あれからしばらく日付が経過した
で、色々と調査をしていたんだけど
どうやら食堂の人によるとスルーズちゃんはわざわざ彼の食事を毎回自分で作ってるらしい
他にもトレーニングメニューや起床、睡眠の管理などなど
「独占欲、かな? う~ん、それだけだとしっくりこない……」
傍から見ればただの献身的なサーヴァント
そのお陰か召喚当初はあった壁みたいなものがなくなってきている
一般職員たちとも色々交流は増えてるみたいだ
「いい傾向ではあるんだけどねえ」
気にかかるのは決してジュリオ君本人にはそういうアピールをしない点だ
食事が毎回手料理ってことも本人には伝えていない
ただ恥ずかしがっているだけならそれでいいんだけど……
「『我慢』だったらまずい」
閉じ込めた感情が爆発したときに何が起こるかが不安要素
しかもあの『ワルキューレ』だからなあ
嫉妬に狂うなんてことも可能性としては十分ありえる
というわけで!
現在、私は料理の真っ最中なのである
「~♪」
何故かって?
もちろん彼に食べてもらうため、という建前で――
「……? 調理場にいるのは珍しいですね、レオナルド」
お、来た来た
「やあ、おはよう スルーズちゃん」
「いやなに、私も彼に手料理をとね? ということで今日は私に任せておきたまえ!」
「栄養バランスばっちり、完璧な昼食をお届け――」
「……」
おーっと……
これは、とんでもないね……
流石は半神とも言える存在、威圧感がすごい
ただこんな程度で理性を失うようであれば問題外だ
レイシフト先で二人きりになったとき私たちでは守ることができない
だからこそここできちんと見極めないといけない
「……そう、ですか」
かろうじてだけど抑えられてはいる、か
判断としてはまだ危険判定かな……
とはいえこれ以上は特に反応もなさそうだし、もう少し別のアプローチを考えてみるかあ
「一つ、お尋ねしたいのですが」
「ん?何だい?」
「何故、急にジュリオに対して手料理を?」
ふむ、もう少し踏み込んでみるか
「それはもちろん彼を愛して……ぇっと?」
急に威圧感が消失した
彼女は俯いて肩を震わせて……
……あ、あれ?泣いてる?それもガン泣き!?
「じょ、冗談!冗談に決まってるじゃないか!」
「ただの息抜き、それ以外の理由なんてないない!」
ちょっと予想外すぎる反応に焦る
「本当、ですか?」
「あ、ああ もちろんだとも」
「じゃあこれ以降は私が作っても……?」
目に涙を浮かべながらそう尋ねてくる
これは断れないなぁ……
「うん、そうだね」
「引き続きお願いしようかな」
「じゃあ、彼の全てを管理しても?」
「うん ……うん?」
「いや、それはちょっと違う――」
「あ、ダヴィンチちゃんがスルーズちゃん泣かせてる!」
あ、やば
そろそろ一般職員も食堂に集まる時間だ
「ち、違う違う!誤解なんだよ!」
「……あの、それよりも料理のほうが」
「あ!」
――――――――――――――――――――
「え、えーっと 今日は私の手料理だ」
「天才万能美少女の手料理だよ?存分に感謝してくれたまえ」
少々焦げてしまった昼食
見た目はちょっとあれだが味は問題なかった、はず
「美味しいですけど…… なんでまた急に?」
スルーズちゃんも隣に座ってるから正直には話せない
「ただの息抜き、みたいな?」
「そ、そうですか」
「それよりも、いつもと比べてどうだい?正直な感想が欲しいな」
「いつもと比べて、ですか?」
「そりゃまあプロの方が作ってるでしょうしいつものほうが美味しいですけど……」
「あ、いや、これもここに来る前に食べてきたものより美味しいですよ」
「ふ~ん、そっかそっかあ」
隣の彼女の表情を確認してみるが変化はなし
……いや、よく見ると喜んでるなぁ
表情が微妙にピクピクしてる
くそぅ、私だってアクシデントがなければ最高の料理を提供出来るんだけど
リベンジの機会はちょっともらえそうもないか
「しょうがないか」
「?」
不思議そうにこちらを見ている彼は少し、
いや結構な苦労をすることになるだろうけど『害』はない
無理してもう一騎サーヴァントを呼ぶ必要はないだろう
「ジュリオ君」
「はい」
「頑張ってね」
「は、はい?」
判定結果は一応『安全』ということにしておこう
じゃあロマンに報告しに行こうかな