「やあ みんな」
うっほほおおおおおおおお
うっほおお
うっほっほほお
「はい、うほ」
白い世界に向かって私は手を振り上げた。いや、急に詩的なこと言うじゃんきもっ、とか思わないで欲しい。これほんとだから。
私はゴーグルの形状をした特殊な機械を付けることでいわゆる電脳世界を見ている。身体にも動作を感知するためのプロテクターみたいな機械をいっぱい装着していて、その結果わたしは電脳世界に降り立っているのである。だから私からしたら真っ白な世界が広がっていて、視聴者たちからすれば、きっと目つきの悪い女が白い空間にぽつんと立っている姿が画面に映っていることだろう。
あとみんなのコメントは私の視界の右横に常に流れている。NowTubeのコメント欄が浮き出てる感じだ。便利。
「今日はこの白い空間から配信してくよ」
とうとう隔離されたのか・・・
リオに餌あげるアプリの画面
↑バナナと酒で喜びそうw
運営『断酒しろよ~^^』
「君たちは相変わらずツンデレだな~」
????
え?
は?
「は?」
今日もプロレスは楽しいです^^。スパチャしないとコメント欄から抜け出せない呪いかけとこ^^。
さて、私が今回この世界から配信してるのは理由がある。それはとある迷路に挑戦するためだ。どうやらどっかの企業さんとうちの会社がコラボして、電脳世界に迷路を作ってもらったらしいのだ。
「いでよ、迷路」
私は指パッチンした。
すると私の背後に、巨大な迷路が姿を現した。先が全く見通せない、複雑に入り組んだ迷路である。
でっか
技術がえぐい
入ったら出られなくなりそう・・・
「今日は皆の力を借りて、これのゴールを目指していくよ」
楽しそーー!
ネズミの実験でよくある奴
知 能 テ ス ト
↑リオはネズミだったのか・・・
ネズミ・・・繁殖・・・閃いた!
通報でちゅー
「これさあスタッフさんから話を聞くときにさあ『リオさん、迷路とか苦手ですよね?ということでお願いします!』って言われたんだよね」
wwwwww
舐められてて草
最初から決めつけてて笑う
馬鹿だと思われてるよwwww
「ね、これ完全に舐められるよね だから絶対みんなでゴールしような」
おk
任せなさい
介護は任せろ!
自宅警備は任せろ!
ニート君おっす
まじで許さんからなスタッフ。秒でクリアしてやるからなスタッフ。スタックさせてやるからスタッフ(激寒)
そうして早速迷路の入り口へと足を踏み出す。
見れば迷路の壁はとってもでかかった。私の身長は軽く超えていて、3mくらいはあると思う。上から覗くなんてとても無理そうだ。
「殴ったら壊せるかな」
強 行 突 破
攻略(物理)
やっぱり脳筋じゃねえかwww
草
いやまあ、実際は拳すり抜けちゃうだけなんだけどね・・・。何で分かるかって?殴ったからだよ?・・・んん?
こうして私は迷路の入り口に立った。壁で左右を囲まれて、一直線の道が伸びている。
「みんなやるぞ」
いくでえええ
がんばえー
わくわくしてきた
うほうほする
私は皆に声をかけた後、遂に一歩を踏み出した。迷路の始まりである。
数歩歩いたところで背後から”がちゃん”と音が鳴った。私は驚いて後ろを振り返る。さっきまで開いていた入り口が柵で覆われていた。入り口は完全に閉鎖されてる。もう出られませんわこれは。
出られないね
ここで一生暮らそう
新居やで^^
「冗談じゃない 屋根がないだろ」
屋根があったら住むのか・・・
そもそも雨が降らないんだよなぁ・・・
迷 路 系 V t u b e r
歩いていくとT字路のような場所の突き当りに出た。左右には真っ直ぐ道が伸びていて、奥の方がかくっと曲がっている。どうやらどちらかが正解なようだ。
そしてその正解を方向で示す問題文が正面の壁に貼り付けられていた。
時雨リオが鳩に餌をやるゲームをしていた際、お気に入りの鳩に餌をやっていたら別の鳩が割り込んできて、思わず言ったセリフとは次のうちどっち。
「うわぁーー めっちゃ最初の頃の奴じゃん」
よく発掘してきたなwww
出たクソゲーwww
懐かしすぎて草
「これどっちだろ?全然覚えてないなぁ」
初期からゴリラだったんだなーって(白目
どう転んでも鳩を脅してんの好き
野蛮過ぎるwww
「い~や~、全く思い出せない」
もはや遥か昔の記憶過ぎて思い出せなかった。
しかしゲーム自体は覚えてる。お気に入りの鳩がいて、せっせと餌を上げて育てたのに、最終的には鷹にさらわれちゃったんだよなー。ああ、あの時が初めての台パンかぁ。いや懐かしい。。
っと、台パンの思い出に浸っている場合ではなかった。どっちか選ばないと。
「私は台パンしたことしか思い出せませんでした」
wwwww
でたねえww
フ ァ ー ス ト イ ン パ ク ト
「みんなはどっちだと思う」
右
左じゃね
たぶん右
上行こうぜ
「割れてんな~」
これは困った。
「みんな私より頭良いんだろ~?もっと頑張れよ~ほらぁ」
馬鹿を受け入れてる・・・だと・・・
これは強いw
煽り声好きすぎる
もっと煽ってください
「もう適当に選ぶわ」
私は、黒く塗ってカラスにしてやろうか?をとりあえず選ぶことにした。理由はこれと言って無い。強いて言えば直感を信じてみただけだ。
私は右の道へ足を進める。曲がり角に差し掛かる。合ってんのかなー。そう思いながら曲がったが、道の先に見えたのは先を塞ぐ壁だった。
どうやら行き止まりらしい。
「こっちじゃなかったかー」
壁殴ってもええんやで
大人しく引き換えそ
しゃーない
私は踵を返そうとした。しかし、反転しようとした体は途中で立ち止まった。なぜかといえば。行き止まりの壁の前に何か降ってきたのである。
げこげこっ
2mくらいの大きさがある、でけえカエルだった。
「え、、カエル降ってきたんだけど」
草
なんでwwww
誰だカエル捨てたやつは!
カエルは感情の分からない瞳で私のことをじっと見つめてくる。私もじっと見つめ返した。何だこのカエルけんか売ってんのか?黒く塗ってカラスにしてやろかええっ?
私が拳を握り臨戦態勢で構えてると、カエルは突然うぇっ!と口を開けて、舌をべっ!と伸ばしてきた。まるで赤い絨毯のようだ。しかしその表面にはなにやら文字が書かれている。私は舌によく目を遣った。
『不正解だよ☆』
「やかましいわ!」
wwwwwwww
煽られてて草
カ エ ル に 煽 ら れ る 女
私はさっと踵を返した。
正解の道を真っすぐ進んでいると、再びT字路が現れた。どうやらこの迷路は二拓を選んで進んでいくらしい。やっぱり左右に道が分かれている。
私は壁に貼られている問題文を見つめた。
時雨リオは公式の自己紹介の文に握力も加えて欲しいという旨を雑談で喋ったことがあるが、その際に実際に乗せたかった握力の数値は次のうちどっち。
右化け物じゃねえかwww
明らかに人外で草
どう見ても左だな
「これはねえ、右なんだよね」
リオの握力どうなってんだよww
強すぎて草も生えない・・・
いや草
「これは私の握力じゃなくてゴリラの握力なのさ!」
やっぱりゴリラじゃないか!
ゴリラすっご
いやなんでゴリラの握力乗せるんだよwww
ゴリラの自己紹介しようとしてて草
そら断られるわww
これまた懐かしい。確か当時、Vtuberの自己紹介文なんか多少無理な設定でもいけんだろということで、ゴリラの握力を乗せてもらうとしたんだ。私はゴリラ教信者だから隙あらば布教活動しなきゃいけないんだ、仕方ないうほ。
私は迷いなく右の道を選んだ。すたすた自信満々に歩いていく。曲がり角を曲がると真っ直ぐな直線が伸びていた。
道の途中には壁の隙間から左へと進める小路がある。だがそれよりもずっと目を引くのは、正面に伸びる道の奥の突き当りにある、隠しルート☆と書かれた扉である。
「すっごい分かりやすいところに隠し扉あんだけど」
ガバってて草
隠す気皆無じゃんww
隠れないタイプの隠し扉でしょ(適当)
「これいいんだよね 行っていいんだよね」
ここまで分かりやすいと逆に不安になる。私は扉を訝しむ表情で見つめる。なんか落とし穴とかあったりするんじゃないだろうな・・・。それか地雷が仕掛けてあって爆発するとか・・・。
いろいろ可能性を頭に巡らせたが、結局考えていても埒が明かないのでまっすぐ進むことにした。
「近道とかかなぁ?それともなんか別の空間に繋がってるとか?」
武士が刀研いでるよ
カンガルーがボクシングしてるよ
ウサギが飛んでるよ
「じゃあスタッフが踊ってて武士が刀研いでてカンガルーがボクシングしててウサギが飛んでる部屋に繋がってんだろうね」
カオスで草
どこだよそれ
地獄かな?
そんな風に冗談を言って気楽に歩いていたのだが、事態は唐突に一変する。
ぐらぐらぐらぐら
「んっ!?」
突然に地鳴りが起こり始めた。迷路がぐらぐらと揺れていて、景色がぶれていた。
「なにこれなにこれなにこれ!」
こっわ
何が起こるんだ・・・
なんかやばい
皆動揺してる。私も動揺してる。嫌な予感がする。
そしてその嫌な予感は的中した。
ずががががっっ
いきなり正面の地面が盛り上がったかと思うと、次には大きな獣の腕が地面をぶち破って垂直に生えた。黒い毛が生えてる。5本指。大きな拳。間違いない。それは、、ゴリラの腕。
ずどどどどっっ
腕を出して顔を出して、最終的は身体までもが地面から現れた。一頭の雄ゴリラが地上へと降臨した。
「ゴリラ来たああああああああああ!!!!」
こええええええよ
うおおおおおおおお
ゴリラ過ぎて草生える
まさか迷路でゴリラに会えると思っていなかったから思わず興奮してしまった。ゴリラは私に鋭い目線を送っている。私は彼の身体に見惚れる。
「いやーー筋骨隆々な体えぐいよね~ あの逞しい腕みてよ!人死ぬでしょ! い~や~たまんねえわ~」
ゴ リ ラ に 欲 情 す る 女
うほ♡
ガチで怖いだけなんですが・・・
「ちなみにゴリラは自分のうんこを投げて求愛するんだよ!ああ、うんこ投げてこねーかなー」
それは草
発現がやばすぎるwww
ここだけ切り抜け
リ オ は う ん こ 好 き
「あとゴリラのドラミングはねえ約2km先まで届くんだってさ!やばすぎよな!」
こいつずっとゴリラについて喋ってんなww
楽しそうで何よりw
これは流石のリオ姉貴
いつもより喋ってて草
いやぁ、無意識に熱が入ってしまう。まあしょうがないよね。ゴリラを目の前にして興奮しない女とかいないからね。人類皆ゴリラに惚れてるから。もうウホよウホ。人類はウホ。
暫くゴリラを見ていたがやがてゴリラは上半身を起こして、二足で立った。
「あ、立った!」
1.7m!
俺より身長高くて草
筋肉ヤバすぎ・・・
胸筋えぐ
そうしてパーにした手を胸に叩きつけた。
「ドラミングきたああああああ!!」
滅茶苦茶叩くのが早いwww
ひいいいいいい
早く逃げろよw
「ちなみにドラミングするのは威嚇する時とか怒ってる時とか遊びたい時なんだよ!」
じゃあやばいじゃんw
逃げよ
私を置いて先にいけ!
「だからああやって歯とかむき出しにしてたらヤバくて・・・」
ゴリラが走ってきた。全速力。黒い巨漢が迫ってくる。
「やばいやばいやばいやばい!!!!」
私は振り返って走り始めた。
やばい。
ゴ リ ラ が 襲 い 来 る 。
えぐいえぐい
はっや
逃げろーーー
「やばいよ!!!体重150kg握力500kg時速40kmが来るよ!!!」
何が何でもゴリラ情報言うなw
オ タ ク の 鑑
言ってる場合かよw
「きっちいいいいいいい」
私は全速力で逃げた。後ろを振り向けばすぐそこにゴリラが迫ってる。私は壁と壁の隙間になってる、横の小路に入り込んだ。
大きな足音が止む。後ろを振り向けば、小路に入ってこれないゴリラが隙間から顔を覗かせて恨めしそうにこっちを見ていた。
「ごめんなゴリラ 君は連れていけないんだ・・・」
うほっ
「うんうん、、ごめん・・・ごめんよ・・・」
うっほおおおお
そんな場面じゃないだろww
弱いゴリラなんていらない!
じゃあのノ
私は泣く泣く歩を進めた。
それからたくさんの問題を解いていった。
Q配信中、PCに酒をぶち撒いた日はいつか
Q酔っぱらって謎にウサギの真似をし始めた配信はいつか
Q突然凸してきた夢野雫と15時間ほど雑談してたのはいつか etc
そうして私はとうとう最後の問題にまで到達した。
「ようやっとここまできた・・・」
今までの配信歴史を振り返ってるみたいで楽しかった
結構濃密な配信人生で草ですよ
最後だね
「どれどれ、最後の問題は・・・」
時雨リオのチャンネル登録者数は25万人である。
「これは・・・」
私は、はっとした。
そういえば私の登録者数、そんくらい行ってた気がする。特別気にしてたわけじゃなったけど、、改めて意識させられた。
だから答えは・・・YES。
私は左の道を進んだ。
そしてその先に会ったのはGOALと描かれた扉。
私はそれを開いた。
ぱんっ! ぱんっ!! ぱんっ!!!
「おおっ!?」
そこは部屋だった。クラッカーが鳴り響いて、どこからともなくファンファーレが聞こえていた。
壁にはたくさんの風船が飛んでいて、横の壁にはゴリラのイラストがいっぱい描かれていて、そして正面の壁には、
登録者数25万人おめでとう!!
と、でっかく描かれていた。
「わあああああすげええええ」
お祝いだああああああああ
やったあああああ
運営に愛される良い女
祝いだ祝いだあああああ
「まじかあ、、だから今までの配信振り返ってたのか・・・うぅん、ありがてえぇ・・・・」
つい、感嘆の声を漏らした。
うわああああああああ
普通に感動するわ
リオおめでとーーー!!
姉御おおおおおおおお!!!!
まさかこんな粋なサプライズをしてくれるなんて思ってなかった。とても嬉しい。
しかしこれでサプライズが終わったわけじゃない。部屋を見れば、中央に何やら冷蔵庫らしきものがある。
「なんか入ってんのかな」
武士が入ってるよ
スタッフが入ってるよ
俺が入ってるよ
「開けてみよ」
ぱっかり、と開く。出てきたのは缶ビールだった。
「おおおおおおおおおおおおお」
酒だあああああああ
酒来たああああああああ
まじかよwww
私が手を伸ばして掴むと、恐らくリアルでもスタッフさんが持たしてくれたのだろう、冷たい持ち慣れたアルミの感触を感じた。
「それじゃあ、25万人記念しまして、飲まさせていただきます」
ぐいっとな!
いただいちゃってえ!!!
やったぜ!
「かんぱあああああい!!!!」
ういいいいいいい!!
おめでとおおおおおおおおお!!!!!
かんぱああああああああい
うえええええええい
ごくごくっ
喉を豪快に鳴らす。冷たい液体が喉を通っていった。嗚呼、、、
「うっめえええええええ!」
いええええええいw
おっさんきたあああwwww
っぱこれなんだよなああ
さいこおおおおおおおお
コメントが自分のことのように祝ってくれた。
スタッフの笑い声も周りから聞こえた。
私はとても、嬉しかった。