悲しませるのが嫌なので、防御力に極振りしたいと思います。 作:日名森青戸
グランディオス覚醒から3分前。
決闘都市ギデオン4番街 【
「しかし、まさか大抵の者が私用でいないとはのぅ」
「フィガロさんはソロで、カナデも【Wiki編集部・アルター王国支部】と共に〈墓標迷宮〉へ。後は各々クエストや現実での野暮用。まさかこれほど用事が被るなんて思わなかったな」
今日は模擬戦をしようと思っていたのだが、生憎俺の知る限りのメンツは全滅。迅羽達も王都を離れられない用事があるらしく、ルークもマリーも同じく野暮用で今日は無理らしい。
『ここまで偶然が重なると、もう槍が降ってきてもおかしくないクマー』
「……兄貴はどうなんだよ?」
『こっちも野暮用クマ』
ついさっきばったり会った兄貴もこれである。
仕方ないから、俺は【聖騎士】のスキルを増やそうとクエストに向かう最中だ。レベルも上がれば何か1つくらいスキルは身に着くとは思うが……。
「む?――レイよ、どうやら恰好の相手が来たようだぞ?」
ネメシスが指した方向を見ながら俺に話しかけた。
俺もその方向へ見ると、赤い鎧に身を包んだ男――クロムがギルドのほうへ足を進めている所だった。
「レイじゃないか。シュウまでどうしたんだ?」
「クロム、今暇か?」
「今クエストを終わらせたところだ」
「じゃあ模擬戦に付き合ってくれるか?」
「えっ?」
俺の誘いに、クロムは言葉を詰まらせた。
あれ?何か変な事言ったか?
「……悪いな。俺、〈エンブリオ〉やジョブの関係で、闘技場だとここの衛兵よりちょっと強いティアン程度しかないんだ」
「そうなのか?」
『そこらの平原で、【ブローチ】が割れたら負けって方法もあるけど、どうするクマ?』
「それも勘弁。ストックや経費を無駄にしたくないからな」
「そっか……。残念」
「そういえば、私達はおぬしの〈エンブリオ〉を見たことが無いな。どういうものなのだ?」
「……確かにそうだな。まあ俺の場合、コスト面もあってそう易々と発動できるものじゃないし」
何をコストにしたらそんなに使うのを嫌がるんだ。
そんな折、兄貴が思い出したように口を開いた。いや、全身をすっぽり覆う着ぐるみが動いた訳じゃ無いが。
『――そういや噂でしか聞いた事が無いんだが。お前って《断頭台》から10回も生き残ったってのは本当か?』
「10回!?」
いやいや待て待て。それってつまり10回も生き残れたって事だろ?そんなの不可能じゃないのか?その断頭台っていう物騒な名前の奴の実力云々を差し引いても。
〈レ―ヴ果樹園〉で兄貴が渡してくれた【身代わり竜鱗】で4回は生き残った事は今でも覚えている。【救命のブローチ】はミリアに渡したから使っていなかったけど、アレを合わせても5回は生き残れる。けど後の5回はどうするんだ?【
でも……。
「そのストックと10回の生き残りが関係しているってのは理解できたよ」
「悪いな。勘付くのはともかく、正体を見るのはまた今度って事で」
クロムと分かれてギルドに向かおうとした時だった。
『おい、なんだあれ?』
と、兄貴が街道の奥を見やりながら声をかけた。
俺達もその場所を目を凝らして見てみると、派手な色合いのオウムが飛んでいた。
「何だアレ?」
「【デンゴンパロット】?カルディナに生息しているモンスターがなんでこんなところに?」
首を傾げるクロムを他所に、見慣れないモンスターが現れて通行人も足を止めて顔を上げる。
「【伝言再生】!【伝言再生】ー!『〈ノヴェスト峡谷〉に巨大〈UBM〉が出現。現在王都へ向けて進行中!高機動力の〈ジョブ〉か装備品、従属モンスターを所持している者は急ぎアルテア西部へ急行せよ』ー!!」
「〈ノヴェスト峡谷〉?」
『――ここから西にあったフィールドだ』
「おい待て。そこってメイプル達がグランディオスを探しに向かった場所じゃないのか?」
「え?マジで?」
『デンゴンバードはスキル重視型だ。【真偽判定】、【伝言記憶】、【伝言再生】のスキルで、現実で言う携帯の役割を持っている。おまけに、
クロムと兄貴の話で俺の顔からさっと血の気が引く。
もし、それが本当ならかなりヤバい。ギデオンの次は王都で、今度は〈UBM〉の襲来かよ。
他にもデンゴンパロットの能力を知っていた行商人や〈マスター〉の口から広がっていき、不安は瞬く間に3番街に広まっていく。
「レイよ」
「解ってる!シルバー!」
俺はすぐにシルバーを装備し、《風蹄》を使って空を行く。
『レイ!王都に着いたらそこの〈マスター〉やフィガ公にこのことを伝えてくれ!俺は援軍にこのことを伝えてくる!』
「わかった!」
兄貴の言葉を聞き受け、俺はシルバーと共に空を駆ける。眼下では今の連絡で〈マスター〉達が行き交い、ちょっとした騒ぎだ。
そして、上空に出て数分もしないうちに……その〈UBM〉を発見した。
「でけぇ……」
山が動いている。そうとしか言えない。
俺の眼下には巨大な亀の姿をした〈UBM〉が、〈ウェズ海道〉へ向けて地響きを鳴らしながら進んでいる。あれがクロムの言ったグランディオスだろうか。
その巨大さは、俺に一つの確信を伝えた。
――この〈UBM〉、今の俺じゃ絶対に勝てない。
「これだけデカいと、ガルドランダやゴゥズメイズが豆粒に感じるのぅ」
「確かにそうだな」
フランクリンのパンデモニウムや兄貴のバルドルも、コイツと比べたら子供のおもちゃ同然だ。
と、呆然と空を行くのはほどほどにして、早く王都に降りてフィガロさん達にこのことを知らせなければ。
早々に決めた俺は、シルバーを王都のに向けて走らせた。
†
グランディオス内部 【
「うわわわわわっ!?」
突然地面が動きだし、私は思わず尻もちを付いた。
「な、何が起きたのッ!?」
『外で親を動かしたんだよ。500年ぶりだから動きがぎこちないけど、1時間もあれば十分だよ』
「王都が消えるって……本気で言ってるの!?あそこにいるティアンが何人いると思って――」
『悪いけど、それは僕の知ったことじゃないよ。というか、もう止める権限は僕には無いし』
こともなげに、目の前の子亀は切り捨てる。既に朽ち果てたその言葉からは、もう外の世界がどうなっても良い。そんな壊れた思考回路は、私には理解できない。
更に反論しようとした私を、サリーが私の肩を叩いて止める。
「メイプル、言っても無駄よ」
「でもッ……!」
「それに、このまま放っておいたらティアンの犠牲だけじゃ済まないわ」
つまり、この間にも、外では今でもこの〈UBM〉が操るモンスターが王都に向かっている。
もたついてたら本当に王都が潰される。
それは……本当に最悪すぎる展開だ。
「――ねぇ、教えて。どうやったら止まるの?」
『やっとやる気になったんだね。もう一度説明するけど、四肢の――つまり4つの脚にある魔力核を破壊することだよ』
「それって、普通に砕いて大丈夫なの?順番や、一斉にって事は?」
サリーが念入りに尋ねる。確かこういうのって、4つ同時とか、順番に砕かないと罠が作動したり、再生しちゃうってパターンだよね?
『ううん。何にもない。普通に砕くだけでいいよ』
返答に黙りこむ。多分、【真偽判定】での判定を待っているのかもしれない。
そんなことを考えていた私に、ジュリが答えた。
「――亡骸に偽りは無し」
「それだけ聞けば十分だわ。別れてコアを砕きに行くわよ!」
「でも、距離とかどうするの?」
「大丈夫。この〈UBM〉が亀と同じ構造で、ここが心臓と仮定すれば、右足が一番近いはず。メイプルは右足をお願い。私は左足を、ジュリは後ろの2本をお願い」
「承諾せり!」
ジュリエットも翼を翻して奥の通路へと飛んでいった。
「俺らもぼやぼやしてる場合じゃねぇぞ。とっとと魔力核ってのを潰しに行くぞ」
ヒドラの呼びかけで、私も急いで、右前足に当たる場所へと走って行く。
サリーも私と反対側の通路へと駆け出し、私とヒドラが通路に入った時点でウィンドウが表示された。
【クエスト【《霊峰山亀グランディオス》討伐 難易度:七】を受け付けました】
【クエスト詳細はクエスト画面をご確認ください】
難易度七。私が<
失敗すれば、王都が潰される。レイさんやペインさん達のように、あそこに深い思い出は私には無い。けど、そんな理由で王都を、あそこに住むティアンを見捨てたら私もPK連中と同じになってしまう。それはもうあの大鎧に復讐する以前の話だ。
「絶対に潰させない!」
†
グランディオス内部・右前足内部 【
流石に脚部だけあって、常に地面が動いていて走り辛い。幸い一そこまで入り組んでないから迷うことは無いけど。
それに、リクガメ型なら四肢はひれじゃなくて、脚になっているから、かなり移動に手間取るかと思っていたけどそんなことはなかった。
私はSTRとAGIを脚力に集中させて、バッタ宜しく跳躍を繰り返して揺れの影響を極力受けないように、壁や天井を足場宜しく蹴って奥へと進んでいく。
(もし王都が滅んだ事が知られたら、戦争云々以前の問題よ!)
メイプルには伝えていないけど、このクエスト、失敗した時のリスクが想像以上に膨大だ。遊戯派の視点からすれば世界派よりもホイホイ思い当たる節が出てくる。
王都が滅ぼされた場合、まず起こるのは『〈マスター〉の他国流出』と『アルター王国のルーキー増加の打ち止め』。
王都、すなわちアルター王国の中心が潰された場合、ただでさえ死に掛けの王国は回復不可能な大打撃を受けてしまうし、復興までには年単位の時間を要する。オマケに王国の入り口が潰れてしまえば、〈マスター〉は他のスタート地点を選択し、既に所属している遊戯派の〈マスター〉の大半も他の国へと流れるだろう。それもそうだ。これから遊ぶって時に、スタート地点を態々廃墟に選ぶ人なんていない。
指導者が死のうが生き残ろうが、この結果は変わることはない。
もう一つはご存じの通り『ドライフの進撃』。
このことがドライフに伝わった場合、千載一遇のチャンスとして一気に攻め入るのは明白だ。復興中の国ほど潰すのに容易いものはない。
前の戦争のように膨大な報奨がまだ出せるのであれば、王国のシュウさんやフィガロさんが参戦することになっても、制圧できないわけじゃない。
他にも色々あるけど、総じて最悪の結果は、『地図上からアルター王国、もしくはアルテアが消滅する』ということ。
いつの間にか、私達3人の双肩には王国の未来が掛かっている。メイプルに下手にプレッシャーを感じさせないためにも、早々に行動へと舵を切ったのは正解だった。
「――あれか?」
通路の奥から光が差し込み、そこへ地面を転がって着地すると、私の目の前に巨大な球体が、柱の一部として組み込まれたまま、心臓のように一定のリズムを刻むかのように光が点滅している。
間違いない。これがグランディオスの言っていた魔力核だ。
「……どうか罠とかありませんように!」
レイピアを抜刀し、高く跳躍して魔力核へと鋭い突きを放つ。
が、直後に弾かれる。着地してレイピアを見ると、若干先端が欠けてしまっている。
なるほど。そういうこと。
「アホみたいに頑丈って訳」
最悪だ。
私の今のジョブ構成は堅い相手とは相性が悪い。
回避盾を目指すとか言っていたけど、よくよく考えたら攻撃面はあの時は考えていなかった。そのツケが今になって返ってきたということか。
「今度は職人に、頑丈な相手対策で良いのが無いか相談しとこ」
これからの事を考え、私は再び魔力核の攻撃を再開した。
†
同刻、右後足方面。
爆発と共に煙が部屋中を包む。
煙が晴れると、魔力核が砕かれ、上下に分かれた柱が姿を現し、柱にも灯されていた光が消える。
「まず一つ」
煙を切り抜け、ジュリエットが翼を翻してきた道を高速でUターンして左後足へと向かう。
「これだけ硬いと、他の2人は苦戦するかも」
ため息交じりに前足のそれぞれを担当した2人を案ずる。だが彼女も魔力核の破壊には時間を要した。理由は2つ。
まず第1に、魔力核そのものの強度。流石にこちらは長い年月で多少脆くなっていたが、それでも硬いことに変わりはない。ジュリエット愛用の剣も食い込むことなく弾き返されたくらいだ。
第2に、魔法耐性。《看破》で調べた結果、この魔力核には《呪術完全耐性》と《闇属性魔法完全耐性》が備わっており、ジュリエットの得意とする呪術と闇魔法が一切意味を成さなかった。必殺スキルで強引に、という手も考えたが流石に脱出も考えるとおいそれと使う訳には行かない。
そこで彼女がとった行動は、《風属性攻撃による破壊》。【黒翼飛翔フレーズヴェルグ】には超音速軌道を齎す他、闇属性と風属性の能力が備わっており、そのスキルを使って破壊に成功したのだ。
「ともかく時間も無いし、次の破壊に向かおう」
正直、助けに行きたいのは山々だ。しかし〈UBM〉の性質上、自分が下手に討伐に貢献してしまうと折角メイプルが見つけたチャンスをふいにしてしまう。
実力差がかけ離れた2人は〈UBM〉の討伐は不可能だと彼女も内心思っていた。が、メイプルの強い思いに気圧されたのと、自分の初の友達と言う衝撃で思わず断ることができずに同行してしまった。そのことを思い返すと改めて自分が馬鹿らしく思えてくる。
それでも――。
「MVPにはさせたいんだよね」
なれるかどうかわからないけど、それでも僅かに可能性があるならそれに賭けてみたい。
「その為にも、ほどほどの貢献をしないと。がんばれ私。これは難題だよ」
ある程度は貢献し、それでいて突出した活躍はしない。
彼女にとっては、自分以上のランカーに勝つ以上の難題に立ち向かっていた。
†
グランディオス内部・左前足内部。
「や、やっと着いた……」
メイプルとヒドラも、今やっと魔力核へと到着した。AGIは【盾士】のステータスも併せて150近い。
彼女も彼女なりに急いで来たのだが、何分ジュリエットやサリーと比べると俊敏性は圧倒的に遅い。
「で、どうする?」
「どうするって、この魔力核の事?」
「ああ。大体10メートルくらいはあるぞ」
メイプルとヒドラが揃って見上げる。
ジュリエットのような翼も無ければ、サリーのように身軽でも無い。ステータス補正がされているとはいえ、メイプルの身体能力はそれほど高くはない。
歴戦の〈マスター〉ならたった10メートル上の魔力核を潰すのは容易いだろう。
が、2人にはこの10メートルの高さが、天を貫かんばかりに聳え立つ尖塔にすら錯覚してしまいそうだ。
「天井と床に通じている部分を壊して倒してから壊すのはどうだ?」
「余計に時間がかかっちゃうよ!」
「駄目かー……」
「助けが来るまで待つ……いや、これも無理だな」
「【ジェム】は……持ってないや。ちょっとはダメージを与えられそうだと思ったのに……」
頭をひねっても中々いい考えが浮かばない。ウィンドウを開いてステータスを確認しても、俊敏性が増える筈がない。
筈が無いのだが……。
「……あ」
何か思いついた。
「どうした?」
「ねぇ、《カバーダッシュ》って上にも対応できるかな?」
「上?上って、頭上とかそういう意味か?」
突然発言したメイプルに思わず目を丸くするヒドラ。
「そう。それでダッシュしながら攻撃を当てれば、ダメージは入るんじゃないかな?」
要するに、彼女は《カバーダッシュ》の移動による勢いを、攻撃へと転換させられるかと言っているのだ。
普通の〈マスター〉、もといプレイヤーならば……おそらくティアンでもそんな方法に考えには至らないだろう。
それこそシュウのように手段を択ばずに可能性を掴むような人物でもなければ。
「つったって、あの2人が来るのを待つことに変わりないんじゃ……?」
「何言ってるの。目の前にいるじゃない」
「……あー」
よくよく考えれば、以前【マッドスワンプ・ゴーレム】を人形態と武器形態と切り変えるという戦術で下していた。
こういった他者からは思いもしない視点での閃きや思い付きに至るというのは、メイプルの隠れた強みなのかもしれない。
「試す価値はありそうだな。予備は?」
「ばっちり」
先のテロで、ヒドラが破壊されてしまった場合を想定しての予備武器をどや顔で見せつける。
双方既に準備は整っていた。すかさずヒドラを現パーティに加えると、直後に彼はメイプルと魔力核を結ぶ前方斜め上の壁の出っ張りを掴む。
緊張を紛らわすために2、3度深呼吸を繰り返し、予備の大盾を構え――。
「――《カバーダッシュ》!」
STR任せの脚力による跳躍。護衛対象たるヒドラへと突進していく。ウィンチでワイヤーを巻き取るかの如く、まっすぐヒドラに――ヒドラとメイプルの間にある魔力核に激突する。直後に跳ね返され、地面に身体を打ち付けた。
「大丈夫か?」
「平気!けど、流石に攻撃力が足りなすぎるかも……」
「だったら、《ストロングホールド・プレッシャー》も加えたらどうだ?跳躍した勢いとそのスキルの攻撃力を加えれば、亀裂くらいは入るかもしれねぇ」
「あ、そっか!」
威力が無いなら上乗せすればいい。
思いついたメイプルは、今度は跳躍地点から数メートルほど離れ、そして駆け出す。跳躍はスキルによるものなので余り意味は無いもの。いわゆる気持ちばかりの助走だ。
あらんばかりの
「《ストロングホールド・プレッシャー》」
大盾で殴りつけた。
高い防御力を攻撃力として扱い、魔力核目掛け叩きつける。
先程の《カバーダッシュ》のみの攻撃モドキと違い、わずかながらに魔力核に亀裂が走る。
「よっし!」
再び落下して、今度はどしっと着地する。ポーションを取り出して、SPやHPを回復すると、確信を得る。
「これならいけるよ!」
「なら急ぐぞ!時間がねぇ!」
壁にしがみつきながら、ヒドラが叫ぶ。
急ぎ魔力核の破壊に、尽力を尽くしに行く。
†
『……』
グランディオス・コアは同じ場所で佇みながら、外の世界を眺めていた。
メイプル達が去った後と変わったことと言えば、円周に沿ったウィンドウがグランディオス・コアの周囲を囲むように何枚も表示されている。まるでSFアニメか何かを思わせる。
(今の所、王都までの距離は30キロメテル。あれを使う距離としては十分。コア損傷率……後部右脚部、及び後部左脚部100%。前部左脚部78%。前部右脚部52%。なるほど、1か所苦戦してる所があるけどなかなかやるね)
だが、無情にも時は止まることなく時針を進め、残り時間は3分を切っていた。
(寝すぎたかなぁ……?)
正直、彼にとってはどうでもいい事だった。別に、【
親竜と共に静かに暮らしていたのに、どこからか現れた【大死霊】の手によって彼にとっての日常は引き裂かれ、親ともども生きたままアンデッドへと変えられた。
もう日常へ戻ることはないと理解してしまった彼は、既に気力は枯れ果てていた。
――故に、何もかもを破壊しようと思い至った。命令ではなく、自分の意志で。
(外で〈マスター〉が攻撃しているみたいだけど、無駄だよ)
外部からの攻撃で、グランディオスの進行は若干ながらも遅延に成功している。
が、それはグランディオス・コアにとっては些細な事だった。もう既に王都の殆どが範囲に入っているのだから。
『残念だけど時間切れ。潰させてもらうよ』
魔力核の損壊率は左前脚は90%に迫っている。
だが、そんなことはもう関係ない。これから王都は滅ぶのだから。
『《
その一撃が、振り下ろされようとした。
(・大・)<難易度が思ったより低いのは、突入前に会ったジョージが連絡を行った事により、大多数レイドになってしまったから。
【デンゴンパロット】
カルディナに生息する極彩色のインコ型モンスター。
スキル型で、ステータスもほぼSPに全振りしている為、戦闘能力は皆無。
【飛行】持ちで長距離飛行に長ける他、鳥類の中では高い知性を持っていて、【真偽判定】、【伝言記録】、【伝言再生】によってカルディナに住むティアンの通信機替わりとなっている。
デンゴンパロット自身も人間との共存が長く生きられると理解している。エサ代も割と安価。《隠蔽》系のスキルが無いと狙われやすいのが欠点。
(・大・)<いわゆる廉価版【ブロードキャストアイ】。
(・大・)<飼育されているのでカルディナのバザールでもよく見かけるモンスター。
(・大・)<ただし主な生息地がカルディナ&有用性の高さからかなりお高い。
( ・大・)<他国でもそれなりにするのに、カルディナだぞ?