悲しませるのが嫌なので、防御力に極振りしたいと思います。   作:日名森青戸

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(・大・)<ここで【破壊王】発覚。

(・大・)<バトルの連続で疲れたんでこんな番外編を作りました。

(・大・)<でもやっと3章の終わりが見えてきました。



閑話:極振り防御と狂宴ゲーム。ぎょうてん。

 

決闘都市ギデオン 10番街【闘牛士(マタドール)】サリー・ホワイトリッジ

 

 

俗に貴族街と呼ばれるこの街は、私達のようなプレイヤーが無断で立ちいる事は許されない。

だけど、今回のような状況なら話は別。誰もいなくなった貴族街を、私は走っていた。

いや違う、追いかけられていた、だ。

 

「いたぞ!あのガキを追え!!」

 

私を追いかける50を超える寝返り組。少しでも足を止めれば彼らにリンチにされるだろう。

大通りから路地裏へ逃げると、正面には魔法職らしきプレイヤー数名が待ち構えていた。

 

「そっちに逃げたぞ!魔法で潰せ!」

 

「《ガスティエッジ》!」

 

「《ヒート・ジャベリン》!」

 

「《メーザーショット》!」

 

風の爪、炎の槍、レーザーが迫る。

多種多様な攻撃は一瞬で私を潰すだろう。

それでも私は、こんなところで死ぬつもりは無い。

レーザーを跳躍で回避して壁に足を付け、どっかの配管工宜しく壁の間を跳躍で渡って魔法を回避する。

 

「嘘だろぉ!?」

 

「2人とも、今!」

 

「「《投擲》!!」」

 

降り注いできたのは瓦礫の欠片。頭部やら顔面やらに直撃し、ぶっ倒れる。

当然その瓦礫を投げた主はユイちゃんとマイちゃん。馬鹿みたいに高いSTRから投げられる瓦礫は上級のベテランでもたまったものじゃないだろう。

大ダメージを受け、足並みが乱れた所へ――、

 

「今だ、かかれ!」

 

物陰に隠れていたプレイヤーや衛兵達が雪崩れ込む。

レベル差があろうとも、瓦解した陣形の中で集中攻撃を受ければタダじゃすまないだろう。ユイちゃんとマイちゃんも参加し、天上から飛び降りて、落下の直前に豪快に叩き潰していく様に、敵味方お構いなしに顔を青くしていた。

そりゃそうだよね。あんなので潰されたらひとたまりもない。私だったら一撃で死ねる。

暫くして戦闘はプレイヤー数人がデスペナルティになるも、結果的は勝利した。

 

「だいぶ数が少なくなりましたね」

 

「うん。最初に比べればモンスターもPKも減ってきている」

 

〈炎帝の国〉と〈集う聖剣〉。この2つのクランが率先してPKやモンスターの征伐に当たっているおかげか、ティアンの衛兵や騎士への被害も最小限に抑えられている。

そろそろ寝返り組の数も減ってきているし、このふざけたゲームの終わりも近いのだろう。

 

「お姉ちゃん、着ぐるみさんだよ!」

 

「本当?」

 

ふと見上げたユイちゃんに続き、マイちゃんも見上げる。

私も釣られて見上げると、そこには夜空に映し出された中継映像が、映写機のように映し出されている。場所はギデオンの西側にある〈シャンド草原〉という所だろう。

そこに対峙しているのは、原形をかろうじて留めているコートを着たレイさんと、クモの脚と立方体と竜の頭を繋ぎ合わせたような、醜悪で巨大な怪物に乗り込む白衣の男。そして半裸に頭を隠すように毛皮を着た男がレイさんの傍で、白衣の男に宣言している所だった。

あれ?着ぐるみさんは?

 

『あー、テステス。聞こえるか、フランクリン』

 

『……聞こえてるよぉ』

 

『応、そうか。ひとつ言いたい事を言ってやるよ』

 

『……何だい、それは?』

 

『今夜お前主催のゲームで、お前は最大のミスを犯した』

 

毛皮の男はそこで言葉を区切り、

 

『――それは、“弟”と“俺”を敵に回したことだ』

 

……弟?

確か、〈Infinite Dendrogram〉じゃレイさんは『レイ・スターリング』って名前で……

 

「……あれ?スターリング?」

 

待てよ。レイさん以外にその名前使ったのって確か……。

 

『だから宣言するぜ、フランクリン』

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前ご自慢のモンスターは――この【破壊王(キング・オブ・デストロイ)】がまとめて“破壊”してやる』

 

――そうそう、カフェのオープンテラスで会ったあの着ぐるみの人が……え?

 

「え?いや、ちょ?え、嘘?あれ?え、なんで?まさか?あれが?ほんとに?」

 

今、私の頭は情報過多でオーバーヒートを起こしているに違いない。

昨日会ったあの着ぐるみが、

レイさんのお兄さんで、

王国の〈超級〉で、

王国の討伐ランキングトップで、

“正体不明”の【破壊王】であると。

――情報が多すぎない?

 

「やっぱり聞くと見るとじゃ大違いなんだね」

 

「!?」

 

不意に呟いたマイちゃんの言葉に私はぐりん、と効果音が付きそうな勢いで首を振りぬいた。

それ、まるであの人の正体を知っていたみたいだよね?

 

「……知ってたの?」

 

「あ、はい。私達レイレイ師匠のお話から、着ぐるみさんが【破壊王】だって知ってました。あの姿も師匠から聞いて知ってましたし」

 

「あの常時着ぐるみのトンチキプレイヤーが王国討伐ランカートップだったの!?」

 

「サリーさん!そんなはっきりと大声でトンチキ呼ばわりしちゃかわいそうですよ!」

 

ユイちゃんに指摘された直後、マイちゃんから「ユイもはっきり言いすぎ」と嗜められた。

 

「と、とりあえず私は一度中央大闘技場に戻るから、後宜しく~……」

 

ここにいたんじゃ頭がパンクしちゃう。

中央大闘技場へと戻る道中、私は中継映像を見るに見られなかった。

そして今後、あの着ぐるみ相手にどう接していいのか悩んでいたのはきっと忘れられないだろう。

 

 




(・大・)<今回は短め。

(・大・)<そしてフランクリンのゲーム、

(・大・)<残り2戦。


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