Bチームの生き残り   作:いさな

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第2節 助ける理由

霊脈が強いポイントまでもう少し

今は偵察に送った使い魔たちによって見つけられた安全なルートを通って進行している

 

「あと少し――」

 

「キャアーーーーーー!」

 

この叫び声、所長か

……どうせ死人なんだ ここで助けず死んでも変わんねえだろ

そうだ、助けに行く必要なんかねえ

 

「何なの、何のよコイツら!」

 

使い魔の視界に所長が入った

所長を追いかけているのはスケルトン3体のみ

 

『助けられる』

 

「クソ、何考えてんだ俺は」

 

助けたところでレフに殺される運命、そもそも所長はもう死んでんだぞ?

ここでスケルトンから守ったからといってどうなんだよ

 

「もうイヤ、助けてよレフ!」

「いつだってあなたが助けてくれたじゃない!」

 

オルガマリー・アニムスフィアは一流の魔術師だ

本来の実力を出せるのであれば逃げるどころか返り討ちにするくらい余裕で出来るだろ

でも今目の前に映っているのは助けを求めるだけの、ただの無力な子供のような姿

 

「――ああ、クソ! 助けて欲しいのはこっちだってのに!」

 

俺は何がしたいんだ、自分で自分がわからない

そんな内心を無視するかのように準備はスムーズに進んでいき、所長に念話をつなぐ

 

「所長、今から先頭にいるスケルトンの右足を爆破します」

「合流ポイントの座標と逃走ルートを指示するので従ってください」

 

――ロードの一家の魔術師でこの先で役に立つから助けるんだ

助ける手間もそこまで掛からない、損得を天秤にかけた結果助けたほうが得が多いと思っただけだ

そう、ただそれだけだ――

 

そう考えながら使い魔の一体に足に張り付くように指示する

 

「え、あなたは――」

 

(チェネレ)

 

使い魔の核を起点として小規模な爆発を起こす

 

――破壊出来たか? いや、流石にあのサイズの使い魔じゃ破壊まではいってねえか

ただ動きは鈍くすることはできた

よし、残る二体も同じ要領でやれば完全に振り切れる

後は爆発音で他のやつらを呼び寄せないように他の箇所でも陽動用に何かしとかねえとな

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「こんばんは、無事そうで何よりです 所長」

 

合流ポイントで待っていた所長に声をかける

 

「あ、貴方は!」

 

「Bチームのジュリオです」

 

「ええ、それは知ってるわ 13番でしょ? それで他のマスターは?」

 

意外だな、Aチーム以外名前とか憶えてないと思っていたが把握してたとは

 

「先ほどドクターロマニとの連絡が一時回復していたので状況を聞きました」

「A~Dチームでマスター候補として活動可能なのは私だけです」

 

「な!? Aチームも全滅だっていうの!? さ、サーヴァントがいない状況でどうすればいいっていうのよ!!」

「――いえ、それよりもまずはベースキャンプの設置をするべきね」

「霊脈のターミナルを探して、ってここじゃない! ほらボーっとしてないで貴方もさっさと手伝いなさい!」

 

相変わらず騒がしい人だな

 

「いい? こういう時は宝具を触媒に――」

 

「ありません」

 

「あ―― ど、どうすんのよ! Aチームがいないから出来ないじゃない!」

 

デミサーヴァントとなったマシュもいねえからな

 

「一応使えるかと思ったので色々拾っておきました」

「宝具レベルとは言いませんがこの街には触媒になりそうなものが色々あったので」

 

そう言って道中に拾ったスケルトンの残骸などを取り出す

凶骨とかが再臨素材になるくらいだしこれで何とかなるだろ、たぶん

 

「え? うーん、当初のプランとは違うけどこれなら何とかなるかしら」

「まあいいわ 試してみるから貴方は周囲の警戒でもしてなさい」

 

「了解です そっちは任せましたよ、所長」

 

「――! え、ええ! 私に任せておきなさい!」

 

あ? なんか張り切ってんな?

――まあそうか、レイシフト出来ないはずの自分が出来てるんだもんな 無理もねえか

 

さて周囲の警戒か 魔除けの結界でも張ってみるか?

いや、それだとここにいるって敵に教えてるようなもんだな

使い魔増やして周囲の偵察が妥当か

そういえばバーサーカーが原作通りの箇所にいるか確認してなかったな

詳しくは覚えてねえがマップ南西の辺りだったよな ――数体送り込んでみるか

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「ベースキャンプの設置できたわよ」

 

――速いな

まだそれほど時間は経ってないんだが、流石ロードってところか

 

「お疲れ様です所長」

 

「ええ、とりあえず先にロマニと話して状況は確認したわ」

「正規スタッフの生き残りは二十人未満、外部との連絡も取れない状況、そしてレイシフトが故障中」

「マスターは貴方以外全て危篤状態 ああ、凍結保存するようにロマニには言っておいたわ」

「そして何より、レフが――」

「――状況は絶望的ね」

 

レフ以外については同感だ

今の状況は詰んでると言っても過言じゃねえ

 

「それで今後の方針ですけど、私たちは特異点Fの調査を続けます」

「今すぐ戻りたいのは山々だけどレイシフトが故障してるならどうしようもないわ」

 

「――しかし、サーヴァントがいませんよ」

 

「そうね、なのでまずは安全第一に行動します」

「幸い今まであったことあるのは低級の怪物ばかり 逃げるだけならどうにかなるわ」

「まずこの時代のここで何が起こったか、それを調査するのよ」

「――私には周りを黙らせる成果が必要なの 悪いけど付き合ってもらうわよ、ジュリオ」

 

こちらとしても生き残るためだ、とりあえずこの特異点は俺がやるしかねえ

 

「わかりました、頼りにしてますよ所長」

 

「――ええ! ええ! 私に任せなさい!」

 

――何か所長のテンション高いな

まあどうでもいい、キャスターを探すのが最優先だ

 

シャドウサーヴァントもエミヤ以外は確か聖杯が目標だった

聖杯を手に入れるためにサーヴァントを倒す必要がある、だからマシュを狙ってきたみたいな流れだったはずだ

 

エミヤの目的は分からねえが、今のところサーヴァントを連れてない俺らにはあいつらは用なんてねえはずだ

それならある程度は安全に探索できる

クソ、そうであってくれよ――

 

生き残る、俺は生き残るんだ

 

『     た』

 

――うるせえ




ツンデレデブとチョロ化した所長
所長かわいい大好き
褒めて褒めて褒めまくってレフみたいに依存されたい

この作品についてですが「どうあがいても絶望」という状況が好きなので書き始めました
正確に言うとギルガメッシュ等々の圧倒的な強さを持った敵が大好き
もちろん士郎とかみたいに全力であがいて勝つのも大好きだけど、今回は違うからね!
早く主人公が蹂躙される姿が見てえなあ
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