Bチームの生き残り   作:いさな

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第6節 黒の侵攻

まだ会っていないライダー達に会うために兵舎へと向かう

移動中に改めて街の中をじっくり見渡す

エミヤが言うには攻め込まれているとのことで街の中では戦闘の痕跡がちらほらと見受けられる

 

「ここだな……」

 

兵舎の外ではジル・ド・レェ卿が兵士たちに指示をしている

ということはセイバーは……いや、あれは現地の人間か

そんな様子を眺めているところで声を掛けられる

 

「あのアサシンの所へ行った後に一晩休んだということで心配していましたが」

「思ったより大丈夫そうですね」

 

鎧の上に赤いラインの入った白色の礼拝服、ゲオルギウスだ

 

「自己紹介が遅れました、クラスライダー 真名はゲオルギウスと申します」

 

聖ジョージ、竜殺しの聖人として有名な人物

まず間違いなく善人だ、そんな当たり前の出来事にとても安心する

 

「よろしくお願いします」

 

「ええ、こちらこそ」

 

「じゃあ早速何ですけど、残りのセイバーは今どこに?」

 

やはりここも変わらずにジークフリートなのだろうか

ファヴニールが作り出されるのであれば対になる存在として召喚されているのはおかしくない

 

「あー…… 大変言いにくいのですが」

 

まだ呪いが解除できていないのか?

 

「セイバーのサーヴァントはいません」

 

「……いない?」

 

どういう、ことだ?

戦力にならないって意味か?

いやそれならアサシンもいないものとして――

 

「こちらの陣営のセイバーは彼です」

 

ゲオルギウスが指を差すのは先ほどから兵士たちに指示を出しているジル・ド・レェ卿だ

 

「ですが彼はサーヴァントではなく人間のようですが?」

 

俺の代わりにスルーズが疑問を口にする

そうだ、あれはただのこの時代の人間

それがセイバー……?

 

「ええ、ですからセイバーのサーヴァントはいません」

「何やら現地の人間に力が付与されているようです」

「といっても本来のサーヴァントのように座からのバックアップもない、ほぼ普通の人間です」

 

確かに注意深く見てみると魔力の流れ普通の人間とは違う、のか?

いやよくわからねえ……

 

「……なぜ、セイバーだと?」

 

「剣を持っていたので いや、ほとんど消去法ですがね」

 

ビームを出せなきゃセイバーじゃねえよ

いや、それは暴論だが……

つまり広範囲の殲滅手段がないってことか

それにあちらにはまともなセイバーが召喚されていた場合、こちらだけ最優のクラスがいないの大きなハンデだ、ただでさえあのアサシンって面で不利を背負っているっていうのに――

 

「ああ、戦力的には問題ありませんよ」

「何度も攻め込まれていますが――」

 

直後、街の入り口の方角から爆発音が響き渡る

 

「ランサー!」

 

「サーヴァント反応が四騎、街へと侵入しました」

 

半分以上を攻めに使ってきたのか

こちらが戦えるサーヴァントはアサシンとセイバーを除いて六騎

よし、数の有利はある

 

「いつにも増して今日は数が多いですね……」

 

街の入り口方面の魔力が高まっていく

ここからまだ距離はある、だが何か遠距離攻撃を持っていてもおかしくない

 

「――熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)

 

七つの花弁が咲き誇りいつの間にか飛んできていた何かを防ぐ

防がれた弓矢のようなものは着弾と同時に爆発する

 

「……この狙撃手は私が対応しよう」

 

それだけ言うとエミヤは飛び出していく

それと同時にジャンヌとメフィストフェレスが兵舎から出てくる

 

「大丈夫ですか!」

 

「問題ない」

 

ジャンヌからの問いに簡潔に答える

エミヤが一騎押さえるとのことだから残りは三騎

 

「ランサー、残りの三騎の状況は」

 

「アサシンに向かっているのが二騎、それと街の中央に向かっているのが一騎です」

 

孤立しているサーヴァントを狙ってきたか

パスを繋いでいないから状況は分からないが急いで救援に――

 

「ではジル・ド・レェ卿は市民たちの避難誘導を」

「残り全員は街の中央に向かいましょうか」

 

ゲオルギウスが方針を立てる、だがそれには気になる点が一つ

 

「アサシンのほうに救援は……」

 

「ああ、あちらなら問題ありませんよ」

 

迷いなく即答される

 

「そう、ですか」

 

納得は出来ないがこの聖人が言うのであれば問題ないのだろう

守りに関してこの人に任せた方がいい

 

「ああいえ、見捨てるというわけではありませんよ」

「言葉の通り問題ありませんので むしろ近くに行って何か刺激する方が……」

「いや、そこらへんはあなた方のほうが分かってらっしゃるかもしれませんね」

 

「………。」

 

なんというか、説得力がすごい

確かにまた干渉して下手なことになるよりは任せたほうがいいか

 

「納得していただいたということで、では急ぎましょう」

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

ゲオルギウスに先導されて中央の広場へと向かう

 

「――」

 

スルーズの槍が何かを弾く

 

「はぁ、そう上手くはいきませんか」

 

声のする方向に振り向く

……クレオパトラだ、やはり色々変わっている

この先で何が起こってもおかしくない、そんな心構えを新たにする

 

「聖杯で願いを叶えてくれるっていうんですもの、だから大人しく死んで…… ってあら?」

「え、嘘でしょ貴方――」

 

こちらに向かって何かを喋りかけてきたが、その途中で喉元が爆発する

それと同時に大きなハサミで吹き飛ばされる

 

「キャスター……?」

 

「ええ、ではお先にどうぞ? 私は彼女と少し楽しんできますので」

 

「あ、ああ」

 

クレオパトラが言いかけた言葉は気になるが気にしてる暇はない

残り一騎は既に街の中心だ

急いで向かわなければ

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「遅い!」

 

中央に辿りつくなり誰かにいきなり大声で怒鳴りつけられる

 

露出度の高い修道服に十字架の形をした大きな杖、ライダークラスの聖女マルタだ

狂化しているようには見えない、だがそれでも今は敵側のサーヴァントのはず

戦闘態勢を取るようにスルーズに合図を送る

 

「ああ、もう そんなことしてる暇はないの」

 

「は?」

 

こちらが戦闘態勢になってもあちらは武器も構えずに腕を組んでいる

戦闘する意欲が全く見当たらない

 

「時間もないからさっさと伝えるわよ」

「――ジャンヌ・ダルクからの言伝です」

「フランス全土を焼き尽くす焼却式の準備が始まりました」

「実行までの時間はあとわずか、止めに来るなら『ヴィユ・マルシェ広場』で待つ」

「以上です」

 

わざわざ宣戦布告をしに来たのか?それも自分の居場所も含めて?

一体何を狙ってるのかが分からない

 

「ここまでで私に下された命令は終了」

「じゃあ、次にそこの貴方!」

 

急に睨まれる

 

「な、何――」

 

「最初のあれ!いきなり攻撃してくるって何なのよ!」

「おかげで渡すタイミングこんな時しかなくなっちゃったじゃない!」

 

「す、すみません」

 

すごい勢いで捲し立てられる

敵ではあるのは分かっているが思わず謝ってしまった

いやでも敵かもしれなかった、いや実際敵だったのだから問題ないよな……

 

「はい、これ 受け取りなさい」

 

マルタから何か容器に入った液体を手渡される

これは聖水、いやでもどうやって……

 

「じゃあ後は任せたわよ しっかりやんなさい」

 

「あ、ありがとうございます」

 

突然のことで混乱したが聖女の用意した聖水、一級品の触媒だ

味方、なのか……?

 

「ああもう、いいから早く先に行きなさい」

 

「はい、街の守りは私たちに任せてください」

 

ゲオルギウスとマルタに急かされるように見送られる

 

「あ、ああ」

 

釈然とはしないが焼却式の妨害が優先だ

魔力が徐々に高まっている、残り時間が後僅かというのも嘘ではないのだろう

連れて行くのはスルーズとジャンヌの二騎、清姫が残ってはいるがどこにいるかすら不明だ

あてには出来ない

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「よし、行ったわね」

「……ふぅ、最後までらしくいられたかしら」

 

聖女として情けない姿は見せられない

そんな思いで狂化を無理矢理に押さえつけてだけどもうそろそろ限界ね

 

『鉄 拳 聖 裁』

……いやいやいやいや、駄目よマルタ

拳での説教は封印、そう決めたでしょ?

 

「さて、大丈夫ですか?」

 

「……いやもう無理限界 そう、分かってんなら話は早いわ」

 

どうしようもなく暴れたい衝動

無理矢理押さえつけていた魔力を解き放つ

 

「――じゃあちょっと付き合ってもらっても?」

 

「ええ、私でよろしければいくらでも」

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