな刀が絡むと人が変わるらしい。

なしろはもう一本の刀を取り刀を抜き色が変わった。

基本日輪刀は新しく刀を貰っても色がバラバラになることはない。つまり一本目でなしろの刀は漆黒に染まったので必然的に同じ漆黒になるのだが…

 

「し…白?それも何色にも汚されてない雪のように純白な色!二本で色が変わるなんて聞いたことないです!凄いですよ!しかもどちらもとっても美しい!無柱様にピッタリですよ!こうしちゃいられません!早く里の皆んなに行って来ます!どうか今後ともよろしくお願いします!それじゃ失礼します!」

 

鋼豪は刀が関わってからは嵐のごとく興奮すると颯爽と屋敷を出て行った。

一方でなしろは特に気にすることなく刀を収めると庭にある2mを超える大岩へと移動した。

 

漆黒の日輪刀を抜くと横に一振り、次に純白の刀を抜くと今度は縦に一振りした。

クロが岩をよく見るとスゥーと十字に線が入っているのがわかった。

そして縦に切れたことに岩のバランスが崩れ、四当分に岩が崩れ落ちた。

切れ味に満足したのかなしろは再び縁側で腰を下ろすと刀を抱えながらもまた空を眺めた。

なしろの横顔を見たクロは、(どうやらかなり気に入ったようだ)と自分の主は感情が無くともまだ子供なんだなと認識した。

 

そして太陽が真上に昇る頃なしろの隊服と白藍色の羽織りが届いた。

 

なしろはその日の任務に早速それらを着て行ったのだが、どこか前よりも楽しそうに任務を行なっていたように感じたと、なしろを見かけた隠たちが話していた。

 

 

 

 




オリキャラですね鉄鵞矢鋼豪くん!今後の物語でなしろの兄的な位置になっていけたらなと思います!

鋼豪くんは名前はゴツいですがひょっとこ面の裏は中性的な美形顔です!
歳は若いけど里の中でも腕は大人顔負けなので今回から柱の刀を任されました!

こんなキャラ達もいてやっていこうと思いますのでよろしくお願いします!
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