ゴリラじゃないからっ!   作:もぐら王国

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先に謝罪させていただきます。ごめんなさい。


RUBGだ! [1]

ワード[スリーサイズを教えてください] [Am i rice cake?][zyよん歳になりました。祝ってください][パンT!][団子のつくり方を教えてほしいにゃん]

 

時雨リオは机に覆いかぶさるように上半身を折ってぴったりと机に密着させて、顎だけをちょこんと机に乗せた状態で座っていた。

その顔には憂鬱な表情を浮かべて、恨めしそうにまっすぐ前を見つめている。

視線の先にあるのは、机に置かれた置き時計。

時計は時を刻み続けていて、現在の時刻は20時53分である。リオは眉間にしわが寄るほどに、一度強く瞳を閉じた。再び開いた時、54分になっていた

リオは意味のないことだと知りながら、時計を強く睨みつけた。

やがてリオは大きなため息をつきながら立ち上がると、重い足取りでPCの前の席に着く。

もうすぐ、配信が始まる。恐らく今までで一番疲れる配信が。

 

何だあの5つのワードは。私は今日、死ぬのか?

 

リオはもう一度、深いため息をついた。

 

時刻が夜9時を回り、リオが配信を始める。

配信画面には目つきの悪いショートカットの少女とちょんまげ髭面の浴衣男が映し出され、背景にはRUBGのタイトル画面が映し出された。

コラボ配信の幕開けである。

 

「皆、こんばんわ 初めましての人は初めまして 時雨リオだ 今日はよろしくっ!」

 

リオは少し緊張した声色で挨拶をした。今回の配信ではいつもの配信とは違い、自分だけでなく相手側のチャンネルの視聴者にも声が届くためである。

そして当然それは、相手側も同じ条件である。

つまり・・・

 

「ああああああ某があああああ、江戸のおおお大剣豪と呼ばれた男おおおおお、駿河武士だああああ」

 

馬鹿の轟音が響き渡った。

 

「うるせえつってんだろおおおお」

「駿河武士だあああああああああ」

「さっき聞いたああああああ!」

 

きたあああああ

ケンカRTA

リオ引っ張られてて草

待ってましたあああああ

うるせええええ

 

駿河武士は相変わらずの爆音であった。リオは今日のコラボの前に、絶対にキレないという誓いを己に立てて配信に臨んだが、5秒持たなかった。

 

「武士さん、マジでうるさいです 江戸の挨拶か何かですか、それ」

「いや、声でかい方がかっこいいだろ」

「かっこよくないわ!」

 

感性がバグってらww

江戸基準だとかっこいいんやろ、知らんけど

もう江戸に返そう

ちょんまげをちくわにしたい

 

リオは武士の変わった感性に触れて、理解することを早々に諦めた。時間がもったいないので、話を先へと進ませる。

 

「とりあえず武士さん、本日はコラボ受けて下さりありがとうございます」

「うむっ 今宵を楽しい夜にしようぞ!!がっはっはっは~~」

「始めますね」

 

楽しみだな

そのうちお互いで殺し合いしてそう

リオにはひっさt技をさzけた

Uニキ居て草

 

武士は豪快な笑い声をあげていた。リオはそれをBGMに、とっととゲームを開始する。すると画面には、様々な地形が見れる大きなマップが表示された。

このRUBGというゲームでは、広大なフィールドで一度にたくさんのプレイヤーが戦うのだが、そのフィールドに降り立つ地点は自分で選ぶことが可能であった。

 

「武士さん、最初どこにしますか?」

「なあ」

「私は小さな民家がいいかと思うのd」

「なあ」

「はい?」

 

リオがマップを見ながらスタート地点を模索していると、横から遮るようにして武士が話しかけてきた。

 

「どうかしましたか?」

「その敬語をやめにするのだ このコラボはお互いの親睦を深める意味もある故、お互いため語で話そうぞ」

「そんな意味あったんですか」

 

初耳だった。

 

ええやん

温度差ww

仲良くなるチャンスだ!

悪くない

 

「何て呼べばいいですか?」

「ふう!なんでもよいぞ!将軍様でもよいぞよいぞ!」

「じゃあヒゲで」

「なっ」

 

駄目みたいですね(白目)

何でもいいって言ったからなw

剣を順番に突き刺していこう

↑武士ひげ危機一髪ww

 

リオは武士の見た目から、いたずら心で呼んでやった。

武士はあご髭が濃いめに生えているのが、特徴だった。

 

「ごめん冗談ww 武士でいくね」

 

ちょっとしたストレス発散だったことは内緒である。

 

「そうか ならば某は、何と呼べばよろしいか?」

「う~ん 私は私だからな 時雨でもリオでも好きなように なんなら美少女り・・・」

「どうした?」

 

なんだ

時止まった?

りおとDIO

”ぐりとぐら”シリーズやめろww

 

リオは”美少女リオ”とふざけて言おうとしたのだが、その瞬間に頭に電流が走った。

先日の配信で、視聴者と共に武士に言わなければならないワードをいくつか決めたのだった。それらはあまりに荒唐無稽で使いどころに困るワードばかりだったために、

リオは頭を悩ませていた。そのためリオは、とにかく隙を逃すわけにはいかないと、実は配信が始まってからワードを吐き出せる機会を虎視眈々と狙っていた。

そして見つけってしまったのだ、好機を。ならば言うしかない。

 

「び・・・美少女”パンT!”と呼んでもいいぞ!」

「・・・は?」

 

時が止まった。ワードの1つ”パンT!”である。

 

きたあああ

美 少 女 パ ン T !

選ばれたのは”パンT”でしたwww

どうすんだこれwww

 

「す・・・すまぬ、もう一度言ってもらえるか?」

「何度でも言おう パンTだ! 私はパンTだ!」

「そう・・・だったのか・・・」

「そうなのだ!」

 

何なんだこの状況はww

パンT!(迫真)

変態で草

何で武士は受け入れてんだよww

江戸にはいたんだ、ぱんTが

 

リオは声高らかに宣言した。本当は顔から火が出そうになる程に恥ずかしかった。しかしワードを言わなければならない重圧感、多くの人に見られている緊張感、そしてぱんTの背徳感という究極の状況により、リオは謎の高揚を感じていた。

例えるならば、マラソンをしている時のような感覚に近い。

そう、それはまさに”パンT-ズハイッッ!!”

この時のリオは間違いなくパンTの魔力に取りつかれていた。

頭の中がパンTしていた。

世界がパンTだった。

そんなパンTに武士は答える。

 

「ここは悩ましいが、リオと呼ばせてもらう」

「パンT!(何故!?)」

「なぜならパンTは3文字、リオは2文字でリオの方が呼びやすいからな がっはっはっは」

「・・・パンT!(そっか)」

 

誰か俺を殺してくれ

狂いそうwww

リ゛オ゛ち゛ゃ゛ん゛か゛わ゛い゛い゛な゛ぁ゛

ガンギマリオ

 

そんな会話をしているうちに、RUBGの最初のスタート地点を決める時間が過ぎてしまった。

2人はペナルティとして海からのスタートとなる。

リオと武士はあわてて陸地を目指して泳いだが、健闘むなしく溺れ死んでしまった。

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