ゴリラじゃないからっ!   作:もぐら王国

62 / 64
誤字報告ありがとうございます。


ダイヤだ!

掘っても掘っても石ばかりが集まっていく。

どれだけ掘っても石、石、石。

私が求めるのはダイヤだ。石じゃない。無限石発掘編やめろ。

マイクワの地下で私はそう叫ぶ。

 

 

 

 

 

最初は軽い思いつきだった。

 

「ダイヤ100個集めるまで眠らない配信するか」

 

雑談配信の緩やかな空気が私にそんな迂闊な発言をさせたんだと思う。

ダイヤはマイクワの世界においてかなり価値の高い鉱石で、他の鉱石と比べても滅多に遭遇できないレア鉱石だ。

それを百個。正気の沙汰では無い。

そして視聴者もまた、正気では無い。

 

それだけでいいの?

ちょっと縛り緩くない?

もっとスリル欲しくない?

もっと心、奮わせたくない?

 

彼らは、謎の向上心の塊フレーズで私を煽り、

 

ダイヤ100個集めないと一生酒飲めない配信しよう

 

という悪魔の如き提案によって、私のダイヤ配信へのネガティブ感情が爆上がりした。

私はもちろん抵抗したで。言葉(こぶし)で。

 

「私から一生酒を取り上げるなんてお前ら人間じゃねえ!」

 

すまんな、俺たちはゴリラなんや

ダイヤ掘り頑張ってな~^^

うっほおおおおおおおおぉぉぉぉ(ボスへの激励)

や れ

 

「許されねえよ・・・こんなの・・・」

 

こうして、『ダイヤ100個集めたら禁酒から解き放たれるゴリラ』略して『100ゴリ』が行われることになったのだ。

 

 

 

 

 

ダイヤはやはりと言うか何というか、なかなか集まらなかった。

ツルハシを片手に、ブロック状の灰色の石をひたすらに砕いて進む。

時おり赤や茶色や緑の欠片が混じった鉱石が見受けられる。が、それらは目的とは別の鉱石なので見向きもしない。

ダイヤは水色だ。この水色がなかなか見つからない。

配信画面に表示しているタイマーは既に1時間が過ぎている。

手持ちダイヤ5個。

おk、悪運には自信がある。

 

「駄目だ全然集まらん」

 

まだ始まったばかりだぞ

酒でも飲んで元気だしな~?

煽ってて草

作業配信好き

 

「サナギになりたい」

 

現在のペースで考えれば単純計算で100個までに20時間要することになる。

20時間って。そんなに長い間ゲームしてたら多分死んじゃう。。

しかし私の心配は他所に、全くダイヤは出てこない。

これは交渉をしなければならない。

 

「みんなは酒についての認識を少し改める必要があると思うね」

 

説法くるぞ

必 殺 ゴ リ ラ 説 法

なんか草

言ってみ(上から目線)

 

「例えばさ、植物ってのは水が必要じゃん ウマには草が必要だよね」

 

そうね

それはそう

珍しく当たり前なことを言っている

リオ賢い!

 

「じゃあ、私にとっては何が必要か?それが酒なんだよね」

 

ふぁ!?

急展開で草

ゴミみたいな論法きたああああ

はい禁酒

 

「だから一生はやめてよ・・・ せめて半年とか数か月とか一週間とかにしてさぁ・・・」

 

どんどん自分に甘くなってくの草

声の悲壮感が好き

酒じゃなくて遠距離中の恋人へのセリフとして想像してみ?

↑天才じゃん

禁酒は楽しいね~^^

 

「っち」

 

駄目だ。交渉は失敗に終わった。

私は意地でもダイヤを集めなければいけないらしい。

酒神様見てますか。今から貴方にダイヤを届けます。

 

 

 

 

届 き ま せ ん。

集 ま り ま せ ん。

絶 望 で す。

酒神様に誓いを立てて3時間、ダイヤは20個に達していたがクリーチャーとか言う緑色の怪物が知らぬ間に背後に迫り、爆発し、全ロスした。

 

「まーじでクソゲー・・・ 返してよ!私の可愛い可愛いダイヤ20個返してよ!!!!」

 

これはママゴリラ

落ち着けw

これからww頑張ればwwwいけるってwwww

笑い堪えきれてなくて草

リオ虐が一番楽しいって辞書にも書いてあるしね

人 の 不 幸 は 蜜 の 味

 

「私が何をしたって言うんだ・・・」

 

酒という名の人質を取られ、炭鉱での労働を強いられている。一昔前の日本じゃないか・・・。

ちなみにプレイヤーが所持していたアイテムはプレイヤーがやられると、その場に一定の時間は残るシステムになっている。

当然クリーチャーに吹っ飛ばされ拠点にリスポーンした私は大急ぎで事故現場へと向かった。

だが辿り着くことは難しかった。

 

「私はどの通路の先で死んだんだ・・・」

 

ダイヤを掘る際は基本的に真っ直ぐ掘っていくのが定石である。その方が帰るのも楽だし迷わないのだ。

でも私は気分屋な部分がある。

だからダイヤを目指して真っ直ぐ掘っていたとしても

 

「ここ曲がったらダイヤ出るくね?」

 

と勝手に横の壁を掘り始めたり、

 

「こっちでないわ」

 

と入り口まで逆戻りしてまた別の方向に真っ直ぐ掘削を始めたりした。

コメント欄でA型のみなさんが阿鼻叫喚していたが、彼らの声に耳を傾けるべきだったかもしれないと今になって後悔している。

ボックスを置いた入り口中継地点より、円を描くように8方向に伸びた通路!

壮観!

通路があり過ぎてどこの先で死んだか分かりません!

 

「みんな出番だ!」

 

知らん

とりあえず右じゃね

いや正面の通路やで

片っ端から行こう

諦 め ろ

 

「く゛ぬ゛ぅ゛!」

 

結局私は一つ一つの通路を虱潰しに探っていくことになった。

一周した。

一周した!!

 

「制限時間間に合わなかったあぁぁぁ・・・」

 

アイテムは恐らく制限時間を過ぎて消滅した。

 

wwwww

可哀想で草

どんまいwww

A型の民ニヤニヤで草

気を取り直していけ

配信伸びて最高

 

「私のダイヤ・・・私のダイヤ・・・ぅぅ・・・」

 

 

 

 

いったん自宅に戻り体制を整える。

久々に空を見る。青くてきれいだ。まるでダイヤみたいだ。

ダイヤぁ・・・。

空は見ないことにした。

さて、家に戻ったのは理由があった。

エンチャント、とかいうのをするためである。簡単に言えば、ツルハシに特別なスキルがつく。スキルの中にはツルハシで採取した鉱石のドロップ数が倍になるとかがあって、是非ともダイヤ集めに利用したいところである。

エンチャントを付けるのに必要な本の前に立つ。

 

「あれ、出来ない? マイクワ君バグっちゃった??」

 

レベルが足りない

経験値が足らんのよ

まだ早いってよ

レベル上げしよ

 

どうやらレベルが足りないらしい。

ならば経験値を溜めなければ。とりあえず・・・

 

「庭の牛たちを切り刻むか」

 

ふぁ!?

えぇ・・・

邪知暴虐のゴリラ

野蛮過ぎるw

弱 肉 強 食 

 

牛育てれば食料に困んないじゃんということでたくさん牛を育てていた。

倒せば経験値の足しになるだろう。

 

「おらおらおらおら」

 

「「「ぶもおおお!」」」

 

「おらおらおらおらおら」

 

「「「ぶもおおおおおおおおぉぉぉぉ!!」」」

 

「おらぁ!」

 

「「「ぶも゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!」」」

 

容赦なさ過ぎて草

本能出てますね

駿河武士:リオは、どうしたのだ、、??

武士困惑してて草

世 紀 末

 

 

 

 

森からの贈り物を使うことでダイヤは驚異的なペースで集まった。

え?それ何って?ツルハシの名前だけど?文句ある奴はかかってこい。森にしてやる。

現在ダイヤの数は92個。

ダイヤブロックは大体2~3個集まってるから、次にダイヤを掘り当てればツルハシのスキルも相まって念願の100個が達成されるだろう。

ということでノリノリで掘った。

見つかった。

 

「きたあああああああああああ」

 

おおおおおおおおお

やったあああああああああ

ダイヤだあああああああああああ

勝ったな風呂行ってくる

 

苦節7時間。ようやく終わる時が来たんだ!!これで一生酒飲めないなんて縛りともおさらばできる!!!

私はしかし直ぐにダイヤを掘ろうとはしなかった。

記念すべきダイヤである。

周りを綺麗に掘って、ダイヤブロックだけが見える形にして暫し喜びを味わうことにした。

水色のダイヤの周りを囲む灰色の石たちを先に壊していく。

それはもうウキウキで。

 

「ふんふんふーん♪」

 

堪らなく嬉しくて。

誰も私を責めれない筈だ。長い時間をかけて頑張ってきたのだから。

でももし未来の私がいたら、今の私を殴りつけただろう。

つまりどういうことかと言えば。

 

私は油断した。

 

壊したブロックの隙間からマグマが溢れ出した。

 

「っっ!?」

 

あっ

まずい

やばい

 

咄嗟のことで反応が遅れてしまった。あっという間に身体が炎に包まれる。

じゅうじゅうと肉の焦げるSEと共に体力ゲージが減っていく。

 

「ああああああああっつ!!!!あっつっつ!!!!あああああっ!!!」

 

燃えてるううううぅ

やばいやばい!

水かぶれ!!!

えぐい

 

生憎手持ちには水入りのバケツなど持っていない。さらに悪い事にはダイヤの周りを綺麗に掘っていたこと。

ダイヤ下もまるで溝になるように、ダイヤが浮かび上がるように掘っていたこと。

そうなれば溝からは自力では容易に上がれないし、マグマはプールのように溜まる。

 

「ひ゛き゛ぃ゛っ゛!!」

 

ジュ

 

シュパー

 

あぁ

・・・。

やったわね

 

ゴール目前に集めた92個のダイヤ。

その全てを。

 

失った。

 

 

 

 

 

「吐きそう」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。