人生というのは、意外なタイミングで意外な出来事が訪れる。というのが、しょっちゅう起こる。
”しょっちゅう”起こったらもう意外じゃねーだろ、慣れんだろ、と思ったそこの君、その素晴らしき脳みそにドロップキックを決めて進ぜよう。震えるぞー^^。
話をもどそ。
慣れる事なんてありはしない。
だから人生は恐い。そして面白いんだ。
なぜ私の口からそんな格言めいた言葉が出てきたかって?
時雨リオ、歌ってみた、するってよ。
それは例の如くマネージャーさんと企画会議をしていた時に知らされた。(ちなみにZOONだ。ZOOは動物園・・・うほ!?ゴリラの気配!?)
「リオさん今度、歌うたいましょうね」
「はい?」
「シングァ ソングですよ」
「はい?」
「楽しみですねー」
毎回唐突である。
いや、歌う動画NGで、と言った記憶は無いけど。歌寧ろ好きだけど。マネージャさんにも企画にも罪はないけれども。
「それはあれですか 歌ってみたってやつですか」
「そうですね そういうやつですね」
「ああー、はい」
勿論知っている。Vtuberもよくやってるし、なんなら歌だけで勝負してる人もいるくらいだし。
でも、あれって、あれだよね。歌唱力無いと無理ゲーだよね。
これ偏見かも知らないけど、歌が上手くもない私の歌に果たして需要があるのか、、
「私どちらかというと下手ですよ」
「はい、下手ですね」
あああ、攻撃力たっか。
「でも聞いてくれる人はいるのでやりましょうね」
ということで、うたってみた、します。
ところで曲は何だろう。疑問に思ってたところ、マネージャーさんが歌ってみたの打ち合わせしますよーッというので、会社の会議室へ。
座っていたのは20代と思われるお兄さんだった。
なんか髪が青いぃぃ。首にタトゥゥゥゥ。強キャラ臭すごいぃぃ。
すかさず私は頭を下げる。先制攻撃は基本っ!お兄さんもペコリ。
「こちらが今回曲を提供してくださる、ザラぁPさんです」
横に立っていたマネージャーさんが紹介してくれた。
「どうもー お願いしますー」
「あ・・・時雨リオという名前で活動してるVtuberです」
すごいフランクな感じのお兄さんだ。優しそうな笑みを浮かべている。喋った時舌にピアスあった気がするけど・・・
「ちなみに僕のことは御存じですか?」
「・・・え?」
おお、ぐいぐい来るなぁ。そしてザラぁPという名前には憶えが無いかも、、
言葉に詰まってると、お兄さんはどこか悲しい顔をした。
「ご存じない」
「あ、どうですかねー曲は知ってるかもなんですけどー・・・あはは・・・」
私のその場しのぎの言葉を聞くと、彼はなにやら念仏のような言葉を唱え始める。
「『歌ってみたを出さないか』『ボカロはいいぞぉ』『曲作るから歌ってな』『歌えよほら』」
「んっ!?」
「『歌ってみたください歌ってみたください歌ってみたください歌ってみたください歌ってみたください歌ってみたください』」
「んんっ!?」
「赤スパチャ10,000¥」
「あああっ!!! いつも配信に来る人おお!!!」
知ってる人だった。
コメント欄に頻繁に現れ、スパチャを叩きつけ、歌を欲しがる名物スパチャニキの一人だった。
「ザラぁPさんって、あの方だったんですか・・・」
「いつも見てます」
「おぉ・・・」
スパチャのとき”ざらぴい”表記だから気付かなかったけど、、こんなことがあるものなんだー。驚いた。だが驚きはまだ続く。失礼ながらザラぁPさんの作った曲をいくつか教えてもらったのだけども、NowTubeで100万再生されてる曲が多くて、中には500万再生ぐらいされてる曲もあった。
彼は若き天才クリエイター。
つまり、マジのすげー人だった。
「ザラぁPさんの方からお声をかけていただきまして、今回の歌ってみたをやることになったんですよ!」
「あ、はい」
「さらに今回はリオさんのためだけに曲を作ってくださるそうです!」
「はいぃっ!?」
マネージャーのとんでも発言の隣でお兄さんがうんうんと相槌を打っていた。
やがてお兄さんは口を開いた。
「リオさん!」
「はいっ」
「名誉ゴリラの威信にかけて、絶対バズらせます!」
「ふええ・・・」
正直に言おう、荷が馬鹿重い。
「そう言えば、なんで私にあんなに歌って欲しいコールを・・・?」
「リオさんの特徴的な低い声が僕の思ってた曲のイメージにぴったりなんですよねぇ」
「ああなるほど」
「それでどうしても曲が完成させたかったんで、もうリオさんの声の素材を集めて曲にしてやろうかなって」
「ええ、、」
「だから今回歌っていただけることになって本当に嬉しいっすね」
「それもし私が歌うことになって無かったら」
「過去配信すべて漁ってリオロイドを作ってましたね」
「やばすぎ」
それからなんやかんやあって歌ってみた、というか、オリジナル曲が無事に完成した。
曲名『うほっ!ゴリラしか勝たんっ!!』。
曲名から既にぶっ飛んでいる。メロディーの方もザラぁP独特のセンスが光る、ある種”狂気的”とも呼べるハイテンポなノリであり、聴いてるだけで頭が揺さぶられ脳内麻薬があふれ出す。一方で歌詞をよくよく聞いてみれば、ゴリラから見た人間社会の闇を痛烈に批判しており、時雨リオの暴力的で掠れた声と相まって多くの視聴者の心を揺さぶる。
もはや電子ドラッグと呼ぶに相応しい、センセーショナルな一曲である。
(NowTube 上半期JPミュージックチャートランキング11位 紹介文より抜粋)
「いやー、リオさんのおかげですわ」
「おかしいだろぉ、前日に練習しまくって声枯らしてたのにこの評価は絶対おかしいだろぉ、、」
「やっぱリオさんなんだよな~」