ベースキャンプ予定地へと移動中にスルーズが立ち止まる
「どうした」
「――サーヴァント反応を感知しました」
「一騎、いえ五騎 こちらに接近中です」
……まずいな
多分そこまでのサーヴァントが集まってるってなると敵勢力だ
「逃げれるか?」
「一騎だけ素早いサーヴァントが先行してこちらに向かっています」
「逃げるのは難しいかと」
味方かもしれねえが敵だったら追いつかれるのはまずい
これは、躊躇してる場合じゃねえか
「迎え撃つぞ」
「ランサー、宝具を解放して先行して追ってきてるサーヴァントの核を撃ち抜け」
「了解しました」
「――
解放と共に槍を投擲する
必中の概念を持った槍は光の矢となり飛んでいき――
「撃破…… ――いえ、すいません 命中しましたが当たり所が悪く生き残っているようです」
スルーズが戻ってきた槍を手にしながら報告をする
やはり追ってきてたのは、ライダークラスのマルタか
確かあのスキルの名前は――
「奇蹟、か」
これで初見殺しはバレた
次からは遠距離からの必中攻撃はもう警戒される
原作ではサーヴァントの数の不利があったんだ、一騎でも落としておきたかったが
……使いどころを間違ったか?
「? まあ、大げさに表現すればそうとも言えます」
切り替えろ、次だ
「逃げられるか?」
「移動速度が大幅に落ちました 逃亡可能です」
「よし、逃げるぞ」
「了解しました」
スルーズに脇の間に手を入れられて持ち上げられる
……この方が早いんだからしょうがねえ
「あれだけ訓練を施したのにも関わらず、結局体重は変わりませんでしたね」
「……うるせえ」
そこも笑ってんじゃねえぞ聖女
そんな気持ちを込めて睨みつける
「す、すいません はい、早く離脱しましょう!」
――――――――――――――――――――
ベースキャンプ付近までたどり着く
「ジュリオ、サーヴァント反応が二騎」
二騎まとまって行動してるということは
マリーとアマデウス、だな
「合流するぞ」
「了解しました」
「え!? 敵である可能性が――」
「問題ない」
いや、自分で言って何だがその返しはおかしいな
「……どっちみちベースキャンプは設置しなければいけない」
「敵だとしても数が少ない内に対応しておくべきだ」
「ま、まあ そうかもしれませんが」
さて、もうすぐ――
何だ?何かが聞こえる
「アハハハハハ!」
笑い、声?
「やっと来たか、待ちくたびれたぞ」
こっちの声は、エミヤだと!?
「ランサー!」
「はい」
戦闘態勢を取る
「落ち着け、残念ながら今回は敵ではない」
敵ではない?
いや、それよりもどういうことだ
何故エミヤがこの特異点にいる
後、先ほどの笑い声、メフィストフェレスだ
どちらも原作にはいなかった、そこまで変わっているのか……?
「アーチャーだ、この特異点解決のために協力させてもらう」
「始めに言っておくが、今回は違う目的で召喚されてしまったというだけだ」
「君を殺したいと思っているのに変わりはない」
「……もっとも、もう手遅れかもしれんがな」
それだけ言うと口を噤む
一度敵対してるんだ、それは分かってる
色々気になる点があるのだが――
「アハハハハハ!」
いや、まずこいつを何とかしてくれ
「あちらの方も面白いですが、こちらの方も面白い!ああ、ワタクシはどうすれば!アハハハ!」
「クフッ!クッハハハハ!イーッヒッヒッヒ!死ぬ、ワタクシ笑い死んでしまいます!」
「……アーチャー」
思わずエミヤに縋る
「君が何を言いたいかは分かっている」
「だが私にもそれが何を求めているかは分からん」
会話をしている間もアーチャーと俺の間を行ったり来たりしながら笑い転げている
……う、鬱陶しい
「……気持ちは分かる」
「だが、これもこの特異点解決のために召喚されたサーヴァントだ」
「上手く使いこなせ」
「アハハハハハ!」
いや、これは無理だろ
「悪魔メフィストフェレス、クラスはキャスターでございます」
「ええ、決めました 今は貴方の喜劇をお手伝いすることにしましょう!」
「よ、よろしく」
従ってくれる、ということであってんのか?
――クソ、不確定要素だ
先が見えない、目の前が暗い、怖い怖いコワイコワイコワイ
『絶対に救ってみせる』
爪が食い込むまで拳を握りめる
目は見える、ただの幻覚だ
仲間になるサーヴァントが誰であろうとやることは変わらないはずだ
――黒のジャンヌを倒して聖杯を回収する
そう、それだけだ
問題ない
「あの」
ジャンヌがこちらに声をかけてくる
「問題ない」
「ですが――」
「アーチャー、何故ここにいたんだ?」
話を強引に進める
「……マスターとの契約がなければ、サーヴァントは本来の力を出すことは難しい」
「カルデアが人理修復のためにこの地に来ることは分かっていたのでな」
「どこが拠点の設置に適しているか、それを予測し待っていた」
なるほど、今回は味方だから良かった、ただそれは運だな
次からはもっと警戒しとかねえと……
「それで、その、横にいる…… それについては?」
「この地には両陣営で七騎同士のサーヴァントが召喚されている」
「そうだな、彼女と貴様の横にいるジャンヌ・ダルクの色で表させてもらうとしたら」
「
「そして信じがたいことに
吐き捨てるようにそう言い放つ
やはり少し違う、状況の確認が必要だ
「他のサーヴァント達の状況は?」
「セイバーとライダーは街を守っているため動けない状況だ」
セイバーが既に行動可能になっている……
いや、ジークフリートではないのか?
ここで突っ込みたいがなぜ知っているのかという話になっちまう
とりあえず、会ってから判断するか
「セイバーは、まあ正確に言うとサーヴァントというわけではないがな」
「そして、アサシンは…… その街で、守られている」
「は?」
思わず声が出る
でも、いや、え? 何を言ってるんだ?
「……その反応が正しい」
「次にバーサーカーだが、行方不明だ」
「あれは会話が出来るようで出来ん、自分の目的のみのために行動している」
清姫か
確かにあれは制御できないな
「残りはランサーだが、まあ消去法的に貴様のサーヴァントがランサーなのだろう」
「ああ」
「ではこれで七騎、それにそこのルーラーでこちら側の陣営全てだ」
「なるほど、形式は違えど聖杯戦争の形にはなっているのですね」
「でも、そうなると――」
ジャンヌが事情を説明する
「ふむ、ある程度は予想はしていたがやはりそうか……」
「あちら側もクラスはルーラーではあるが特権と呼べる能力は確認できなかった」
「あくまで条件は同等、ということだろう」
それは、ひとまず安心か
「出来ることならアサシンとバーサーカーとこのキャスターを制御して欲しかったが、まあ仕方がない」
「聞きたいことは以上か?」
「ああ、大丈夫だ」
「じゃあまずはベースキャンプの設置を行うから――」
「ああ、偵察は任せろ」
それだけ言うとアーチャーは視界外へと消える
協力的だ、そりゃそうか
この特異点が解決できなければ人は滅ぶ
それなら何で――
いや、それよりも気になるのは知識が役に立たねえことだ
どうなってやがる……