ゴリラじゃないからっ!   作:もぐら王国

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夢野雫とコラボだ! [5]

廊下を歩いていた時雨リオと夢野雫は、ひときわ大きな扉を見つけた。

それは他の扉と比べても明らかに大きく門のような形をしていて、右半分と左半分それぞれに分かれた扉がその合わさる狭間の線を中心にして左右に開く観音開きの構造である。

また金属の細い棒がかんぬきとして扉の中心を横に通されていて、門が開かないように蓋をしている。

ここまで大きくて厳重な扉だ。

中には相当に大切なもの、つまり手記が隠されているに違いないとリオは考えた。

そこでリオはかんぬきを外して、雫と二人で重い扉を開いた。

動物のフンのような強烈な異臭が部屋から漏れだす。

早速2人は部屋に入ったが、真っ暗で何があるのかまるで分からなかった。

リオは何かないかと思い、両腕を左右に開いてみた。

 

\カンッ/

 

左手の爪が何かに触れて、短く甲高い音を部屋に響かせた。

リオがその物体を掴んで確かめると、丸くて細い金属であり、似たようなものが部屋の端から端まで等間隔で地面から天井まで突き刺さっていた。

つまりそれは金属の檻であった。

なぜ檻があるのか。

リオは思考していたがその正体は直ぐに明らかになる。

 

「ぶもおおおおおおおっっっっ」

 

檻の向こうから突然に響く耳をつんざくような鳴き声。

タイミングよく部屋に明かりが灯る。

大きな角、荒い息、割れた蹄。

果たしてそこにいたのは・・・とても大きな牛であった。

 

リオは驚愕に目を見開いた。

目の前に牛がいたのである。

目をこする。

目の前に牛がいるのである。

↑はしご・・・

 

「雫さん、檻の向こうに牛っぽいもの見えます?」

「はい とっても牛っぽいですね」

「うしうししてます?」

「うしまくりです」

「そうですか・・・」

 

会話バグってて草

牛さん可愛いいいい

病院だから牛もいるよね(白目)

こええ

 

リオは念のため雫に尋ねたが、やはり見間違いでは無かった。

 

ここって動物病院だったんだね・・・(遠い目)

 

この部屋は全て石畳で作られた部屋だった。

光源は壁につるされた蝋燭である。

リオが改めて牛を観察してみれば、身長は背の高い雫よりもさらに高く、全長は大人2人が両腕を横に開いたぐらいあり、角はまるで突き刺さる意思を持つかのように、三日月よりも少し浅い弧を描いて前方に鋭く伸びていた。

牛はリオ達を見て興奮したのか、檻の中で暴れている。

しかし牛の動きは制限されていた。

鼻先に取り付けられた金属の鎖が、檻の外側にまで伸びていて、壁から出ている突起に引っ掛けられているのである。

そのため牛が顔を動かすたびにその鎖が引っ張って動きが止まり、揺れた鎖が金属の檻とぶつかってじゃらじゃら音を立てていた。

リオはそんな牛を可哀想に思った。

どちらにせよ檻があるので外に出てくることは出来ない。

せめて鎖だけでも解いてあげたい気持ちになった。

 

「雫さん、この鎖外してあげてもいいですか?」

「外しましょう!」

 

雫にも許可をもらったところで、リオは壁の突起から鎖を外した。

これにより牛の動きはかなり自由になる。

牛は嬉しそうに頭をぶるぶる振っていた。(激寒ギャグ)

リオはその様子を見て満足な笑みを浮かべると、部屋の出口へと足を向ける。

この部屋には手記はなかった。

次はどこを探索するか、と後ろを向いて雫としゃべりながら出口へ歩いていると、リオの正面から唐突に大きな音がした。

リオが驚いて前を向けば、先ほどまで開いていた門の扉が閉まっていた。

少し焦った気持ちを胸に、リオは扉を押した。

開かなかった。

 

「え?なんで?」

「なんでですかね?」

 

リオは困惑した。

雫も不思議そうにしていた。

これでは外に出ることが出来ない。

 

\ガンッ/

 

リオが頭を悩ませていると、檻の方から甲高い金属音が聞こえた。

反射的に視線を向ければ、牛が檻の近くで荒い息をついていた。

リオが牛を見つめていると牛が壁のギリギリ後ろまで下がった。

前脚で足元の地面をこすりあげながら頭を低くして檻を睨み狙いを定める。

そして一気に檻に向かって突進した。

 

\ガンッ/

 

金属音が辺りに響いた。

音の正体は、牛が檻に体当たりする音だったのだ。

すさまじい衝撃を耐えきったように見せた金属の檻だがしかし、衝突の起こった部分の棒は形を少し歪ませている。

突進はリオが鎖を外したことで身体が自由になり、出来るようになった行動の一つである。

牛は荒い息をついた後、再び後ろの壁際まで身体を下げる。そうして狙いを定めるとまた突進する。

下がる。突進する。下がる。突進する。下がる・・・

牛は何度も何度もその動作を繰り返す。

それにより檻はだんだんと変形をしていた。

もはや檻が壊れるのは時間の問題である。

リオは顔を引きつらせた。

リオには外に出た牛がその角を使って自分たちを貫いている未来が容易に想像できた。

そしてリオが描いたその未来こそがこの状況の本質とも言えた。

つまりこれは負けイベントである。

リオ達がこの部屋に足を踏み入れて、その鎖を解いた事がトリガーとなりこのイベントは起こってしまった。

もうすぐ二人は死ぬ。

 

\ガキンッッ/

 

檻が衝撃に耐えられなくなり折れた。

檻には大きな穴が出来ている。

牛は地面をゆっくりと踏みしめながら、その穴を通ってとうとう外へと出てきてしまった。

 

「ぶもおおおおおっっっっ」

 

牛が雄たけびを上げた。

空気を揺らす勝利の雄たけびだった。

二人は身体を固くする。

二人は狭い部屋の中でもそれぞればらばらに四角の隅に寄って、牛との距離をとっていた。

牛は鼻息を荒くしながら視界の左右にいる二人の姿を、品定めするように首を振って見比べた。

選ばれたのはリオだった。

牛は頭を下げてリオに狙いを定める。

 

「まじか・・・・」

「リオさん・・・」

 

リオは力のない声でつぶやき、雫は心配そうに声を漏らす。

牛は一瞬の静止をした。

そして、、一気に突進した。

 

「無理無理無理無理無理無理ぃっっ!!」

 

死ぬう!!

怖い怖い怖い怖い

ひいいいいい

あばばばばばばb

くぁwせdrftgyふじこlp

 

 

リオは牛の迫りくる恐怖に耐えかねてぎゅっと目をつぶった。

想像したのは角が身体を貫く感触である。

 

\ガキンッ/

 

硬いものがぶつかり合う音と、背中越しに壁の揺れが伝わってきた

しかし予期した衝撃は襲ってきてはいない。

リオが恐る恐る目を開けると、すぐ目の前に牛の顔があり、牛の鋭い瞳と目が合った。

どうやら角は顔を挟むように、部屋の隅のL字の壁にそれぞれ突き刺さっているようだった。

 

「こ・・・こんにちわ・・・」

 

リオが下手くそな笑みを浮かべながら言った。

 

「ぶもおっっ!ぶもおおおおおおおおっっっ!!」

「ああああごめんごめんごめんなんか知らんけどごめんんんん」

 

牛はリオの顔に唾を飛ばしながら何かを必死に言っていた。

 

多分怒ってるんだろうなこれ どうすんだこれ

 

たまたま助かっただけで、自分がやられる未来が待っていることに変わりはない

 

「リオさん!その牛は”草ちょーだいいいいっっ 草が欲しいいいのおおおおっっっ”と言っています!!」

「・・・は?」

「ぶもおおおおおおおっっっ!!!」

「”草をくれなきゃ殺しちゃうよおおおおおお!!”だそうです」

「・・・は?」

 

いつの間にかリオの側にまで来ていた雫は、牛の顔の隣に自らの顔を寄せて牛語(ゾンビ語)の翻訳をしていた。

リオは雫の言っている事、というか牛の言っていることを理解するのに時間がかかった。

 

”草が欲しい”だ? つまりこの牛はお腹が減ってるだけって? え・・・まじ?

 

リオには圧倒的な恐怖の象徴だった牛が、途端に可愛い何かに見えた。

 

お腹ペコペコ丸で激おこプンプン丸とか子供じゃん もぅマヂ無理。。ペットにしょ。。

 

とかも思った。

 

「よーしよしよし よーしよしよし 草だな草が欲しいんだな」

「ぶもおっっ」

「”ほしいいいいっっ”」

「連れてってあげよう 草の場所まで」

「ぶもおおおおおお」

「”うれしいいいいい”」

 

リオゴロウ先生!?

牛も従える女

すごすぎて草

牛可愛いいいいいいい

 

牛は壁から角を外し、嬉しそうに鳴き声を上げている。

雫のゾンビ語翻訳とリオのムツゴロウパワーによって強引に負けイベントは回避されてしまった。

牛 が 仲 間 に な っ た !

 

扉で閉じ込められて出られない問題は、牛が突進して扉をぶっ壊すことであっさり解決した。

牛にとっては扉を壊すことなど朝飯前である。

リオはこの牛を外まで連れて行ってあげることにした。

庭に生えているたくさんの草を食べれば、きっと満足することだろう。

廊下を歩くときは手前をリオと雫が横並びに歩き、その後ろを牛がついていく形を組むことになった。

さて実際に廊下を歩き始めれば、この牛の迫力はすさまじいものがあった。

この牛はとにかく体がでかいので、廊下の横幅はギリギリだし天井もスレスレである。

傍から見れば動く黒い壁である。

そんな状態のため、道中ゾンビが現れても牛を見て一瞬身体の動きを止めた後に、二人を襲わずにどこかへ立ち去っていってしまう。

まるで大名行列である。

筋肉だるまは分からないが、それ以外なら敵なしに思われた。

二人と一匹は道の途中、あのテレビの砂嵐上演会の部屋を訪れた。

牛は砂嵐を鑑賞しているゾンビ達を見ると、ぶもおっ!(おやつっ!)と言って、そいつらを一匹残らず食べてしまった。

というかでかい角にゾンビを何人か串刺しにして焼き鳥みたいにすんのやめてほしい。グロイ。

 

「私、小さい頃は牛が友達だったんですよ」

 

雫は退屈しのぎにとリオに喋りかけた。

 

「さすがモンゴル出身ですね」

「たくさん牛乳を飲めば大きくなれるって言われたんです」

「はい」

「だからたくさん飲んだんです」

「はい」

「そうしたらここまで健康に育つことが出来たんですよ」

「はい」

「だから牛乳はおすすめですよ!」

「はい」

 

リオは話を聞いている間、視線はずっと雫の胸にあった。

胸がしゃべっていた。

豊かな胸がさっきまで”だから牛乳はおすすめですよ!”とか言ってた。確実に。

これが羨望の気持ちの成れの果てである。

 

牛乳か・・・ 酒で割ったら美味しいかな・・・?

 

リオは牛乳を飲むことを決意した。

 

リオ達は何のトラブルもなく、病院の玄関前に到着した。

 

「牛、あそこから外に出ればたくさん草が食えるぞ」

「ぶもおおおっっ!」

「”やったあっっ!”と言っています」

「可愛いやつだなお前は~」

 

リオは牛の角を撫でた。

出会ってからそんなに時間は立っていないが、既に愛着がわいていた。

特にでかい体つきのくせに瞳がつぶらなところがかわいい。

しかし別れの時は来る。

リオ達は牛に別れを告げた。

 

「達者でな~」

「さようなら~」

「ぶもおおおおおお」

 

牛は玄関に向かって突進をかまし、見事に扉を壊していった。

 

牛を見送った後、二人はまだ捜索していなかった二階へと向かった。

残りの手記はあと数枚で、二人の捜索にも気合が入っていた。

次に二人が怪しいと睨んだのは書庫である。

そこはたくさんの本棚があり、それらが壁となってくねくねとした道を形成している。

本棚には大量の医学書がつめられていた。

二人はそこに手記が挟まっていないかを見て回ることにした。

 

「なかなか見つからないっすね」

「そうですね でもありそうな気がします!」

「出てこい手記~」

 

リオは本に呼びかけながら手記を探す。

本と本の隙間など、指を入れて隙間を開いたりしてくまなく見ていくがなかなか手記は出てこない。

足元にもたくさんの本が散らばっていて歩きにくい床だった。

リオはとにかく時間をかけて、本棚を見ていった。

 

「あ、あれ見てください!」

「ん?」

 

リオが”解体新書 復刻版”を手に取って読んでいると、雫が唐突に呼びかけた。

リオはページを閉じて本を戻すと、雫の指し示す方向を見た。

そこには首を吊っているゾンビがいた。

 

「うわあ・・・」

「ミノムシみたいですね」

「ミノムシ・・・」

 

雫の言う”ミノムシ”は、背後にある窓からの月光を受けて淡い輝きを放ちながら、地面に暗い影を落としていた。

またその周りにはたくさんのハエが飛んでいて、ぶんぶんと耳障りな羽音を立てている。

リオは首吊りゾンビが動かないことを見ると、ゆっくりと近づいた。

 

「動かないなら全然怖くねえな~ おいっ」

 

雫がじっと見守る中、リオは今までゾンビに驚かされた恨みを晴らすようにそのゾンビの肩を叩いた。

 

「がおおおおおおお」

「うわあああああ」

 

ゾンビ生きてた。

ゾンビは肩を叩かれた瞬間にだらんと下がっていた両腕を上げて、リオを襲おうとした。

リオは予想外のことに驚き悲鳴を上げながら出口に向かって一目散に走る。

途中で足元の本に躓いて何度かこけながら、泣きそうな顔で出口まで走った。

首吊りゾンビだから追ってこれないとかパニクった頭には関係ないのである。

雫はゾンビの胸元をちらりと見た後、リオの後を追った。

 

「リオさん、大丈夫ですか」

「大丈夫じゃないです 怖かったです」

 

リオは息を荒く吐きながら言う。

その頭にはどうやったのか、開いた本が帽子のように被さっていた。

 

「リオさん頭が本に食べられてますよ」

「オシャレでしょ」

「オシャレです」

 

オシャレである(前衛的ファッション)

 

「そういえばさっきのゾンビの胸ポケットに手記がありました」

「ほんとですか・・・?」

「ほんとです」

「それじゃあ、雫さん ここはどうかお願いします!」

「公平にちょっとしたゲームで決めましょう」

「ええ・・・」

 

リオは雫に懇願したが雫は笑顔でそれを流した。

 

「今からお互いに質問をし合って、先に語尾のNGワードを言ってしまったら負けです 例えば”ぐ”なら”好きなスポーツなんですか”と聞かれて”カーリング”と答えたら負けです」

「それ、おもしろそうですね」

 

リオは雫の提案したゲームに乗ることにした。

 

「特別にリオさんがNGワードを選んでください その方が有利です」

「じゃあ”ら”で」

「分かりました それでは私から質問しますね」

「はい」

「好きな動物なんですか?」

「ゴリラです!」

「頑張ってくださいね!」

「ぐにいいいいいいいいいいい」

 

wwww

瞬殺で草

ざっこwwww

ゴリラです(迫真)

くそ雑魚リオちゃん

 

リオは反射的に答えてしまった。

それによりリオの負けが確定した。

悔しさで崩れ落ちるリオを雫はニコニコと眺めていた。

 

「ミノムシだ・・・」

「ミノムシですね・・・」

 

二人は本棚から並んでひょっこりと顔を出して、目標を確認した。

窓から差し込む月の光に照らされて少し幻想的な雰囲気である。

 

 

「いってきます」

 

そう言い残し、リオは首吊りゾンビの元へ向かった。

正面に見える首吊りゾンビは瞳を閉じていて、まだリオには気づいていない。

リオは慎重に近づいて、こっそりと胸ポケットにある手記を抜き取ろうという作戦である。

とうとう手の届く位置まで来た。

リオはゆっくりと手を伸ばし、そしてあっさりと手記を抜き取った。

ゾンビは未だ気付いていない。

 

なんだ、余裕じゃん

 

リオは気持ちを緩めた。

その時、窓が割れる音が辺りに響いた。

音の方向、首吊りゾンビの後ろにある窓を見ればゾンビが、ガラスを散らしながら部屋の中へと入ってくるところだった。

ゾンビは眼鏡をかけていて、細身で、あばらの骨が浮き出ていた。

眼鏡ゾンビはそのまま床に着地して、顔を上げる。

ぎょろりとした目がリオを捉える。眼鏡ゾンビはリオに走り寄ってその頭を鷲掴みにした。

さらにそのまま、驚いてその場に立っていた雫にも駆け寄り、その頭を鷲掴みにした。

眼鏡ゾンビは両手に二人を掴んでずるずると床に引きずりながら部屋を去っていく。

リオ達は気を失っていた。

 

なにこれ・・・

BAD END・・・?

こっわ

おっさん誰だよ

 

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