Bチームの生き残り   作:いさな

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第2節 救国の聖女

「ふぅ―― よし」

 

スルーズがいる位置まで辿りつくと二人が会話している最中だった

一人はもちろんスルーズ

そしてもう一人は、ジャンヌダルク

 

「彼がマスターです」

 

どうやら丁度俺の話をしてたらしい

 

「マスターのジュリオだ」

 

「カルデアのマスターですね 彼女から話は聞きました」

「ルーラー、ジャンヌ・ダルクです」

「ちょうど戦力が欲しかったところなんです まだ私だけだとちょっと不安で……」

「街を救うのに助力を願えないでしょうか?」

 

「―-いや、それよりも先にやることがある」

 

「え?」

 

「戦力にならない人間なんて救う『理由』はない」

「この特異点解決のために他のサーヴァント達を――」

 

言葉を遮られる

 

「理由なんて必要ありません」

「私が救いたいと思ったから、救うんです」

 

「そんなのは、おかしい!」

「……いや、早く戦力を統一すればそれだけ被害は減る」

 

「貴方は―― いえ」

「今は問答してる暇がありません、ではまた後で」

 

それだけ言い残すとジャンヌは走り出す

 

「ジュリオ、貴方の判断は間違ったものではないと私は感じました そちらの方が合理的です」

 

「……援護する」

 

そうだ、そっちの方が合理的だった 俺は間違えていない

……この援護は理由のない手助けじゃない

ジャンヌは貴重な戦力だ、特異点の解決に必要になる

 

「了解しました」

 

スルーズがジャンヌのもとへと飛び立つ

 

「何なんだよ……」

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「来ましたか」

 

合流時点で戦闘は既に終わっていた

傍らには蹴散らされたスケルトンやワイバーンの残骸が転がっている

 

「――戦力としてあんたが必要になる、ただそれだけだ」

「それよりも、もういいだろう ……街から離れたほうがいい」

 

竜の魔女、この時代で聖杯によって作られたジャンヌ・ダルク

それが起こした惨劇をこのジャンヌが受け止める必要なんてない

あれは、ただそうあれと作られた人形

 

「あんたが、そんな顔をする必要なんてない」

 

――命を賭して救った民から恐れられる、そんなのは報われない

 

「やはり―― いえ、わかりました」

「……そうですね、街から離れましょう」

 

「ランサー」

 

「はい ――付近に他サーヴァント反応なし」

「ベースキャンプの設置にふさわしい座標を発見しました、共有します」

 

念話で座標と地形情報が入ってくる

 

「分かった」

「じゃあまずはベースキャンプの設置からだ」

「ジャンヌ、あんたもついてきてくれ」

 

「ええ」

 

ベースキャンプ予定地へと向かいながら話す

 

「クラスはルーラー、だったよな」

 

「ええ、そうです」

 

『現世に何の望みもない事』『特定の勢力に加担しない事』

それが裁定者《ルーラー》として座に登録される条件

だから、ジャンヌダルクが復讐心を持っていること自体がありえない

あれは完全なる別物だ

 

ジル・ド・レェが生み出した、憎しみという感情だけを与えられた悲しき人形

 

「ただ、少し召喚に失敗したらしく…… ほとんど裁定者としての力は使えません」

「座からの知識も怪しい状態です」

「なので、余りお役に立てないかもしれません」

 

『真名看破』『神明裁決』『サーヴァントの遠距離感知』

これが裁定者として召喚されたサーヴァントに付与される能力

 

この時代のジャンヌオルタはルーラーとして作り出されている

各サーヴァントに対し2回までの令呪の行使が可能というサーヴァント相手への反則級の能力

それが、敵側が使える状態だったらまずい

 

「いや、能力については問題ない 戦闘はもちろん手伝ってはもらうが」

「主な活動としては、まだ敵側となっていないサーヴァントとの交渉役になって欲しい」

「ルーラーという立場が役に立つはずだ」

 

「――なるほど、それであれば力にはなれるでしょう」

「貴方は少し捻くれて いえ、その、なんというか…… ええ、交渉役は私に任せた方がいいと思います」

 

「……別に、捻くれてはいない」

 

「まあ、少し行動を共にすれば他の英霊たちも貴方がどういう人柄なのか、分かってくれるでしょう」

 

こちらを見る目が何かくすぐったい

意図的にそれを無視するように先を急ぐ

 

「ですが、ファーストコンタクトというのは重要です」

「まずは形からとも言いますし、笑顔から――」

「あ! まだ話は終わってませんよ!」

 

無視だ無視

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