荒野を駆ける灰色の流れ星   作:駄目人間A

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3話目になります


荒野に立つ

──朝。

 

 荒野に輸送船が墜落して夜が明けた。二度目の命の危機で意識が飛ぶという事は運良くならなかった。ヒビ割れたブリッジの窓から朝日が登るのを確認すれば、ガンッ!と、ひん曲がったハッチを力一杯蹴飛ばして壊して外に出る。

 

 

「朝まで動かなくて正解だったかな」

 

 

 疲れが少し取れた、と背筋を伸ばし体の具合を見る。

所々擦り傷火傷が有るが大事ににはなっていなかった。

 

 空が明るくなるまでは、自身の体を休める時間に充てた。

本当ならば、墜落直後に火災や爆発を避ける為に速やかに船外から脱出し安全確保するのが一番だ。

が、それは知ってる星での話で、全く知らない惑星にいきなり外に出るのは余りに危険過ぎる。

外に獰猛なクリーチャーが居ないか。

何より、人が呼吸出来る大気なのか。

もっとも、今日の朝の時点で船体上部が抜けて夜空が見えた時点で、大気の心配はしてはいなかったが。

夜で、暗く視界が狭まる状況では自分の身に何が起こるか未知数だ。サバイバルを強いられる状況に陥った時は明るい内に行動するのが基本だ。

 

 

 夜に行動出来るか分からない。なら、船内を一通り周り火災が起きて無いか、剥き出しになった配線がショートした火花が可燃物に燃え移らないかどうかを確認する。必要なら可能な限り消化と対処。そして安全を確保する。身の周りから出来る事をやった方が得策だったのだ。

因みに、夜の内に救難信号を出して見たが、案の定反応が返ってくることはなかった。

外から船体の損傷状況を確認する。

 

 

「よく生き残れなぁ…」

 

 

 素直な感想が漏れる。

ガロフリー輸送船は見るも無残な姿に成り果てていた。

周りを見れば部品が墜落の衝撃で辺りに散らばっていた。

レーザーの着弾跡が無数に有り、墜落で中央から亀裂が入り船体は折れて内部が見れる状態だ。

はっきり言って、酷いの一つに尽きた。何故生きているのかが疑問に思えるレベルであった。

この状態から見て分かっては居たが、修復して再び宇宙に戻るのは無理だ。何より、ハイパードライブで座標未入力なのだから今自分が何処の星に居るか、検討がつかなかった。

 

悲惨な船体を眺め、ため息をつく。

 

 暫くそこに座り込んだが、このままでいてもしょうがない。動いて出来る事から始める事にした

 

───────

 

─────

 

───

 

「そう上手くはいかないかぁ…。」

 

 

──動き始めて数時間。

 

 墜落した船内で大事な物を探す。輸送任務で動いていた輸送船だ。食料か水、何かしら在るだろうと考え、真っ先に瓦礫をひっくり返し、調べ尽くした。が、どれだけ物をひっくり返しても見つからなかった…。

水と食料は生きてる者の生命線だ。腹が減ってはなんとやら、探してる間も何度も腹が鳴った。

しかし残念ながら、水と食料は大気圏に突入した時に船体からコンテナが外れ燃え尽きたか、墜落した時に船体部品と一緒に何処かに飛んで行ってしまったらしい。

はぁ、と広大な荒野で何度目かのため息。

だが、瓦礫をひっくり返して何も見つからなかったという訳ではなかった。腹は減ったが、悪いことだけじゃなかった。

 

 

「こんなもんかな?」

 

 

 これは!と思う物を船外に引っ張り出し、ふぅ、と一息つき腰に手をやって使えそうな物を眺める。

 

そこに有る物は以下の通りだ。

 

・パイロットスーツ一着

 

・マクロバイノキュラー

 

・ブラスターピストル一丁。カートリッジ含めて残弾100発分

 

・ホログラムスキャナ

 

・手動工具一式

 

 パイロットスーツは反乱軍パイロットが着ている、オレンジ色の宇宙服のようなデザインの物だ。恐らく輸送先のパイロットに届ける筈だったものだろう。丁寧にバイザーのついたパイロットヘルメットもセットだった。

 

 マクロバイノキュラーは高度計、距離計が付いたレンジファインダーだ。反乱同盟や帝国軍はほぼ全員が持っていて、とにかくタフで過酷な環境でも動く。耐久性は折り紙付き。正に今それが証明されている。

 

 ブラスターピストルは、ハン・ソロ将軍が持っていたDL-44ヘヴィ・ブラスターピストルと同型の様だ。これは何も付いてないモデルだが信頼性は高い。100発と弾もそこそこ有る。何があるか分からないこの状況でこの一丁は有難い。

 

 ホログラムスキャナーは監視カメラの様な機能を持った機械だ。何処かに夜営した時等の自衛用に使えそうだ。

 

 手動工具一式はスピーダー等のメンテナンス用の工具だ。電動工具やトーチは無いがそれを求めるのは贅沢だろう。

 

 今すぐ使えるのはこれだけだ。

他にも色々と見えたが損傷が激しく今どうにか出来る状態ではなかった。何より物を動かしたり輸送船内にあった物をどうにかするには、重機や電動カッター、バーナー等が必要で電源は取れる状態ではなかった。

 

 そしてその探し物の中で唯一無傷で残っていた極めつけが──

 

 

「これだな…」

 

 

 激しい破損で外から内部が剥き出しの船内の中に再び入る。そこから見える、運良く損傷から逃れた巨大コンテナの鉄扉を開くと、楔型のシルエットが現れる。

 

インコム社製T-47エアスピーダーだ。

 

 これは一番の宝かも知れない。

反乱同盟軍時代から出たスターファイター群の次に使われてるであろう機体だ。

これがあれば広範囲の探索も素早く出来る筈だ。

改めて見ると武装は変わって無かったが他の所で変更点が見られる。エンジンルームを開くとリパルサーエンジンが載せ替えられていた事だ。

T-47は本来、175mの低高度で高速移動する機体だがエンジンが純正ではなく、同インコム社T-16スカイホッパーのリパルサーエンジンDCJ-45に変わっていた。

この改造を見ると輸送した後に運用する惑星の地形の起伏が激しく、機体の高度アップの改造を強いられたのだろう。

形が違うエンジンなのに、スピーダー自体のシルエットは変わっておらず、綺麗に良く纏まっていた。どんな手を使ったのだろう、メカニックはさぞ苦労したことだろう。自身も人手が足りない時はメカニックをさせられていた。気持ちは良く分かる。

ただ、高度面で高出力になったがイオンアフターバーナーエンジンとの併用で、排気熱が残り易くなっていた。更に、このスピーダーは惑星ホスでの運用後そのままT-16のリパルサーエンジンを積んだ様で、寒冷地カスタムの放熱を溜め込み機器を凍らせない機能は残ったままだ。この構造ではすぐにオーバーヒートしてしまうだろう。

高度を上げたのと引き換えに速度を犠牲にした改造、という所だろうか。

動かしてないから分からないが、高度はオーバーヒートを避けて運用すれば成層圏一歩手前迄行けるかもしれない。速度は、本来の速度時速1100kmから時速750Kmに下がったと言った位か?

 

 何にせよ、足があるというのは大きい。少し機体のチェックをすると、レーダーは調子が悪いみたいだが、高度計等の計器パネルは生きていた。もうしばらくチェックすれば直ぐに飛ばせる状態にはなっていた。

 

 機体サイドに前方に向かって伸びているAP/11デュアル・レーザーキャノンは問題なく動きそうだ。エネルギー残量が少し心許ないが、無いよりは全然良い。後方銃座のハープーンガンも無事に動くのが確認できた。

各所の細部に異常が無い事を確認すれば、表に出した使えそうな物を後部銃座に押し込んで乗り込む。

 

 パネルと各ボタンを操作すれば、リパルサーエンジン起動する。エンジンから発せられる反重力物質が放出されて機体は、ゆっくりと持ち上がりフワッと浮く。

 

 

「今回はリパルサーエンジンだけの起動で良いかな」

 

 

 機体は前に前進。荒野に降り注ぐ太陽が楔型のシルエットを照らすと、静かに輸送船から荒野を滑る様に駆けて行った。

 

 




動きそうな機体が見つかりました、と言う回でした。機体は都合良く弄りました。そうでもしないとどうにか出来ないので…(汗)
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