武士は酒に酔いつぶれ、テーブルに突っ伏し眠っていた。
”武士、お酒、知らない”と店主に煽られ、その術中にはまり、大量の酒を飲んだ者の末路である。
それを見つめるのは二人の人物。
彼の隣に座る時雨リオは、カウンターテーブルに頬杖をついて、伸び切った武士を見つめていた。
オカマ店主こと山田ゴライアスは、カウンターを挟んだ向かい側から、カウンターに前かがみに寄りかかり、リオと同じように頬杖をついて武士をじっと見つめていた。
「ダイジョブかしら」
ゴライアスが心配そうに呟く。
「気の毒ですね」
リオが心配そうに呟く。
大丈夫だろ
放っておけばいいよ
自業自得
先ほどまでの楽しい雰囲気が嘘のように、神妙な空気が流れている。
そうしてやがて二人は言う。
「お酒代払えるかしら?」
「潰れたらもうお酒飲めないのに・・・可哀想・・・」
武 士 の 体 調 な ど ど う で も い い 。
おいwwww
そっちかよwwww
全く心配されなくて草
武士に気を取られたのは一瞬のこと。
潰れた武士は捨ておいて、再び、江戸街造りの構想談義に花を咲かせる。
「城の右隣にバーが、左隣にジムが建ちましたね」
「素敵よね~ドイツって感じよね~」
「ドイツそんな感じなんですか?」
「そうよ~知らないけど♡」
適当で草
城をソーセージで造ればドイツだよ
滅茶苦茶じゃんw
ドイツとパンツって似てるよな
「でももう少し建物が欲しいですよね」
「そうねえ 少し守りが弱いわよねえ」
「前後からの攻めには弱いですね」
「これじゃあ戦には勝てないわね・・・」
酒瓶投げるんでしょ
オカマも投げとけ
ジムどうすんだよww
ジム投げとけ
城の守りは万全ではない。来たるべき戦(来ない)に備えて城を囲む必要があった。
リオとゴライアスは何を建てるべきかと頭を悩ませる。
「どうかしたかいっ?」
不意に威勢のいい声が、二人の耳に届いた。
二人が声のした方向を向けば、黒い調理衣を着た男性がリオの隣に立っていた。
「あらあ蕎麦屋さん、丁度良いところに」
常連の一人、蕎麦屋であった。
「今、城の周りに建物が欲しくてですね」
リオから蕎麦屋がかくかくしかじか状況を聞けば、蕎麦屋はポンと手を打った。
「それなら蕎麦屋がいいぜ!」
蕎麦屋が、蕎麦屋が良いと言った。
「蕎麦は良いわねえ~ シコシコしてて好きよん うふふふっ」
「蕎麦は江戸っぽいですもんね」
「だろお! それに蕎麦は食うだけじゃないぜ!」
「「?」」
「刻んだネギを眼球に飛ばせば、たまらず敵はひいひい言うぜ!」
「「おお~」」
「手打ちのソバをムチのように振れば、たちまち敵は逃げ出すんだぜ!!」
「「おお~」」
平然と武器にするなww
すまん今来たんだけど何の話?
蕎麦で敵と戦う話
はあ?
「中距離攻撃が得意なんだぜ!」
「蕎麦屋ってすんごいわあ~!」
「それな!」
「でも蕎麦アレルギーなのよ~」
「それなそれな!」
蕎麦アレルギーなのかよwww
類は友を呼ぶってことわざがあってだな・・・
お蕎麦ずるずる^~
身体が痒くなるのである。
しかし蕎麦屋はアレルギーと聞いても、表情を変えることは無かった。
「問題ないぜ!うちはそうめんもやってるんだぜ!!」
そうめんもやってた
「あらあ~やるじゃないの~」
「夏とか美味しいんですよね~」
「うちじゃあ若い奴らが作ってんだ」
「爽麺(そうめん)とか言っちゃって?」
「爽男(そうメーン)とかも言っちゃって♡」
「上手えん(うメーン)こと言うじゃねえか!」
「「「ぬははははは」」」
なんなんこれww
(┐「ε:)_<そうめーん
何か鳥肌立った
↑蕎麦アレルギーだよ
最後上手くなくて草
「流しそうめんとかもやりたいですね」
「それなら、城のてっぺんから竹筒を通してえな!」
「じゃあお城の後ろは蕎麦屋に決まりね」
「守りが固くなりましたね!」
「よっしゃあ!」
ちょんまげ流そう
決まったああ
後は前だな
こうして城の後ろは蕎麦屋が建つことに決まった。(決まったところで何もないが)
後は前方を埋めれば守りは完璧である。(特に何も襲ってこないが)
蕎麦屋が椅子を持ってくると、3人で城の前方に何を建てるかに頭を悩ませた。
しかしなかなか決まらない。
するとそこへ声をかける者が現れた。
「どうかされましたか?」
3人が声のした方向を向けば、白の調理衣に身を包んだ男がリオの隣に立っている。
「あら、寿司屋」
常連の一人、寿司屋だった。
「今、城の前方に建物が欲しくてですね」
リオからいろいろと事情を聞けば、寿司屋はにこりと笑った。
「それなら寿司屋がいいですよ」
寿司者が、寿司屋が良いと言った。
「寿司屋は江戸の風情によく合いますからね それにうちの寿司屋は江戸時代から代々続くお店なんです」
丁寧な物腰の寿司屋である。
今までがおかしかった
板前はかっこええな
ウニくれ
「いいわねえ」
「いいですね」
「あと・・・うちの寿司屋はわさびが効いています!だから敵の眼球に擦り付けてやりましょう!」
サイコパス定期
擦り付けていこうなw
類友方式
丁寧な物腰で殺意の高い寿司屋だった。
「刺激的で素敵♡」
「目が緑になるのかな・・・」
「それか、魚の骨を武器にして眼球に突き刺すこともできますよ!!」
「情熱的で素敵♡」
「刺すの大変そう・・・」
眼球絶対責めるマンで草
目玉に親を殺された男
???「おい鬼太郎」
引きこもりです
???「おいぷー太郎」
↑好こ
「あと!お茶は熱々なので、敵にぶっかけることもできますよ!!!」
「寿司屋って攻撃力高かったんですね」
「逸材ね」
「あとはあとはっ・・・・」
前のめりに話そうとする寿司屋。
「あ、もういいです」
「これは前方の素質があるわね」
丁寧な物腰で殺意の高くて欲張りな寿司屋である。
寿司屋のSはドSのSなのか・・・
リオが心の中で密かに呟くと”それにしても”とオカマは言った。
「寿司はいいわよねえ~ あたし、マグロが好きなのよん」
リオもマグロは好きだ。
しかし寿司屋では頼まない。
「私は・・・卵焼きですかね」
「あら、寿司屋で卵焼き頼むの?」
「私、ワサビ無理なんで・・・」
「うふうっ リオちゃんにも苦手なものがあるのねえ~~」
ゴライアスは意外そうに言った。
さび抜きリオちゃんは情けなさを感じた。
「あ、でも、酒は得意ですよ!ええ~と、だから、酔っぱらったらワサビもいけます!!」
だからリオは、強がるように必死にアピールする。
リオは飲ませたら何でも出来そうw
空を飛ぶ配信とか期待してる
人知超えてるけどゴリラだからセーフ
ゴリラは空飛ばないんですがそれは
勿論リオも空は飛べない。意識はよく飛ぶ。
「まあとりあえず寿司屋は前方でいいわね」
「そうですね 決まりですね」
「ありがとうございます!」
おめでとおおお
架空の話でよくぞここまでw
お酒があれば何でも楽しいよー^^
こうしてめでたく城の四方を囲む建物が決まった。
現場は謎の祝福モードである。
しかしそこで不意に、今まで黙って座っていた蕎麦屋がおもむろに口を開いた。
「思ったんだが・・・前方に店を建てたら殿様はどこから外に出るんだ?」
あ・・・
おっと・・・
・・・
この瞬間、言葉が質量をもつように、空気が一気に重たくなった。
今まで誰も考えなかった疑問である。
リオは目を滑らせてゴライアスの方を見る。リオと目線のあったゴライアスは目を滑らせて蕎麦屋を見る。蕎麦屋も目線を滑らせて、寿司屋の方を(ry
こうして誰もが目を泳がせて、その場に沈黙が広がった。
最初にその静けさを破ったのは、リオの発した言葉だった。
「殿様って引きこもりらしいですよ」
あたかも事実であるかのように呟く。
明らかな偏見である。
しかし今はそれでいい。
「城から出たら死ぬらしいわ」
「あいつら先祖がやどかりらしいからな!」
「足裏と畳が接着剤で取れないらしいですね」
大事なのはそれっぽい理由である。
「じゃあ問題ないということで」
「「「了解」」」
引きこもり城主で草
安全だからおk
箝 口 令
寿司屋が椅子を持ってきて静かに座った。そうして集まる四人の元へ、アロハシャツを着た白髪のおじいさんが近寄ってきた。
「アロハー♪」
おじいさんが鳴き声を発した。
四人とも視線を向けたが、どう返事をしたらいいか分からず沈黙した。
「アロハー♪」
おじいさんが再び鳴き声を発した。
四人は顔を見合わせた。
「アロハー♪」
アロハおじいさんは止まらない。
「アロハー♪」
「あら・・・」
「常連さんですか!?」
藁にもすがる思いでリオはゴライアスに尋ねた。
「知らない人ね」
「変な人だ!?」
このバーをモンスターハウスと名付けよう
アロハー♪
Is this a ぺん?
No,ぺんぺん♪
藁なんか無かった
「あの・・・あろはー?」
「アロハー♪ わしも話に混ぜてくれるかな?」
「ああ、あの、もう守りは万全なので・・・」
「わしも話に混ぜてくれるかな?」
「はい、どうぞ」
有無を言わさぬ圧を感じ、リオは抵抗を諦めた。
「江戸の町に広がる水はあるか?」
「はい?」
「わしは数々のアロハを経て水にぷかぷかと浮かびながら、齢を重ねたアロハおじいさんだ 江戸の町に広がる水はあるか?」
「え・・・ないです・・・」
「水に浮かぶことが出来ないではないか!?」
「ひいいいい」
アロハおじいさんは唐突にキレた。
アロハを経てって何?
考えたら負け
水に浮かぶタイプのおじいさん
リオが怯えていると、その様子を見ていた寿司屋が口を開いた。
「分かりました!ならばこうしましょう!江戸の町を水没させます!」
「「「!?」」」
「ほう」
「そうすれば貴方は浮かぶことが出来ます」
「素晴らしき若人よ!」
アロハおじいさんは納得した様子で寿司屋を褒めると、片手を差し出した。
握手である。
「君、名前を何という?」
「寿司屋です」
「素晴らしき寿司屋よ 一緒に歌おう!」
握った手をブンブンと振って拍子をとりながら、二人は交互に歌い始める。
「Say アロハー♪」
「YO アロハー♪」
「アロハー♪ どういう意味や♪ 分からんや♪」
「赤や―♪ めちゃ辛いわ♪ それハバネロや♪」
「いやタバスコやー♪」
「いやパプリカや―♪」
「「やあああああああああああ」」
誰か止めろよwwww
やあああああああ
寿司屋が壊れちゃったよ~
他の三人は江戸の町水没計画に未だ困惑していた。
そこで寿司屋はアロハおじいさんから手を離し、アロハおじいさんが一人でに歌の二番に突入したことを確認すると、リオ達の方へ顔を向けた。
寿司屋は説明するように口を開く。
「どういうことですか?」
「城はどうなるかしら?」
「城も建物もそのままの形で全てぷかぷかと浮くのです!江戸の町は一面が水に浸かります!」
江戸の町はそのまま水に浮かび、水上の町となる。
「考えてみてください!僕たちにデメリットはありません!」
「俺の流しそうめんはどうなるんでい?」
「周りは全て水なので流し放題です!」
「最高じゃねえか!」
「私のジムは・・・水中でもトレーニングできる!」
「その通りです!」
「バーのお酒は・・・樽で浮かせれば問題ないわね」
「その通りです! そして、僕の寿司屋は泳いでいる魚を捕まえればいいので、常に新鮮です!」
「「「「水没さいこーーー」」」」
四人は状況を受け入れた。
この場の雰囲気が、狂気とも思える空気を受け入れる土台となっていた。
もちろん視聴者は置いてきぼりにして。
この展開はなにい?
SFか何かですか?
いいえ、ホラーです
頭おかしくなりゅううううう
そうこうしているうちに武士の目が覚めた。武士は頭痛に眉を寄せながら、重たい頭を持ち上げる。
「某、眠っていたで候」
武士は辺りを見渡して、やたらと知らない人が増えていることに気が付いた。そしてその輪の中心にリオを見つけた。
「リオはコミュ力がお化けだのお」
「あ、おはよう武士」
「男ばっかりじゃな」
「このバー女の子来ないんだよー 女よこせー」
「ゲスなるもの也」
変なのばっかり
武士起きたんかワレ!
お前の城ぷかぷかしてるぞ
武士は思い出すように、眠る前の記憶を辿った。そうして江戸の町構想が途中であることに思い至った。
「ゴライアス殿、某の城はどうなった?」
武士は正面のカウンター越しに立つゴライアスに尋ねた。
「あら、それ聞いちゃう~?」
「確か横をバーとジムに挟まれて居たな」
「そうよん」
「全くけしからんことで候 そもそも江戸の町並みに・・・」
ぶつぶつ呟く武士を尻目にゴライアスは続ける。
「あと追加で後ろに蕎麦屋が建ったわ」
「ぬう!?」
「前は寿司屋が建つことになったわよん」
「な!?」
「ああ、あと水没したわね♡」
「はああっ!!??」
武士は素っ頓狂な声を上げた。
wwww
お手本のようなリアクションwww
流石芸人w
連続技で草
武士は悲しみを感じていた。目覚めたばかりの武士は未だ酒は抜け切れておらず、酔いと寝ぼけが相まって、思考と現実が混ざっていた。すなわち今の武士にとっては、妄想であるはずの城もまるで現実であるかのように錯覚をしているし、自分は城主だし、そしてその城は水没したという事を現実の事として処理をした。
某の城ぉ・・・
「なぜじゃ!なぜ某の城は水没したか!?」
「ぷかぷかして欲しかったからよ♡」
「某の城おおおおおおおおお」
「まあたかだか架空の話d「某の城おおおおおおお」」
武士はゴライアスの話を遮り、悲しみの咆哮を上げた。
「お城ぉ・・・お家ぃ・・・キャッスルぅぅぅぅ・・・」
カウンターテーブルを拳でどんどんと殴りながら、うめき声を上げている。
これ妄想の話だよなwww
酔っ払いには関係ないよー
起きたら城が水没してた件について
そんな落ち込む武士の様子を見た寿司屋は、武士の傍に行き話しかけた。
「すいません武士さん」
「なんじゃ」
「私が江戸の町を水没させました」
「お主かあああああああああ!!!!」
「あのままじゃアロハー♪しちゃいそうだったんです!」
「意味が分からぬわああああああ」
「ぷかぷかさせたかったんです!!」
「ぷかぷかはもういいわあああああ!!!!」
武士は寿司屋を悪人として認識する。
「さあああ、そこに四つん這いにいいいなるがいいいいい」
寿司屋は武士に命じられるままに、バーの床に四つん這いになった。
武士は椅子から立ち上がると、寿司屋の突き出された尻が正面に来るように移動した。
「武士?どしたー?」
四つん這いの寿司屋と彼の背後に立つ武士という異様な光景を見て、リオは尋ねた。
「今から悪さをしたものに罰を与えるのだああ!」
「ほえー」
「ぬおおおおおおおおお」
リオはアルコールがようやく身体に回り始めて、意識がふわふわと薄まってきていた。
武士は気合のこもった声と共に、懐から木刀を引き抜いた。そうして寿司屋のケツに照準を合わせた。
「いくぞおおおおおおおおおお」
「はいいいいいいいいい」
武士は威勢のいい声を上げながら、木刀をバットのようにスイングさせる。
\スパンッ/
「ヒラメっ!」
木刀が寿司屋のケツをしばき上げた。
「まだまだいくぞおおおお」
\スパンッ/
「カレイっ!」
その快音が衝撃の強さを物語っていた。
しかしケツの持ち主である寿司屋の顔は・・・恍惚の表情を浮かべていた。
寿 司 屋 は ド M だ っ た の だ !
彼は痛みを快楽に変換する。
現に今も常人であれば耐え難いほどの痛みであるケツへの衝撃も、寿司屋は喜々として受け入れて、あろうことか自分からケツを差し出す始末である。
「嗚呼ああああこれがマグロのたたきの気持ち!!マグロの気持ちが分かるうう!!!!」
「まだいけるなああああ!!」
「マグロになっちゃうううううう!!!」
\スパンッ/
「サーモンっ!!」
「もっとおおおもっとくださいいいいい」
「いくぞおおおおお!!!」
「嗚呼ああマグロおおおおお!! マグロおおおおおおおお!!!」
\スパンッ/
「スルメエっ!!」
意図せずSMプレイが、リオ達の眼前で行われていた。
そしてそれを見たアロハおじいさんは、二人を中心にして円を描くようにして歩き始める。
「アロハー♪ アロハー♪」
アロハーを添えて。儀式のように。
さらに蕎麦屋は二人を見て何かの修行とでも思ったのか、椅子から立ち上がり二人の傍に近寄ると、応援の声をかけ始めた。
「頑張れー!!! 頑張れーー!!!」
熱い蕎麦屋の熱い応援である。
そうしてリオはそんな混沌とした状況を見て、たまらずに笑い声をあげている。
止めにゴライアスは、陽気で楽しい滅茶苦茶な雰囲気の中で、さらに場を盛り上げようとどこからか取り出した縦笛を吹くのだ。
「頑張れー!!! 頑張れーー!!!」
「アロハー♪ アロハー♪」
\スパンッ/
「ウニイっ!」
\ピローン♪ ピロロローン♪/
「あはっwww はははっははwwww」
「アロハー♪ アロハー♪」
「頑張れー!!! 頑張れーー!!!」
\スパンッ/
「ハマグリイっ!!」
\ピロローン♪ ピローン♪/
ぐっちゃぐちゃだよwww
マジで意味わからんwww
地獄かな?
地獄である。
誰一人として正気ではない空間がここにはあった。どこよりも騒がしい夜があった。
ところで、日本にはいくつか迷信が存在する。夜に笛を吹くと蛇がやってくるというのもその一つである。
現在の時刻は深夜。そして笛を吹くオカマがいる。条件は揃っていた
そうしてオ・カマバーの扉が開かれた。
蛇が来たか?いや、蛇は来なかった。
妖怪が来たわけでもなかった。
現れたのは確かに人間。
背が低くて、黒い衣装に身を包んで、黒いとんがり帽子をかぶって。
それは小さな老婆であった。
思わぬ客の登場に、騒がしくしていたリオ達も動きを止めて、その視線を老婆に向けた。
沢山の視線を一身に受けながら、老婆は皆の元へつかつかと歩み寄る。
「失礼」
「エビィっ! 手巻きずしの気持ちぃ!!」
そうして当然のように、四つん這いになっている寿司屋の背中に座った。
「わたしゃ占い婆(ばあ)だよ ここもバーだろ? まあバア同士仲良くしようじゃないの けけけけけけ」
また変なのだああああ
やったああああ
アマゾンに住む鳥みてえだ
占い婆は鳥の鳴き声のような声を出して不気味に笑うと、懐から水晶玉を取り出し、膝の上に乗っけた。
「さて誰から占おうかね?」
占い婆がみんなを見渡しながら言った。
「それじゃあ俺を見てくんねい」
そう言って最初に名乗りを上げたのは蕎麦屋だった。占い婆は水晶玉を覗き込む。
「どれどれ・・・嗚呼、あんた蕎麦アレルギーだね?」
「な・・・!! この占い師、本物だあああああ!!」
蕎麦屋は実は蕎麦アレルギーだった。
何で蕎麦屋が蕎麦食えねえんだよwww
アレルギー診断で草
みーんな蕎麦食えないよー
「あんたの店このままじゃ潰れるねえ」
「ええ!?そんなあ!? 助かる方法はねえのか!?」
「・・・見える見えるのお・・・たくさんのJKが見える・・・」
「たくさんのJK!? そうかインスタ映えする新商品ってことだな!?」
「これは・・・タピオカだね!」
「カエルの卵おおおお!!」
「あんた、これからタピオカつくんな」
「無理でええええい!!!」
蕎麦屋にタピオカは難しい。
「他!他はねえのか!?」
「後は・・・パンケーキだね!」
「パンケーーーーキ」
はんばああああああぐ
「なんだい?無理かい?」
「無理でい 俺は蕎麦を捨てられねえ・・・」
「それならタピオカドリンクに蕎麦混ぜるか!パンケーキに蕎麦挟むか! どっちかにしな!」
「くそお・・・」
罰ゲームじゃねえかww
汚 料 理
混ぜるな危険
「タピオカでい!」
「はい1000円になります」
「ありがとうございやしたあ!」
こんな適当な占いでww
詐欺で草
蕎麦屋が救われてよかった
救われたのか・・・?
客が喜べば救われたも同然である。
「さあ次は誰だい?」
「あたしよん♡」
ゴライアスが脇を抑えながら手を上げた。
「あんたあ、顔が良けりゃ男も女もどっちもいける口だねえ」
「うふん」
「あんたあ、来年で31歳ね」
「あらやだあ!この占い師本物よ!!」
ゴライアスはNGが無いからおk
↑無敵で草
雑談では豊かな人生経験の話が聴けます
なんか草
オカマに不可能はない。
「あんた犬を飼おうとしてるみたいじゃないか」
「そうなのよー 独り身は厳しいの」
「そうかい でももっとオススメのがいるよ」
「?」
「ウーパールーパーさ」
「ウーパールーパー? 何でウーパールーパー?」
「あんたのお気に入りの子もウーパールーパーを飼ってんのよ だからあんたがウーパールーパーを飼えばその子のウーパールーパーとウーパールーパーして間接ウーパールーパーになるってこと」
間接ウーパールーパーって何だwww
ウーパールーパーがゲシュタルト崩壊してウーパールーパパパパ
みんな落ち着けってそうすればウーパールーパーになルーパーウーパー
ミ( ゚ ◇ ゚ )彡 ウパッ!
「最高じゃない♡」
「はい1500円」
「ありがとん」
何て商売だ・・・
ミ( ゚ ◇ ゚ )彡 ウパッ!
↑川へお帰り
占い師は調子よくお金を巻き上げていく。
「さあ次々い!」
「じゃあ私で」
そう言ってリオが声を上げた。
「嗚呼・・・あんた、ちょっとねじが外れてるね」
「・・・ふっw」
草
辛辣ぅ!
ダ イ レ ク ト ア タ ッ ク
リオは苦笑いを浮かべた。
「それでそれで・・・ほうほう ふくらはぎの腓腹筋とヒラメ筋を鍛えたいと」
「そうっすね」
「それならカーフレイズがオススメだね あとはボックスジャンプとかもいいね」
「なるほど」
「足の向きで負荷のかかる筋肉の場所が微妙に変わるから、注意した方がいい」
「なるほど」
ただのトレーナーじゃねえかwww
この婆さん物知りだなwww
休憩をはさむのも大事だぞ
筋肉ニキも見てる
「助かりました」
「はい2000円」
「うい」
もはや値段の上がることには誰も触れない。
「さてあたしゃそろそろ帰るかね」
占い婆は一仕事終えたとばかりに水晶をしまうと、人間椅子から降りた。
「ああそんなああああ 某も占ってほしかったで候うううう」
「え、ああ、そうね あんたの未来は明るいよ」
「感謝するうううう」
「はい2500円」
よかったな武士
雑過ぎわろた
殿さまになれるといいな
「あの、僕も」
「ああ、あんたはニ〇リとかイ〇アに転職するといいよ」
「ありがとうございますう」
「はい3000円」
「わしも聞こう」
「あんたは2年後ぐらいにハワイで死ぬね」
「アロハー♪」
「はい6000円」
「アロハー♪」
こうして占い婆は全員の占いを終えた。
「それじゃ、あたしゃ帰るねえ」
占い婆はそう言うと、アロハおじいさんを引き連れてお店から出て行った。
「あの人、アロハおじいさんの連れだったんですね」
「そうみたいねえ」
残った五人がその後ろ姿を見送った。